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ベトナムのビジネスニュース:2025年10月後半


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Viettelがラオスで物流事業「Unitel Logistics」を立ち上げ(10月16日)

 Viettel(ベトナムの移動体通信事業者、国防省が所有し運営している国有企業)は、ラオス人民民主共和国で新ブランド「Unitel Logistics」を立ち上げ、物流および国際輸送インフラ分野へ本格参入することを発表した。これにより、同社はグローバルテクノロジー企業としての地位確立を目指す。
 Unitel Logisticsは、Viettel Post(ラオス法人Viettel Post Lao)とUnitelの協業によって設立され、物流、倉庫管理、国際複合輸送、越境ECを主要事業とし、デジタル技術を全面的に導入した統合型物流サービスを提供する。10月8日には両社間で輸送サービス提携が締結され、ラオス国内物流網の基盤が整備された。
 初期段階では、オドムサイ、ビエンチャン、サワンナケートの3大物流センターと、ベトナム・タイ・中国国境に6カ所の輸出入倉庫を設置し、18省・都市に約1,500拠点を展開する。陸路306ルート、ラオス・中国・タイ間の鉄道や航空輸送も活用し、地域経済圏を直結する多層的な物流ネットワークを構築する。
 Unitel Logisticsは2025~2033年に年平均32%の成長を目指し、ラオスの物流コストをGDP比15%まで削減、約3万人の雇用創出を見込んでいる。地方部までインフラを拡充させ、持続可能でスマートな物流エコシステムの形成を進めるとしている。
 同事業は、両国の政府・国防省間の協力を象徴するものであり、Viettelの事業領域を通信から物流インフラへと拡大させる新たな転換点となる。2025年末にベトナム・ブンアン港第3埠頭が稼働すれば、Unitel Logisticsはインドシナ商流をつなぐ中核拠点として、ラオスの海上輸出ルート開拓と地域経済統合を後押しすると期待されている。

 

 

フックシンが工場温室効果ガスインベントリでISO 認証を取得(10月16日)

 フックシン(Phuc Sinh Group:ベトナムの農産物輸出大手)は、TÜV NORD(国際認証機関)より工場システム全体でISO 認証(14064-1:2018=温室効果ガスインベントリに関する国際規格)を取得したと発表した。
 この認証は、政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル(Net Zero)」目標達成に向けた重要な一歩であり、同社が国内農業におけるESG先導企業として、温室効果ガス排出量を科学的かつ透明に算定を行った初の事例となる。
 同社が取得したISO 14064-1認証は環境責任を証明するものであり、今後は『ゼロエミッションコーヒー生産』やカーボンクレジット取得を目指し、2030年までに段階的なCO₂削減を実施、2050年までにNet Zero達成を目標とするロードマップを策定するとしている。
 また同社は、再生可能エネルギーへの投資、製造工程の最適化、Rainforest Alliance認証農園との協働を進め、持続可能なコーヒー・胡椒サプライチェーンの構築を進めており、ベトナム農業の脱炭素化を先導するモデルケースとされている。

 

 

Škoda Autoがベトナムを東南アジアへの進出拠点として本格化(10月19日)

 Škoda Auto(チェコの自動車メーカー)は、ベトナム市場を東南アジア展開のハブとする長期戦略を本格化している。
 Thanh Cong Group(ベトナムの大手自動車・工業グループ)との合弁によりクアンニン省に建設した完成車組立工場は、生産能力12万台/年という大規模な生産体制を整備している。この規模は国内需要を大きく上回っており、ベトナムを足掛かりとしてASEAN市場への輸出拠点化を狙う動きが明確になっている。
 Škodaがベトナムを選んだ背景には、市場潜在力、地理的優位性、伝統的な二国間関係という3つの要因がある。まず市場潜在力について、ベトナムは人口1億人超かつ、モータリゼーションの進展が始まったばかりで成長余地が大きい。次に、同国は自由貿易協定(FTA)による関税優遇やインド製部品を活用したCKD方式(現地組立)によるコスト競争力が高いことから地理的優位性がある。そして、ベトナムはチェコと歴史的にも友好関係が続いておりや在チェコベトナム人コミュニティの存在がある。
 一方で、日本勢を中心とする強力な競合ブランドや現地メーカーVinFastとの競争が大きな課題とされ、ASEAN域内での関税優遇を得るための部品現地化率の引き上げとサプライチェーン構築、販売網の整備が必要不可欠とされる。
 これに対して、Škodaは小型SUVなどASEAN向けモデルの輸出・販売網整備・価格戦略の最適化を進め、東南アジア市場での存在感を高める方針である。将来的には、親会社Volkswagen Group全体の進出基盤としての役割も期待されている。

