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インドネシアのビジネスニュース:2025年10月前半


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インドネシアが中国へのドリアン直接輸出を拡大する予定(10月3日)

 農業副大臣によると、インドネシアは現在中国へのドリアン直接輸出の機会を積極的に模索している。同措置は、これまでタイやマレーシアなどの仲介国を経由していた流通経路を短縮するためのものであり、国内のドリアン農家と輸出業者の利益率向上を目的としている。
 インドネシア政府は、ドリアンからの収益向上に大きな可能性を見出している。これまで、インドネシア産ドリアンはまずタイに輸出され、その後タイ産品として中国に再輸出されるケースが多く、このプロセスによりインドネシアが得られる利益はごくわずかであった。実際に、ドリアン輸出による利益は約10%に過ぎないが、直接輸出により利益率は30%に達すると予測され、はるかに大きな付加価値が生まれる見込みである。
 また、同措置は、政府がインドネシアの農産物の国際市場における地位を強化する取り組みの一環である。中間流通経路を削減することで、インドネシア産ドリアンの品質と鮮度がより保たれ、巨大な中国市場における競争力が向上する。
 同措置を促進させるため、インドネシアの商工会議所はインドネシアドリアン農園協会と連携し、農家支援策の推進も計画している。具体的には肥料の補助金支給、優良苗木の提供、農園インフラの改善などが含まれる。
 なお、中央統計局のデータによると、インドネシアのドリアンの生産量は2024年に約200万トンに達し、5年ぶりの高水準を記録した。このうち輸出量はわずか600トンで、約180万米ドル(約297億ルピア相当)の収入をもたらし、主な輸出先はタイと香港であった。
 一方、中国は2024年に15.6百万トンのドリアンを輸入し、前年比9.4%増加した。中国のドリアン輸入総額は70億米ドルに迫り、非常に高い需要を示している。

世界銀行が2025年のインドネシア経済成長率を4.8%と予測(10月7日)

 世界銀行は、2025年のインドネシア経済成長率予測を4.8%と明らかにした。この数値は、世界銀行が4月に発表した予測値4.7%を上回っているが、政府目標値の5.2%を下回るとなっている。
 同地域内の他国と比較すると、インドネシアの今年の経済成長率見通しはフィリピン(5.3%)、ベトナム(6.6%)、モンゴル(5.9%)、パラオ(5.7%)を下回っている。特にベトナムについては、世界銀行が2025年4月時点の予測値5.8%(前年比)から大幅に上方修正した。
 いくつかの経済活動指標は、成長モメンタムの減速を示唆している。例えば、小売売上高は増加が見込まれるものの、消費者信頼感はパンデミック前の水準には回復していない。工業生産も堅調と評価されているが、ビジネス信頼感とは一致しておらず、今後も低水準が続くと予想される。輸出は米国の輸入関税変動の中でも堅調を維持すると予想されるが、新規輸出受注は弱い状態が続いている。
 一方で、政府は依然として経済成長率が5%を上回ると予測している。最後に、政府は2025年第2四半期の成長率が予想を上回る5.12%を記録したことを受け、経済成長率を5.2%と予測している。  
 経済担当国務大臣によると、政府は経済成長率5%以上を目標としており、中期的には8%を目指すとしている。

 

 

インドネシアの鉄鋼輸出が5年間で22%急伸(10月7日)

 貿易省は、インドネシアの鉄鋼(HSコード72)および鉄鋼製の製品全般(HSコード73)の輸出が、過去5年間(2020~2024年)で22.18%という著しい伸びを示したと発表した。
 2020年の輸出額は120億5,000万米ドルに達し、2024年には292億3,000万米ドルに増加した。一方、2025年1月~8月期の輸出額は既に195億8000万米ドルに達しており、前年同期比3.55%増加した。
 中国が主要市場としてあげられており、過去5年間の平均輸出成長率は20.61%で、2020年の75億6000万米ドルから2024年には161億1000万米ドルへと増加している。
 一方、アンチ・ダンピング関税および報復関税の賦課により一時的に減少した欧州連合(EU)向け輸出は、回復傾向にある。
 過去5年間で、EU向け鉄鋼の輸出は28.49%増加し、鉄鋼製品の輸出は15.61%増加した。鉄鋼の輸出額は、2022年の10億3000万米ドルから2023年には6億3100万米ドルに減少したものの、2024年には9億9082万米ドルに回復した。さらに、2025年1月~8月期には輸出額が12億5000万米ドルを突破している。
 鉄鋼製品の輸出も同様の推移を示しており、輸出額は2021年の1億2880万ドルから2022年には9921万ドルに減少したが、2023年には1億90万ドル、2024年には1億6169万ドルへと回復した。
 なお、2021年以降、EUはインドネシア産鉄鋼に対し、9.3%~20.2%のアンチ・ダンピング関税および最大21.4%の追加報復関税を課している。この政策の実施により一時的に輸出が圧迫された。

政府がココナッツの輸出を禁止する方針(10月10日)

