インドネシア経済ニュース:2026年7月後半

インドネシアが世界人工知能協力機構(WAICO)の創設国に加盟(7月17日)
経済担当調整大臣は、世界の人工知能(AI)ガバナンス策定における役割を強化する取り組みの一環として、インドネシアが世界人工知能協力機構(World Artificial Intelligence Cooperation Organization:WAICO)に創設国として正式に加盟したことを発表した。政府は、この参画により技術移転の促進、投資の誘致、および国内AIエコシステムの強化につながるとしている。
WAICOの加盟国には、アルジェリア、ブラジル、コンゴ、インドネシア、カザフスタン、ケニア、キルギス、中国、マレーシア、オマーン、パキスタン、ロシア、南アフリカ、ウズベキスタン、ベネズエラなどの29カ国が含まれる。
WAICOは、独立した国際法上の法的地位を持つ政府間国際機関としての役割を果たし、民生分野における人工知能の開発に、包摂的かつ非差別的な形で焦点を当てる。また、国際協力のフォーラムとして機能するだけでなく、国連憲章の原則に合致した、包摂的・安全・信頼性・人間中心のAI分野におけるガバナンス、倫理基準、グローバルパートナーシップの策定も行う。
創設加盟国として、インドネシアはWAICOの政策方向性、グローバルガバナンス、組織構造の策定に初期段階から関与する機会を得ることになる。
政府によると、この立場は世界的なAI開発において人間中心のアプローチを維持し、その恩恵が公平に分配されることを確保する上で重要であり、とりわけ、開発途上国が国連の持続可能な開発目標(SDGs)を達成できるよう支援する上で重要であるとしている。
韓国の製薬会社Selatoxがインドネシア食品医薬品監督庁(BPOM)の医薬品適正製造基準(CPOB)を取得(7月22日)
韓国の製薬会社Selatox Bio Pharma社は、インドネシア食品医薬品監督庁(BPOM)から医薬品適正製造基準(CPOB)の認証を正式に取得したと発表した。CPOB認証を得たことに伴い、同社は西ジャワ州チカランに位置するバイオ医薬品製造施設の稼働を開始した。
CPOB認証は、当該企業の製造施設および品質管理システムがBPOMが定めた基準を満たしていることを証明するものである。今回の認証取得により、同社は化粧用バイオ医薬品の製造インフラを強化し、グローバルな製造拠点としての地位を確立するための取り組みを加速させる。
新しく開設された製造施設には、先進技術を導入した生産システム、無菌製造エリア、および製造プロセス全体をカバーする品質管理システムが備わっている。また、取得したCPOB認証により、同施設は原材料の受入、製造工程、試験、配送に至るまで、適正製造規範(GMP)の要件を満たす生産・品質管理体制を確立しているという。
超深海沖合ガス開発プロジェクト(ノースハブ開発プロジェクト)が2028年にガス生産開始を目指す(7月24日)
上流石油・天然ガス事業監督実行機関(SKK Migas)は、マカッサル海峡で進行中の超深海沖合ガス開発プロジェクトである「ノースハブ開発プロジェクト」について、2028年第4四半期に生産開始を目指していることを発表した。
この国家戦略プロジェクトは、1日あたり10億立方フィート(MMSCFD)の天然ガスと、8万バレルのコンデンセートを生産する見込みである。同機関によると、ノースハブ開発プロジェクトによる生産量は、2030年までに1日あたり原油100万バレル、天然ガス120億立方フィートという国家生産目標の達成に向けた重要な柱の一つとなる予定である。
同プロジェクトは、東カリマンタン沖合のマカッサル海峡クタイ盆地にあるゲング・ノース(Geng North)鉱区とゲヘム(Gehem)鉱区の開発を統合する大水深上流天然ガスプロジェクトである。プロジェクトの総投資額は150億ドルであり、そのうち30億ドルが浮体式生産貯蔵積出設備(Floating Production, Storage and Offloading/FPSO)の建造に、120億ドルが鉱区開発の設備投資に割り当てられている。現在、FPSOの建造はファースト・スチール・カットにより建設段階に入っているという。
マツダが4,000億ルピア規模の工場を建設(7月28日)
自動車販売会社のEurokars Motor Indonesia社(EMI)は、インドネシアにおけるマツダ車の組み立て工場の稼働を正式に開始したと発表した。インドネシア国内における組み立て工場の開設は、マツダが同国に製造拠点を確立するための取り組みにおける第一歩となる。
今回マツダは約4,000億ルピアの投資を行い最初の生産を行う。同施設の最初の組立モデルはセミノックダウン(SKD)モデルでマツダCX-30となる。なお約4,000億ルピアの投資は初期投資であり、今後、量産に向けた設備の改善により投資額は増加する可能性があるとしている。