テイニン省が東南アジアのハイテク農業ハブを目指す(10月20日)

 テイニン省人民委員会は、De Heus(オランダの農業大手)とフンニョン(Hùng Nhơn:ベトナムのハイテク農業企業)との間で、総投資額1兆ドン規模のハイテク農業プロジェクト群の共同開発計画を発表した。
 同計画は、2025~2030年に12件の農業技術プロジェクトを段階的に展開し、原料供給地、種畜生産、畜産、食品加工、輸出までを一体化したクローズド・エコシステム型農業モデルを構築するものである。完成後は年間約20億米ドルの経済貢献が見込まれ、テイニン省を東南アジアのハイテク農業ハブに押し上げることが期待されている。
 フンニョンは、De Heusとの提携により、残留農薬やカビ毒を徹底管理した安全な飼料生産と、国際基準に沿った遺伝的安定性の高い種豚・家禽の供給体制を確立する方針で、ハラール市場への輸出拡大も視野に入れる。両社は、自動化飼育システムや環境処理設備を備えた完全密閉型畜産施設を導入し、コスト削減と感染症リスクの最小化を図る。また、早期に稼働予定のトランバン食肉加工工場を中心に、サプライチェーン全体の競争力を高める計画である。
 テイニン省を中心に、De Heusとフンニョンはベトナム西原高原地帯(ラムドン省、ダクラク省、ザライ省)にも同様のプロジェクトを展開しており、2026年初頭にはザライ工場の稼働が予定されている。
 今回の協議は、政府・企業連携(PPP)による持続可能な農業エコシステム構築の試金石であり、テイニン省は国際競争力を持つ“スマートアグリカルチャー拠点”として台頭することが期待されている。

 

 

VNPTがフィンランド企業と提携しデジタルインフラ開発を強化(10月22日)

 VNPT(ベトナム郵便通信グループ)は、Nokia(フィンランドの大手通信企業)およびF-Secure(フィンランドのサイバーセキュリティ企業)と提携し、デジタルインフラおよびセキュリティ分野の協力を発表した。
 VNPTはNokiaと2025~2026年にかけてハノイ、国境地域、南部を中心にモバイルアクセスネットワークを強化する契約を締結した。両社は重点経済地域での通信品質向上を進め、政府が掲げる国家デジタルインフラ整備・DX推進を図る。Nokiaは4G・5Gの標準策定を主導するフィンランドの通信大手企業であり、ベトナムではこれまでも光ファイバー網、IoT、固定通信などの分野でVNPTと長期的な協力関係を築いてきた。今回の提携により、両社は環境に優しい次世代通信インフラ(5G/6G)開発に向けた戦略的パートナーシップをさらに強化する。
 また、同日にVNPTはF-SecureともMOU(戦略的協力覚書)を締結した。ASEAN地域を視野に、サイバー攻撃・オンライン詐欺対策および人材育成を共同で推進する。両社は、AI・機械学習(ML)を活用した新技術の共同研究、脅威情報の共有、技術者向けトレーニングプログラムなどを展開する予定である。
 さらにVNPTとF-Secureは、F-Secureの先端技術を統合したセキュリティサービス「VNPT S-Defender」を発表した。オンライン詐欺やマルウェア検知サービスを提供し、個人から企業ユーザーまで幅広い層の安全性向上を目指す。VNPTは今後も、電子商取引や電子政府など国家の主要デジタルサービス基盤を支え、ASEAN地域で安全かつ信頼性の高いデジタル経済を実現し、同地域でのサイバーセキュリティ連携の中核を担う方針であるとしている。

ティエンフォンプラスチックが2025年第3四半期の連結決算を発表(10月23日)

