ベトナムのビジネスニュース:2025年6月後半 | ビジネスニュース | グローバル マーケティング ラボは各国の情勢コラムを紹介しております。

海外市場調査のグローバル マーケティング ラボ
お電話でのお問い合わせはこちら
03-6459-0162

お問い合わせ

各国情勢コラム
Column

ベトナムのビジネスニュース:2025年6月後半


建設省が鉄道開発への優遇・政策支援を規定する鉄道法改正案を提出(6月16日)

 ベトナム建設省は国会に鉄道法改正案を提出し、鉄道運営の基本原則を円滑かつ安全で効率的な交通確保と経済発展への貢献であると明示した。
 この法案には、鉄道開発に対する国家の優遇・支援政策が規定されており、国鉄・地方鉄道インフラ、鉄道産業、人材育成への予算配分を優先し、さらに用地補償や再定住支援のために地方資源を動員する支援措置が盛り込まれている。
 また、国内外の資本による鉄道インフラ・輸送事業への投資、他輸送手段との連携、産業発展、科学技術研究、人材育成などを奨励・支援・保護すると表明した。鉄道建設の投資主体としては、国有鉄道は建設部と企業、地方鉄道は省人民委員会と企業、専門鉄道は企業が担うとされており、共有プロジェクトでは、建設管理機関が投資家を指定する。
 同法案のもう一つの注目点は、公共交通指向型都市開発(TOD)制度の導入である。この制度により、省人民委員会はTOD計画区域を策定・承認を担い、省人民評議会は地方予算を用いて補償や移住支援を実施し、競売用地基金を創設することが可能となる。TOD区域の土地開発収入は、国有鉄道の場合、地方と中央がそれぞれ50%を留保し、地方鉄道の場合は地方が100%を留保できる。例えば、地方鉄道駅周辺の土地開発収益(オークション収入)は、地方自治体が最大100%を保持できるため、不動産開発、都市交通、インフラ投資などの分野で外国企業にとって大きな投資機会になると期待される。
 このTOD制度については、土地資金活用による鉄道資源創出という点では多くの賛同が得られているものの、財政リスクと計画乱用を防ぐため、厳格な管理体制も求められている。具体的には、計画変更に関する地方の権限制限、インフラ整備基準の明確化、独立監査制度の導入などが課題として挙げられている。

ベトジェットがロールス・ロイス製「トレント7000」エンジンを追加発注(6月17日)

 ベトナムの航空会社ベトジェット(Vietjet)社は、英国ロールスロイス社との間で、エアバスA330neo型機20機に搭載予定のTrent7000エンジン40基を追加発注する契約を締結したと発表した。これは、2024年シンガポール航空ショーで発表された契約の延長であり、今年5月にエアバスから正式に発表されたものである。今回の契約により、ベトジェットによる同エンジンの発注総数は80基に達した。
 さらに、ベトジェットはロールス・ロイスの包括的なエンジンメンテナンスサービス「TotalCare」の継続導入も決定した。「TotalCare」は、エンジンの運航状況をリアルタイムで監視し、保守コストを使用状況に応じて最適化するサービスである。これにより、航空機の稼働率向上、整備コスト削減、安定した運航体制の構築に貢献している。
 ロールス・ロイス社のTrent7000は、A330neo専用に設計された最新エンジンで、燃費効率、静音性、耐久性の面で大幅な向上がなされており、これまでに累積300万飛行時間を超える実績を誇る。今回の同社の追加発注は前契約から1年以内に実施しているものであり、これにより同社は、ヨーロッパ、北アジア、北米といった遠隔地市場への展開を視野に入れた国際事業の拡大に強い意欲を示している。

 

 

ユニリーバ・ベトナムが約3兆ドンを投じ工場拡張(6月18日)

 ユニリーバ・ベトナムは、ホーチミン市クチ北西工業団地の工場拡張に約3兆ベトナムドンを投資する計画を発表した。このプロジェクトでは、歯磨き粉の主要原料である液状ソルビトールの生産ラインを新設し、年間1万4,000トンの生産を目指す。
 今回の工場拡張により、同社は原材料の現地調達率を高め、サプライチェーンの強靭化を図る考えである。これまではソルビトールは海外からの輸入に依存していたが、国内での自社生産に切り替えることで、グローバルサプライチェーンの混乱リスクを軽減し、運営の柔軟性、コスト最適化、品質安定性の確保を目指す。
 同社は既に環境影響評価(EIA)を提出済みであり、廃水・排ガス処理に厳格な基準を適用し、周辺環境および地域社会への影響を考慮すると表明している。同社は近年、排出量削減、再生可能エネルギーの利用、循環型経済の推進、環境保護といったコミットメントを通じ、持続可能な開発目標の達成に積極的に貢献しており、クチとバクニン両工場ともにネットゼロ基準を達成している。
 今回の投資は、原材料の現地調達率向上、裾野産業の発展への貢献、そして国内生産能力の向上を目指すユニリーバの長期戦略の一環で、これは、ベトナム政府が掲げる「基幹産業の強化」と「素材の内製化」方針に合致するものである。クチ工場の拡張プロジェクトは外国直接投資(FDI)が加工業から高付加価値製造業へシフトする動きを象徴する事例とされ、ベトナム政府が積極的に推進する持続可能な開発に伴う工業化・近代化を牽引する存在となることが期待されている。

