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タイのビジネスニュース:2025年6月前半


SGP社が今年の売上高10%増を予測(6月2日)

 タイ第2位の液化石油ガス(LPG)販売業者であるSiam Gas and Petrochemical(SGP)社は、第1四半期の売上・利益は前年同期比で減少しているものの、最終的に収益状況は改善し、今年の売上高は10%増加すると予想している。
 LPGは、家庭では調理用などで使用されることが多い一方、企業では製造工程での加熱、乾燥、硬化など、さまざまな用途で必要とされている。同社のLPG販売量は、2024年に323万トンに達しており、LPG販売量全体の約75%は輸出(特に東南アジアと中国)であり、残りの25%は国内向けである。同社は、今年の海外事業の成長率を10~11%と推定しており、タイ国内の売上は9%増加すると予測している。
 今年第1四半期の同社の売上は、前年同期の234億バーツから16%減の197億バーツとなり、純利益は6億3,600万バーツから80%減の1億
2,500万バーツに急落した。これは、市場価格の下落に伴う、取引先からのLPG販売価格の引き下げ要請によるもので、売上・利益いずれも減少した。平均LPG価格も昨年の632米ドル/トンから2025年第1四半期には620米ドル/トンに下落している。
 今年の第1四半期のLPG輸入量は約3万トンとなったが、同社は、積載量の多い新造船を導入したことで、第2四半期以降は輸入が増加すると見込んでおり、さらに第3四半期以降の顧客からの購入前注文が堅調であることからも、今後の収益状況は改善が見込まれ、今年の売上高は前年比10%増加で推移すると予想している。

 

 

タイ国内のバイク販売台数が前年同月比で3.8%増(6月3日)

 タイ工業連盟(FTI)は、4月の国内バイク販売台数が前年同月比で3.8%増の131,950台に達し、低迷していたバイク販売動向が若干改善したと発表した。販売が増加した要因としては、新モデルの購入を検討する消費者に向けた販売促進キャンペーンの実施や魅力的な価格設定によるものである。
 タイ国内のバイク販売台数は、前年同月比では増加しているものの、前月3月の販売量と比較すると12.8%減少しており、タイ経済の景気低迷や高いローン拒否率が引き続き市場の大きな障害となっている。タイでは家計債務の高さから、銀行や金融機関が不良債権を恐れて、貸し出し条件を厳しくしており、消費者の購買力の弱さが経済活動に影響を及ぼしている。
 同連盟によると、4月のバイク輸出(完成車およびノックダウン車両)は、前年同月比16%増の61,223台となったが、前月3月比では33.4%減少している。この輸出減は、米国のトランプ大統領の関税政策の影響や世界的な経済減速への懸念の高まりが主な要因であるとみている。
 4月のバイク生産台数は前年同月比で17%増の189,547台となったが、1〜4月累計では前年比3.9%増の854,032台と微増にとどまった。
 FTIは、当初の年間生産目標を前年比0.1%増の210万台としていたが、現在の経済状況を踏まえ、今後この目標を下方修正することを検討している。

タイの経済成長率が今年後半に1%を下回ると予想(6月5日)

 商工銀行合同常任委員会(JSCCIB)は、タイの経済成長率予測を下方修正したと発表した。特に今年後半に1%を下回ると予想しており、
通年のGDP成長率も引き下げられる見込みである。
 JSCCIBは、今年の通年GDP成長率を従来の2~2.2%から1.5~2%に下方修正した。上半期は約3%の成長が予測されるものの、下半期には1%を下回る可能性があると懸念している。
 この大幅な減速の背景には、米国とタイ間の関税交渉の不確実性があり、この不確実性が、今年後半もタイの輸出と民間投資に重くのしかかると指摘されている。さらに、中国からの輸入が増加していることも懸念材料の一つであり、タイ国内のビジネスや雇用に広範な悪影響を及ぼす可能性が高いとされている。
 これらの要因により、今年の輸出予測も0.3~0.9%の増加から0.3~0.5%の減少へと下方修正された。JSCCIBは、数字上の輸出額が堅調に見えても、それは国内調達率の低い迂回輸出や再輸出によるものであり、それに伴う輸入量の増加が本来期待される国内生産、消費、民間投資の増加につながっていないと指摘している。
 さらに同委員会は、バーツの急激な高騰についても懸念している。バーツは過去1ヶ月で1米ドルあたり32.5~32.7バーツまで高騰しており、これは、ベトナムドン、シンガポールドル、中国元といった周辺地域の通貨を上回る上昇で、輸出競争力への影響が懸念されている。
 関税をめぐる不確実性が高まった結果、タイ国内の民間投資と消費が減少している。これにより、融資需要が鈍化している状況で、その結果として、銀行などの金融機関は、融資拡大に対してより慎重な姿勢を取るようになり、融資先の見極めに重点を置くようになっているとJSCCIBは分析している。

