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ベトナムのビジネスニュース:2025年11月前半


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農業・環境省がドリアン輸出の検査ボトルネックを解消(11月1日)

 農業・環境省は、ドリアン輸出停滞の原因となっていた検査ボトルネックが解消されたことを発表した。
 テイグェン地域、特に最大産地ダクラク省で一部の検査機関停止により、輸出証明書に必要なカドミウムとイエローOの分析が滞り、企業の通関手続きが遅れる事態が発生していた。これに対し、農業・環境省は地方政府と連携し、検査状況の精査、能力確認、データ整合性の徹底を指示した。24ヵ所のGACC認定検査室は3,200件/日の処理能力を持っており、停止中の施設が再稼働したことにより1週間で通常運転に戻った。主要な国境検問所での通関も安定しており、1日あたり300~400台の輸出車両が処理されている。
 ダクラク省では45,000haの栽培面積のうち26,000haが収穫済みであり、2025年の生産量は39万トンと見込まれる。検査遅延期には一時的に停滞が生じていたが、省は迅速に省政府と中央省庁へ報告し、現在は買取・輸出とも円滑に進んでいる。省内には269の産地コード、40ヵ所の梱包施設が整備され、省と企業の支援により、安定した供給が確保されている。ドリアン協会によれば、10月中旬の検査集中による遅延も、政府の迅速な対応により検査機関が夜間稼働で処理を進め、停滞は解消された。
 農業・環境省は、今後も検査能力の再点検、中国側との調整、地方への技術指導を継続し、「技術的理由で輸出を止めない」方針を強調した。産地150,000ha・年間150万トン超のサプライチェーンを守るため、迅速・正確・法令順守の三原則で対応するとしている。

 

 

ベトナム政府が半導体・ハイテク産業の成長戦略を発表(11月2日)

 ベトナム政府は、半導体およびハイテク産業を国家戦略の中核と位置づけ、同分野の成長が産業用不動産市場を活性化させていることを発表した。2024年のベトナムの半導体産業は売上高182億ドルとなり、2025年以降も世界的なサプライチェーン再編とともに拡大が見込まれている。
 JLLベトナム(不動産サービス大手)によると、製造分野へのFDI(外国直接投資)は2025年1~9月で188億ドルに達し、過去5年間で最高水準となった。投資の質も向上し、従来の組立工程中心から高付加価値工程の設計・R&D分野などへと移行している。
 政府は半導体生産、素材・部品製造、チップ封止・検査などの高付加価値工程への参入を促進し、SamsungのR&D拠点、Amkor(米系半導体パッケージング大手)の工場拡張、さらにViettel(ベトナム大手通信企業)の国内初のチップ工場の建設などを推進している。また、NVIDIA(米AI半導体大手)やQualcomm(米通信半導体大手)がベトナムを戦略拠点としたことも追い風である。今後は、2030年までにチップ生産工場3か所、設計センター300か所、チップ封止拠点20か所を整備する計画である。
 この動きを背景に、ハイテク産業向け産業用不動産の需要が急増している。Savillsベトナム(国際不動産コンサル企業)は、政府がグリーンかつスマートな工業団地を優先整備しており、Intel(米半導体大手)、Hana Micron(韓国半導体パッケージング企業)、NVIDIA、 CT Group(ベトナム総合企業)などの大手がベトナムに進出しているとことをあげている。VSIP Ⅲ(大手工業団地デベロッパーVSIPの最新モデル)などの次世代型工業団地では、電源供給、環境基準、スマート物流の強化が進められており、ベトナムはASEANにおけるハイテク製造と産業用不動産の新拠点としての地位を確立しつつあるとしている。

農業・環境省が農産物高度加工の重要性を強調(11月2日)

 農業・環境省は、農産物の高度加工による価値向上と持続可能な発展の重要性を強調した。収穫したままの農産物は収益性が低く、価格変動の影響を受けやすいため、生産・加工・販売を一体化したモデルが首都農業の方向性として示されている。
 チュオンミー県のティエンシー社は、もやしを原料として活用した自然発酵飲料「Doza Kombucha」を開発し、加工技術導入による付加価値向上を実現した。同社は協同組合と連携して原料供給を安定化し、輸出可能な製品づくりを進めている。
 一方、ハノイ市のソクソン薬草協同組合は、黒豆とゴボウを主原料とする自然発酵の醤油「XD2S」を開発し、無添加・長期保存が可能な商品として国内外市場で評価を高めている。協同組合はHACCP適合の加工設備を整備し、日本・韓国向けの輸出交渉も進めている。
 これらの事例は、企業・協同組合・技術者・農民の四者連携が農産物の価値最大化に寄与することを示している。ハノイでは、協同組合が技術導入、ブランド構築、加工投資の中核となり、生産者の小規模・分散生産を改善しつつ、OCOP製品(ベトナムの「一村一品(One Commune One Product)」運動によって、各地域の資源や文化を活かして開発された地域特産品)や機能性食品、医療・化粧品用途への展開を促進している。ハノイ市は金融支援、技術移転、商流開拓、人材育成を通じて、加工産業の集積化とサプライチェーンの高度化を後押ししている。
 国際基準を満たした加工品は輸出の「パスポート」となり、協同組合は生産組織者であり市場との接続点として、首都農業の持続可能かつ競争力のある農業モデルに成長させる役割があるとしている。

