ベトナムのビジネスニュース:2025年6月前半 | ビジネスニュース | グローバル マーケティング ラボは各国の情勢コラムを紹介しております。

海外市場調査のグローバル マーケティング ラボ
お電話でのお問い合わせはこちら
03-6459-0162

お問い合わせ

各国情勢コラム
Column

ベトナムのビジネスニュース:2025年6月前半


キムロンモーターがベトナム製電動バスを韓国に初出荷(6月2日)

 ベトナムの電動バスメーカーのキムロンモーターは、韓国で観光・通学バスの運行を行うモビリティ企業ダオンモビリティに向けて、初の電動バス「KimLong N23-EV」の引き渡しを行った。これは年間200台を供給する契約の第一弾である。
 同車両は全長7.5m、最大22名乗車可能な中型サイズで、都市部や学校、住宅街での運行に最適化された設計を持つ。車両には、アメリカの先端技術を活用したDongfeng Dana社製アクスルを採用し、EBS、AEBS、ESCなどの高度な安全システムも標準装備されている。
 同車両には韓国のSK社製のリチウムポリマーバッテリー(170kW)を搭載しており、1回の充電で最大310kmの走行を可能とする。これにより、運行コストの削減と環境負荷の低減に貢献する。
 電動バス『KimLong N23-EV』は今後、ソウル、仁川、釜山など主要都市での運行が予定されており、ベトナム発のグリーン輸送ソリューションとして国際市場での展開が期待されている。

 

 

TKVが発電向け石炭供給を拡大、生産・収益も増加(6月2日)

 ベトナムの国有企業であるベトナム石炭・鉱産グループ(TKV)は、2024年5月までの累計で石炭2,224万トンを供給、そのうち1,921万トンを発電部門に供給したと発表した。5月の石炭採掘量は338万トンで、5か月累計での採掘量は1,765万トン(前年同期比+2.8%)、石炭の輸入量は累計625万トン(同+19%)となった。
 また、アルミナの生産も高水準を維持しており、5月は13.1万トン、5か月累計で62.5万トン(同+2%)となった。精鉱銅は4.73万トン、銅板は1.389万トン(同+8%)を生産し、電力生産量も48.9億kWh(同+14%)と順調に推移している。
 これにより、TKVの5月の売上は約1兆6,340億ドン、5か月累計で約7兆7,880億ドンとなり、国家予算への納付額も1.23兆ドン(同+7%)と前年同期を上回った。
 6月以降、雨季の影響により生産活動や電力需要の低下が懸念されるが、TKVは生産体制の維持や防災対策に注力し、2025年上半期に石炭の生産量2,084万トン、供給量2,729万トンの達成を目指すとしている。また、アルミナ生産75万トン、銅精鉱5.604万トン、電力59.1億kWhの供給を計画しており、6月の売上は約1兆6,690億ドン、6か月累計で約9兆4,570億ドンを見込んでいる。

 

 

VIETRISAが「グリーン米」ブランド構築を推進、日本への初輸出も実現(6月4日)

 ベトナム食糧協会(VIETRISA)と米加工企業のTrung An社は、6月3日に「グリーン米」の初出荷を日本に向けて実施したことを発表した。ベトナムでは、持続可能な生産と低炭素農法を通じて、「グリーン米(低排出米)」ブランドの構築を進めている。
 農業農村開発省傘下の作物保護局は、国際稲研究所(IRRI)などの機関と連携し、「RiceMoRe」というデータ可視化・排出管理システムを構築した。このシステムは、農家から国家レベルまでの生産・排出データを統合し、ブランド認証や国際基準への対応を支援する。
 現在、カントー、ソクチャン、ドンタップ、キエンザン、チャビンの5省では、AWD(間断かんがい)を活用した低炭素排出型稲作モデルが3作分実施されている。AWDは水使用量を減らしつつ、メタン排出量を最大60%削減できるとされている。
 VIETRISAは、2025年までに「グリーン米・低排出米」のラベル基準を完成させ、2028年にはカーボンクレジットとしての国際販売を目指す方針である。2024年には高品質・低炭素排出型稲作の技術指針も策定し、これに従う企業には認証を与えている。すでに7社が合計1万9,200トンの米で認証を取得しており、そのうちTrung An社は日本のMURASEグループと連携し、「グリーン米」ブランドで初の輸出を実現した。
 また、ビンフック省では1000ヘクタール規模でAWD農法の実証が進められており、農家からは病害虫の減少やコスト削減効果が報告されている。カント―省の農業協同組合は、1ヘクタールあたり8.6〜9トンの高収量と、肥料・水コストの削減を実現している。

ユニリーバが官民連携で循環型経済の構築を推進(6月5日)

