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タイのビジネスニュース:2025年8月前半


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トランプ大統領がタイに19%の関税を設定(8月1日)

 米国は、タイとカンボジアからの輸入品に対して、関税を当初の36%から19%に引き下げることを発表した。
 これは、タイとカンボジアの国境衝突を終結させることを条件にしたトランプ大統領の警告を受けた措置である。停戦の仲介役を務めたマレーシアも同様に19%の関税とされた。なお、この水準は、東南アジアの隣国であるインドネシアやフィリピンが以前に設定した割合と同等で
ある。
 新税率は、トランプ大統領が発表した、「世界最低関税率の10%維持(従来の15%以上を下回る)」と同時に公表された。タイは米国製品の市場アクセス拡大のため、製品の90%に対して関税撤廃を約束した。また、他国で生産された製品の流通ルートの変更や、3年以内に460億ドルの貿易黒字を70%削減するための非関税措置も講じることを表明した。
 昨年、米国はタイ最大の商品輸出国となり、総出荷量の約18%を占めた。今回の米国の関税率引き下げは、貿易依存度の高いタイ経済をさらなる下振れから守る上で重要である。タイは東南アジアで、家計債務が最も高く、国内消費も低迷しており、経済成長は既に圧迫されている。

チュラロンコーン大学工学部がタイ初5.5Gのフィールドテストを開始(8月5日)

 チュラロンコーン大学工学部は、タイで初となる5.5Gのフィールドテストを開始したと発表した。これにより、リアルタイムナビゲーションシステムや工場の自動化、そして近い将来の6G開発への道が開かれると見込まれている。
 同大学と関係者は、昨年末から2025年9月まで実施されるサンドボックス規制における5G-Aスペクトル共同探査プロジェクトの一環として、このフィールドテストを共同で実施した。
 国立放送通信委員会(NBTC)は、同大学に対し、プロジェクトの実証段階で6GHz帯の高周波数帯域の使用を含む、新たなイノベーションと技術の実証試験のためのサンドボックス(期間や参加者などを限定し、新しい技術の実証を行うことができる環境)の設置を許可した。
 通信業界の事業者は、このプロジェクトで使用されている5.5Gネットワークを支持しており、中国のハイテク大手ファーウェイと、True 
CorporationやAdvanced Info Serviceなどの国内大手通信会社との提携を通じて、2025年末までに5.5G技術の正式な運用を開始する予定で
ある。この提携には、タイ政府の「タイランド4.0」政策に沿って、政府部門も関わっている。
 チュラロンコーン大学の5G-Aスペクトラム共同探査プロジェクトの試験では、屋外利用で5G技術の10倍となる最大10Gbps、屋内利用では
最大1Gbpsの下りデータ伝送が可能であることが実証され、5.5Gが最大100Gbpsのピークダウンロード速度を実現できるとしている。これに
より拡張現実(AR)/仮想現実(VR)、ゲーム、遠隔手術などのリアルタイムタスクへの応用が期待されている。
 通信標準化団体である3rd Generation Partnership Project (3GPP)が今年、5.5G規格の初版を公開して以来、世界では、中国や香港を
含む60以上のネットワークプロバイダーがサービスの提供を開始している。

関税により2026年の輸出が2,750億バーツ減少(8月6日)

 タイ商工会議所大学(UTCC)によると、米国の19%相互関税により、タイの来年の輸出は約2,750億バーツ、GDPは1.48%減少することになるとの予測を発表した。
 米国の19%相互関税により、今後5ヵ月間でタイの輸出は1,150億バーツ減少し、GDPは0.62%ポイント縮小すると見込まれている。この
予測には、関税引き上げによる直接損失1,070億バーツと、世界のサプライチェーンを通じた間接的な影響、270億バーツが含まれ、貿易転換による潜在的な利益は189億バーツと推定される。同大学は、GDP成長率予測を1.5~2%、中間値は1.7%とした。
 来年の輸出収入の損失は2,750億バーツとなり、GDPの1.48%を占めると予測されている。この数字は、関税引き上げによる推定直接損失の2,560億バーツと、世界のサプライチェーンを通じた間接的な影響647億バーツが含まれている。また、貿易転換により潜在的な利益が453億
バーツを得られる可能性があると推定される。
 調査では、電気・電子機器、機械・部品、ゴム製品が関税の影響を特に受けやすい分野であると特定された。これらの製品は、米国において市場規模が大きく、高い市場シェアを有している。なお、タイの対米輸出上位10品目に関しては、タイの関税水準は、マレーシア、インドネシア、フィリピン、カンボジアと同程度であり、競争相手に対してそれほど不利ではないと見込まれている。

