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インドネシアのビジネスニュース:2025年4月後半


LGエレクトロニクス社の新規エアコン工場が2025年後半に稼動開始(4月18日)

 韓国の電子機器メーカーLGエレクトロニクス・インドネシア社(LG)は、2025年後半にインドネシアでエアコン(AC)工場の本格稼働を開始すると発表した。
 初期投資総額2,200万米ドル(3,740億ルピア相当)の同工場は、西ジャワ州ブカシ市に位置しており、32,000平方メートルの敷地面積を有している。同工場は家庭用および業務用エアコンの生産拠点となる。なお、初年度のエアコン生産能力は約180万台であり、次年度には生産能力を倍増させる予定である。
 同工場の建設によって、インドネシアにおける同社の事業体制が一層強化される。現時点で、同社はインドネシアにおいて3つのグループの生産施設を有している。エアコン以外の既存の施設はテレビ生産施設と冷蔵庫や洗濯機などの家庭用電子機器の生産施設である。また、インドネシアにおける同社の事業体制には、インドネシア全土に広がる研究開発センター、マーケティングセンター、ユーザーサービス、製品流通チェーンも含まれている。
 同社は事業体制の完成に伴って、国内市場の需要に対応するスピードの向上を期待し、将来的には国内市場だけでなく、海外市場の需要にも対応することを目標としている。

 

 

政府が160兆ルピアの官民パートナーシッププロジェクトを準備し、4つの優先インフラ部門を対象とする(4月20日)

 公共事業省は官民パートナーシップ(Public Private Partnership/PPP)スキームを通じて、有料道路から水資源インフラまで幅広い分野を網羅する総額160兆ルピア以上の戦略的プロジェクトを数多く準備していると発表した。これらのプロジェクトは、2025年までに様々な国家優先分野のインフラ整備を支援することに重点を置く。
 同スキームは国のインフラ整備を加速させるとともに、国内外の民間企業に投資機会を開放することを目的としている。同省では、2025年の国家インフラ開発として、次の4つの主要セクターに注力する。
①灌漑と沿岸保護の強化を含む水資源インフラ
②戦略的有料道路や高架橋の建設を含む道路と橋
③清潔な水、衛生設備、近隣地域へのアクセスなどの基本的なインフラ
④教育施設や公共市場などの戦略的インフラ
 また、現在準備中のプロジェクトについて、次の3つがあげられた。
水資源・エネルギー部門におけるプロジェクト10件(42兆5,700億ルピア相当)
飲料水供給システムと灌漑近代化に関するプロジェクト5件(31.97兆ルピア相当)
有料道路、再生可能エネルギー、水と灌漑システムの建設をカバーする大規模なプロジェクト8件(87.92兆ルピア相当)
 また、政府は投資環境を支援するためにオンライン・シングル・サブミッション(OSS)を通じて事業認可を簡素化し、投資を促すため、地域ベースの課税政策を実施している。

インドネシアは米国相互関税への対応策として、米国からのLPガス輸入を85%増加させる方針(4月21日)

 エネルギー鉱物資源省(ESDM)は、米国との貿易交渉戦略の一環として、特にインドネシアから米国への相互関税を引き下げるために、米国からのエネルギー輸入の割合を増やす計画を発表した。この措置はインドネシア側で大幅な黒字を記録している対米貿易収支の均衡を図るために取られるものである。
 中央統計局(BPS)のデータによると、インドネシアの対米貿易黒字は約145億米ドルに達した。しかし、米国側の記録によれば、この数字はもっと高い可能性があるとしている。米国側はこの貿易不均衡を是正するために、インドネシアに対して32%の相互関税を発効した。
 同省は、米国からのLPガス輸入を現在の54%から80%~85%の範囲に引き上げることを目標としている。原油に関しては、米国からの輸入比率は現在4%程度であるが、政府はこの割合を40%以上に引き上げることを目指している、また、ガソリンについても同様である。同省によると、米国からの輸入拡大は国のエネルギー輸入枠を増やすものではなく、他国からの輸入量を減らすことによって、国家予算には負担をかけるものではないと加えた。インドネシアは現在、中東諸国、アフリカ、東南アジアからエネルギーを輸入しているが、対米国貿易収支を均衡させることを目的に、今後は輸入分の一部を米国に割り振る予定である。
 しかし、多くの業界関係者はこの計画について批判的であった。米国産LPガスは他の供給源に比べて高価であるため、慎重に計算しなければ国家予算を圧迫し、財政負担を増加させる恐れがあるとの意見が多かった。

 

 

繊維産業が米国以外の代替輸出市場を模索(4月21日)

 インドネシア繊維協会(API)は、インドネシア産の製品に32%の相互関税を課す米国(US)の計画を受け、有望な新輸出市場の開拓を進めている。中東諸国、ドイツ、日本などが潜在的な市場として上がった。
 同協会によると、繊維業界関係者は、近年、増加傾向を示している米国以外の国々への輸出機会を検討している。現在、小売業が成長し、繊維製品に対する需要が高まっているアラブ首長国連邦や中東諸国が潜在的な輸出先として挙げられている。また、中国やインド以外からの繊維・衣料品の輸入を検討しているドイツと他の東欧諸国も、インドネシアにとって有望な市場であると見ている。さらに、日本と韓国も、発展途上国の高品質の繊維製品を検討しているため、輸出を拡大する機会がある。また、同協会は地域的包括的経済連携(RCEP)、EU、アフリカなどとの自由貿易協定(FTA)の活用を呼びかけ、市場アクセスの拡大を図っている。
 同協会は、今後のグローバル市場での競争力を高めるため、製品の品質向上、デザインの革新、環境に優しい素材の使用、製品の多様化を推進している。 また、ブランド力の強化、国際的なプロモーション、物流の効率化も重要な課題としている。

