インドネシア経済ニュース:2026年8月前半

Panasonicが国産部品利用率基準を満たす業務用エアコンを現地生産(8月2日)
PanasonicとインドネシアGobelグループの合弁会社であるPanasonic Gobel Indonesia社は、Panasonic Manufacturing Indonesia社(PMI)の工場にて、業務用エアコンのフロアスタイリング PB5シリーズの現地生産を開始したと発表した。この取り組みは、国内市場のニーズに応えるとともに、国産部品利用率(TKDN)基準を満たした製品を強化することを目的としている。
このエアコンの現地生産は2026年7月より開始されており、41.25%のTKDN認証を取得している。同社は、国内で生産することで、政府機関や法人セクターが、物品・サービスの調達に関する政府の規定を満たした空調設備を取得しやすくすることを目指している。
また、国産化率の向上に加え、同社はPB5シリーズにR32冷媒を採用している。R32はR410A冷媒と比較して地球温暖化係数(GWP)が約67%低く、この冷媒の使用により、商業施設における省エネかつ環境に優しい空調システムへの需要に応えることが期待されている。
インドネシア政府とタイ政府が「インドネシア・タイ戦略的パートナーシップ・ロードマップ 2026–2030」を採択(8月4日)
インドネシア政府とタイ政府は、両国間の貿易額を2030年までに200億米ドルにする目標を掲げ、経済協力を強化することを発表した。
これに伴い、両国は多岐にわたる分野で二国間関係を強化するための指針として「インドネシア・タイ戦略的パートナーシップ・ロードマップ 2026–2030」を採択した。このロードマップは、今年5月にフィリピンのセブで開催されたASEANサミット2026の合間に両首脳が交わした合意のフォローアップであり、2025年からの首脳会談メカニズムを通じて構築されてきたコミットメントを具現化するものである。
経済分野において、インドネシアとタイは投資の拡大、市場アクセスの向上、および事業者間のパートナーシップ強化について合意した。特に、農業技術、物流、食品加工、サプライチェーンの強靭性などを含む食料安全保障の分野において、協力を深化させることを合意した。
両国はまた、インドネシア・タイ関係の歴史において初となる二国間メカニズム「合同貿易委員会(Joint Trade Commission)」を設立し、ビジネス機会の特定や貿易障壁の解消に取り組む。
エネルギー分野において、両国はエネルギー安保を強化し、持続可能なエネルギーへの移行を加速させるため、「インドネシア・タイ・エネルギー・フォーラム」の開催を推進している。
さらに、政府と産業界の連携を通じて、インドネシアとタイは、貿易と投資を促進するための現地通貨取引の活用を含め、デジタル経済分野での協力を強化することにも取り組んでいる。
インドネシアのデータセンター容量が2026年までに600MW近くに達する可能性(8月5日)
インドネシアデータセンター事業者協会(IDPRO)は、国内のデータセンター総容量が2026年末までに増加し続け、600メガワット(MW)近くに達すると予測している。
同協会によると、2026年6月時点でインドネシアのデータセンター施設の容量は約520MWに達しており、IDPROの加盟事業者は、国内のデータセンター容量の80%以上を占めているとされている。
同協会は、年末に向けて国内容量が600MW近くまで増加する可能性があると予測している。この予測の背景には、現在建設、送電開始、および試運転の段階に入っている複数のプロジェクトであるが、その実現は電力供給の準備状況、建設の完了、顧客による容量の消費に左右される。
また、2026年末までのデータセンター業界の展望は、クラウドサービスや人工知能(AI)技術の導入加速によって牽引される見通しである。さらに、政府サービスのデジタル化、銀行セクター、Eコマース、電気通信、情報システムのセキュリティや耐性の強化に向けた企業のニーズの高まりも、業界成長を推進する要因となっている。
同協会は、中期的には2029年までにインドネシアのデータセンター容量が約1.41GWに達する可能性があると予測し、この予測は国内のデータセンター業界における成長の余地が大きいことを示している。しかし、容量拡大の実現には、政策の支援、エネルギーの可用性、接続性、そして持続可能な投資が必要である。
一方で、同協会はデータセンター業界の課題として、大規模な電力供給の確保、電力接続の時期の確実性、再生可能エネルギーへのアクセス、多くの機関が関与する許認可プロセス、専門人材の不足などをあげている。
インドネシアのQRISデジタル決済が2026年上半期に100%急増(8月6日)
インドネシア銀行は、国内共通QRコード決済システム「QRIS」を介した取引数が2026年上半期に前年同期比100%増の125億5,000万件に達したことを発表した。
