ベトナムのビジネスニュース:2026年2月後半

KIM LONG MOTORがAOJと戦略提携を締結(2月15日)
KIM LONG MOTOR(ベトナムの自動車メーカー)は、AOJ(中国の自動車設計・エンジニアリング企業)と戦略的提携を締結したと発表した。
この提携は、電動化・スマート化が進む自動車産業において、製品開発の加速や生産エコシステムの構築、地域バリューチェーンへの参入強化を目的としている。
両社は、研究開発(R&D)、生産、サプライチェーン構築を中心に協業し、バス、バン、トラックなどの商用車およびアルミボディ車両プラットフォームの開発を推進する。AOJトーチョウは製品企画、設計、技術開発、試験、量産支援までを一貫して担い、KIM LONG MOTORは生産能力や販売ネットワーク、市場知見を活用する。また、部品の現地化(ローカライゼーション)とサプライチェーン構築を進めることで、開発期間の短縮、コスト最適化、投資効率の向上を図る。
中長期的には、ベトナムにAOJ技術センターを設立し、将来的には共同研究開発機関の設立も視野に入れる。これにより、技術開発、人材育成、製品高度化を進め、自動車産業の自立化と競争力強化を目指す。
同提携は、KIM LONG MOTORブランドの競争力向上と東南アジア市場での地位確立に寄与するとともに、ベトナム自動車産業の高度化を促進するものと位置付けられている。
Vietnam AirlinesがBoeing 737-8を50機導入契約を締結(2月19日)
Vietnam Airlines(ベトナム国営航空会社)は、Boeing(米国の航空機メーカー)とBoeing 737-8を50機購入する契約を締結したと発表した。契約額は約81億ドルであり、2030年から2032年にかけて順次受領する計画である。これにより、2030年までに機材規模は約151機へ拡大する見込みであり、特に単通路機の強化によって運航効率の向上を図る。
同機材は主に国内線およびアジア域内路線に投入され、需要拡大への対応とコスト最適化を実現する。Vietnam Airlinesは今後5年間で二桁成長を維持し、旅客数1億6,800万人、貨物2.25百万トンを目指す。また、同社はBoeingと広胴機30機の追加投資についても協議を進めており、国際線ネットワーク拡大を視野に入れる。
Boeing 737-8(737 MAXシリーズ)は最大約200席、航続距離約6,570kmを有し、従来機比で約20%の燃費改善および年間約3,600トンのCO2排出削減が可能である。
今回の投資は、機材の近代化、サービス品質向上、環境負荷低減を同時に実現するものであり、同社の5つ星航空会社への成長戦略を支える。さらに、同社はUS EXIM Bank(米国輸出入銀行)やCitiBank(米国の大手商業銀行)などと連携し資金調達を進めるとともに、今後の広胴機導入も含めた長期的な機材戦略を検討している。これにより、アジア太平洋地域における航空需要の拡大を取り込み、グローバル市場での競争力強化を図る。
Tam Anh病院が米Mevion製の最新陽子線治療装置を導入(2月19日)
Tam Anh病院(ベトナムの民間医療グループ)は、Mevion(米国の医療機器メーカー)と最新の陽子線治療装置「Proton Mevion S250-FIT」の導入および技術移転契約を締結したと発表した。契約額は約2,000億ドン規模である。同装置はがん治療における先進的な放射線治療技術である陽子線治療を用いるシステムである。
同装置は2025年10月にFDA(米国食品医薬品局:医療機器・医薬品の規制当局)の承認を取得し、スタンフォード大学病院(米国の先進医療機関)が初導入している。新型システムは従来機に比べて小型化され、設置・稼働までの期間短縮が可能であり、先進医療へのアクセス向上に寄与する。
技術面では、AIによる高精度な腫瘍位置解析により、「高精度・高安全性」の治療を実現する。特に脳、脊髄、肺、肝臓などの複雑部位の腫瘍に対し、正常組織への影響を最小限に抑えつつ高い治療効果を発揮する。
今回の導入により、ベトナムはMevionの先進がん治療ネットワークに参画し、国内患者に対する治療水準の向上に加え、医療ツーリズムの発展にも寄与する見込みである。
同件は、ベトナム医療分野における先端技術導入の象徴的な事例であり、がん治療の高度化と国際競争力の強化に向けた重要な一歩であるとしている。
Hoa Phat Groupが2万5,000トンの鉄鋼販売を記録(2月24日)
Hoa Phat Group(ベトナム最大の鉄鋼メーカー)は、建設用鋼材や高品質鋼、鋼管の販売量が2万5,000トンに達したと発表した。この実績は高い水準にあり、2026年の鉄鋼需要の拡大と業界成長を示している。