 

 

De Heusが水産飼料工場のASC認証を取得(11月4日)

 De Heus(飼料メーカー、本社オランダ)は、ヴィンロン第4水産飼料工場がASC(Aquaculture Stewardship Council)国際認証を取得したと発表した。これは持続的な水産事業を進める同社にとって重要な節目であり、責任ある生産体制と透明性が高いサプライチェーンを示すものである。
 同社は2011年にベトナムで水産飼料事業を開始し、生産・研究・技術支援体制を拡大してきた。現在は、6工場とグローバルR&Dセンターを保有し、欧州の動物栄養学と現地知見を統合した専用レシピ、厳格な原料管理、国際規格に沿った生産設備を強みに事業を展開している。
 同社はASC基準に基づく複数の水産飼料生産ラインを展開し、エビ、ティラピア、バサなどの各種養殖に対応した飼料を供給している。また、禁止物質不使用、原料管理、生産追跡性・トレーサビリティの確保によってEU・米国・日本などの製品基準が厳格な市場への輸出要件も満たしている。
 さらに、同社は農場向け技術支援、疾病診断、排出量測定などの包括的ソリューションを提供し、養殖現場の効率化と安全性向上に貢献している。カマウ省では、RAS-IMTA(Recirculating Aquaculture System – Integrated Multi-Trophic Aquaculture / 再生式水産養殖システム+多栄養段階統合養殖)を活用した大規模循環型エビ養殖プロジェクトを推進しており、ASC・BAP基準の原料供給地形成を目指している。2025〜2030年に1,000ヘクタール規模へ拡大し、高品質飼料供給、技術サポート、水処理システム導入支援を担う計画である。
 今回の認証は、ベトナム水産業の国際市場へのアクセス拡大にも寄与するものであり、同社は持続可能な水産バリューチェーン構築に引き続き貢献していくとしている。

農業・環境省が農林水産物輸出の10か月累計を発表(11月5日)

 農業・環境省は、2025年10月のベトナム農林水産物の輸出額が59.6億米ドルとなり、前年同月比6.3%増となったことを発表した。これにより、10か月累計の輸出額は581.3億米ドルとなり、前年同期比12.9%増となる。内訳は、農産品313.4億米ドル(15.5%増)、畜産品5.13億米ドル(19%増)、水産品93.1億米ドル(12.9%増)、林産品149.3億米ドル(5.8%増)である。
 地域別では、アジアが輸出全体の44.7%を占め最大市場となり、続いて米州22.7%、欧州13.8%、アフリカ3%、オセアニア1.4%であった。前年比では、欧州37.5%増、アフリカ83.6%増と伸びが顕著であり、その他はアジア4.9%増、米州8.3%増、オセアニア6.8%増であった。国別の輸出比率では、中国21.4%、米国20.4%、日本7%が主要市場であり、前年同期比で中国12%増、米国6.2%増、日本20.4%増となった。
 輸出拡大の背景には、販売価格の上昇があり、コーヒー、カシューナッツ、胡椒の価格上昇が今期の輸出増を牽引した。コーヒーは価格が42.5%上昇し、輸出量130万トン・74.1億米ドル(61.8%増)となった。カシューナッツは624,400トン・42.5億米ドル(18.6%増)、胡椒は輸出量は5.9%減少したものの、価格上昇で14億米ドル(25.8%増)となった。また、果実・野菜は10か月累計で70.9億米ドル(15.1%増)となり、中国向けが62.9%を占めた。
 一方で米の輸出は量・価格とも減少し、平均輸出価格は511米ドル/トン(18.5%減)、10か月累計720万トン・37億米ドと前年同期比で量(6.5%減)、金額(23.8%減)ともに減少となり、市況の厳しさが示されている。

 

 

ベトナム初のワンストップ型内装・建材ソリューションセンター『Mcomplex』が開業(11月7日)

 ベトナム初のワンストップ型内装・建材ソリューションセンター『Mcomplex』が開業した。背景には、ベトナムの内装市場が2025年の約96億2,000万USD規模から、2030年に131億4,000万USDへ拡大すると予測される一方、供給網が分断され、消費者が多大な時間と労力を要している現状がある。世界ではホームセンターやRH Gallery(米国家具ブランドのショップ)が成功例として知られ、MComplexはこうした国際潮流を踏まえ、国内で先駆けて統合型モデルを展開した。
 MComplexは総面積12,000㎡超、約200ブランドを集めた国内最大級の内装・建材複合施設である。40の展示ブースと6カテゴリーの商品を揃え、来場者は素材比較から購入、デジタルでの進捗確認まで一括体験できる。
 同施設は消費者向けだけでなく、ブランドのPR・商談拠点としても機能し、展示物や2D・3Dライブラリを通じて建築家・デザイナーの創作環境を支援する。またVNIA(ベトナムインテリア協会)、建築家協会、Vietbuild(建築展示会コミュニティ)、YIDC(若手デザイナーコミュニティ)等との連携を強化し、業界向けイベント(M Expo、M Talk等)を年間400件以上開催する計画である。
 今後は企業・建築家・デザイナー向け協業制度を整備し、持続可能な業界エコシステムの構築を目指すとしている。

