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ベトナムのビジネスニュース:2025年8月後半


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ハノイ市農業農村開発局が高品質米の導入成果を発表(8月16日)

 ハノイ市農業農村開発局は、高品質米品種の導入成果を発表した。
 キムバイ農業協同組合では、高品質ジャポニカ米を栽培し、収量は6.5トン/haで従来品種の約2倍にとなり、販売価格も8〜10%高くなった。イェンラン村の農家も、栽培面積の70%を高品質米に切り替え、J02品種は6.7トン/ha、北香米やTBR225は6.5トン/haとなり、年間で1haあたり2,000〜3,000万VNDの付加価値を得ている。
 ハノイ市農業農村開発局によると、2025年春作の作付面積は市全体で約80,000ha、そのうち高品質米ともち米が61,081ha(76.7%)を占め、前年より3,868.7ha増加した。ウングホア旧県では高品質米の比率が91.1%となり、そのうちJ02が88%を占めている。フックトー旧県でも高品質米の利用率が90%を超えている。
 さらに、ハノイ市は秋作でも高品質米の普及を進め、化学肥料や農薬の使用削減や土地・水資源の保全を図りつつ、持続可能な農業を推進している。高品質米の導入により4つの生産・消費チェーンと3つの共同ブランドが確立され、ハノイ産米の市場競争力が向上している。
 2025年には高品質ジャポニカ米を中心に作付比率を80%以上とし、薬用米の生産地域を3〜5カ所整備する。さらに、乾燥・加工・保存などのポストハーベスト技術を推進し、3〜5の連携チェーンを新たに構築し、輸出市場の拡大を目指すとしている。

 

 

ベトナムのココナッツ産業が急成長(8月19日)

 農業・環境省によると、ベトナムのココナッツ産業は急成長を遂げており、栽培面積は約20万haに達し、輸出額は2010年の1億8,000万USDから2023年に9億USDへ拡大、2024年には10億USDを突破する見通しである。特にメコンデルタのベンチェ省では2024年の輸出額が5億USDに達する見込みで、国内最大の産地として地位を固めつつある。
 2024年8月には中国への輸出が始まり、中国市場(年間のココナッツ消費40億個、そのうち26億個が生果)への輸出額は年間2億5,000万USDで、輸出全体の約25%に達すると予測されている。アメリカ、EU、日本、韓国、カナダなどの高品質市場でもシェアを拡大し、ベトナムはアジア太平洋地域第4位、世界第5位の輸出国に位置付けられた。
 現在、全国で約39万世帯がココナッツ栽培に従事し、1haあたり年間2,000〜3,000VNDの利益を確保している。政府は2030年までに栽培面積の30%をVietGAP・有機認証化し、トレーサビリティを徹底するとともに、付加価値を高める高度加工や輸出チェーンの強化を進めている。2024年12月にはベトナム初のココナッツの国際会議「CocoNext 2024」をベンチェ省で開催し、持続可能なサプライチェーン構築とグローバル展開を加速させている。

 

 

ホアファットグループが製鉄一貫コンプレックスの建設に着手(8月20日)

 ホアファットグループ(ベトナム最大の製鉄企業)は、ダクラク省で製鉄一貫コンプレックスの建設に着手したことを発表した。
 同社は2025~2030年にかけて港湾「バイゴック港」と「ホアタム工業団地」インフラを整備し、製鉄所を建設する計画で、年産能力は最終的に600万トンに達する。第1期(300万トン/年)は2025年末に稼働開始を予定しており、完工後には同社の総生産能力は現在の1,600万トンから2,200万トンに拡大する。
 プロジェクト完了後は、年間約10兆VNDを国家財政に貢献し、地元で約15,000人の雇用を創出する見込みである。また、併設されるバイゴック港(総投資額24兆VND)は、25万DWT対応の専用バースを13基、5万DWT対応の一般バースを6基、液体・ガス輸送用バース6基を備え、年間約2,600万トンの貨物取扱を可能とする。
 ホアファットは東南アジア最大の製鉄企業であり、世界鉄鋼生産ランキングでもトップ30に位置し、全国で3万3,000人を直接雇用し、国家予算に毎年約15兆VNDを納税している。

ハイズオン・フンイエン省の2025年のリュウガン収穫量が5万トン超見込み(8月20日)

