インドネシアのビジネスニュース:2025年6月前半

PLN社が2034年までに再生可能エネルギーの割合を34.3%に拡大(6月2日)
国営電力企業であるPLN社は、2025年~2034年電力供給計画(RUPTL)の実施を通じて、国内エネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合の目標を34.3%に設定していることを発表した。
RUPTL 2025年~2034年の文書では、再生可能エネルギーの割合は2025年の15.9%から徐々に増加し、2030年には21%となる。その後、急激な増加が始まり、2031年には26.1%、2032年には29%、2033年に32.5%、2034年には34.3%に達すると予測している。この数値は、2025年~2060年の国家電力計画(RUKN)で設定された目標である29.4%を上回るものとなっている。同社によると、新たなRUPTLはエネルギー転換の促進し、同時に石炭への依存度を低下させるために策定されたという。
また、2025~2034年のRUPTLでは、発電容量の追加目標として69.5ギガワット(GW)が設定されており、このうち61%に相当する42.6GWは再生可能エネルギー発電所からのものである。一方、10.3GW(15%)は蓄電池システム(ストレージ)に割り当てられ、残りの16.6GW(24%)は化石燃料由来で、そのうちガスが10.3GW、石炭が6.3GWを想定している。
Kalbe Farma社とGE HealthCare社がインドネシア初のCTスキャン工場を設立(6月2日)
製薬および健康サービスメーカーKalbe Farma社は、子会社のForsta Kalmedic Global社を通じて、米国の医療機器や医薬品のメーカーであるGE HealthCare社と正式に提携し、インドネシアおよび東南アジア初のCTスキャン装置製造施設を設立したことを発表した。これにより、輸入医療機器への依存を減らし、国内独自の医療技術エコシステムの構築が期待されている。
保健省のデータによると、現在インドネシアの医療機器は54.4%まで輸入に頼っており、そのなかでもCTスキャン装置は100%海外から輸入し、その金額は約6,825億ルピアである。
CTスキャン装置はPET診断装置と人工呼吸器と共に、国内開発の優先事項となる3つの高度医療機器の一つである。2025年から2027年までの期間におけるCTスキャン装置の国内需要は、約360台と推定されており、これには64列マルチスライス、128列マルチスライスなど、さまざまな仕様が含まれている。今後、生産されたCTスキャン装置は、全国の病院の容量とニーズに応じて割り当てられる。
同施設は、西ジャワ州ボゴール市のForsta Kalmedic Global社の工場内に位置しており、GE HealthCare社の要件に準拠した国際的な品質基準を満たしている。初期段階では、1週間に1台のCTスキャン装置を製造することが可能と見込まれている。なお、放射線を含むため、原子力安全委員会(BAPETEN)が製造プロセス全体を監督する。
ホスピタリティ業界に進出、Daewoong社がバリのリゾートを買収(6月4日)
韓国の医療サービス企業であるDaewoong Groupは、子会社のDaewoong Bio Indonesia社を通じて、バリ島クタに立地するリゾートAlam Kulkul Boutique Resort Kutaの所有者兼運営会社であるWietasha Putrindowisata社(WPW)を買収したと発表した。この買収は、同社のホスピタリティとウェルネス分野への進出を示しており、バリを東南アジアにおけるビジネス、健康、文化の新たな拠点とする試みである。
同社の社長によると、買収後の計画の一環として、同社がこのリゾートをシンポジウムとウェルネスに焦点を当てたホスピタリティの目的地へと変革すると述べた。計画されている開発には、ビジネス出張や健康リトリートなど、多様な用途に対応した多目的シンポジウムホールの建設が含まれる。
また、同社は、この戦略的拡大はインドネシアの医療分野で築いた基盤によって可能になったと加えた。2005年に市場参入以来、同社は技術移転、施設整備、専門家の育成を通じてインドネシアにおいて存在感を確立してきた。現在、同社はインドネシアで5つの子会社と4つの研究所を運営しており、1,000人を超える現地の専門人材を育成してきた。