 

 

タイ工業連盟が製造業の減速に危機感(6月7日)

 タイ工業連盟(FTI)は、米国との間で交渉している相互関税の引き下げが実現しなければ、タイの輸出が大幅に落ち込み、それにより下半期の製造業が減速する可能性があると警告している。
 米国は、タイの対米貿易黒字が緩和されなければ、(90日間の猶予期間終了後の)7月8日にタイ製品に対する36%の輸入関税を発効する予定である。これに対して、FTI会長は、現在90日間の猶予期間中は、タイの輸出業者への発注量が増加しているものの、この猶予期間が終了し関税が課されれば、その需要が急落する可能性があると指摘している。
 今年1月から4月までの輸出部門は、貿易相手国が在庫を積み増ししたことで前年比14%増加し、タイの製造業の業績を0.6%押し上げていた。
 しかし、FTI会長は、相互関税の猶予期間が終了し、最終的にタイ製品に高額な関税が課されれば、輸出部門や製造業の競争力に広範な影響を与えると懸念している。実際に、商工銀行合同常任委員会(JSCCIB)も、今年の輸出予測を0.3~0.9%の増加から0.3~0.5%の減少へと下方修正している。
 この関税問題は、特に国内の中小企業に影響を与え始めており、既に一部の中小企業は資金繰りに苦戦し、人員削減や事業閉鎖に追い込まれたケースも発生している。FTIは、今後、国内メーカーが生産調整の為に雇用を削減する動きが加速すると予測しており、タイ経済全体への影響が懸念される。

EECへの外国投資が急増(6月10日)

 2025年第1四半期の東部経済回廊(EEC)への外国人投資家数が、前年比40%増の108社となった。タイ政府は、電気自動車やクリーンエネルギーといった次世代産業への投資を積極的に促進し、国の競争力強化を目指している。この投資促進のため、政府は投資支援の申請手続きに関する関連法規制の簡素化や官僚的な煩雑な手続きの削減を進めている。
 この4ヶ月間にEECに投資した外国人は、同時期にタイ全体に投資をした外国人投資家総数の30%を占めている。その投資額は313億バーツであり、これはタイへの外国投資全体の54%に相当する。その内訳は、日本が32社で投資額は約100億バーツ、中国が25社で38億6,000万
バーツ、シンガポールが10社で59億3,000万バーツ、その他の国が41社で投資額は合計115億バーツとなっている。
 また、1999年の外国人事業法に基づきタイに投資した外国人数は、第一四半期で前年比43%増の363社となった。投資額は5%増の578億
バーツである。
 この法律を適用して投資している上位5カ国には日本も含まれており、日本からの投資家は合計71社、投資総額は172億バーツである。なお、日本からの投資の大部分は、複数の産業における部品調達に関するものである。一方、米国からの投資家は51社で、総投資額は24億8,000万
バーツであり、投資の大部分を小売業とデータセンター業が占めている。

Gulf Development社が新たな投資に慎重姿勢(6月12日)

 時価総額でタイ最大のエネルギー会社であり通信事業者でもあるGulf Development社は、世界的な経済と政治の不確実性を回避するため、
今年の新規投資に慎重な姿勢を示している。
 同社は、世界各地で続く地政学的な紛争や主要経済国間の貿易戦争が、エネルギー分野のビジネスに影響を及ぼし、消費者の購買力を低下させ、最終的に電力需要にも影響を与える可能性があるとの見解を持っている。このため、米国を含む新たなエネルギー資産の買収は計画していないが、投資収益率を慎重に検討するため、実現可能性調査は継続していく方針である。
 同社にとって今年の経営環境は厳しいとしながらも、業績については依然として楽観的な見方を示しており、2025年には収益が25%増加すると見込んでいる。この成長の要因として、タイの発電事業からの収益(特にHin Kong発電所の2基目の770メガワット発電機)、再生可能エネルギーの拡大(バッテリーエネルギー貯蔵システムを備えた600MWの太陽光発電所や直接電力購入契約に基づく110MWの屋上ソーラーパネルからの収益)、インフラ投資(バンヤイ・カンチャナブリ高速道路建設への投資)、通信事業への投資(アドバンスド・インフォ・サービスの親会社であるインタッチ・ホールディング社の株式購入からの収益)に起因するとしている。

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