インドネシアのビジネスニュース:2025年7月前半

ニラマス社が日本のゼリーメーカーと提携、ハラール製品の輸出市場を狙う(7月2日)
食品・飲料メーカーのニラマス・ウタマ社は、子会社であるニラマス・パンダン・セジャフテラ社を通じて、日本の大手製菓メーカーたらみ、缶詰製品・水産物・加工食品メーカーである川商フーズと、ハラール商品の輸出市場を狙う戦略的パートナーシップを締結し、ハラール商品の委託製造を行うと発表した。
たらみは今回のニラマス・ウタマ社との提携を通じて、イスラム教徒の消費者に向けたハラール商品の生産体制を構築し、インドネシアを含む市場シェアの拡大を目指している。
ニラマス社は同社の東ジャワ州パンダアン工場敷地内に生産工場を建設し、初期投資として600億ルピアを投じ、たらみと川商フーズはそれぞれ150億ルピアを追加投資した。この生産システムは日本の長崎にあるたらみの工場と同様の品質を確保し、生産能力は1ラインに月産約300万カップを生産することができる。
なお、ハラール認証原料の調達は川商フーズが行うとする。
最初の輸出は130万米ドルの初期注文額で実施され、タイ、米国、マレーシア、シンガポール、香港、ベトナム、オーストラリア、フィリピン、イギリス、マカオの10カ国を輸出対象としている。現在は100%輸出向けで商品を生産したが、将来的にはインドネシア国内にも同様の商品を販売する予定である。
工業省が電動バイクの購入補助金として250億ルピアの予算を準備(7月2日)
工業省によると、国内の電動バイクの販売を促進するために、政府は再び電動バイクの購入補助金を支給すると発表した。予算としては約250億ルピアとされている。
同省は、電動バイクの販売が今年初めから鈍化しており、2025年第1四半期の販売水準が昨年に比べて20~30%程度に留まっていると指摘した。これに対応するため、政府は2023年から実施された補助金支給を今年も継続する方針である。以前は、電動バイクを購入する際に住民識別番号を提示すると、1台あたり700万ルピアの割引が受けられた。
今年の補助金の対象となるバイクの台数、および1台あたりの補助金額の詳細はまだ明かされていないが、昨年と同額の1台あたり700万ルピアの補助金を仮定すると、250億ルピアの予算で35,714台の電動バイクをカバーできる。
補助金の支給は2025年8月から開始される見込みである。
インドネシアの2025年5月までの総輸出額が246億1000万米ドルに達する見込み(7月3日)
貿易省によると、インドネシアの2025年5月の総輸出額が246億1,000万米ドルとなった。この数字は、2025年4月比(前月比)18.66%増、2024年5月比(前年比)9.68%増となっている。この増加は主に、主要製品である鉄鋼、貴金属、ニッケルの価格上昇と、パーム原油(CPO)輸出の需要増加により、非石油・ガスの輸出が20.07%増加したことによるものである。
非石油・ガスの輸出では製造業が84.07%と最も大きな割合を占め、次いで鉱業・その他部門(13.23%)、農業(2.70%)となった。なお、月次ベースでは、農産物は32.16%、製造業は23.89%増加したが、鉱業は1.14%の減少を示した。
中国、アメリカ、インドが、インドネシアの非石油・ガスの輸出の主要な3つの市場であり、その総額は98億1,000万米ドルとなった。これは国内非石油・ガスの輸出総額の41.75%を占めている。一方、輸出先国で月間最大の増加率を記録した国は、イタリア(78.50%増)、オーストラリア(54.53%増)、韓国(36.76%増)、オランダ(32.05%増)、およびアメリカ(31.48%増)である。
なお、インドネシアの2025年1月から5月までの累計輸出額は1,119億8,000万米ドルであり、前年同期比6.98%増加した。
国内の2025年上半期のセラミック生産量が16.5%増加(7月7日)
インドネシアセラミック協会(ASAKI)は、国内の平均稼働率の向上により、2025年上半期のセラミックの生産量が大幅に増加したと報告した。
同協会によると、2025年上半期のセラミックの平均稼働率が70%~71%に達しており、前年同期の60%の稼働率を上回っている。この稼働率の向上に伴い、国内のセラミックの生産量も増加している。2025年上半期のセラミックの生産総量は約2億1,800万㎡になったと推計しており、前年同期の1億8,700万㎡から3,100万㎡増加した。
このセラミックの稼働率および生産量の増加を牽引する要因としては、アンチダンピング関税の施行、インドネシア国家規格(SNI)の義務化、およびセーフガード関税の延長の3つあげられる。この3つの政策により、セラミックの輸入が減少し、これまで輸入品で賄われていた供給不足を国産品で補うこととなった。
なお、生産量の増加にもかかわらず、2025年上半期のセラミック需要は依然として低迷している。これは、購買力の低下、不動産市場の減速、政府プロジェクトの実施が十分でないことが要因として指摘されている。この状況により、生産量は向上しているものの、上半期の稼働率は同協会の目標である75%を下回っている。
海洋水産省は海洋水産製品の国内認証サービスを拡大(7月13日)
海洋水産省は、国産品の競争力を高めるため、海洋水産分野におけるインドネシア国家規格(SNI)の対象製品を207品目に拡大したと発表した。
同省によると、水産物の栄養価と安全性の確保、および国際市場における競争力を高めるために、同省は海洋水産製品に関するSNIの新規格を207件発行した。発行された207件の規格のうち、152件は水産物食品、残りの55件は非食品であり、製品の生産プロセスや品質管理の基準として活用される。
また、認証サービス強化の一環として、海洋水産製品規格の策定に関わる水産物・水産加工品試験・応用センター(BBP3KP)は、現在校正試験所の開発を進めている。この試験所は試験結果の追跡可能性を保証し、製品試験結果に対する信頼性を高める役割を果たす。
IEU-CEPAの締結によって欧州への家具の輸出が25%増加すると予測(7月14日)
インドネシア家具工芸協会(HIMKI)は、IEU-CEPA(インドネシアと欧州連合の包括的経済連携協定)の締結により、欧州市場への輸出の増加を予測している。
具体的にはIEU-CEPAによって、関税が撤廃または削減され、インドネシアの家具製品とベトナム、マレーシア、中国などの主要競合国との価格差が縮小される。これに伴い、同協会は最初の3年間で欧州への輸出が15~25%増加する可能性があると予測した。
これまで、国産家具は欧州地域において大きな関税障壁に直面している。その結果、現在までのインドネシアの家具・工芸品輸出の欧州市場への実績は、同部門の総輸出の約11%~13%にとどまっているという。
また、同協会は米国からの高関税リスクなど世界の地政学的状況の変化を踏まえ、今後欧州は中長期の輸出成長を支える新たな戦略的市場になるとしている。