 ティエンフォンプラスチック(Nhựa Tiền Phong)は、2025年第3四半期の連結決算を発表し、9か月累計の税引後利益が7,900億ドンに達したことを発表した。前年同期比52.2%増となり、税引前利益は9,489億ドンで計画の110.9%を達成した。
 同社は、業績拡大の要因として、販売拡大と原材料価格の下落、資金運用最適化による財務収益の増加を挙げている。生産規模の拡大に加え、建設用プラスチックや包装材の販売強化、輸出市場の拡充が好業績を後押しした。
 さらに同社は2025年、中国・北京で開催されたGPEA 2025(アジア太平洋国際品質賞)において、ベトナムの建設用プラスチック企業として唯一「World Class」部門を受賞した。
 同社はISO 14000:2015およびISO 50001を導入し、生産効率・エネルギー効率の向上と環境負荷の低減を推進している。さらに日本のセキスイケミカルやオーストラリアのアイプレックスなどの大手企業と提携し、高級不動産向け「グリーン建築プロジェクト」にも参画している。
 ティエンフォンプラスチックは、「グリーンで持続可能な成長」と「国際競争力強化」を掲げ、世界市場でのベトナムブランドの価値を高め、グローバルブランドへの成長することを目指している。

 

 

日越共同研究チームが農業副産物由来の灰からCO₂吸着材を開発(10月25日)

 ハノイ科学技術大学と日本の九州工業大学の共同研究チームは、バイオマスガス化過程で発生する灰を再利用し、低コストかつ環境負荷の少ないCO2吸着材を開発したことを発表した。同研究は、気候変動と環境汚染が深刻化する中で、廃棄物の再資源化と脱炭素化を両立させる新たな技術として注目されている。
 ベトナムでは毎年約7,500万トンの農業副産物が発生するが、有効利用されるのは約40%に留まり、多くが焼却・廃棄されている。バイオマスガス化技術はそれらをクリーン燃料に変換する手段として注目されているが、その副産物である灰の処理が新たな環境課題となっていた。
 ハノイ科学技術大学チームは、マカダミア殻やサトウキビ搾りかす由来の灰に注目し、活性化処理を必要とせずに活性炭と同等のCO2吸着性能を持つことを実証した。これらの灰は、表面積が大きく、細孔構造が発達しており、模擬排ガス環境下でも繰り返し使用に耐える安定性を示した。
 さらに、同チームはこの材料をセメント製造に応用することで、灰中のCO2がセメント成分と反応し、製品の強度と密度を高める効果も確認された。これにより、環境負荷の低減と製品品質向上の「一石二鳥」の効果が期待される。
 この研究成果は複数の国際学術誌で発表されており、農業副産物の有効活用とカーボンニュートラル社会の実現に向けた有望な一歩として評価されている。

 

 

ベトナム農業・環境省がドリアン輸出回復に向け検査体制の強化を指示(10月26日)

 ベトナム農業・環境省は、中国市場向けのドリアン輸出停滞を打開するため、検査機関の運営強化と体制見直しを指示した。特にGACC(中国税関総署)に認定された検査室の稼働率を最大化し、検査プロセスの迅速化と精度向上を求めている。
 ドリアンは2024年に輸出額33億米ドルを記録し、ベトナム果実輸出の約46%を占める主力品目となった。しかし2025年初頭、中国の食品安全・トレーサビリティ・重金属残留検査強化により、輸出額は急減し、前年同期比60%減の1億8,300万米ドルに落ち込んだ。検査遅延により物流が滞り、熟度超過で国内処分を余儀なくされる事例も増加している。
 現在、GACC認定の検査室は24箇所あり、1日あたりの処理能力は3,200サンプルであるが、メンテナンスや再認定により実稼働率は低下しており、これらの施設の早期復旧が必要である。特にカドミウム(重金属)や禁止着色料の検査精度強化を重点項目として管理する方針である。
 一方、冷凍・加工ドリアン輸出は好調で、2025年第1四半期には輸出量8,700トン、金額3,100万米ドルと前年同期比60%増を記録した。アメリカ、日本、韓国、UAEなどの新市場開拓も進み、脱・中国依存の動きが加速している。
 農業・環境省によると、現在ベトナムは829の栽培コードと131の包装施設が中国からの承認を受けており、今後さらに認定拡大と検査室の追加認証を目指す。
 同省は地方自治体・企業・協同組合と連携し、検査の迅速化、人材育成、カドミウム抑制栽培の指導を強化するほか、並行してグリーン生産モデルへの転換を加速し、低炭素化を推進、国際市場での持続的な競争力向上を図る方針としている。

