タイのニュース&トピックス:2024年12月前半
第4四半期に二輪車販売が増加と予測(12月2日)
タイ工業連盟(FTI)は、今年の第4四半期の二輪車の販売台数が増加する見込みであることを発表した。
特にコンプリートノックダウン(部品のセットを輸出し、組立は現地で行う方式。以下、CKD)モデルは、海外の需要増加により10月の輸出が急増した。なかでもアジアでは、新型モデルの二輪車を求めるため、CKDモデルを購入するケースが多く、ベトナム、インドネシア、カンボジア、日本からの注文が増加している。
CKDおよび完成車(以下、CBU)を含む10月の二輪車の輸出台数は、2023年の68,136台から2024年は175,066台となり、前年同月比157%増となった。輸出額は前年比16.6%増の65億バーツとなり、2023年より60億バーツ増加した。
今年1~10月のCKDとCBUを含む二輪車の輸出台数は、1~7月の輸出が減少したことから、前年比15.8%減の776,362台となった。減少の
理由を明らかにしていないが、近隣諸国がタイからの輸入に代わる二輪車を生産したためとしている。
内閣は炭素税を検討予定(12月4日)
財務省は、炭素税を閣議承認するよう提案する予定であることを発表した。
財務省物品税局の提案で、炭素税率は炭素1トンあたり200バーツとされている。各種類の石油および石油製品に対する税負担は、各石油の
排出係数に応じて異なる。植物由来の再生可能エネルギーを含むE20、E85、バイオディーゼル燃料については、再生可能エネルギー含有量の
部分を差し引いた後に炭素税率が計算される。
同局は、石油および石油製品に対する税の割合を調整し、炭素税を石油および石油の税制に組み込む。
タイは年間3億7,200万トンの炭素を排出しており、その70%はエネルギーおよび輸送部門によるものである。エネルギー部門からの炭素排出量は、タイの年間総排出量の37%を占めている。タイは、2030年までに炭素排出量を現在のレベルから30~40%削減することを目指している。現在、電気自動車の推進により目標に向けて前進しており、すでに二酸化炭素排出量を 341,000トン削減しているとしている。
EV委員会がハイブリッド電気自動車(HEV)およびマイルドハイブリッド電気自動車(MHEV)に対する自動車税構造の調整を承認(12月5日)
タイ国家電気自動車政策委員会(EV委員会)は、10人乗り以下のハイブリッド電気自動車(HEV)およびマイルドハイブリッド電気自動車(MHEV)に対する自動車税構造の調整を承認したと発表した。
この措置は、タイを東南アジアのEVおよび電動バイク生産の拠点として位置付けることを目的としている。
ハイブリッド車(HEV)メーカーに対しては、2024年から2027年の間に最低30億バーツの追加投資を行い、国産の部品を使用した場合、
物品税が引き下げられる。なお、対象となる車両には高度運転支援システム(ADAS)が搭載され、CO2排出基準を満たす必要がある。
HEVのCO2排出基準に関しては、走行距離1㎞あたりのCO2の排出量が100グラム未満の車両は、2026年から2032年まで物品税率が6%と
なる。走行距離1㎞あたり101~120グラムのCO2を排出する車両については、2026年から2032年まで税率は9%となる。
一方、MHEVのCO2排出基準については、走行距離1㎞あたりのCO2の排出量が100グラム未満の車両は、2026年から2032年まで物品税率が10%となる。また走行距離1㎞あたり101~120グラムのCO2を排出する車両については、2026年から2032年まで税率は12%となる。
なお、MHEVメーカーは2026年に少なくとも10億バーツ、2028年には少なくとも50億バーツの追加投資を行う必要があり、HEVと同様に
現地の部品を使用する必要がある。
Solar D社が太陽光パネル設置ロボットを開発(12月6日)
太陽光発電ソリューションプロバイダーであり、テスラの家庭用蓄電池 Powerwallの販売施工会社であるSolar D社は、太陽光パネル設置ロボットを開発したことを発表した。
太陽光パネル設置ロボットの開発により、屋上太陽光パネルの国内需要が増加すると見込まれている。同ロボットの開発は、国内初であり、ロボットの開発により2025年の収益は前年比33%増の20億バーツに達すると見込まれている。
同ロボットは、同社の研究開発チームが開発した「LightSpeed」技術を使用しており、屋上に太陽光パネルの設置を手作業の10 倍の速さで行う。通常、1メガワットの発電能力を持つ太陽光パネルは、手作業で設置するのに60日かかるが、LightSpeed技術を使用すると、作業は6日で完了する。