この背景には、2030年までに工業化・インフラ高度化を目指す国家方針がある。これに基づき、高速道路、空港、都市鉄道、住宅開発などの大型公共投資が全国で加速しており、建設用鋼材の需要が大きく伸びている。
こうした需要に対応するため、同社は統合型製鉄所を24時間体制で稼働させ、生産能力の最大活用を進めている。2026年は鉄鋼需要の大幅な成長が見込まれており、同社のDung Quat製鉄所(中部の大型製鉄拠点)は年間1,200万トンのフル稼働に達する計画である。
さらに、Hoa Phat Groupは2026年末までに年間生産能力1,600万トン規模へ拡大し、その約60%を機械、鉄道、自動車、造船、エネルギー分野向けの高機能鋼材とする方針としている。
ベトナム輸出入統計機関が茶輸出の大幅増加を発表(2月24日)
ベトナム輸出入統計機関は、2026年1月の茶輸出が前年同期比で数量28%増、金額27%増となったことを発表した。
輸出量は約1万2,390トン、輸出額は約2,100万ドルに達し、農産物貿易が不安定な中でも底堅い成長を示した。輸出先別では、ロシア、インド、ポーランド向けが増加した。また、フィリピン向けは数量で約545%増、金額で約312%増と大幅に拡大した。一方で、主要市場だったパキスタン向けは大きく減少し、市場構造の変化が進んでいる。
こうした動きは、特定市場への依存からの脱却と、新興市場や高付加価値市場へのシフトを反映するものである。各国で食品安全やトレーサビリティ、環境基準が強化される中、業界は「原料販売」から「価値販売」への転換を迫られている。
このため、業界では有機栽培やブランド化、深加工の取り組みが進展している。例えば、高地産の在来種「Shan Tuyet茶」など高付加価値商品の展開や、Vinatea(ベトナム国営茶企業)による品質認証に基づく原料管理、ティーバッグやインスタント茶の開発強化が進められている。
今後は、加工品の拡充により欧州、北米、中東などの高規格市場への参入拡大が期待される。健康志向や持続可能性への関心の高まりを背景に、品質やブランド、ストーリー性が競争力の鍵になるとしている。
VPBankSMEが米輸出企業向け金融支援を強化(2月25日)
VPBankSME(ベトナム民間商業銀行VPBankの中小企業向け金融部門)は、米輸出企業への金融支援を強化していると発表した。
2025年のベトナムの米輸出は約789万トン、輸出額は40億ドル超に達し、タイを上回って世界第2位の輸出国となった。平均輸出価格は約511ドル/トンと、高品質米へのシフトが進んでいる。一方で、輸出企業、特に中小企業は、季節的な資金需要の変動やキャッシュフロー管理、信用アクセスの制約といった課題を抱えている。
こうした課題に対応するため、VPBankSMEは調達・加工・輸出に至るバリューチェーン全体を踏まえた金融支援を展開する。具体的には、輸出契約や売掛債権(将来受け取る代金)に基づく融資、信用補完を活用した資金供給などにより、中小企業の資金調達を支援する。
また、収穫期の資金需要に対応して与信枠を拡大するほか、輸出契約前の在庫確保段階での融資や短期の無担保融資も提供する。さらに、市場より1~1.5%低い優遇金利、外貨建て融資、為替ヘッジなどを組み合わせ、資金コストの低減とリスク管理を後押しする。
加えて、財務コンサルティングやキャッシュフロー管理支援も行い、企業の経営安定化と持続的成長を支援し、これにより、米輸出バリューチェーン全体の金融基盤を強化し、ベトナム農業の高付加価値化と国際競争力の向上に寄与するとしている。
VFAが輸出維持に向けた高品質戦略の必要性を指摘(2月26日)
VFA(ベトナム食糧協会)は、フィリピンの輸入抑制を受け、米輸出の維持に向けた高品質化と市場多角化の必要性を示した。
フィリピンは2026年3~4月の輸入量を月15万トン程度に制限する方針であり、従来の平均約40万トンから大幅に減少する。これは国内農家保護を目的とした政策である。同時期はベトナム南部メコンデルタ(主要米生産地域)の収穫期と重なり、供給増加と輸出縮小が重なることで国内価格への下押し圧力が懸念される。一方で、2026年1月の輸出は約60万トン、金額3億7,000万ドルと前年同期比で数量12.4%増、金額16.9%増を記録し、平均輸出価格も616.6ドル/トンと上昇した。市場構成ではフィリピンが依然として最大市場であるが、インドネシア、マレーシア、アフリカ諸国向けも拡大しており、市場分散が進展している。
