インドネシアのビジネスニュース:2025年8月後半 | ビジネスニュース | グローバル マーケティング ラボは各国の情勢コラムを紹介しております。

海外市場調査のグローバル マーケティング ラボ
お電話でのお問い合わせはこちら
03-6459-0162

お問い合わせ

各国情勢コラム
Column

インドネシアのビジネスニュース:2025年8月後半


インドネシアの国概要はこちら

インドネシアの2025年経済成長率が4.6~5.4%と予測(8月23日)

 インドネシア銀行は、2025年のインドネシア経済成長率が4.6%から5.4%の範囲で推移しており、上限値を超える可能性があると予測している。この見通しは、投資、家計消費、輸出、政府支出の堅調な実績によって支えられているという。
 2025年第2四半期の経済成長率は前年比5.12%を記録した。成長の主な要因は国内投資、移動の活発化に伴う家計消費の増加および観光部門を含む財貨・サービスの輸出である。生産面では、製造業が5.98%、商業が5.37%成長した。また、情報通信部門は7.9%と最も高い成長率を示した。
 なお、輸出は好調であるが、同行は経常収支がGDP比0.5%から1.3%の範囲で赤字が続くと予測している。同行によるとこの赤字幅は依然として低く健全であり、経済の安定性を脅かすものではないとしている。
 経済を後押しするため、同行は2024年9月から2025年8月にかけて政策金利を5回にわたり、それぞれ20ベーシスポイント(bps)ずつ引き下げ、さらに流動性供給を目的としたマクロプルーデンシャル政策を実施している。
 財政面では、政府支出の増加が国内需要を強化している。また、米国などの貿易相手国による関税引き下げも、国内輸出の競争力向上に寄与している。

 

 

インドネシアはWTOの裁定を受け、EUに対しバイオディーゼル輸入制限の解除を要請(8月25日)

 インドネシアは、世界貿易機関(WTO)がバイオディーゼル輸入関税に関する争議でインドネシアの主張を認めたことを受け、欧州連合(EU)に対しバイオディーゼル輸入に対する相殺関税を直ちに撤廃するよう強く求めている。WTO小委員会は、インドネシア産バイオディーゼル輸入に対するEUの相殺関税が同機関の規則と主要な点で整合性を欠いているとし、インドネシアの主張を支持した。
 2019年8月、EUはインドネシア産バイオディーゼル輸入に対し8~18%の補助金相殺関税を課した。WTOは、外国政府が輸出品に補助金を提供していることを証明する調査を実施した場合に限り、各国がこうした補助金を相殺することを目的としている関税を課すことを認めており、これにより外国生産者と現地生産者の公平な競争環境が確保される。
 EU委員会の調査によると、インドネシアのバイオディーゼル生産者は補助金、税制優遇措置、原材料の調達容易化など、多額の補助金を享受しており、これにより製品を低価格で販売できる状態にあったと主張した。また、同委員会は、こうした補助金付き輸入品が欧州の生産者を脅かす可能性があると指摘した。
 この相殺関税措置を受け、インドネシアは2023年にEUを提訴した。その後、WTO小委員会はEUが調査において客観的な審査を行わなかったと認定し、特に輸入がEUのバイオディーゼル生産者に重大な損害を与える可能性があるか否かの点で不備があったと指摘した。
 WTOの裁定は依然として上訴の余地があるが、上訴審査を担当する同機関の裁判所は機能していない状態にある。EUはWTO裁定に関する公式声明を発表していないが、インドネシアの貿易相は既にインドネシアが勝訴したと述べている。
 なお、EUはインドネシアのパーム油製品とバイオディーゼルの主要市場として位置付けられており、輸出量の約40%を占めている。この争議の影響を受けバイオディーゼルの輸出量は2019年の132万キロリットルから2020年に3万6,000キロリットルに急落している。

政府が住宅に対する100%の付加価値税免除を延長(8月25日)

 インドネシア政府は、家計需要の維持と経済成長支援を目的として、住宅購入に対する付加価値税(VAT)全額還付措置を2025年末まで延長したと発表した。
 政府負担付付加価値税(PPN DTP)として知られるこの優遇措置は、当初2025年下半期に付加価値税の補助率を50%に設定していたが、8月25日に発効した財務省規則(PMK)第60/2025号に基づき、政府は補助率を100%に維持することを決定した。この政策は2025年7月から12月までの取引を対象とする。
 同制度では、物件販売価格のうち最大20億ルピア(約122万米ドル)相当分について付加価値税の全額免除が適用される。対象となる購入物件は、最大50億ルピアまでの戸建て住宅または分譲マンションである。この優遇措置は個人購入者1人につき1戸のみ適用される。インドネシア国民は納税者番号(NPWP)または国民識別番号(NIK)で登録が可能であり、外国人も納税者番号を保有し不動産所有要件を満たせば対象となる。
 政府はこれまでに、住宅向け付加価値税免除を景気刺激策として繰り返し活用し、建設業、製造業、家計支出に広範な波及効果をもたらす不動産部門の需要拡大を図っている。