同ロボットの導入により設置が容易になることから、タイの屋上太陽光パネルの需要が喚起されると期待されている。多くの企業は、高額な国営電力網から購入する電力だけに頼りたくないと考えており、屋上に太陽光パネルを設置するケースが増えている。
フォード社がタイ国内自動車市場の低迷にもかかわらず投資を拡大(12月11日)
フォード・タイランド社は、タイへの投資拡大を継続する計画を発表した。
タイの自動車販売の低迷は、銀行や自動車金融会社が家計債務の増大を理由に自動車ローンの基準を厳しくしたことが要因の一つとなって
いる。
ピックアップトラックの販売が中心であるフォードは、長期投資を続けているが、同社は政府に対し、特にピックアップトラック部門での
自動車販売を押し上げるため、融資基準の緩和について銀行と協議するよう要請している。
国内のピックアップトラック販売は23年ぶりの低水準に落ち込んだ。タイ工業連盟(FTI)によると、10月のピックアップトラックの販売台数は前年比41.6%減の1万896台であった。 1月から10月までの販売台数は前年比39.5%減の13万7,456台に落ち込んでいる。
国内自動車販売の大幅な減少は、主に自動車ローンの基準を厳しくしたことによるもので、FTIは2024年のタイの自動車生産目標を170万台から150万台に引き下げた。ピックアップトラックの売り上げ減少は自動車部品事業にも影響を及ぼしているとしている。
デジタル経済社会省がタイの農業を変革し、200億バーツの価値を創出(12月12日)
デジタル経済社会省(DES)は、「One Tambon, One Digital(一村一デジタル)」のドローンプロジェクトを2023年11月に開始し、初年度に 200 億バーツを超える経済価値を生み出したことと発表した。
デジタル経済推進庁(Depa)によって運営されている同プロジェクトは、農家のコスト削減、収入増加、雇用の創出を実現している。農業用ドローンは、伝統的な農業を近代的な農業に変えるツールである。同プロジェクトでは、全国5か所にドローントレーニングセンターを設立し、ドローン技術の開発を促進している。
また、同プロジェクトでは、農業用ドローンを修理する整備士の能力を向上させ、500の農業用ドローン利用者のネットワークを形成して
いる。さらに、同プロジェクトでは、100人の農業用ドローン修理技術者と1,500人の農業用ドローンパイロットを育成している。
デジタル経済推進庁によると、これらのプロジェクトは、最終的には農業向けビッグデータの確立につながると期待している。
タイ工業団地公社が、より多くの中国人投資家をタイに呼び込む「両国ツインパーク」計画をを発表(12月13日)
タイ工業団地公社(以下IEAT)は、タイと中国の投資と貿易を促進する「両国ツインパーク」と呼ばれる新たな協力を通じて、より多くの
中国人投資家をタイに呼び込む計画を発表した。
工業相は、中国人投資家にとってタイを有望な投資先にしたいと考えている。タイ政府は投資と貿易を促進するプロジェクトを考案しており、IEATと安徽省商務省の間で「両国ツインパーク」に関する覚書を締結した。この覚書によって、タイの工業団地への投資プロジェクトに
乗り出す中国人起業家が増えことを期待している。
タイを東南アジア地域のEV生産拠点にするというタイ政府の政策によって、特に電気自動車(EV)業界で中国人投資家が増加している。BYDや長城汽車など中国のEVメーカーはすでにタイで電気自動車の組み立てを開始している。中国の投資家の関心を集めている他の産業には、再生可能エネルギーと食品の研究開発があげられる。
「両国ツインパーク」は、習近平政権が開始した「北京の一帯一路構想(以下BRI)」の一部である。BRIは、陸上および海上インフラを開発することで、中国経済を東南アジア、アフリカ、ユーラシアと結びつけることを目的としている。IEATは、「両国ツインパーク」がより多くの中国人投資家をタイに呼び込むことを期待している。
タイが2025年から大手国際企業に最低法人税率15%を適用(12月13日)
タイ政府は、2025年から大手グローバル企業に最低法人税率15%を適用すると発表した。
財務相によると、内閣は税制実施を支援する関連法を承認しており、同法は、王立官報に掲載された後、発効される。
タイ政府は、今後数年以内に経済協力開発機構(OECD)への加盟を目指し、法律、政策、税制慣行の見直しに取り組んでいる。タイの標準的な法人税率は20%だが、政府は大手外国企業を誘致するため、一部の投資プロジェクトに免除または税率の低減を行っている。また、タイ政府は、外国企業が研究拠点をタイに移転することや、より環境に配慮した運営の改善、現地スタッフの技能訓練の提供といった条件を満たした
場合には、税負担の一部を補償することも提案している。