 ユニリーバ・ベトナムは、ベトナムの持続可能な社会への貢献を目指し、プラスチック廃棄物の回収・再生における取り組みを進めている。同社は、農業・環境省(旧天然資源・環境省)、プラスチック製品メーカーのDuy Tan社などと連携し、官民連携(PPC)モデル確立することで、国内の循環型経済への移行を推進している。
 このPPCモデルは2020年に始動して以降、様々な成果を挙げており、2024年までに回収・リサイクルされたプラスチック廃棄物は約25,000トンに達し、当初の目標を大幅に上回った。また、ユニリーバは、市場に投入した包装材と同等量のプラスチック廃棄物を回収する目標を掲げており、Comfort、Sunlight、Cif、Lifebuoyといった主要製品のパッケージには100%再生プラスチック(PCR)を使用している。
 同モデルにおいて、Duy Tan社はリサイクル工程を担い、ホーチミン市、ビンズオン省、ドンナイ省、ロンアン省に回収拠点を設置している。さらに、収集作業員に対し分別や安全に関する訓練を実施することで、作業環境の改善と安定した収入の確保にも寄与している。
 農業・環境省は、環境保護法2020および政令45/2022に基づき、政策立案・法的枠組みの整備・モデルの全国展開支援を行っており、制度の透明性と拡張性を高めている。この官民連携の取組は、「ごみ処理」という従来の考え方を「再生資源の活用」へと転換させるものであり、回収されたプラスチックをPCRパッケージとして再利用することを通じて、CO2排出削減と資源保護の両面で環境負荷の低減を実現している。
 また、PPCモデルは環境面だけでなく、社会的インパクトも生み出しており、女性や障がい者、低所得層を中心とした数百人の作業者が「グリーン労働者」として訓練を受け、新たな雇用・収入機会を得ており、循環型バリューチェーンの一翼を担っている。
 ユニリーバは、これを拡大するべく、2027年までに30,000トンのプラスチック回収を目標に掲げ、回収ネットワークの全国展開を計画中である。これにより、2030年までに海洋プラスチックごみを75%削減するという国家目標への貢献を目指すとしている。

 

 

農業・環境省が2025年1〜5月のベトナム米輸出額は23.4億ドルに達すると発表(6月6日)

 ベトナム農業・環境省によると、2025年1月から5月にかけて、米の輸出量は450万トン(前年比+12.2%)に達し、輸出額は23.4億ドル(前年比+8.9%)となった。平均輸出価格は1トンあたり516.4ドル(前年比-18.7%)と大きく下落している。
 今年5か月間のベトナム米市場の動向は次の通りである。ベトナム米の輸出先は、フィリピンが依然として最大市場(全体の41.4%)であるが、同国への輸出額は前年同期比で21.8%減少した。フィリピンに次ぐ輸出先はコートジボワール(11.9%)と中国(10.3%)であり、特に中国向けの輸出量は前年同期比114%増(36.2万トン)と大幅に増加した。なお、中国への主な輸出品はST25米ともち米である。ベトナム米の主な輸出先は15か国あるが、このうち輸出額が前年比で最も増加したのがバングラデシュであり、515.6倍と急増した。
 ベトナム食糧協会(VFA)は、中国市場は地理的利点や文化的親和性があり重要市場であると指摘している。一方、同市場は、従来と比較して米の品質基準が引き上げられており、高品質品種(ST24・ST25)に対しても包装や品質基準が厳格化し、同品種を販売するタイやカンボジアとの競争が激化している。
 ベトナム米の中国市場へのさらなる浸透のため、農業・環境省は企業に対し、ベトナム米ブランドの構築、品質管理、商取引ルールの順守を求めている。

VinFastがグローバルEV生産拠点の構築に向け、現地サプライヤーとの連携を強化(6月9日)

 ベトナムの電気自動車メーカーVinFast社は、6月9日に国内サプライヤー向け会議を開催し、現地調達率の引き上げとサプライチェーン拡大を目指して協力を呼びかけた。
 同社は、2027年までに年間50万台以上、2030年には100万台規模のEV生産を計画している。これに伴い工場の新設も予定しており、ハティン省の新工場が6月30日に開設予定である他、インド工場(2025年第3四半期)とインドネシア工場(2025年末〜2026年初頭)の開設が予定されている。
 また、部品調達に関しては、2026年までに現地調達率を80%にすることを目指しており、この達成に向けて同社は、国内企業に対する支援を実施することで国内サプライチェーンの拡大を図るとしている。サプライヤー支援策として、同社はハイフォンとハティンにある2つの自動車製造複合施設に工場を建設するパートナーに対し、初期3年間は土地賃料を50%減額、次の5年間は20%減額するとしており、さらに生産品の購入保証も提供するとしている。また、国内企業と海外パートナーの技術移転・連携も積極的に支援することで国際競争力の向上を促すとしている。
 これに対して、現地部品企業など裾野産業企業は同社との戦略的な協力モデルに期待しており、同社が実施した土地賃貸支援や購入保障などの支援は、生産品質や規模を向上させる好機であると評価している。

 

 

国会が特別消費税法を可決、課税対象製品を拡大(6月14日)

 ベトナム国会は、2026年から施行される改正特別消費税法を可決した。本改正では、新たにガソリン、24,000〜90,000Btu(British thermal unit)のエアコン、糖分入り飲料などが課税対象に追加された。詳細は以下の通りである。
・ガソリン:通常ガソリン10%、E5は8%、E10は7%の税率。
・エアコン(24,000~90,000BTU):税率10%(車両搭載用を除く)。
・糖分入り飲料(糖分5g/100ml以上):2027年から8%、2028年から10%の税率。
従来の対象商品であるたばこ・酒類・ビールについては、2026年から2031年にかけて段階的に税率が引き上げられる。例として、たばこ1箱あたりの絶対額課税が導入され、2027年に2,000ドン、2031年には10,000ドンへと上昇する予定である。さらに、24席未満の自動車・大型バイク・遊覧船・個人用航空機も特別消費税の対象となる。
なお、社会経済の状況に応じて課税対象の見直しが必要とされる場合、政府は国会常務委員会に提案し、次回の国会で報告することが規定されている。

一覧へ戻る

Pagetop
調査のご依頼やご質問はお気軽にお問い合わせください。
03-6459-0162
受付:平日9:00~17:30