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インドネシアのビジネスニュース:2025年6月後半


QRISクロスボーダーが各国に拡大(6月15日)

 インドネシア銀行(BI)は、国境を越えたQRコード決済システム「QRISクロスボーダー」が8月17日から日本で利用可能になると発表した。
 QRISとは同行が2019年に導入した全国QRコード決済システムである。一方で、国をまたいで利用するQRISクロスボーダーは2022年8月から導入され、これにより、ユーザーは訪問国において対応するQRコードをスキャンするだけで決済が可能となり、改めて通貨を両替する必要がなくなった。現在はマレーシア、シンガポール、タイの3カ国で利用可能であり、直近では、サウジアラビアおよび中国の2カ国におけるトライアルが実施される。なお、日本におけるQRISのトライアルテストは5月から実施され、8月17日に使用が開始される予定である。
 同行によると、QRISクロスボーダーの認知度は年々高まっている。QRISクロスボーダーのインドネシアにおける外国人ユーザーの取引件数は、2025年4月時点において年間ベース(YoY)で241%増加しており、海外(パートナー国)におけるインドネシア人ユーザーの取引件数も前年比176%増加した。さらに詳細を見ると、インドネシアとマレーシア間のQRISは、総取引件数が前年同期比238%増と最大の伸びを示した。また、マレーシアからのインバウンドの取引額はシンガポールとタイの2カ国と比較して最大であった。
 今後は、韓国とインドにも拡大する予定である。韓国とは業界間協定の最終調整が進められており、インドとは技術的な話し合いの段階まで進展した。

工業省が企業による産業用ガスの直接輸入の可能性を認める(6月19日)

 工業省は、産業用ガスの需要の拡大と低価格化ニーズに対応するため、国内企業に対してガスの輸入の選択肢を設けた。
 産業用ガスの購入価格の低減は国内企業の課題である。そこで、政府は2020年に特定の産業部門に対して、より安価な天然ガス価格を設定する「特定天然ガス価格(HGBT)」政策を発表し、措置を講じたが、まだ業界関係者の期待通りではないという。多くの業界関係者は、HGBTガスの供給量の制限に不満を持っており、供給が不十分であることを訴えている。
 そのため、国内のガスの供給量が不十分な場合、同省は工業団地または工業団地の組合に対して産業用ガスの直接輸入の選択肢を設けた。しかし、産業用ガスの輸入にはインフラ整備など投資が不可欠であり、プロジェクトの実行には準備が必要である。また、エネルギーコストをHGBT価格以下に下げることのできる天然ガス契約を確保することは、困難であるという。
 現在、大統領令121/2020に基づいて、HGBT政策は肥料、石油化学、油脂化学、鉄鋼、セラミックス、ガラスと、ゴム手袋の7つの産業部門に適用され、合計253の特定天然ガスユーザーが使用している。なお、燃料としての天然ガスの価格は、100万英国熱量単位(mmBtu)あたり7米ドルに設定されており、原料用天然ガスの価格はmmBtu当たり6.5米ドルである。

 

 

インドネシアが原子力発電のためのウラン加工を規制へ(6月23日)

 エネルギー・鉱物資源(ESDM)省は、原子力発電所の開発の一環として、ウラン精製・加工を促進するための規制を準備していることを発表した。
 ウランは主に原子力発電所の燃料として使用されている。一方で、インドネシアが保有するウラン資源は西カリマンタン州で24,112トン、スマトラで31,567トンと推定されている。
 同規制は、安全上の懸念から厳しい監視を必要とする放射性物質採掘事業の認可を規定するものであり、国家研究革新庁(BRIN)、原子力規制庁(Bapeten)、エネルギー鉱物資源省など、複数の主要政府機関が中心となって策定している。
 2025年~2034年電力供給計画(RUPTL)によると、政府は今後10年間で69.5ギガワット(GW)の発電容量の増加を目指しており、そのうち500メガワット(MW)は原子力発電によるものである。発電容量はスマトラとカリマンタンで均等に分割され、それぞれの地域に250MWの施設が建設されると予定されている。