PV GASが国内ガス産業の主導的地位維持と国際展開を推進(6月18日)

 ベトナムガス総公社(PV GAS)は、党大会にて今後の発展戦略を発表し、国内ガスエネルギー業界における主導的地位を引き続き維持・強化する方針を明らかにした。
 2020年から2025年の期間において、PV GASは国家石油会社Petrovietnamの中核企業として、電力出力7〜15%、全国の窒素肥料需要の70%、LPG卸売市場の70%、パイプラインおよび圧縮天然ガス(CNG)の100%を供給し、国家のエネルギー・食料の安全保障に大きく貢献してきた。
 同期間の業績として、売上高は449.2兆ドン(Petrovietnam全体の約15%)となり、税引前利益は64.5兆ドン(同社全体の20%以上)、国家予算への納税額は31.4兆ドン(同5%近く)であった。
 また、同社はティーヴァイLNGターミナル(ベトナム最大規模の液化天然ガス輸入基地)の本格稼働を通じて、国内のガス産業インフラを整備しつつ、将来的なLNGハブ構築に向けた基盤を築いている。今後は、国内市場に加え、国際市場への事業展開も視野に入れ、天然ガス、低圧ガス、CNGにおける市場シェア100%、LPG・LNGにおいてもシェア65~70%を目指す。
 さらに、同社は東南アジア地域における「Fortune Southeast Asia 500」のトップ100社入りを目標に掲げ、年間平均8~10%の売上成長、15~20%の資本利益率(ROE)を目指すとしている。

 

 

Central Retailがベトナム市場拡大を目指し14億ドル超を投資(6月26日)

 タイの大手流通企業セントラル・グループ傘下の小売企業であるセントラル・リテールは、2027年までにベトナムでの事業拡大に約1.38〜1.44億ドル追加投資すると発表した。これはタイ市場での消費低迷を受け、成長市場であるベトナムに注力する戦略の一環である。
 今回の発表によると、セントラル・リテールは2027年までに450億〜470億バーツ(約13億8,000万〜14億4,000万米ドル)を投じ、ベトナムでの店舗網を大幅に拡大する計画である。具体的には、Go!ショッピングセンターを4〜6店舗、Mini go!を12〜15店舗増設する予定である。なお現在、セントラル・リテールはベトナム国内で42のGo!ショッピングセンターと13のMini go!を運営している。各Go!の平均床面積は4,500㎡、取扱商品の約70%が食品関連である。Mini go!は中小都市向けに1,700㎡程度の売り場で日用品などの非食品を中心に展開されている。
 2025年第1四半期において、ベトナムはセントラル・リテール全体の収益の22%を占めた。同時期におけるタイでの収益は全体の73%を占めているが、タイ経済は低迷中で、国内購買力の低下という困難な状況に直面していることもあり、ベトナム市場への投資は、安定した消費成長が続くベトナム市場への長期的なコミットメントを示すものであり、地域内での事業ポートフォリオの最適化とリスク分散の観点からも注目されている。

ベトナム農産物輸出が14%超の成長、2025年の輸出目標達成に向け加速(6月30日)

 ベトナム農業環境省によると、2025年上半期(1〜6月)における農林水産物の輸出入総額は約570億米ドルに達すると見込まれている。このうち輸出額は335億米ドルで、前年同期比で14.3%増加する予測である。輸入額も235億米ドルで、12.8%の増加が見込まれる。
 輸出品目別では、農産物の輸出額が183億米ドル(+16.8%)と最も大きく、次いで林産物が87億米ドル(前年同期比+8.8%)、水産物が50億米ドル(同+14.5%)、畜産物が2億6,400万米ドル(同+10.1%)となる見込みである。
 特に、コーヒー、ゴム、胡椒、カシューナッツ、畜産物、水産物、木材・木製品といった9つの主要品目が引き続き増加傾向を維持している一方で、米(26億ドル、前年同期比-9.8%)と果物・野菜(27億ドル、同-17.1%)については前年同期を下回る結果となった。
 こうした中で同省は、2025年の年間輸出目標である650億ドル達成に向け、従来の主力市場の安定化に加え、新たな潜在市場の開拓や輸出市場の多様化を積極的に進める方針である。
 具体的には、安定したサプライチェーンの維持、優位性のある産業の発展、税優遇措置の最大限活用、米国市場との貿易不均衡の是正に注力する。また、第三四半期前半のあらゆる輸出拡大機会を捉え、年末までの輸出額最大化を目指すとしている。

一覧へ戻る

Pagetop
調査のご依頼やご質問はお気軽にお問い合わせください。
03-6459-0162
受付:平日9:00~17:30