ITDCとKleoがマンダリカに5つ星ホテル建設で1億2400万ドルの契約を締結(4月23日)

 マンダリカ経済特区(西ヌサ・トゥンガラ州ロンボク島)を運営する国営観光開発会社であるインドネシア観光開発公社(ITDC)は、マンダリカ地域の海岸沿いの一等地であるタンジュン・アーン・ビーチに5つ星の高級ホテルを開発するため、インドネシア・日本・ドバイの企業の合弁会社であるKleo Mandalika Resort社(Kleo)と土地利用・開発契約を締結したと発表した。
 同契約は2兆1,000億ルピア(1億2,445万ドル相当)と見積もられており、期間は30年で、20年の延長とその後の更新も可能となる。Kleoは、契約に基づき101,000平方メートルの敷地に高級物件を開発することになる。
 同プロジェクトは、インドネシア政府とITDCがマンダリカを世界有数の観光地へと変貌させるための幅広い取り組みの一環である。この地域には、すでにMotoGPやワールド・スーパーバイク・イベントを開催するプルタミナ・マンダリカ・インターナショナル・サーキットがあり、道路、公共施設、国際空港の整備など、インフラ整備が急速に進んでいる。
 将来的に、同ホテルの開発が、消費意欲の高い観光客の誘致、雇用創出や裾野産業の収入増など、地元経済にプラスの波及効果を生み出すことが期待されている。

 

 

HPインドネシアがバタム島にノートパソコンとプリンターの組立施設を開設(4月24日)

 米国の電機メーカーHPの現地法人であるHPインドネシアは、インドネシアの電子機器製造サービス会社であるSat Nusapersada社(PTSN)と共同で、リアウ諸島のバタム島にノートパソコンとプリンターの組立施設が竣工したことを発表した。同施設は、海外で行われている生産設備を移転するものではなく、既存の生産能力を追加するものとして位置付けされている。
 同社は2025年の生産目標としてノートパソコン約50,000台、プリンター70,000台を掲げている。同施設では「HP 240R G9ノートブックPC」(インテルi3、Core i5、Core i7)、および「HPスマートタンクシリーズ」(583ワイヤレス、523、215ワイヤレス)の3種類のノートパソコンとプリンターが生産される。これらの製品はすべて国内部品レベル(TKDN)の要件を満たしており、ノートパソコンの平均スコアは27%、プリンターの平均スコアは32%である。
 なお、同施設ではノートパソコンを正確に構成するためのPRISMサーバーを含む最新技術を備えており、ISO 7クリーンルーム基準を満たしている。

インドネシアの2024年の鉱物生産量が減少(4月30日)

 エネルギー鉱物資源省(ESDM)は、2024年にインドネシアの多くの鉱産物の生産量が減少したことを発表した。同省のデータによると、多くの主要鉱物の生産量が前年比で縮小し、特に錫、金、ボーキサイトが大幅に減少した。
 錫の生産量は、2023年の68,200トンから2024年は39,800トンへと41.6%急減した。金およびその関連鉱物も105トンから60.8トンへと42%もの大幅な減少となった。ボーキサイトの生産量は2022年に3,180万トンであったが、2023年には1,900万トンに減少し、2024年には1,680万トンとなった。なお、この落ち込みは、2023年半ばに施行されたボーキサイト鉱石の輸出禁止政策による影響である。
 また、ニッケルの生産量も若干減少した。ニッケルの生産量は2023年の1億7,690万トンから2024年には1億7,360万トンに減少した。比較的安定しているとはいえ、この減少は世界市場からの価格圧力および川下化政策の転換の影響を反映している。銅の生産量も160万トンから120万トンへと24%減少し、ガレナの生産量も23,500トンから22,200トンへと約5%の微減となった。
 なお、マイナス傾向の中、鉄鉱石はプラスを記録し、生産量は2023年の111万トンから2024年には119万トンに増加した。
 この生産量全般の減少は、鉱業部門の政策の不確実性、世界的な価格圧力、川下化への転換に至るまで、依然として大きな課題に直面していることを示すものである。

 

 

パーム油産業がバリューチェーン向上のため9億1600万ドルの投資を記録(4月30日)

 投資省によると、インドネシアは2025年第1四半期にパーム油加工産業に対して約15兆2,600億ルピアの投資が実施されたことを発表した。これは、インドネシアがパーム油を高付加価値製品に加工するための新規投資である。なお、この数字は、ニッケル加工産業が2025年第1四半期に確保した47兆8,200億ルピアの約3分の1である。
 同省の2025年第1四半期のデータを見ると、インドネシアの農林産業セクターに出資する投資家の間では、パーム油が最も注目を集めている。次いで木材(11.79兆ルピア)、ゴム(3.08兆ルピア)である。また、投資家は、その他の農作物(ナツメグ、ココナッツ、カカオ、バイオ燃料の原料)に約9,900億ルピアを出資した。同省はこれらの投資国の詳細を明確にしていないが、投資国のひとつであるマレーシアは、インドネシアの川下産業に約4億ドルを投じており、そのうち約54.5%が農林産業セクターに向けられている。
 インドネシアは、原料を輸出するだけではなく、高価値製品として輸出できるよう、2010年から精製・製造業を国家規模で発展させている。この計画は現在、ニッケル加工産業に集中しているが、近年はインドネシアが豊富に産出するパーム油など、他の製品の川下産業の開発も本格化している。

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