取引金額は前年同期比89.52%増の600兆6,900億ルピア(約335億米ドル相当)となり、スマートフォンベースのデジタル決済が消費者間で定着している状況を反映している。
また、6月末時点で、同決済システムの利用者は約6,600万人、導入加盟店は全国で4,486万店に達している。同行は、2026年末までに利用者数7,000万人、加盟店数4,700万店、年間取引数170億件の達成を目指している。最初の6か月で取引数がすでに125億5,000万件に達しており、年間目標の約4分の3を達成したことになる。
同システムは金融包摂(ファイナンシャル・インクルージョン)の推進にも寄与しており、特にこれまで電子決済インフラにアクセスできなかった中小企業の間で広がっている。現在では、印刷されたQRコードを用意するだけで、小規模事業者であっても多種多様な銀行やデジタルウォレットからの支払いに対応できるようになる。
なお、QRISのエコシステムには現在、96の銀行、60の非銀行金融機関、4つの決済スイッチャー事業者が参加しており、インドネシアのデジタル決済ネットワークにおける相互運用性の高まりを示している。
海洋水産省がカーボンクレジットの管理・提供を行うルビコン・カーボンと投資パートナーシップを締結(8月7日)
海洋水産省は、米国の資産運用会社TPG Inc.傘下の気候基金「Rise Climate」の支援を受けるカーボンクレジットの管理・提供を行う会社ルビコン・カーボン(Rubicon Carbon)と、国内のカーボンクレジット事業を展開するために投資パートナーシップを締結したと発表した。この取り組みは、政府が国内のカーボンクレジット市場の発展を加速させると同時に、他国とのカーボンクレジット取引の機会を開拓することを目指して行われている。
同省によると、このスキームでは、ブルーカーボンプロジェクトに向けた特別投資機構を通じて、公的資金と民間資金を組み合わせて運用する。
ブルーカーボンとは、マングローブ林や塩性湿地などの沿岸生態系によって二酸化炭素を吸収・貯留する取り組みである。これらの生態系は炭素を貯留する能力が高く、条件によっては単位面積あたりで熱帯雨林よりも多くの炭素を吸収できると評価されている。
この提携において、インドネシア政府は土地へのアクセス提供、許認可の手続き、地元住民との連携支援を通じてプロジェクトの実施を後押しする。
また、同パートナーシップの初期段階は、インドネシア最大規模のマングローブ・ブルーカーボン再生プロジェクトとなる見通しである。このプログラムはジャワ島北岸の最大7万ヘクタールに及ぶエリアを対象としており、パイロットプロジェクトが成功すれば拡大される可能性がある。
なお、インドネシアは世界のマングローブ生態系全体の約20%を保有しており、世界最大のマングローブ面積を誇る国である。しかし、多様な環境負荷や人間活動により、現在その3分の1以上の生態系が劣化している状況にある。
中国のLeapmotorが現地組み立てを開始(8月8日)
中国の電気自動車(EV)メーカーであるLeapmotor(零跑汽車)が、インドネシアでEVの現地組み立て(CKD)を開始したと発表した。この取り組みは、オランダの自動車メーカーであるStellantisおよびインドネシアのIndomobil Groupの連携により実施されるもので、生産能力の拡大を図るとともに、インドネシア市場におけるEV事業の成長を促進することを目的としている。
組み立て工程は、西ジャワ州プルワカルタにあるIndomobil Groupが投資したNational Assemblers Plant 3にて実施され、現地組み立てが行われる最初の2車種はLeapmotor B10とC10である。Plant 3は158,000平方メートルの敷地に建設され、最新の生産技術、自動化システム、ならびにLeapmotorおよびStellantisの製造基準に準拠した品質管理体制を備えている。
初期段階において、同施設の生産能力は1時間あたり最大5台、年間で約1万台となっている。その後、生産能力は、1時間あたり最大17台、年間で約3万4,000台まで拡大される見込みである。この生産能力の拡大は、ボディーショップおよびペイントショップの施設拡充によって推進される。
生産能力の拡大により、Plant 3施設はEVの需要増加に対応すると同時に、インドネシアにおけるLeapmotorの製品ポートフォリオの展開にも備える構造となっている。
さらに、Indomobilは製造能力の向上に加え、Leapmotorの販売およびアフターサービスネットワークの強化も進めている。この取り組みには、ディーラーネットワークの拡大、純正部品の供給、およびLeapmotorの基準に沿ったエンジニアの育成が含まれる。同社は、同ブランドのEVの販売成長を支えるため、技術サポートおよびアフターサービスの体制も整備している。