 

 

PetrovietnamがBK-24油井プラットフォーム竣工と戦略協力強化を発表(11月8日)

 Petrovietnam(ベトナム国家エネルギーグループ/国営石油・ガス持株会社)とVietsovpetro(ベトナム・ロシア合弁の油ガス探鉱・採掘企業)は、共同で油井BK-24プラットフォームの竣工を発表した。BK-24はバクホー油田(ロット09-1)の開発計画に基づく無人油井設備であり、9坑井を備え、うち6坑井で採油を行う構成である。
 Vietsovpetroは、掘削船「Cuu Long」を活用して早期掘削に成功し、海上試運転と並行して仕上げ作業を進めた。BK-24は同社が2025年に完成させた2つ目の油田開発案件であり、コスト最適化型の小規模油田開発である。
 Petrovietnamは、ホーチミン市内で20の主要事業を運営し、ガス・肥料・石油製品供給やLNG・LPG基地、港湾インフラ、海上油ガス事業など幅広い産業基盤を形成している。これらは市の工業化・近代化に寄与し、エネルギー供給の安定、科学技術力の向上、雇用創出に貢献している。
 両社は今後の協力重点を次の5分野に整理した。(1)スマートシティ開発におけるエネルギー・DX支援、(2)交通・クリーンエネルギーインフラの高度化、(3)エネルギーおよび石油供給チェーンの強化、(4)海洋技術サービスセンターの形成、(5)環境調和型イノベーションエコシステムの構築である。ホーチミン市は関係部局にPetrovietnamとの連携強化を指示し、Petrovietnamはこれに応え、各協力案件を具体化し、国家エネルギー安全保障と都市経済の持続的発展に貢献する姿勢を示している。

EVN、TKV、東北公社が長期石炭供給協定を締結(11月11日)

 EVN(ベトナム電力公社)は、TKV(石炭・鉱産大手)および東北公社(国防省系石炭供給企業)と、火力発電所向けの長期石炭供給協定を締結したことを発表した。同協定は、電力需要増に対応した安定燃料確保を目的とし、特に重要性が高まるビチュミナス・サブビチュミナス系輸入炭の供給枠組みを明確化したものである。
 協議では数量・品質・供給時期に関する長期コミットメントが精査され、TKVは国内採炭と輸入炭の組み合わせにより、EVNおよび傘下のEVNGENCO1向けに必要量・品質・合法性を担保した安定供給体制を整備する。また、輸入・混炭・物流基盤を整備し計画的に供給できる体制を構築する方針が示された。
 EVNと東北公社間も同様の長期協定が締結され、両者は石炭供給・混炭・保管・輸送・受入の全工程を統括する共同委員会を設置することで合意した。EVNは各発電所の需要・技術条件を迅速に提供し、東北公社は供給準備・輸送計画を主体的に整備する。
 三社は今後、協定の実行を加速し、監視・調整メカニズムを機能させて安定供給を継続する方針としている。

 

 

Xuan ThienがDamenと戦略協力を締結(11月13日)

 Xuan Thien(ベトナムの再生可能エネルギー・重工業グループ)は、Damen(オランダの大手造船企業)と戦略的協力協定を締結したことを発表した。同協定により両社は、ベトナムにおける次世代型造船所と深水港を中核とする「グリーン・マリンエコシステム」の構築に取り組む。
 協定では、Damenの造船技術・港湾運営ノウハウと、Xuan Thienのグリーンスチール供給力を統合させ、環境負荷の低い造船クラスターを形成する。Damenは船舶設計や造船技術を担当し、Xuan Thienはグリーンスチールなど戦略素材を供給することでクリーン生産体制を構築する。また、両社は電動船・再エネ船などゼロエミッション船舶の共同研究開発を進め、国際海運業界の脱炭素トレンドに対応する計画である。これにより、将来的にはベトナム製「グリーンシップ」をグローバル市場へ供給する産業チェーンの確立が期待されている。
 本プロジェクトの中核は、Xuan Thienの「Xuan Thien Nam Dinhグリーンスチール・深水港複合プロジェクト」で、グリーンスチール生産(原材料生産)、造船、港湾運営までの一体型バリューチェーンを構築し、国内外向けの最新鋭造船拠点を形成する。
 Damenはモジュール式造船技術とグローバルネットワークを有し、世界各地で造船所・サービス拠点を運営している。今回の協力を通じて、グローバル基準に沿った「グリーンシップ」の開発・供給を実現する方針であり、両社は、同協定による持続可能な海洋産業エコシステムの確立とベトナム海事産業の国際競争力向上を目指すとしている。

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