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ベトナムの市場調査

 ベトナム経済は過去10年、おおむね堅調に成長した。実質GDPは上昇基調が続き、コロナ下で一時低下したが、その後は年率5~8%で成長している。

 成長の牽引役は電子・機械・縫製品などの輸出製造業であり、主力品目の輸出は増加傾向にある。また、外国直接投資(FDI)は、サプライチェーン再編や自由貿易協定(FTA)の拡大を追い風に増加基調が続いている。所得上昇と都市化で中間層が拡大し、近年はB to C市場への注目も高まっている。

 産業別GDPの傾向としては、農林水産業の比率が減少し、鉱工業・建設業とサービス業の比率が拡大している。また、貿易に関しては、米中の貿易摩擦により、米国向け製品の生産・最終組立が中国からベトナムへ移る動きが加速している。さらに最近は、単なる“迂回”ではなく、原材料を輸入→ベトナムで組立→海外へ輸出といったベトナムにおける付加価値工程の積み上げも進んでいる。

 近年の急速な経済発展に伴う電力不足や物流インフラなどの課題はあるものの、総じて、若い労働力、中間層の拡大を背景に「生産拠点」かつ「消費市場」としての魅力が拡大している。

 日系企業がベトナム進出を検討する際に、市場動向や製品・サービスのニーズ、参入企業の状況、流通チャネル、価格動向等の市場に関する情報の把握は不可欠である。また、業界によって、ニーズや課題は異なるため、業界動向調査・ニーズ調査をしっかり行うことが重要である。

 マーケティングリサーチの方法としては、インターネットで情報を収集することもできるが、インターネットだけでは得られない情報も多くあり、ベトナムの市場を十分に理解するためには、現地企業や消費者へのヒアリングが必要な場合も多くある。

 グローバル マーケティングラボは、50年以上の豊富な調査実績、ベトナムを含む40か国以上の海外市場調査の実績を有し、基礎情報の収集からヒアリング調査まで良質な情報をご提供いたします。【調査メニューはこちら】

 

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ベトナムの基礎情報

【面積】32万9,241平方キロメートル

【人口】約1.011億人(2024年4月)

【GDP】約4,763億USドル(2024年)(ASEAN(1)に4位;日本対比、約1/9)

【一人当たりのGDP】約4,700 USドル(2024年)(ASEAN(1)に4位;日本対比約、1/11)

【首都】ハノイ

【言語】ベトナム語

【通貨】ベトナムドン(VND)

【民族】キン族(越人)約86%,他に53の少数民族

【宗教】仏教,カトリック,カオダイ教他

【地域】東南アジア、インドシナ半島

【隣接】太平洋、中国、ラオス、カンボジア

【主な気候】

北部:多湿亜熱帯性気候であり、四季がある。最高気温が30度以上、最低気温10度以下であり、平均湿度80%以上。

南部:熱帯モンスーン性気候であり、一年を通して高温であり、雨季(5~10月)と乾季(11~4月)がある。年間の平均温度は25度であり、平均湿度は70%以上である。最高気温が40度近くである。

【年度】暦年1月1日~12月31日

(経済指標:国際銀行、2023年5月版のデータにより。他の情報:日本外務省、ベトナム政府より。)

(1)ASEAN:東南アジア諸国連合(インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス)

ベトナムの経済と人口

 ベトナム社会主義共和国は、1986年の「ドイモイ政策」(刷新政策という意味)の実施により、計画経済から市場経済へと向かい、30年以上に渡り、目覚ましい経済発展をとげている。 

 ベトナムのGDP成長率は2000年代以降、概ね5%以上を維持してきたが、2010年代にはいくつか大きな変動があった。例えば、2016年には深刻な干ばつや大規模な環境汚染事故(フォルモサ社の鋼鉄工場による海洋汚染)の影響で成長率が6.7%に減速したが、翌年以降は製造業や輸出が牽引して回復した。2018年には製造業の好調や外国企業の生産移転の追い風もあり、GDP成長率が7%を超え、名目GDPは3,101億ドルに達した。その結果、ベトナムはアジアでも有数の高成長経済としての地位を確立した。 