 農林水産省、川下化の促進と、2025年に発生したココナッツとココナッツミルクの供給不足および価格高騰への対応のために、ココナッツの輸出を禁止する方針を発表した。
 同省によると、生産されたココナッツは今後国内で加工し、ココナッツミルクまたはバージンココナッツオイル(VCO)のような高付加価値製品に仕上げることを目指している。これまでの丸ごとのココナッツ輸出による収益は年間約24兆ルピアに過ぎない。しかし、加工品に転換すれば、付加価値は100倍に跳ね上がり、2400兆ルピアに相当すると予測されている。
 一方で、2025年の国内におけるココナッツ価格が、消費者レベルで一時的に1個あたり20,000ルピアを超えた。これは、輸出市場に吸い上げられたことで市場におけるココナッツの供給量が急落したためである。
 インドネシアココナッツ加工産業協会(HIPKI)は、国内生産の大部分を吸収するココナッツ(フレッシュナッツ)の輸出高の高さに注目している。この状況は価格上昇を引き起こすだけでなく、ココナッツ加工産業が原料不足に陥る原因にもなっている。ココナッツ1粒から様々な製品を生産することができる効率的かつ統合された産業のみが高価な原材料を購入し続けることができるが、ココナッツのすりおろしだけといった単一製品を生産する産業は生産停止に陥りやすい。
 輸出と産業需要のバランスを取ることために、HIPKIは政府に対しココナッツの輸出課徴金を提案している。同協会によると、政府は現在この政策案を準備中だが、最終決定には至っていない。

 

 

中国建設機械メーカーの柳工がカラワンに重機工場を建設(10月12日)

 中国建設機械メーカー広西柳工機械(柳工)のインドネシア子会社であるリウゴン・インドネシア社は、西ジャワ州カラワン西部のアルタ・インダストリアル・ヒル工業団地に重機生産施設を設立する準備を進めていると発表した。この工場設立のための総投資額は5兆2500億ルピア(3億1700万米ドルに相当)と見積もられている。
 同工場は2030年までに年間5,000台までの生産能力を有するインドネシア最大級の重機工場の一つとなる見込みである。同工場で生産される製品は国内市場の需要を満たすだけでなく、輸出市場への供給も目的としている。同社は東南アジア、オーストラリア、北米の各国へ段階的に輸出を展開する予定であり、この事業活動による外貨獲得の潜在的な総額は年間4000万米ドルに達する見通しである。
 同施設には高度な技術が導入され、具体的には無人搬送車(Automated Guided Vehicle)、デジタル製造実行システム(Manufacturing Execution System)、そして電気式建設車両向けの研究開発(R&D)センターが含まれる。同社はまた、現地サプライヤーと連携することで国内部品比率(TKDN)の向上に取り組む予定で、操業開始後5年以内に正式なTKDN認証の取得を目標としている。
 同施設は2026年に操業を開始する予定としている。

運輸省が主要地域に6つの認定航空機整備センターを建設へ(10月15日)

 運輸省は、航空産業の振興と海外施設への依存度低減を目的に、戦略的地域に6か所の統合航空機整備センターを設立する計画を発表した。
 新規施設は「認定整備組織(Approved Maintenance Organizations/AMO)」として認可され、航空機の整備・修理・オーバーホール・改造の拠点となる。各センターは戦略的に配置され、西部インドネシア向けにはバタム島、西ジャワ州ケルタジャティ、タンゲラン州、中部インドネシア向けには南スラウェシ州マカッサル、東部地域向けには中部パプア州ティミカとジャヤプラ州センタニに設置される。
 同センターの開発は、インドネシアの航空機整備産業を強化し、他の東南アジア諸国と競争できるようにすることを目的としている。さらに、同プロジェクトは同省の統合的な国家整備エコシステム構築という壮大な構想の一環であり、インドネシアが航空サービス分野における自給自足と運用効率の達成を目指すより広範な目標を支えるものである。
 同省によると、政府は計画実施を加速するために専用AMOゾーンを準備中である。これらの拠点は、シンガポールのセレター航空宇宙パーク、マレーシアのスバン航空宇宙パーク、タイのドンムアン、ベトナムのウタパオといった地域航空クラスターに対抗する構想である。
 インドネシアはマレーシアのスバンモデルを採用する可能性が高いという。スバンは首相により特別経済区に指定され、投資家を誘致し航空機整備セクターを統合する取り組みが進められている。

 

 

政府は住宅購入者向けの完全な付加価値税優遇措置を2027年まで延長(10月15日)

 インドネシア政府は、不動産市場の成長と家計の購買力支援を目的として、住宅購入に対する政府全額負担の付加価値税(PPN DTP)優遇措置を2027年12月31日まで正式に延長したと発表した。
 同措置は当初2025年末まで適用される予定だったが、その後は2026年12月31日までに延長され、そしてさらに1年間延長される。
 財務省は近く、2027年末までの延長を正式化する新たな財務省規則(PMK)を公布する予定である。この延長により年間約4万戸の住宅が恩恵を受ける見込みで、国民経済への強い波及効果で知られる不動産セクターに大きな後押しをもたらすことが期待される。
 以前の制度では、2025年1月1日から6月30日までの住宅購入に対して100%の付加価値税(VAT)免除を、同年7月1日から12月31日までの購入に対しては50%の免除を適用していた。政府はその後、2025年末まで完全免税を維持することを決定した。
 この優遇措置の対象となるのは、価格が50億ルピア(約30万米ドル)以下の戸建て住宅またはマンションを購入する者であり、最大課税標準額(DPP)20億ルピアまでが消費税割引の対象となる。

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