インドネシアのビジネスニュース:2025年10月後半

2025年第1~3四半期の国内セメント販売量が減少、一方輸出は拡大(10月16日)
インドネシアセメント協会(ASI)が、2025年第3四半期までのセメントの販売量を発表した。
同協会によると、2025年第3四半期までの国内市場におけるセメント販売量は、4,567万トンと前年同期比2.4%減となった。一方、セメントの輸出量は92万トンであり、約17%の増加を示した。半製品であるクリンカーの輸出も約20%増加した。
セメントの主要輸出先は東ティモールとオーストラリアであり、クリンカーの最大の輸出先はバングラデシュ、台湾、およびオーストラリアである。ただし、輸出量は国内市場へのセメント販売量と比べて小さいため、輸出量の急増は国内セメント産業全体を押し上げるには至っていない。
同協会は国内セメント販売が減少している要因として、第一に昨年と比べて経済状況が弱含みであることをあげている。第二に、予算削減によりインフラプロジェクトが鈍化していること。また、同協会によると国内セメント産業が活性化すると期待されていた政府の「300万戸住宅プログラム」の実施状況の不明確さをあげている。
こうした状況を踏まえ、同協会は、2025年通年の売上高が前年比で約1.5%~1.9%減少する可能性があると推定している。
エネルギー鉱物資源省がボーキサイトの川下化を推進(10月16日)
エネルギー鉱物資源省(ESDM)は、鉱物資源セクターにおいて、ボーキサイトの川下化を推進していることを発表した。
ボーキサイトは政府の川下化政策における主要製品の一つであり、ボーキサイトの投資拡大に向けた取り組みの一環として鉱石形態での輸出は2023年から禁止されている。
政府は鉱物資源の川下化政策に特化した投資額の年間目標を80億米ドル(約132兆6700億ルピア相当)に設定しており、2025年の1月から8月までの投資実績は約30億~40億米ドルである。
一方、ボーキサイトの川下製品であるアルミニウムのインドネシアにおける年間需要量は100万トンであるが、インドネシア国内のアルミニウム生産量は年間約25万トンから30万トンであり、需要が国内生産量を上回っている状況にある。
こうした国内需要が高いにもかかわらず、ボーキサイトの中間工程への投資は依然として停滞している。同省によると、2025年初頭時点でインドネシアにおけるボーキサイト製錬所の建設進捗率が60%に達していないプロジェクトが7件存在するという。それらのプロジェクトの大部分は資金調達上の障壁に直面しており、処理施設の建設を進めるための資金を確保できていないと見込まれている。
インドネシアにおける2025年1~9月の投資額が前年同期比13.7%増加(10月17日)
インドネシア政府は、今年9月までに国内外からの投資額が1,434兆3,000億ルピア(約865億ドル相当)になったと発表した。この金額は前年同期比13.7%増を示しており、2025年度通期投資目標額である約1,905兆6,000億ルピアの75.3%に達している。
内訳として、国内投資が引き続き牽引しており、約789兆7,000億ルピア(前年同期比約55.1%)である。
一方、外国からの直接投資(FDI)額は644兆6,000億ルピア(約389億米ドル相当)である。外国からの直接投資(FDI)額上位5カ国のランキングは上半期統計から変わらず、シンガポールが126億米ドルと最大の投資元である。次いで香港(73億米ドル)、中国(54億米ドル)、マレーシア(27億米ドル)、日本(23億米ドル)が続いた。
なお、中央統計局のデータによると、インドネシア列島全体における投資は、近年、より均衡の取れた状態となっている。国内で最も人口の多いジャワ島には692兆5,000億ルピアが投資され、ジャワ島以外の地域への投資額は約741兆8,000億ルピアとなり、総投資額の51.7%を占めている。
ASAKIが2025年第3四半期までにセラミック生産量を3億3,500万㎡に増加させる見込み(10月19日)
インドネシアセラミック産業協会(ASAKI)は、2025年1月~9月期のセラミック生産量が前年同期比で約8%増加となる3億3,000万m²~3億3,500万㎡に達する見込みであることを発表した。
生産量の増加は、2025年1~9月の稼働率向上と連動している。セラミック産業の稼働率は2024年の63%から、2025年第3四半期までに約72%まで上昇した。四半期ベースの稼働率では、2025年上半期の71%から1%上昇した。
同協会によると、国内セラミック産業の稼働率と生産量を引き上げた主な要因は政府の不動産セクター政策である。具体的には、政府負担付付加価値税の優遇措置延長、建設業者や建材事業者向けの国民事業融資、35万戸を対象とした住宅融資流動化施設(FLPP)プログラムなど、様々な施策が挙げられる。
さらに、輸入製品の流入を抑制する政策も追い風となっている。これにより特に中国からの輸入セラミック製品の代替が行われた。
一方で、同協会は、設備の稼働率と生産量は上昇しているものの、この実績がまだ最適ではないと指摘し、国内セラミックス産業が直面するいくつかの課題をあげている。
運営面においては、産業用ガス供給の最適化と特定天然ガス価格(HGBT)の活用が今年度も不十分であったことを課題としている。また、原料である粘土や長石の供給元が一か所に集中している点も課題として挙げている。
また、ビジネス面の課題としては、複数の国からのセラミック輸入量の急増をあげている。これまでに集計したデータによると、マレーシア、ベトナム、インドからのセラミック輸入量はそれぞれ前年比で約170%、130%、120%急増している。この輸入量の急増に関して、同協会は中国からの輸入品における貨物の積み替え(トランシップメント)の可能性があると推測している。