 しかし、2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、成長率は2.9%まで急減速した。ベトナムは世界的な景気後退の中でもプラス成長を維持したが、この2.9%という数字は近年では最も低い成長率となった。続く2021年も国内ロックダウンの影響で成長率は2.6%にとどまり、数十年ぶりの低成長となった。政府はワクチン普及と段階的な経済再開に努め、2022年には輸出・生産活動が正常化して成長率が8.5%と急回復した。2023年は主要輸出先である米欧経済の減速やエネルギー供給不足に直面し、成長率は5%前後にとどまった。その後は世界経済が緩やかな成長に移行したことから、2024年のGDP成長率は再び7%前後に回復した。 

 人口に関しては、緩やかな増加を続け、2020年に9,800万人を超えた。その後も年成長率約1%で推移し、2023年には1億人の大台を突破した。ベトナムの人口規模は、東南アジアでインドネシア、フィリピンに次ぐ第3位、世界でも第15位となっている。人口構成に関しては、近年、大きな変化はなく、生産年齢人口(15~64歳)が全体の約6割を占め、年少人口(14歳以下)が約2割強、高齢人口(65歳以上)は約8%である。近年は医療サービスの改善により平均寿命が伸び、高齢化も徐々に進み始めているが、そのスピードは緩やかである。労働力の産業別構成を見ると、工業化の進展に伴い農業分野の就業者割合が2011年の約48%から2020年には33%まで低下している。一方、サービス分野は30%から36%に、工業分野は20%から31%にそれぞれ上昇し、三次産業への雇用移行が進んでいる。 

 一人当たり国民総所得(GNI)に関しては、2010年に下位中所得国入りを果たして以来、着実に増加しており、2024年には4,700米ドルに達した。急速な経済成長と外国直接投資の流入により所得水準が上昇し、国民の生活水準が向上した。これに伴い、農村から都市への人口移動が進み、都市化率は2014年頃の約33%から2024年には38%に上昇している。

(出所:世界銀行、ベトナム統計総局)

ベトナムの産業・外国直接投資

 ベトナムの産業は大きく「農林水産業」、「鉱工業・建設業」、「サービス業」に区分される。GDPに占める各分野の比率をみると、2010年頃には農林水産業が約20%を占めていたが、徐々に低下し、2024年には約5%にまで縮小した。一方、サービス業の比率は、コロナ禍以前は、概ね50%前後で推移していたが、2020~2021年は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて減少し、その後、2022~2023年には60%前後に急増した。また、鉱工業・建設業の比率は、コロナ禍以前は40〜50%で推移していたが、コロナ禍でサービス業が低迷したことから、一時的にGDP全体の60%を超えた。なお、2024年の産業別の構成比はサービス業が49%、鉱工業・建設業が45%、農林水産業が5%となり、コロナ禍以前と比較するとサービス業の比率が増加し、鉱工業・建設業の比率が若干、減少している。

 近年の各分野の成長率を見ると、農林水産業は気候条件や国際価格の変動の影響を受けやすいため、年ごとの変動幅が大きいが、概ね年率2~3%程度の増加で推移している。なお、2020年はコロナ禍にありながらも、農林水産業が前年(2019年)比で2.68%増の成長を記録し、主要3分野の中で唯一前年より高い成長率となった。

 鉱工業・建設業は、世界経済や国内金融政策の影響を受けやすく、2019年には8.9%増の成長を記録したが、コロナ禍の2020年は3.98%増まで減速し、約10年ぶりの低水準となった。その後は世界経済の回復に伴って、鉱工業・建設業も回復している。しかし、2023年は世界需要の減速と夏の電力不足により鉱工業は減速しており、建設業は金利上昇を背景とした資金調達環境の厳格化により社債発行が増加し、規制強化や信用環境の引き締まりを受けた不動産市場の混乱から停滞した。2024年は電力供給リスクの対策は継続中であるものの、輸出の拡大と国内需要の改善で鉱工業は回復しており、建設業は公共投資の進捗で持ち直しの兆しがある。