 

 

タイ商務省が米輸出を拡大(8月11日)

 商務省は、中国、バングラデシュ、サウジアラビア、日本、香港への米の輸出を拡大することを発表した。
 商務大臣は、タイ米輸出協会との会合で、今年後半の米の輸出見通しを協議した上で、政府間協定に基づき中国当局と協議し、残り28万トンの米の輸出を加速させるよう対外貿易局(DFT)に指示した。
 商務省はまた、白米・パーボイルド米の主要市場である日本、サウジアラビア、バングラデシュや、タイ産ジャスミン米の成長市場である
香港での販売拡大に注力する方針を示した。さらに、サウジアラビア市場へのアクセス迅速化、日本への輸出割当量の拡大、イラク市場の開拓も進める考えである。
 一方、タイ米輸出協会は、世界的な米の供給過剰と需要減少により、今年は厳しい年になると指摘している。昨年400万トンを輸入したインドネシアの購入量は大幅に減少する見込みで、米価格は1キログラムあたり19~20バーツから10.50バーツに急落している。競合国の品質向上により、タイ米との差は縮まり、価格が高止まりすると買い手は代替品に流れる可能性がある。
 こうした状況を踏まえ、中国や中東など潜在市場向けのマーケティングや販促強化、アジアで人気の軟質米への対応など、商品の多様化も
課題となる。また、輸出競争力を維持するため、政府には1USドルあたり33〜34バーツの為替水準を維持するよう提案がなされた。
 タイは今年上半期に373万トン、金額にして756億バーツの米を輸出し、数量で27.3%、金額で36.5%の増加となった。タイ貿易庁(DFT)は、2025年通年の米輸出量を約750万トンと見込んでいる。

タイの対中貿易赤字が悪化(8月13日)

 タイ商務省は、タイの対中貿易赤字が285億2,900万ドル(約9,400億~9,500億バーツ)に達したことを発表した。
 タイ政府は低品質品や模倣品の流入対策を講じているものの、対中国貿易の貿易赤字は依然として拡大しており、対中輸出額は209億2,000万ドル(前年比18.8%増)、輸入額は495億1,400万ドル(同31.8%増)となった。
 中国からの輸入品は、主に資本財、原材料、半資本財、機械、鉄鋼、電気回路で構成されており、これらは生産能力の拡大を目的としたもので、将来的にはタイ経済への恩恵が見込まれている。また、家電製品の輸入も高い水準にある。
 一方、対中輸出は主に、果物、ゴム、木材、キャッサバなどの農産物で構成され、比較的低額である。なお、コンピューターの輸出に関しては、前年比191%の急成長を記録した。

 

 

宝石輸出業者は5%の成長を目指す(8月14日)

 タイ宝石・宝飾品協会(GIT)は、宝石と宝飾品の輸出が、今年の国の成長目標である5%に達する見込みであることを発表した。
 2025年上半期の総輸出額は、前年比82.3%増の140億米ドルに達し、未加工の金を除いた輸出額は62.7%増の74億1,000万ドルとなった。
主な輸出品は、金・銀の宝飾品や色石などで、主要市場は、インド、香港、米国である。
 同協会によると、2025年の輸出成長率5%という目標は達成可能と見ている。2024年には未加工の金を除く輸出額は96億ドルで前年比
11.5%増となった。上半期の大幅な増加は、米国の関税施行前の備蓄による影響があるとしている。

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