 ハイズオン省・フンイエン省人民委員会は、同省のリュウガン栽培面積が約5,800haに達し、2025年の収穫量は前年比15%増の5万トン超となる見込みであることを発表した。
 そのうち60%以上(約3万トン)はVietGAP(ベトナムの農産物良好農業規範認証制度)認証や有機認証を取得しており、高品質基準を満たしている。栽培品種の15~20%は高級種の「ドゥオンフェンリュウガン」「クイリュウガン」で、主にホンチュウ、タンフン、ドゥックホップ、ホン・クアン、クアイチャウ、チャウニン、チュウベトブオンなどの地域で集中栽培されている。
 収穫は早熟(7月末まで、全体の10%)、本格期(8月、50%)、晩熟(8月末~9月中旬、40%)の3期に分けて行われ、供給期間の延長によって価格下落を回避する仕組みとなっている。フンイエン省では、米国、EU、日本などの高級市場や中国市場への輸出拡大を目指しており、「フンイエンリュウガン」はすでに産地表示を取得し、ベトナムの果物トップ50に選定されている。
 8月20日に開催された促進会議では、フンイエン省が農産物販売促進協定を企業やECプラットフォームと締結し、流通・加工・販売をつなぐ持続可能なバリューチェーン構築が進められた。商工省貿易促進局は、同省が全国的にも農産物販売促進で先行していると評価し、今後はブランド強化、GlobalGAP導入、加工の高度化、物流・電子商取引連携による輸出市場の拡大を提案した。フンイエン省指導部も、投資環境の整備や農民・企業支援を強化し、持続可能な農業を推進する方針を示している。

 

 

ベトナム発のヴィーガン化粧品ブランド「コクーン」が国際市場に本格進出(8月22日)

 ベトナム発のヴィーガン化粧品ブランド「コクーン」が国際市場への本格進出を果たしたことを発表した。
 同ブランドは2013年に誕生し、グレープフルーツ精油のヘアコンディショナーや冬瓜クレンジング、ダクラク省産コーヒースクラブ、フンイエン省産ターメリックウォーター、ハウザン省産ロータス洗顔料など、ベトナムの農産物を活用した製品を展開してきた。国内では、ガーディアン、ワトソンズ、ハサキ、ロンチヤウ、アンカンなど4,000店舗以上で流通し、幅広い顧客基盤を確立している。
 2025年現在、コクーンは米国、カナダ、オーストラリア、日本、アゼルバイジャン、カザフスタン、サウジアラビア、UAE、モンゴル、台湾、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ラオス、カンボジアの15か国・地域に輸出しており、ベトナム化粧品ブランドとして国際的地位確立に貢献している。特に、厳格な品質基準を持つ日本市場では、PALTAC(国内大手流通企業)との提携を通じ、AEON、American Pharmacy、Ainz & Tulpe、Tomod’s、Sapporo Drugstore、TRIALなど日本国内300以上の店舗で販売を開始している。
 コクーンは、製品の品質と独自のブランドストーリを武器に「ベトナムの地で生まれた化粧品が世界で戦える」ことを証明しつつあり、今後も持続可能な発展を目指して国際市場での存在感を高めていくとしている。

 

 

Viettel GroupがDassault SystèmesとAI・デジタル設計分野で戦略提携を締結(8月27日)

 Viettel Group(ベトナムの通信・テクノロジー大手)がフランスのDassault Systèmes(3D設計・シミュレーションソフト開発大手)と戦略的提携を締結したことを発表した。
  両社はAI(人工知能)、ML(機械学習)、デジタル設計・シミュレーション分野での協力を進め、Viettel Groupの製造・通信・半導体事業に3D EXPERIENCEプラットフォームを導入する。これにより、製品設計やデジタルツイン、自然言語処理、ロボティクス、データ解析などの応用が推進され、研究開発(R&D)力と人材育成の強化が図られる。
 Dassault Systèmesは、20年以上にわたるベトナム市場での実績を背景に、Viettel AIとの協業を通じてデジタルスキル育成と産業競争力の強化を支援する方針を示した。今回の覚書に基づき、試験プロジェクトや共同研究は今後数カ月以内に開始される予定である。
 この提携により、Viettel Groupは半導体を含む戦略産業での地位を強化し、ベトナムの高付加価値産業を牽引することが期待される。 年内には国際展示会・産業フォーラムなどで具体的な成果が発表され、ベトナムの技術革新と産業高度化に直結する見込みである。

