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タイのニュース&トピックス:2024年12月前半


コーセー社がタイのブランド「PAÑPURI」 を買収(12月16日)

 日本の化粧品大手メーカーであるコーセー社は、タイ発のウェルネスブランド「パンピューリ(PAÑPURI)」を展開するPURI社を買収したことを発表した。
 PURI社が展開する「PAÑPURI」は、2003 年に設立され、ハーブやエッセンシャルオイルなどの植物を使用した、体・心・魂の調和を重要視したブランドである。買収以前は、「フレグランス」「バス&ボディ」「スキンケア」「ホームフレグランス」「ウェルネス&スパ」という5つのカテゴリーの製品とサービスを提供している。
 PURI社の2023年の総売上高は5億7,600万バーツ、2024年上半期の総売上高は4億9,300万バーツである。2024年の業績についても、売上高が10億バーツを超え、前年比80%増、純利益が2億バーツを超えると予測されている。
 コーセー社は、「PAÑPURI」のホリスティックな健康を世界と共有するという中核的な価値観を守りながら、ウェルビーイング(Well-being)へのアプローチを新たな市場に導入することを目指しており、今回の買収により、アジア発の高級ウェルネスブランドとして、「PAÑPURI」の国際市場での存在感を高めていくとしている。

 

 

エネルギー政策管理委員会が調理用液化石油ガス(LPG)の上限価格を2025年3月31日まで延長(12月17日)

 エネルギー政策管理委員会は、調理用液化石油ガス(LPG)の15キログラムシリンダー当たり423バーツの上限価格を2025年3月31日まで
延長すると発表した。
 エネルギー大臣は、小売価格の上限延長は、精製所のLPG卸売価格に基づき1キログラム当たり20.9179バーツとして、2025年1月1日から
有効になる。
 政府は、石油燃料基金を活用してガス価格政策を実施し、今後も国民の生活費を抑制するためLPG価格の上限設定を継続するとしている。

 

 

観光スポーツ省が外国映画の撮影促進のためのインセンティブを強化(12月17日)

 内閣は、観光スポーツ省が提案したタイにおける外国映画撮影の促進に向けた奨励策に合意したことを発表した。同奨励策によって、タイで外国映画を撮影する事業者に対して最大30%の資金が払い戻される。
 現在、多くの国が外国映画撮影の経済的利益を認識しており、外国の制作会社を誘致するために現金還付の増額や税額控除の優遇措置が実施されている。
 インセンティブ制度が整備されている一方、他の多くの国も誘致に向けた環境を整えており競争は激化している状況である。そこで、自国の収益のさらなる増加のため、海外事業者の映画製作の誘致に向けたインセンティブを強化する必要性が高まっている。
 奨励策の改正においては、まず、キャッシュバック率を当初の15~20%から15~30%に引き上げる。他のプログラムの併用も含めて上限は
30%としているが、金額面での上限はないとしている。また、二級都市をロケ地として選んだ制作会社は、さらに3%のキャッシュバックを
受けることができるとしている。
 これらの新基準は2025年1月1日から開始される予定であり、この新たなインセンティブによってより多くの海外の大規模な映画制作を誘致
していくとしている。

内閣が外国人労働者の割合を増加することを承認(12月18日)

 内閣は、外国人労働者不足に対応するため、企業における外国人労働者の受け入れを増やすことを承認したと発表した。
 現在のタイの法律では、1企業における外国人労働者数は上限100人に制限されており、無国籍の外国人労働者の場合は1企業あたり50人に
制限されている。
 外国人労働者の雇用を規制するタイの法律では、外国人が従事できる仕事や職業の種類を、禁止事業、制限事業、条件付き許可事業の 3種類に分けて規定されている。禁止事業とは、新聞・ラジオ放送の運営、農業や畜産などの外国人が従事することが許されていない事業のことである。制限事業には、国家安全保障に関連する事業や、文化遺産、伝統、慣習に影響を与える可能性のある事業などがあり、外国人は内閣の承認を得た場合にのみ従事することができる。条件付きで許可される事業とは、タイ企業の競争環境が整っていない事業のことである。外国人は、外国人事業委員会の承認を得た場合にのみ、これらの業種で働くことができる。
 同法律は1979年から施行されているが、経済情勢は45年間で大きく変化しており、内閣は閣議において、1企業あたりの外国人労働者の割合を増やすべきであるという見解を示している。これにより内務省は、国家安全保障に影響を及ぼさない適切な人数の検討に取り組んでいくとしている。