 

 

Eramet社が今年のニッケル鉱石生産量目標を4200万トンに設定(8月26日) 

 フランスの鉱山会社Eramet Groupの子会社であるEramet Indonesia社は、今年度のインドネシアにおける事業計画と予算(RKAB)を改定し、約1,000万トンのニッケル増産を実施すると発表した。
 同社は当初、今年度の鉱石生産目標を3,200万トンに設定していたが、追加1,000万トンのRKABの申請がエネルギー鉱物資源省によって承認されたため、4,200万トンへ上方修正した。増産する1,000万トンは低品位ニッケル鉱石またはリモナイトの生産を目的としており、これらは中国ステンレス鋼生産大手・青山集団(Tsingshan Group)、およびインドネシア国営鉱山企業Antam社による合弁会社であるWeda Bay Nickel社のHPAL製錬所(High Pressure Acid Leach: 高圧酸浸出法)の需要を満たすためのものである。
 なお、総生産目標4,200万トンの鉱石の内訳は、高品位ニッケル鉱石(サプロライト)3,000万トンとリモナイト1,200万トンである。
 さらに、同社は、2026年においても同様の目標を設定し、ニッケル鉱石の生産量を4,200万トンとする方針を明らかにした。

輸入EVの優遇措置が12月31日に終了(8月27日)

 インドネシア政府は、2025年末までに完成車(Completely Build Up/CBU)として輸入される電気自動車(EV)に対する税制優遇措置を終了すると発表した。2026年以降、優遇措置を受けている自動車メーカーは、国内におけるEVの生産に向けた投資の実現に備えることが求められる。
 この優遇措置は2025年2月に導入され、自動車メーカーは通常よりも低い税負担でEVを輸入できた。輸入関税と贅沢税の合計最大77%を納める代わりに、企業は大幅な割引を受け、総税額は12%に抑えられた。この政策はEV普及促進のための市場テストとして設計され、参加企業には現地生産の義務付けが課されていた。同制度は2025年12月31日に期限切れとされており、延長の予定はない。
 輸入優遇措置の対象となるには、自動車メーカーは銀行保証付きの1対1投資スキームに基づき、インドネシア国内での将来の生産を約束する必要があった。つまり、輸入されるEV1台につき、メーカーは国内で同一タイプ・同一モデルの車両を1台生産しなければならない。
 企業は2027年までに生産公約を履行しなければならず、それを過ぎると政府は保証金を請求できる。2026年までにEVメーカーは最低40%の現地調達率を達成する必要があり、2027~2028年には60%、2030年までに80%へと段階的に引き上げられる。
 工業省のデータによると、このCBU輸入プログラムには、BYD、VinFast、Geely、Volkswagen、Xpeng、Oraといったグローバル企業が参加している。総投資計画額は約15兆ルピア、生産能力拡大計画は30万5,000台である。この6社のうち、BYD Auto IndonesiaおよびVinFast Automobile Indonesiaは、既に新工場プロジェクトを発表しており、他企業は現地組立業者と提携して要件を満たしている。
 なお、インドネシアでは電気自動車(EV)の普及が急速に進み、2024年の総台数は前年比78%増の20万7,000台であった。EVの市場シェアは2021年の0.1%未満から、2025年半ばには約10%まで上昇した。一方で、ICE車(internal combustion engine/内燃機関)の市場シェアは2021年の99.6%から2025年には82.2%に低下した。

インドネシアのツバメの巣価格が急落し、輸出が停滞(8月28日)

 インドネシアツバメの巣協会は、中国が突如として実施した政策の影響を受け、国産ツバメの巣の価格が急落し、輸出が停滞していると報告した。
 同協会のデータによると、インドネシアは年間約1,900トンのツバメの巣を生産している。しかし、中国税関総署(GACC)が輸出に関する覚書(MoU)にこれまで記載されていなかったアルミニウム含有量<100mg/kgという新たな基準を設定した。以降、主要市場である中国への製品輸出は急激に減少した。2024年7月、インドネシアの11社の登録済みツバメの巣生産会社に対し、GACCが突如として中国へのツバメの巣輸出停止措置を実施した。中国への輸出は、これまで総輸出量の78%を占めていたが、この政策により年間約250トン(約5兆ルピア相当)減少した。
 現在、ツバメの巣の価格は1キロあたり4,500万ルピア(約2,780米ドル)から2,000万ルピア(約1,235米ドル)へと大幅に下落し、この政策が撤回されなければ、さらに下落する可能性がある。また、この状況が続けば、インドネシアは未加工の原材料を中国に輸出するだけの役割に留まるという。
 同協会は政府に対し、ツバメの巣産業のファシリテーターとしての役割を果たすよう強く求めており、輸出停止措置の早期解除を図ることを期待している。

一覧へ戻る

Pagetop
調査のご依頼やご質問はお気軽にお問い合わせください。
03-6459-0162
受付:平日9:00~17:30