 サービス業は、コロナ禍以前は、年率7〜8%の高い成長を維持しており、観光業のブームを背景に2017年には7%台半ばの最高成長率を記録した。ただし、コロナ禍の影響を最も強く受けた分野でもあり、2020年には2.34%増へ急落した。2022年には9.99%増と2011年以降で最も高い伸びを示し、経済回復を牽引したが、2023年は世界的な経済成長の減速の影響を受けてやや鈍化し、2024年には再び7%台まで持ち直すなど、変動の大きい状況が続いている。

 ベトナムへの外国直接投資(FDI)は、この10年間(2020~2021を除く)、堅調な増加傾向を示している。2014年のFDI実行額は約219億ドルであり、その後、2017年には371億ドル、2019年には過去最高の380億ドルに達した(前年比4%増)。しかし、2020年は新型コロナウイルスの世界的流行により、FDIは約285億ドルと大幅に減少した(約25%減)。それでも、ベトナムの投資環境は底堅く、2021年には再び約389億ドルと回復し、2022年はやや減少(277億ドル)したものの、2023年には366億ドル、そして2024年には過去最高となる382億ドルに達し、前年比4.4%の増加を記録した。FDIプロジェクト件数もおおむね同様の傾向を示しており、2024年は382件となっている。

 国別では、2024年まで累計で韓国が最大の投資国であり、FDIストックの約18~19%を占めていた。日本も約16%で続いていたが、近年はシンガポールからの投資が急増しており、2024年単年ではシンガポールが全体の26.7%(約106億ドル)で最も多く、韓国が18.5%(約70億ドル)で2位となっている。投資分野では、製造業が常に最大の割合を占め、2023年には約34%を占めている。卸売、小売、自動車とバイクの修理分野が次に多く、2023年には約30%を占めた。その他、科学・テクノロジー、情報通信なども一部を占めているが、構成比は小さい。

 このように、ベトナムへのFDIは全体として増加傾向にあり、とりわけ製造業への集中的な投資が、輸出拡大と産業高度化を後押ししてきた。2020年の一時的な減少を除けば、ベトナムはアジアにおける投資先としての魅力を持ち続けており、外国資本の流入は今後も継続すると予測される。

ベトナムの貿易

ベトナムの輸出

 2015年から2024年にかけて、ベトナムの輸出額は増加傾向を示している。2015年の輸出額は約1,620億ドルであったが、2024年には4,057億ドルとなり、10年間で約2.5倍に拡大した。年間平均伸長率は12%前後となり、特に2021年は17.6%、2022年は11.9%と高い成長を記録した。2023年には世界的な需要減速の影響を受け、輸出額は前年比約4.6%減の3,548億ドルとなったが、2024年には回復し、4,000億ドルを超えた。

 主要輸出先はアメリカ、中国、韓国、日本が中心である。2014年時点では、アメリカ向け輸出が335億ドル(構成比20.7%)、中国向けが170億ドル(10.5%)、日本向けが141億ドル(8.7%)、韓国向けが98億ドル(6%)であったが、2024年にはアメリカ向けが1,195億ドル(29.5%)と急増し、中国向けは612億ドル(15.1%)、韓国向けは256億ドル(6.3%)、日本向けは245億ドル(6%)となっている。アメリカ・中国・韓国への輸出構成比が拡大する一方、日本の比率は相対的に縮小傾向にある。

 米国向けの輸出が拡大した背景として、米中摩擦があげられる。米中の貿易摩擦により、米国向け製品の生産・最終組立が中国からベトナムへ移る動きが加速し、2018年以降、米国向けの輸出が拡大した。さらに、電子・半導体パッケージング等の分野において、ベトナム国内の工場の稼働が相次ぎ(例:Appleのベトナム調達拡大表明、Amkorの先端封止工場稼働)、単なる“迂回”ではなく、ベトナムにおける付加価値工程の積み上げが進んでいる。同時に、ベトナムは中国からの中間財調達比率を高めており、「中国製部材の輸入→ベトナムで組立→米国へ輸出」という形が拡大している。

