インドネシアのビジネスニュース:2025年11月後半

PLNが欧州連合と北スマトラ州と東ジャワ州で揚水式水力発電プロジェクトを推進(11月17日)
国営電力会社のPLN社は、欧州連合(EU)、ドイツ国営金融機関のKfW開発銀行、およびインドネシア政府系金融機関であるSarana Multi Infrastruktur社(SMI)と協力し、北スマトラ州と東ジャワ州における揚水式水力発電プロジェクトに参画したことを発表した。
欧州連合とKfWは、協力の一環として、北スマトラ州シマルンゴンにおける「インドネシア・スマトラ揚水発電プロジェクト」および東ジャワ州パシタンにおける「インドネシア・グリンドゥル揚水発電プロジェクト」の実現可能性調査(フィージビリティ・スタディ)文書の作成支援という形で技術支援を提供する。プロジェクト準備のための資金支援総額は約600万ユーロである。
なお、インドネシア・スマトラ揚水発電プロジェクトは、トバ湖を下池として利用し、上池にはリングダム方式のダムを建設する予定である。プロジェクト投資額は約5億8,200万米ドルである。一方、インドネシア・グリンドゥル揚水発電プロジェクトは、総容量1,000MWの4ユニットを有し、投資額は10億8,000万~13億米ドルと推定される。両プロジェクトは、インドネシアのエネルギー転換プログラムを重点的に支援することを目的とした欧州連合(EU)主導の「チーム・ヨーロッパ」による34億ユーロ規模の資金支援パッケージの一環である。
これらのプロジェクトは、2025-2034年電力供給事業計画(RUPTL)に沿って、PLNの送電網における再生可能エネルギー容量の拡大に重要な役割を果たすことが期待されている。
海事水産省がグローバル基準に準拠した全国水産物トレーサビリティ・物流システムを開発(11月18日)
海事水産省(KKP)は、グローバル・ダイアローグ・オン・シーフード・トレーサビリティ(Global Dialogue on Seafood Traceability /GDST)の基準を満たす「全国水産物トレーサビリティ・ロジスティクス・システム(STELINA)」を開発したことを発表した。
GDSTとは、水産物のトレーサビリティの国際標準をつくるために設立された企業間プラットフォームであり、ここでは、漁獲場所、漁法、船舶許可、水揚げデータ、認証など、トレーサビリティシステムが国際的に認められるために満たすべき重要な情報要素(Key Data Element/KDE)のパラメータとフォーマットが定めらている。
同省によると、STELINAがGDST基準を満たしたことは、インドネシアの水産物製品の国際市場へのアクセスを強化する上で戦略的な一歩となる。これにより、インドネシアはGDSTから世界で初めて政府が運営するグローバル基準の漁業製品トレーサビリティシステムを有する国として正式に認められた。
なお、STELINAを通じて、事業者は生産された魚の原産地、漁獲方法、加工方法を証明することが可能となる。
今後、同省はSTELINAシステムの導入をインドネシアの主要漁業地域に拡大するとともに、同システムの統合を推進し、国産製品の競争力強化を図る予定である。
財務省が来年より最大15%の金輸出関税を導入へ(11月18日)
財務省は、来年より金の輸出に7.5%から15%の輸出税を課す計画を発表した。
金箔、顆粒、インゴット、延べ棒などが課税対象となる見込みである。同措置は、インドネシアが貴金属からより多くの価値を引き出し、金地金銀行を強化するために、国内の金供給を支えることを目的としている。
新たな省令では、金価格が急騰して収入が増加した場合、政府はより高い関税を課す方針である。
関税率は世界金価格または鉱物基準価格に応じて設定される。金価格がトロイオンス当たり2,800米ドルから3,200米ドルの間にある場合、関税率は7.5%から12.5%の範囲に留まる。一方、金価格がトロイオンス当たり3,200ドルを上回った場合、関税は10%~15%に引き上がる可能性がある。この仕組みにより、価格急騰時にインドネシアはより多くの歳入を確保できる。同省はまた、より高度で高付加価値の金製品に対する関税引き下げも検討している。
政府は2026年初頭に同法を成立させ、輸出税を実施する見込みである。
ドイツのボッシュが新モジュラー工場を建設(11月19日)
ドイツのエンジニアリング・テクノロジー企業であるBosch社は、西ジャワ州チカランのデルタマス工業団地に最新のモジュール式工場を建設したと発表した。今回の措置は、生産能力の拡大とインドネシアおよび東南アジア市場における地位の強化を目的とした同社の戦略的取り組みである。
新工場は82,000平方メートルの敷地に建設され、第一段階の建設は2027年第1四半期に完了予定である。初期投資額は約2,500万ユーロを計画している。
新工場はモジュラーコンセプトを採用しており、同社にとって世界初の試みである。このモデルにより、複数の事業部門が同一拠点内で柔軟かつ独立して運営され、リソースを共有しつつも、生産能力の増強や生産ラインの迅速な調整といった機敏性を維持できる。
また、同工場は、チカランにある既存の工場に代わり、自動車部品および電子機器の製造を担うことになる。以前の工場よりも大幅に生産能力が向上したため、電子制御ユニット(ECU)やエンジン冷却ファン(ECF)など、他の製品ラインの生産を開始する予定である。
エネルギー鉱物資源省がレアアース規制を強化、国営企業を優先(11月24日)