 

 

トヨタ社がタイでハイブリッド車の生産を拡大へ(12月18日)

 トヨタ自動車は、ハイブリッド車の生産拡大のためタイに550億バーツを投資することを発表した。
 この投資は、ハイブリッド車用の内燃機関とバッテリー駆動の電動機(モーター)の両方の生産を支えるために生産ラインを改造するもので、タイの雇用創出、技術移転、人材育成につながるものである。
 トヨタ自動車は60年以上にわたりタイで事業を展開しており、タイは主要な生産拠点となっている。タイ政府とトヨタ自動車は、タイの自動車産業を強化するための戦略について協議しており、特にハイブリッド車の生産において自動車ユーザーと企業のニーズを満たす政策と措置の重要性について合意している。
 タイ政府も、自動車業界のニーズに合わせて政策を調整し、メーカーと消費者の利益のバランスを取り、相互の経済的利益を達成していくとしている。また、政府は今後も、タイにおける日本の製造業、関連産業のタイ企業、現地部品メーカーへの投資を支援していくとしている。

 

 

商務省が2025年の輸出成長目標を2~3%に設定(12月19日)

 商務省は、2025年の輸出成長目標を2~3%に設定したと発表した。
 2024年の1月~10月までで、タイの輸出額は2,500億米ドルに達し、前年比4.9%増となった。2024年の輸出は電子機器や農産物、食品部門の成長により、成長率5%を達成し、総額は過去最高の3,000億米ドルに達する見込みである。
 同省は2025年についても楽観的な見通しで、これまでタイに投資してきた企業の工場等の建設が完了することで輸出も増加すると見込んで
いる。さらに、タイと欧州自由貿易連合(EFTA)の交渉が成功し、EU・英国とのFTA締結に向けた取り組みが進んでいることも、タイの輸出を押し上げるとみている。
 また、米国による関税引き上げの可能性が懸念されるが、タイが米国の輸出のための製造拠点として機能していることから対米貿易は黒字である。今後も、良好な対米貿易に向け、タイの商務大臣は2月に米国当局者と会談し、タイが関税引き上げの対象から除外されるよう、交渉を
進める予定である。

PTT Global Chemical社がHoneywell社と覚書を締結し、高度な炭素回収・利用技術を研究開発(12月23日)

 石油化学会社の PTT Global Chemical Public Company (以下GC) 社は、Honeywell社と覚書 (MoU) を締結し、高度な炭素回収・利用技術の研究開発に取り組んでいることを発表した。
 今回の協力は、GC グループの施設での炭素回収貯留(CCS)プロセスにHoneywellの技術を適用する実現可能性を探るとともに、炭素回収
利用 (CCU) を活用して 2050年までに温室効果ガスのネットゼロ排出を達成するという目標を達成することに重点を置いている。
 GC社は、2050年までに温室効果ガスのネットゼロ排出を達成し、低炭素組織に変革することを目標としており、Honeywellとの提携に
より、競争力を高め、持続可能な成長を促進し、環境責任のバランスをとるための最先端の効率的な技術をもって、持続可能性の課題に対処
していくとしている。

 

 

商務省は、キャッサバ価格の低下を受け、農家を支援する方針を発表(12月23日)