こうした環境下で、業界は単なる数量競争から品質重視への転換を迫られている。政府は「100万ヘクタール高品質・低排出米プロジェクト」を推進し、生産標準化、コスト削減、環境負荷低減を進めている。また、食品安全、トレーサビリティ、持続可能性といった国際基準への対応が重要性を増しており、日本、シンガポール、カナダなどの高付加価値市場への参入条件となっている。今後は、輸出市場の多角化、サプライチェーン連携強化、ブランド構築を通じて、ベトナム米の競争力向上と持続的成長を図る必要があるとしている。
FPTが国内初の半導体OSAT工場を着工(2月27日)
FPT(ベトナムのIT企業)は、INTECH E&C(ベトナムの建設エンジニアリング企業)と共同で、半導体の検査・パッケージングを担うOSAT工場の建設に着工したと発表した。
このプロジェクトは、2030年までにOSAT工場10拠点の整備を目指すベトナム政府の半導体産業戦略を具体化するもので、国内サプライチェーンの高度化と付加価値向上を狙う。
計画は2段階で進められ、第1期(2026~2027年)には、6ラインのATE(自動試験装置)と信頼性試験設備を導入する。第2期(2028~2030年)には最大24ラインまで拡張し、年間数十億個規模の生産能力を目指す。対象はIoTやAI向け半導体である。
同工場は、ISO 14644-1(クリーンルーム規格)のISOクラス7に準拠し、温度・湿度・圧力・静電気などを厳格に管理する設計となっている。HVAC(空調システム)やMEP(機械・電気・配管)も統合的に構築される。INTECH E&Cはクリーンルームと技術インフラを担当し、BIM(建設デジタル設計手法)を活用して設計段階から設備統合と施工最適化を図る。
同案件は、ベトナム企業が半導体工場の高度インフラ構築を担う事例として、建設分野の技術力向上と産業高度化を示すとともに、ベトナムが半導体バリューチェーンにおける設計・製造能力を段階的に強化していく動きを象徴するとしている。
ベトナム政府がバイオ燃料の生産・利用拡大方針を発表(2月27日)
ベトナム政府は、バイオ燃料の生産・混合・流通・利用を包括的に促進する新たな指示を出したことを発表した。エネルギー安全保障の強化、温室効果ガス削減、持続可能な経済発展の実現を目的に、化石燃料からバイオ燃料への転換を加速する。
これまで一定の導入は進んだものの、バイオ燃料の消費は依然として限定的であり、目標達成には至っていない。今後は、各省庁・地方政府が利用促進策を政策・計画に組み込み、交通、工業、農業分野でのモデル事業を加速させる。また、広報や教育を通じて社会的認知の向上も図る。
ベトナム商工省は、エタノール混合ガソリン(E5、E10)の導入計画を策定し、安定供給体制の構築と純エタノール燃料(E100)の国内生産拡大を推進する。あわせて、技術基準や品質管理、輸入・流通の監視を強化し、価格・税制優遇により企業投資を促進する。
ベトナム財政省は、投資優遇や税制支援を検討し、農業環境省はバイオマス資源の持続可能な供給体制の構築を担う。さらに、科学技術省が品質規格や技術開発を推進し、交通分野ではバイオ燃料利用の実証事業を通じて利用拡大を図る。
加えて、国際協力による技術導入と資金調達、人材育成・研究開発の強化も進める方針である。これによりベトナムは、バイオ燃料産業の育成とエネルギー転換を加速させ、環境保護と経済成長の両立を目指す。
ベトナム商工省輸出入局が2026年の水産輸出拡大見通しを発表(2月28日)
ベトナム商工省輸出入局は、2026年の水産輸出について拡大余地があるとの見通しを発表した。
2026年1月の水産輸出額は約10.1億ドルと、前年同期比で増加した。業界は通年で115億ドル、中長期では160億ドル規模の輸出を目標とする。中でも中国市場が主要な成長ドライバーとなっている。中国税関によれば、2025年の同国の水産輸入額は202.6億ドル(前年比11.5%増)であった。このうちベトナムからの輸入は16億ドル超(同36.6%増)に達し、ロシア、エクアドルに次ぐ第3位の供給国の地位を維持した。中間所得層の拡大やEC普及を背景に、中国の水産需要は引き続き伸長している。
製品別では、冷凍エビ、むきエビ、調理済み製品などの需要が堅調で、付加価値の高い深加工品の拡大が成長ドライバーとなる。また、コールドチェーンや冷蔵倉庫、越境物流の整備も市場浸透を後押ししている。一方で、原料不足や飼料コスト上昇、気候変動への対応に加え、IUU(違法・無報告・無規制漁業)対策、トレーサビリティ、持続可能性基準への適合といった課題も残る。
今後は、中国向け正規輸出の拡大に加え、米国、EU、日本、韓国など既存市場でのシェア維持と輸出先の多角化を進める方針である。品質管理の高度化、サプライチェーンのデジタル化、環境対応、深加工の強化が競争力向上の鍵となる。2026年は、高付加価値化とグリーン成長への転換を進める基盤強化の年と位置付けられている。

03-6459-0162
メールでのお問い合わせ