今回稼働した組み立て工場は、マツダ車専用に構築された専用車両組み立て施設である。共有組み立てラインを使用する組み立て施設とは異なり、設備、作業方法、生産プロセスのすべてがマツダ車の特性に合わせて設計されているため、生産の各段階をマツダのグローバル製造基準に基づいて一貫して実行することができる。
同組み立て工場での生産プロセスは、完全ノックダウン(CKD)、部品の受け取りから、倉庫管理システム(WMS)による資材管理、キッティングプロセス、生産順序に応じた各組み立て工場への部品配送に至るまで、すべての段階を1つの標準化されたフローに統合している。
また、生産活動全体は製造実行システム(Assembly Line Control)によって制御されており、すべての部品、プロセス、車両が高度なトレーサビリティを持ってデジタル文書化される。
組み立てプロセス完了後、各車両はボディセッティング、ホイールアライメントから、さまざまな道路状況を再現した専用テストトラックでの動的テスト(様々な路面特性のシミュレート)まで、包括的な品質検証を受ける。その後、水漏れ検査、ボディ下回り検査、最終検査、製品監査を経て、マツダの品質基準を満たしていると確認された上で顧客へ納車される。
なお、同施設は年間1万台の生産能力を有しているという。
中国の重機・建機メーカーXCMGの製造拠点が操業を開始(7月28日)
中国の総合重機・建設機械メーカーであるXCMG(徐工集団 / 徐州建機集団)は、現地法人のXCMGインドネシアを通じて、同社初の海外製造拠点が正式に操業を開始したと発表した。
同工場は、完成品の製造、現地の稼働条件に合わせたカスタマイズ研究開発(R&D)、そしてローカライズされたアフターサービスを一体化させている。この施設により納期の短縮が可能となり、採掘、インフラ建設から工業団地の物流にいたるまで、インドネシアにおける多様なセクターのニーズにより対応できるようになる。
また、今回正式にリリースされた製品である電動ホイールローダー「XC968-EV」には、統合型デュアルモータ駆動システムが搭載されている。同トン級の化石燃料系重機と比較して、運用コストは約78%、メンテナンスコストは約60%削減できる。さらに、1台あたり年間約150トンの二酸化炭素排出量を削減できるため、インドネシアにおけるグリーンマイン(環境に配慮した鉱山)や低炭素型工業団地の開発支援に非常に適している。
同社は「新エネルギー機器への代替」と「循環型経済の開発」の2つの主要方向に注力しており、電動重機を大規模に供給することで、インドネシアにおける低炭素移行を支援する。同時に同社は、中古機器の循環運用システムや部品の再製造も展開し、産業資源の利用効率最大化を目指している。
BUMIの子会社が23億米ドルの石炭川下化事業に着手(7月30日)
鉱業会社のBumi Resources社は、Kaltim Prima Coal(KPC)およびArutmin Indonesia(Arutmin)の二つの子会社を通じて、石炭からメタノールを製造する川下化プロジェクトの開始を発表した。両社は合弁会社のBumi Etam Chemical(BEC)を通じて、同プロジェクトを進める予定である。
これまでは、KPCとArutminはそれぞれ独自に石炭の川下化プロジェクトを展開していた。その後2023年に、両社は石炭の川下化開発を推進する事業体としてBECを設立し、提携することを決定した。KPCとArutminは、それぞれBECの株式の50%を保有している。
BECは計画段階から建設・試運転に至るまで、EPC会社Istana Karang Laut(IKL)およびChina National Chemical Engineering (CNCEC)と連携するとしている。
この国家戦略プロジェクトは東カリマンタン州クタイ・ティムールに位置しており、インドネシアにおける石炭からメタノールを製造する。推定投資額は、2025年に完了した銀行融資可能な実現可能性調査の結果に基づき、約23億米ドルになる。
同施設は93ヘクタールの敷地に建設され、年間200万トンの生産能力を有しており、副産物としてメタノールと硫酸を生産する。次の段階として、同社は生産能力を年間360万トンまで引き上げることを目指している。また、生産原料および発電用として、同施設は年間778万トンの石炭供給を必要としており、3,400 kcal/kg GARの低カロリー炭を加工・処理する予定である。
このプラントで製造されるメタノール製品は、輸入への依存を減らすために国内市場をターゲットとしている。国内のメタノール需要は現在すでに50%(B50)に達しているバイオディーゼル義務化プログラムの実施に伴い、拡大し続けると予測されている。
なお、2025年のメタノール総需要は約190万トンに達した。このうち約130万トンは輸入によって賄われており、その金額は約4億6,000万米ドル(約7.1兆ルピアに相当)である。
同プロジェクトは、2026年8月から2029年にかけて、最終投資決定(FID)から初期操業までのプロセスを進める予定である。2029年に試運転および初期操業を行った後、2030年に本格稼働を目指している。