タイのビジネスニュース:2025年8月後半

CPNがショッピングセンター「セントラルパーク」の第一期をオープン(8月20日)
タイの大手不動産開発会社Central Pattana(CPN)社は、年間2,500万人の来場者を目標に、同社43番目となるショッピングセンター
「セントラルパーク」の第1期を9月4日にオープンすると発表した。
新施設は、総建築面積13万平方メートルに及ぶ「デュシット・セントラルパーク」の一部で、ショッピングセンター、オフィスビル、ホテル、住宅から成り、シーロム通りとラマ4世通りに近い立地で、都会と自然の融合を特徴としている。敷地面積は 23 ライ(1ライ=1,600平方メートル)、総投資額は 460 億バーツである。
オープン後は、年間2,500万人以上、1日7万人の来場者が見込まれており、日本発の本格的な和牛ステーキで有名な鉄板焼きレストラン
「極味や」、高級しゃぶしゃぶ店「紅梅」など、タイ初出店を含む550以上の一流ブランドが出店する予定である。
同社は、セントラルパークを通じてバンコクを世界クラスの大都市へと押し上げ、世界で最も住みやすい都市の一つにすることを目指すとしている。
商務省が大豆とココナッツの輸入管理計画を導入(8月20日)
タイ商務省は、大豆とココナッツの市場開放と輸入管理を進める計画を発表した。
同省は、工業用大豆とココナッツの供給と価格を安定させるため、2026から2028年にかけて、食用及び工業用の大豆ミール、大豆油やココナッツ製品に関して市場開放と輸入管理を行う。輸入量は国内の需要に基づいて調整される。
同省としては、、大豆とココナッツの輸入管理を行うことで、工業用途に十分な原材料を供給しながら、農作物の価格を安定させることで、農家を保護することを計画している。今回の取り組みは、農業と産業の持続可能なバランスを維持しながら、食糧安全保障の強化、国家競争力の向上、関連輸出の促進につなげることを目指している。
タイの展示会産業がタイのGDP成長率と同様に緩やかに拡大(8月22日)
今年のタイの展示会産業は、GDP成長率と同様に緩やかに拡大すると見込まれている。
タイ展示会協会(TEA)の会長は、貿易展示会は経済動向を反映するものであり、GDPの成長が続けば、買い手と売り手が市場を求めて展示会産業も拡大すると述べた。一方、米国が中国原産品に対する積み替え関税を40%に引き上げたことで、世界貿易が混乱し、東南アジアの展示会産業にも影響が及んでいる。アジア市場では、中国が最大市場であり、日本、韓国、香港がそれに続いている。タイは7位に位置している。
今年の国内展示会産業の成長率は2~3%にとどまり、世界平均の2~6%を下回る見通しである。タイ・コンベンション&エキシビション・
ビューロー(TCEB)によると、今年、タイで開催される展示会に訪れる外国人来場者は約376,500人で、経済効果は289億バーツとなり、収益の大部分は129件の国際展示会によって生み出されると予想されている。
タイ空港公社が57億バーツを投じるチェンライ空港の新ターミナル建設計画を承認(8月22日)
タイ空港公社(AOT)は、年間最大700万人の乗客を迎える準備として、チェンライ県のメーファールアンチェンライ国際空港に57億バーツを投じ、新たな旅客ターミナルを建設する計画を承認した。
新施設は2032年の完成を目指しており、完成後は旅客処理能力が現在の190万人から600万人に拡大する見通しである。
メーファールアンチェンライ国際空港の総面積は753ライ(1ライ=1600平方メートル)であり、このうち約50ライは整備・修理・オーバーホール(MRO)施設に割り当てられる。中国市場の拡大を背景に、タイは地理的優位性とコスト競争力から理想的なMRO拠点となることが期待されている。MRO計画はすでに環境影響評価を通過しており、まもなく建設が開始される予定であるとしている。
MG Sales社がタイ国内の電気自動車の販売見通しを発表(8月25日)
MG Sales (Thailand)社は、2025年の国内バッテリー電気自動車(BEV)の販売台数が10万台に達する見込みであると発表した。
ガソリンを燃料とするエンジン搭載車(ICE)の販売が急落する中、BEVは低迷するタイ自動車市場で成長している重要なセグメントとなっている。
タイ工業連盟(Federation of Thai Industries)傘下の自動車産業クラブによると、2025年上半期のタイの乗用BEV販売台数は前年同期比
61%増の54,084台に急増している。一方、ガソリン乗用車は12%減の72,512台、ICEピックアップトラックは17%減の73,620台となった。
MG Sales (Thailand)社によれば、景気減速や家計債務の高水準化、自動車ローン審査の厳格化などが自動車市場に影響を与えているものの、潜在的な顧客層のBEVへの関心は高く、メーカー各社の販売促進策により今年も販売の勢いが続く見込みである。特に、1L~1.5Lのエンジンを搭載した手頃な価格のBセグメントのBEVが人気を集めている。
同社は、BEVの生産・販売に注力しており、2025年1〜7月の国内販売は前年同期比37%増の13,795台となり、ハッチバックタイプの「MG4モデル」が売上を牽引した。年末までの販売台数は25,000台に達すると予測している。
現在、同社の自動車生産比率は、BEV 70%、ICE 30%である。今後はBEVとハイブリッド電気自動車(HEV)にさらに注力していく方針で、それぞれの生産台数を総生産量の50%に拡大させ、ネットゼロ政策に沿ってICE車の比率をさらに下げていく計画としている。
7月の輸出の成長が予想以上上回ったものの、米国関税発効後成長が鈍化する見込み(8月25日)
タイ商務省は、7月の輸出が米国の関税発効前の需要増によってロイターの予想を上回ったものの、今後は成長が鈍化する見通しであると発表した。
同省によると、通関済み輸出は7月に前年同月比11%増と、ロイターの調査で予想された9.6%増を上回ったものの、6月の15.5%増からは
減少した。2025年1~7月の輸出は前年同期比14.4%増であり、商務省は通年の伸び率を2~3%と見込んでいるが、好調なスタートによりさらに上振れする可能性もあるとしている。
タイ貿易省によると、7月の米国向け輸出は前年比31.4%増、中国向けは23.1%増であった。米国はタイ産品に19%の関税を課したが、これは当初の発表の36%から引き下げられ、域内のアジア諸国と同水準となった。第三国からのタイ経由の積み替え貨物に対する米国関税の課税については依然として不透明である。
米国はタイ最大の輸出先であり、総輸出額550億ドルのうちの18.3%を占めた。 7月の輸入は前年同月比5.1%増と予想(4.9%増)を上回り、貿易収支は5億ドルの赤字が予想されていたが、3億2,000万ドルの黒字となった。
貿易政策戦略局長は、輸入業者が米国関税の影響を緩和するため前倒しで調達した結果、年後半の輸出は減速し、年間で2桁の輸出成長を達成することは難しいとの見方を示している。