PVFCCo-Phu MyがEnfarmと提携し、スマート土壌管理でベトナム農業のデジタル化を加速(10月29日)

 PVFCCo - Phu My(ベトナム石油化学肥料総公社)は、農業分野のデジタル化の第一段階として、Enfarm(アグリテック企業)との協業を開始したことを発表した。今回の取り組みは、スマート土壌測定システムの導入により、データ駆動型の土壌栄養管理を実現し、持続可能な農業発展を促進するための重要なマイルストーンとなる。
 協定に基づき、Enfarmはスマート土壌栄養測定デバイス「Enfarm F」とAPIを提供し、Phu Myアプリへの技術統合を支援する。これにより、圃場で取得した測定データがリアルタイムでシステムに連携され、土壌栄養の集中管理と最適施肥の判断が可能となる。初期段階では、全100台のうち50台のEnfarm Fが引き渡された。
 Enfarm FはIoT技術を活用し、N・P・K・pH・EC・湿度・温度の7項目を迅速に測定できる。データはリアルタイムで処理・送信され、農家や技術者は土壌の“健康状態”を把握し、精度の高い施肥判断が可能となる。また、Enfarm FMプラットフォームにより、全デバイスの稼働状況を一元監視・分析できる。
 Phy Myは、これらの測定機器を農家・協同組合・大規模農場に無償提供し、操作研修なども実施する。研修では、機器の使い方に加え、データ分析や栽培プロセスへの応用も指導し、農家自身がデジタル技術を使いこなせるよう支援する。
 同プロジェクトの中核は、「土壌データを可視化し、科学的根拠に基づく農業管理を実現すること」にある。これにより、肥料使用量の最適化、コスト削減、環境負荷低減が期待される。さらに、同取り組みはPhu Myのデジタル施肥戦略「FerRIGHT」を支える基盤にもなる。
 同社は今後も、国営肥料ブランドとして、「データを価値に、テクノロジーを生産性に」という理念のもと、Enfarmとともにベトナム農業のスマート化とデジタルエコシステムの構築を推進していくとしている。

 

 

Vinamilkがデジタル変革と店舗網拡大で売上高1兆6,968億ドンを達成(10月31日)

 Vinamilk(ベトナム最大の乳業企業)は、2025年第3四半期の連結売上高が1兆6,968億ドンとなり、前年同期比9.1%増を達成したと発表した。9か月累計では4兆6,678億ドンで、前年同期比0.7%増となった。国内外事業ともに成長を維持し、同社のデジタル改革とブランド刷新戦略の成果が明確に現れた。
 国内市場の売上は前年同期比4.4%増の1兆3,494億ドンで全体の約8割を占め、ECチャネルの拡大、店舗のブランドデザインの刷新、新製品投入、効果的なマーケティング施策が成長を牽引した。一方、海外売上は32.6%増の3,459億ドンと大幅な伸びを示し、アジア・アフリカ市場での好調な販売が寄与した。
 VinamilkはAIを活用した配送画像自動検証システムを導入し、数十万件/日の画像を数分で処理することが可能となった。これにより、物流精度とスピードが大幅に向上し、年間300万米ドルのコスト削減効果が見込まれる。また、全国の店舗を新ブランドデザインに統一し、オンラインとオフラインを融合した「OMOモデル(Online-Merge-Offline)」で消費者接点を最適化した。
 さらに、Vinamilkは黒ごま豆乳・オートミルク・発酵飲料「HayDay Kombucha」など新商品を投入し、特にHayDayは6か月発酵+炭酸入りという独自仕様で市場差別化を図った。これらの成果により、VinamilkはBrand Finance(世界ブランド格付機関)の「Brand Strength Index」評価でAAA++(最高位)を獲得し、世界乳業ブランドTop3に初選出された。Vinamilkは今後も「Made in Vietnam」ブランドの国際競争力強化と持続的成長を目指すとしている。

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