エネルギー鉱物資源省は、2025年11月14日に署名されたエネルギー鉱物資源大臣令第18号2025年により、レアアース(希土類元素)管理の規制枠組みを正式に強化したと発表した。同措置は政令第39号/2025年の下位規定であり、戦略的鉱物であるレアアースの採掘管理を詳細に規定するとともに、国営企業への委託の可能性についても定めている。
同規制の主要なポイントの一つは、レアアース資源を対象とした鉱業営業許可区域(WIUP)を決定する仕組みである。政府は地質調査機関を通じて、資源ポテンシャルの調査・研究を実施し、その後WIUPとして設定可能な区域の調査・整理を行う。その後、エネルギー鉱物資源大臣が当該地域を管理可能な区域として指定する権限を有する。
同規制により、国営企業がレアアースの採掘・利用事業を実施することを可能にする。国営企業への業務委託は、国内の戦略的産業(ハイテク産業や電気自動車エコシステムを含む)の発展を優先的に推進する目的で行われる。
また、同政令は、国営企業が満たすべき基準と義務を定めており、これには鉱区の地図の添付、データ情報補償金の支払いを決定後7営業日以内に行うこと、および同期間内に探査のための保証を供託することが含まれる。保証金の額はWIUPの面積に基づいて異なり、40ヘクタールまでの区域では、保証金は5,000万ルピアと設定される。一方、40ヘクタールを超える探査区域では、保証金は1ヘクタールあたり150万ルピアと設定される。
なお、インドネシアには有望な地域が複数存在し、最大の潜在地域はバンカ・ビリトンとスラウェシ、特に西スラウェシ州マムジュに集中している。
規制がより体系化されることで、政府はレアアース金属の管理がより計画的かつ生産的に進み、国内産業の発展に大きく貢献することを期待している。
エネルギー鉱物資源省が未開発の石油・ガス鉱床108カ所をグローバル投資家に提案(11月25日)
エネルギー鉱物資源省は、2029年までに国内エネルギー生産を大幅に増加させる計画の一環として、国内外の投資家向けに108の未開発石油・ガス鉱床を開放すると発表した。
インドネシアは全国で128の炭化水素鉱床を特定しているが、これまでに開発されたのは20鉱床に留まる。政府は探査を加速させ、2029年までに1日当たり100万バレルの石油と120億標準立方フィート(BSCFD)の天然ガスという長年の目標達成を目指して取り組んでいる。
この取り組みを推進するため、政府は今年、地質庁に多額の資金を投入し、高度な地下調査を実施し、新たな探査計画のための技術的基盤を整備している。
同政策推進に伴い、インドネシアの投資規制枠組みも更新された。政府は投資家との透明かつ効率的なパートナーシップ促進を目的として、リスクベース事業許可に関する政令第28/2025号および作業区域共同管理に関するエネルギー省令第14/2025号を公布した。
108の鉱床が開発対象として発表することに加え、同省はスマトラ、カリマンタン、スラウェシ、パプア、および様々な沖合地域において75の石油・ガス鉱区を準備している。このうち、9つの鉱区は既に開発指定を受けており、さらに多くの鉱区が追加されると見込まれている。
一方で、生産能力の拡大は、主要なインフラプロジェクトにも支えられている。これには、輸送パイプラインの開発、工業地帯への配給ネットワーク、製油所のアップグレード、国内貯蔵施設の拡張、ならびに石油・ガス貨物輸送能力の増強が含まれる。
TelkomsatはオーストラリアのMyriotaとインドネシアの衛星IoTサービスを強化(11月26日)
大手通信会社であるTelkom Indonesia社 の子会社で衛星通信サービスを提供するTelkomsat社は、オーストラリアの衛星技術企業のMyriota社と提携し、インドネシアにおける低電力衛星IoTサービスの開発を進める契約を締結したと発表した。
同契約を通じて、Myriotaは静止軌道ネットワークとHyperPulse技術を活用し、低電力衛星接続サービスをインドネシアに導入する。同サービスはMyriotaの低軌道衛星(LEO)ベースのUltraLiteソリューションを補完するとともに、TelkomsatのIoTサービスにおけるマルチ軌道ポートフォリオを強化する。この技術は、海上、石油・ガス、農業、環境監視、災害監視など、地上ネットワークが乏しい地域で安定した接続性を必要とする分野を対象としている。
今後、両社は顧客基盤の構築、市場参入の加速、エコシステムの開発、および技術の現地化推進にも注力するとしている。
インドネシアがTCTPプログラムを通じて中国から22億米ドルの投資を獲得(11月27日)
経済調整相によると、インドネシアは「二国二園区(Two Country-Two Park/TCTP)」協力プログラムを通じ、中国から36兆4,000億ルピア(約22億米ドル相当)の投資を獲得した。
TCTP枠組みは、国内の工業団地と戦略的パートナー国の工業団地を連動させることで、グローバルサプライチェーンを強化し、大規模な投資の流れを促進する中国の産業協力モデルである。
同プログラムは16の分野横断的戦略プロジェクト(100万トンの鋼材生産施設、食肉・水産物加工、ニッケル鉄貿易、ハイテク繊維の研究開発、茶・ジャスミン産業の発展、繊維原料の供給、石炭供給契約、ココナッツやドリアンを含む農産物の直接調達など)を網羅している。
なお、投資総額は中部ジャワ州にある500ヘクタールにおよぶバタン工業都市特別経済区(SEZ)に全額投入される。同経済区は、大規模な統合型産業エコシステムとなることが見込まれている。
また、バタン以外にも、TCTPパートナーシップはインドネシア・リアウ諸島のビンタン工業地域と中国福建省を結びつける予定である。

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