 商務大臣は、キャッサバ価格の低下を受け、タイのキャッサバ農家を支援する方針を発表し、中国当局にタイ産キャッサバ製品の購入を要請したことを発表した。
 国内では、国内取引局がキャッサバ関連団体や飼料生産者、養豚業者と協議を行い、余剰キャッサバの国内消費を推進する。特に家畜産業でのタピオカチップスの利用を拡大し、その使用量を50万トン以上に増やすことを目指している。
 一方、国外取引局は、メキシコ、チリ、フィリピン、インドネシアといった新たな輸出市場の開拓を進めている。また、キャッサバ製品の
付加価値を高める新商品の開発にも取り組んでおり、駐在商務官には新市場の開拓を指示している。さらに同省は民間部門と連携し、2025年
1月5日から9日にかけて政府と民間部門の代表団が中国の上海と成都を訪問し、キャッサバ製品を広範な産業分野に宣伝する予定で、この活動により、旧正月前に100万トン以上の需要創出を目指している。
 今後、国内取引局は、2024/25年のキャッサバ収穫期遅延プログラムのための予算を農業者支援基金から申請する予定である。このプログラムは、収穫時期の集中を避けるため農家に収穫の延期を促すもので、タイ農業・農協銀行(BAAC)からの融資を活用するとしている。

 

 

タイでのデータセンター投資は今後も続く見込み(12月26日)

 タイ投資委員会(BOI)は11月に、600億バーツを超える2件のデータセンター投資を承認したと発表した。そのうち1件は、Googleの親会社である米国Alphabet社の子会社であるQuartz Computing社からのもので、タイの新しいデータセンターに328億バーツを割り当てた。もう一方は、中国のテック企業GDSの子会社であるデジタルランド・サービスによるもので、チョンブリ県にデータセンターを設立するために280億バーツを投資している。
 政府が「クラウドファースト政策」を通じて公共部門と民間部門にデジタル変革の導入を奨励しているため、2025年はさらに多くのテック分野の世界トップ企業がタイにデータセンターを設置することが予想されている。
 政府の投資促進と「クラウドファースト政策」により、GoogleやMicrosoftなどの世界トップテック企業は、今年、タイの人工知能(AI)とデータセンターに1,000億バーツ以上を投資した。2025年にはさらに大手テック企業2社が1,000億バーツ以上の投資を行うと予想されている。
 タイ政府は、「2025 Empowering Thais: A Real Possibility」キャンペーンの一環としてタイを地域のAIハブにすべく、取り組みを推進するとしている。

タイ財務省が2025年1月1日から大手多国籍企業に15%の国際最低課税を導入(12月27日)

 タイ財務省は、2025年1月1日から大規模多国籍企業に15%の国際最低課税を導入すると発表した。
 同省によると、この税制は、経済協力開発機構(以下OECD)が主導する国際最低課税の枠組みに沿ったものである。具体的には、世界での
年間売上高が7億5,000万ユーロ(7億8,200万米ドル)を超える多国籍企業に最低15%の税が課されるものである。
 タイの標準的な法人税率は20%であるが、政府は大手外国企業を誘致するため、一部の投資プロジェクトに対して免除または税率の引き下げを行っている。今回の税制改正はOECDへの加盟を視野に入れたものであり、今後数年以内にOECDに加盟すること目指し、法律、政策、税制
慣行の見直しに取り組んでいくとしている。

 

 

PTTOR社が新規投資に604億バーツを割り当てる(12月28日)

  タイ石油公社(PTT)の傘下で給油所運営・小売事業を行うPTT Oil and Retail Business社(PTTOR)は、604億バーツ以上を新規投資に
充てる予定であることを発表した。なお予算は、 2025 年から 2029 年の間に支出される。
 同社は、大手石油小売業者としての地位を維持し、非石油事業を支援し、海外へのさらなる投資に乗り出すことを目指している。そこで同社は、レストランを含む一部の事業の株式を売却し、業績不振による損失を削減するとともに、見通しが暗い事業の再検討を進めている。
 今回の投資予算では、その半分以上となる318億バーツが同社のモビリティ事業に割り当てられる予定である。EVステーションPluZという
計画を通じてバッテリー充電事業への投資を増やす計画で、長期的な目標として、2030年までにコンセントの数を7,000箇所に増やすとして
いる。
 予算の残りは、同社のライフスタイル事業(155億バーツ)、海外投資(108億バーツ)、イノベーションと新規事業(21億バーツ)に充てられる。同社の戦略として、物理的な資産への投資を制限・削減し、その一方でアウトソーシングや戦略的パートナーシップの形成に進めていくとしている。

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