 輸出品目では、電話機・同部品、コンピュータ電子製品・同部品、繊維製品、機械・同部品、履物、木材・木製品などが主要品目である。2024年の主な輸出品は、コンピュータ電子製品・同部品(726億ドル)、電話機・同部品(539億ドル)、機械・同部品(522億ドル)、繊維製品(370億ドル)、履物(22.9億ドル)などが挙げられる。特に電話機関連は2011~2021年にかけて年平均34%で増加し、現在では世界第2位の輸出シェア(約13%)を占めている。サムスンやアップルの生産拠点拡大により、ベトナムは重要な電子製品輸出国としての地位を確立している。

(出所:ベトナム統計総局、商工省、OEC、WITS)

 


ベトナムの輸入

 輸入額に関しても、この10年間で大幅に増加した。2015年の輸入額は約1,657億ドルであったが、2024年には3,811億ドルとなり、ほぼ2.3倍となった。2023年は内外需の減速により、前年比9.2%減の3,264億ドルにとどまったが、2024年には回復している。

 輸入先としては、中国、韓国、日本が上位を占めている。2015年の中国からの輸入は495億ドル(構成比30%)、韓国からは276億ドル(17%)、日本からは144億ドル(9%)であったが、2024年には中国が1,440億ドル(38%)で引き続き首位、韓国は559億ドル(15%)、日本は216億ドル(6%)であった。

 輸入品目は、電子部品、機械設備、電話機部品、布地・繊維原料、プラスチック素材、鉄鋼、化学品など多岐にわたる。2024年の主要品目には、集積回路(IC)を含む電子部品(1,071億ドル)、機械・設備部品(489億ドル)、化学品(243億ドル)、織布・生地(160億ドル)などが含まれる。製造業向けの資本財・中間財の輸入が全体の約88%を占めており、ベトナムが国際的な組立・加工拠点として機能していることを示している。

 また、2022年における輸入品のうち、資本財は42.4%、中間財は28.0%を占めており、2014年の構成比(資本財36.6%、中間財37.1%)と比べても、機械・部品・素材の依存度が高まっていることが分かる。製造業の拡大と輸出志向型の成長モデルにより、こうした輸入構造は今後も継続するとみられる。

(出所:ベトナム統計総局、関税総局、商工省、OEC、UN Comtrade)

ベトナムに進出した日系企業と在留邦人人口

 ベトナムに居住する日本人の数は2010年代後半まで増加傾向にあり、2015年に約1.47万人だった在留邦人数は2018年に約2.21万人、2019年には約2.31万人に達した。2020年に約2万3,400人前後でピークに達した後、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて増加が止まった。2020年以降は減少に転じ、2021年は22,185人、2022年は21,819人、2023年は18,949人、そして2024年には17,410人まで減少している。このように2020年を境に在留邦人は減少傾向となっており、現在はピーク時からおよそ25%減少した水準である。コロナ禍以降のベトナムにおける在留邦人数の減少は、円安や物価上昇による駐在コスト負担増と、リモートワークやハイブリッド勤務の普及が背景にある。企業は管理・運営業務やサポート機能を現地スタッフへ置き換えるなど、現地化を加速させたことによって、現地に常駐する必要性が低下した。

 日系企業のベトナム進出も活発で、外務省によれば2022年10月時点で2,373拠点が報告されている。最新の2023年の調査では2,394拠点となり、日系企業の進出国別では第6位に位置する。ベトナムに進出している日系企業は製造業の比率が最も高く、卸売・小売やサービス業も一部を占めている。ベトナムは、インドネシアやタイと並ぶアジア有数の進出先となっており、外務省統計でも日本企業の海外拠点の増加先として上位にランクされている。

 ベトナムはかつて「安い労働力・物価」の市場として知られていたが、近年は産業基盤が拡大し、所得水準も上昇している。これに伴い産業構造は、より高付加価値の分野へとシフトしつつあり、国民の生活水準や消費市場は拡大傾向にある。こうした経済発展により、新たなビジネスチャンスも生まれている。一方、ビジネス環境は変化が速く、行政手続きや情報基盤の整備は途上にあるのが実情である。したがって進出企業は、現地の制度や消費者文化、商習慣などの特徴を綿密に把握し、最新の経済・産業情報を常に収集・分析する必要がある。変革期にあるベトナムで事業を成功させるには、機動的かつ適応力のある経営が不可欠である。

(データ:外務省「海外在留邦人数調査統計」および「海外進出日系企業拠点数調査」)



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