同協会では、これらの課題が克服できれば、国内セラミック産業の稼働率は80%を超える可能性があると見ている。
10月下旬から輸入綿糸にセーフガード関税が導入(10月21日)
インドネシア政府は綿糸製品の輸入に対するセーフガード関税(BMTP)を正式に発動したと発表した。この政策は、当該製品の輸入急増が国内産業に深刻な損害をもたらしていると判断したためである。
同規則は、2025年10月20日に公布された財務大臣令(PMK)第67号に規定されている。同令は公布後10日目に発効するため、2025年10月末に適用が開始される。
同令においてBMTP関税は3年間適用し、段階的に引き下げることを定めている。具体的には第1年次:1キログラム当たり7,500ルピア、第2年次:1キログラム当たり7,388ルピア、第3年次:1キログラム当たり7,277ルピアである。
この安全保障関税は、一般関税(最恵国待遇/MFN)および国際貿易協定を通じて付与される特恵関税に追加されるものである。すべての国に適用されるものの、政府は世界貿易機関の加盟国である120の開発途上国をBMTPの適用対象から除外している。適用対象除外国にはバングラデシュ、メキシコ、ケニア、タイ、パキスタン、フィリピンなどが含まれている。
なお、この免除措置を受けるために、輸入業者は原産地証明書(COO)を提出し、当該製品が国際貿易規則に基づく原産地要件を満たしていることを確認する必要がある。
Future Energy Globalがバリ島の130メガワット太陽光発電プロジェクトにおいて中国企業2社と提携(10月22日)
再生可能エネルギー開発企業であるFutura Energi Global社(FUTR)は、中国の浙江艾能聚光伏科技(Zhejiang Energy PV-Tech)およびHypec International社の2社と提携し、バリ島に130メガワットの太陽光発電所を開発する契約を締結したと発表した。
同プロジェクトは段階的に実施され、現在、同社はバリ州政府と連携し、空間計画と太陽光ポテンシャルに基づき候補地を選定している。一方で、浙江艾能聚光伏科技は資金面での支援を提供し、HypecがEPC請負業者として参画する。両社ともインドネシアを含む太陽光発電プロジェクトで実績を有している。
同社は発電所の運営・保守を統括する子会社を設立する計画であり、2026年前半までに書類作成、フィジビリティスタディ、ライセンス取得を完了する予定としている。
Telin、DEC、ITCOがICE II海底ケーブルインフラ開発に向けたMoUを締結(10月28日)
国営の通信企業であるTelkom Indonesia社は、子会社のTelekomunikasi Indonesia International(Telin)を通じて、マレーシアの通信企業 Sarawak Digital Economy Corporation(SDEC)およびITCO Niaga社 (ITCO)と、インドネシア・ケーブル・エクスプレスII(ICE II)海底ケーブルシステムの計画・開発に関する覚書を締結したと発表した。
ICE IIシステムとは、シンガポールからスラウェシ島のマナドまでを結ぶ高容量の統合型海底光ファイバーケーブルネットワークであり、同時に北アジアおよびアメリカへの接続経路を提供するように設計されている。
同システムはまた、バタム、ジャカルタ、スラバヤ、マカッサルといった戦略的拠点や、バリクパパン、クチン(サラワク)、タワウ(サバ)を経由したカリマンタン地域を結ぶ主要な分岐点を複数備える予定である。
同社によると、このプロジェクトは各地域のデータセンター(DC)間の高速伝送容量に対する需要増加に対応するために設計された。これにはサラワクのデータセンターとシンガポールを結ぶことも含まれる。また、マナド経由の東インドネシア新ルートを導入することで、南シナ海の混雑したルートを回避し、東南アジアのデジタルインフラのレジリエンスを強化することが期待されている。
メニコンがインドネシアのコンタクトレンズ小売市場に参入(10月28日)
日本のコンタクトレンズメーカーであるメニコングループは、インドネシアにおける小売事業を拡大することを発表した。
同社はこれまで病院や眼科クリニック向けのハードレンズ製品を通じたビジネス to ビジネス(B2B)市場に注力してきたが、今回は使い捨てコンタクトレンズ「Miru」ブランドの発売により、ビジネス to コンシューマー(B2C)市場への参入を開始した。
同社は、インドネシアにおける販売代理店としてオキュラス・インドネシア社と提携し、これまでB2B事業を通じて、7~18歳の子供を対象に、スマートフォンの使用による近視進行を遅らせるための睡眠用ハードレンズ「オルソケラトロジーレンズ」を提供してきた。一方、使い捨てコンタクトレンズ「Miru」の発売は、2016年にシンガポールでメニコングループが実施した「Miru Flat Pack」の成功を受けたものである。
同社は、インドネシアにおけるコンタクトレンズ市場の潜在力が非常に大きいと評価しており、特に中高所得層が重要なセグメントとなっている。現在、インドネシアの高所得層の人口は約1~12%(約500万~600万人)を占め、中所得層は15~20%(約5,000万人)である。同社は高所得層において5~10%、中所得層では5%の市場シェア獲得を目指すとしている。

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