キムロンモーターフエがLGエナジーソリューションと提携しバッテリーパック工場を建設(8月28日)

 キムロンモーターフエ(ベトナムの自動車メーカー)は、LGエナジーソリューションと戦略的提携を締結し、電気自動車向けバッテリーパックの生産・組立工場をフエ市に建設することを発表した。
 工場はフエ市のキムロンモーター工業団地内の9ha規模の敷地に建設され、2026年初頭に稼働予定である。第1段階では年間100万kWhの生産能力を持ち、自動化率は90%に達する。プロジェクト総額は1,200億VND(約4,800万USD)で、初期投資分は2025年中に完了予定である。完成後はバッテリーパックの国内調達率を2026年第2四半期までに80%以上に引き上げる計画である。
 LGが供給するNMC(ニッケル・マンガン・コバルト)系円筒セルは従来のLFP(リン酸鉄リチウム)電池より体積・重量を削減し、電力効率を30%以上改善するため、電動車の航続距離向上に貢献する。工場は将来的に生産規模を数倍に拡大する予定で、経済波及効果として年間1兆VND(約4億USD)の税収貢献と、15,000人規模の直接雇用創出が見込まれる。また、関連産業・サービスを含め数万人規模の間接雇用も期待される。
 このプロジェクトにより、ベトナムは世界のバッテリー・EVバリューチェーンに本格参入し、ASEAN地域のEV産業集積地としての地位を強化するとしている。

 

 

De Heusがタイグエン地域で10万トン規模の国産トウモロコシ調達プロジェクトを開始(8月30日)

 De Heus(オランダ系飼料大手)は、ベトナムタイグエン地域(ザーライ省、ダクラック省、ラムドン省)で「持続可能なトウモロコシ供給プロジェクト」を開始したことを発表した。
 同プロジェクトは、輸入依存度を減らし、国内生産を強化することを目的とする。De Heusは農民や協同組合と連携し、長期的に10万トンの国産トウモロコシを買い取るとともに、生産技術指導を通じて収量増加、コスト最適化、収穫後の品質改善を支援する。
 トレーニングプログラムでは、品種選定、土地準備、施肥・灌漑、病害虫管理・収穫後の保管・加工など、栽培から出荷までのプロセスを包括的に指導する。また、「トウモロコシ飼料開発・研修センター」を設立し、農家や企業の知識・技能向上を目指す。
 ベトナムでは飼料生産に年間数百万トンのトウモロコシの需要があるが、現在の国内生産だけでは需要を満たせていない。今回の取り組みにより、原料調達のリスクを軽減するとともに、農家の収入安定化を図り、政府が掲げる「農産物内製化」と「持続可能な農業バリューチェーン構築」に貢献する。

 

 

ダナン市が半導体デーで25社誘致、先端ラボを始動(8月31日)

 ダナン市人民委員会は「ダナン半導体デー2025」を開催し、25社の半導体関連企業を誘致した。
 同市は2030年までに国内3大半導体・AI拠点の一つを目指しており、当初8社から始まったエコシステムは1年で25社に拡大した。
 教育面では、8大学・高専で半導体マイクロチップ専攻の学生募集を行い、当初600名だった入学者数は2025年には1,000名に増加する見込みである。さらに、255名を対象に6回の研修を実施し、人材育成を強化している。
 投資面では、総額1,800億VND超(約1億米ドル)の先端パッケージング技術用ラボ(Fab-Lab)が始動し、年産1,000万個の生産能力を目指している。これはベトナム初の先端パッケージング専門ラボであり、VSAP LAB(ベトナム国内初の半導体パッケージング企業)が主導している。
 民間企業では、FPTグループが2022年以降、日本規格に準拠した電源チップを生産し、累計7,000万個以上の受注を獲得している。さらにOSATサービス(検査・組立・試験)やNICとの共同研修を通じて、研究開発(R&D)と技術移転を推進している。
 こうした「官(政府)・学(大学)・民(企業)」の三位一体の戦略により、ダナンはベトナムの半導体産業における先行・加速拠点としての地位を確立しつつある。

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