砂糖入り飲料への課税が2026年に延期(6月23日)

 財務省は、砂糖入り飲料への物品税の導入を2026年に延期したと発表した。同省は当初、砂糖の過剰摂取を抑制し、高まる健康懸念に対処するため、2025年7月に同税を導入する予定であったが、規制の準備が不十分であったため、延期を余儀なくされた。
 また、同省は2025年の物品税の目標額244兆ルピアの一部として、砂糖入り飲料の物品税から3.8兆ルピアの徴収を目指していたが、この延期により、予想される収入に不足が生じた為、同省は他の収入経路から徴収する予定である。
 砂糖入り飲料への課税は、砂糖の過剰摂取に起因する健康懸念に対処するためのものであり、同政策には高糖分製品を抑制するため、飲料の糖分レベルの基準値が設定されていた。しかし、同省によると、この政策は保健政策ではあるが、政策決定は常に経済状況を鑑みなければならないため、より広範な経済的優先事項と整合させる必要があるとしている。    

 

 

貿易省は国内産業成長促進の一環として、10品目の輸入規制を緩和(6月30日)

 貿易省は、経済競争力の強化および国内産業の支援を目的とした規制改革の第一段階として、10品目の輸入規制を緩和したと発表した。
 この規制緩和は、手続きの簡素化、コスト削減、成長促進を目的とした広範な経済改革の一環である。なお、対象となる10品目としては、林産物(工業用木材および原材料を含む)、肥料・燃料およびエネルギー材料、プラスチック原材料、特定の化学物質、真珠(宝飾品および関連産業用)、食品トレイ、履物(特に国内生産されていない運動靴)、自転車、食品添加物(サッカリン、シクラメート、アルコールベースのフレーバー製剤を含む)である。
 林産物の輸入緩和は、合法的で持続可能な産業用代替品を提供することで、国内の森林への圧力を軽減することを目的としている。また、肥料の輸入手続きの簡素化は、肥料のサプライチェーンにおける煩雑な手続きを削減することで、インドネシアの食糧自給プログラムの促進が目的である。
 燃料の品目では、国内産業がより競争力のあるエネルギー供給源を調達できるよう、規制緩和が進められている。また、特定の化学物質に関しては、インドネシア国内の化学産業が海外との競争に耐えられるだけの競争力を有するようになったことから、輸入制限が撤廃された。一方、真珠の輸入緩和の判断は、製造や輸出製品の原料として真珠を使用する地場産業を支援するためのものである。
 なお、衣類やアクセサリーを含む繊維とアパレルに関しては、輸入規制は緩和されなかった。これらの品目は、国内メーカーを保護するため、同省の政策改訂のもと、依然として規制の対象となっている。

オーストラリアへのハラール製品輸出の拡大に向け、貿易省がGAHCと締結(6月30日)

 貿易省は、インドネシアのハラール製品のオーストラリア市場への輸出を拡大するため、オーストラリアのハラール認証サービスを提供している企業グローバル・オーストラリア・ハラル認証(GAHC)社と協力関係を締結したと発表した。
 同協定は、インドネシアのハラール製品輸出拡大に向けたイニシアチブの設計と実施における最初のステップであり、今後はさまざまな協力措置を継続的に実施する予定である。
 具体的な協力内容としては、インドネシアの中小企業の製品を対象としたGAHC社による1,000件の無償のハラール認証、オンラインガイダンスやトレーニングプログラムの開催、オーストラリアの基準に沿った製品のキュレーション、ラベルおよびパッケージングの調整などがある。
 なお、2024年のオーストラリアのハラール製品輸入額は、81億3,000万米ドルであり、年間成長率は14.13%である。そのうち、インドネシアからの輸入額は6億3,450万米ドルであり、オーストラリア向けのハラール製品供給国として7位となった。

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