インドネシアとEUのCEPA協定が締結され、市場アクセス拡大への道が開かれる(6月8日)
経済担当調整大臣によると、インドネシアと欧州連合(EU)は、市場アクセスの拡大と二国間の経済協力の深化を目指す画期的な貿易協定である包括的経済連携協定(CEPA)の最終交渉を完了したことを発表した。
同協定は欧州市場へのアクセスを改善し、主要な貿易障壁を撤廃することで、インドネシアの国際競争力を大幅に高めることが期待されている。インドネシア政府は、EUへの輸出が今後3~4年間で50%以上増加すると予測している。また、同協定は、ヨーロッパからの戦略的投資誘致の起爆剤となり、インドネシアの法的環境とビジネス環境に対する国際的な信頼を強化するものである。
協定の主なメリットのひとつは、輸入関税の大幅撤廃で、実施から1~2年以内に、インドネシアの対EU輸出品の80%が関税ゼロとなる。また、パーム油、水産物、再生可能エネルギー、電気自動車などとともに、履物、繊維、衣料品などの労働集約型産業に関しても優遇措置を受けることが期待されている。また、インドネシアは、水産物輸出の公正な待遇を求め、タイやフィリピンなど他の東南アジア諸国に適用されている政策と整合させるようEUに要請した。これに対し、EUはインドネシアの水産物に公平な競争条件を提供することに同意したという。
なお、EUはインドネシアにとって第5位の貿易相手国であり、2024年の二国間貿易額は301億ドルである。また、インドネシアは昨年、EUとの貿易で45億ドルの黒字となっている。
タンゲラン市は韓国のArasoft社と提携し、文書の電子書籍化のプロジェクトを開始(6月10日)
インドネシアの都市圏に含まれているバンテン州のタンゲラン市は、韓国のIT企業であるArasoft社と、文書の電子書籍化に関する覚書(MoU)を正式に締結したと発表した。今回の提携は、タンゲラン市のデジタル化に対する積極的な姿勢を示しており、地方自治体レベルでこの技術を全面的に採用するのはインドネシア初の取り組みである。
同提携を通じて、地方条例、公的報告書、教育資料、公共サービスコンテンツなど、様々な行政文書がインタラクティブ電子書籍に変換される。これらの文書は、デジタル著作権管理(digital rights management/DRM)機能のサポートにより、オリジナル性とセキュリティを保証しつつ、多様なデバイスかつ、オフラインでもアクセス可能となる。
Arasoft社が構築するシステムは、コンテンツ変換ツール、暗号化配信用パイプライン、テキスト読み上げ機能、すべての層を対象としたインクルーシブなレスポンシブデザインへの対応が搭載される。
タンゲラン市におけるコンテンツの電子書籍化の第一段階は、2025年末までに開始される予定であり、今後は他の地域における行政管理の電子書籍化の全国的なケーススタディとなることが期待されている。
付加価値製品輸出の拡大に向け、産業省が海藻の川下化を推進(6月11日)
工業省によると、政府は現在、カラギーナンやアガーなど付加価値の高い製品の輸出を増加させるため、海藻製品の川下展開を推進している。
国内の海藻産業の輸出は、原料や半加工品として使用される乾燥海藻が主流であり、まだ多くの付加価値を生み出していない。一方で、海藻産業の川下化による製品の多様化は、2030年までに118億米ドル(約119兆5,000億ルピア)の市場ポテンシャルを有すると予測されている。その市場ポテンシャルの実現に向けて、同省は海藻加工産業とユーザー産業との協力関係を促進し、当該セクター向けの機械または設備の更新プログラムを準備している。
今後、海藻の多様化はバイオスティミュラント、海藻を原料としたプラスチック、ニュートラシューティカルズ、代替タンパク質など、付加価値の高い分野向けの派生製品の開発に焦点を当てる方針である。
過去10年間、インドネシアは乾燥海藻の輸出において、家庭消費用および工業用原料の両面で依然として国際市場において圧倒的なシェアを占め、中国に次ぎ第2である。しかし、その製品の輸出販売は著しい成長を遂げておらず、原料形態が未だに66%を占め、加工品は33%に留まっている。