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インドネシア経済ニュース:2026年9月前半

TPIAがクロールアルカリ及びジクロロエチレン設備に8億米ドルを投資(9月2日)

 石油化学製品メーカーのChandra Asia Pacific社(TPIA)は、子会社であるChandra Asri Alkali(CAA)を通じて、クロールアルカリ(CA)及びジクロロエチレン(EDC)施設の建設を現在、進めていると発表した。
同施設の投資額は8億米ドル以上とされており、今後は、政府系投資ファンドのダナンタラ・インドネシアおよびインドネシア投資庁から投資支援を受けることになる。
 同施設の建設は、インドネシアの産業構造にとって戦略的意義を持っており、具体的には苛性ソーダおよびジクロロエチレン(EDC)といった重要な化学物質の国内生産拡大につながる。これにより、国内産業の供給安定性が強化されると同時に、海外調達の依存度を低減することができる。
 建設されるクロールアルカリ(CA)設備による液体苛性ソーダの生産は、年間最大82万7,000トンの輸入品を代替する可能性があり、その価値は約2億9,300万米ドル(約4.9兆ルピア)である。また、ジクロロエチレン(EDC)は輸出向けであり、年間最大3億米ドル(約5兆ルピア)の外貨獲得が見込まれる。
 苛性ソーダは、石鹸や洗剤の製造、アルミナ精製などに使用される。EDCは化学・プラスチック産業において重要な原料である。
 また、サプライチェーンの統合を強化するため、同社はCA-EDCを支える流通、保管、物流インフラの整備も進めている。また、同社は投資額約10億米ドルと見積もられるCA-EDC第2段階のフィージビリティスタディを準備しており、これは生産能力の向上と国内化学産業のエコシステムの強化を目的としている。
 なお、2026年7月時点で、同施設の建設進捗率は72%に達しており、2027年の稼働開始を目指している。

ドイツのバイヤスドルフがマラン工場の生産能力を拡大(9月2日)

 ドイツのスキンケア・消費財メーカーであるバイヤスドルフ(Beiersdorf)の子会社、バイヤスドルフ・インドネシア社は、東ジャワ州マランにある生産拠点を拡張したと発表した。
 今回の拡張により、同工場の年間生産能力は50%近く向上する。同社によると、今回の拡張はインドネシアでの事業を発展させるとともに、同社のグローバル生産ネットワークにおけるマラン工場の役割を強化する取り組みの一環である。 
 同工場ではNIVEA(ニベア)およびHansaplast(ハンザプラスト)を製造しており、インドネシアの国内需要の90%以上を供給している。
 また、工場の拡張に伴い、全自動高速充填・包装ライン、原材料の自動計量・投入システム、リアルタイム効率モニタリング、エネルギーデータ監視システム、ビル管理システム(BMS)など生産プロセスの効率性と柔軟性を高めるための複数の新技術も導入された。さらに、エネルギーと資源の使用効率を向上させるため、熱回収システム、ヒートポンプ、太陽光パネル、エネルギーおよび資源の使用状況のモニタリングなどの技術も導入している。これらの改善により、同社は生産プロセスの高速化と管理精度の向上を実現すると同時に、製品品質の一貫性を維持することを目指している。

2027年のインドネシアパーム油生産量は2.9%減少と予測(9月2日)

 インドネシアパーム油協会(Gapki)は、長期化する乾燥天候が農園の管理作業に悪影響を及ぼしているため、2027年のインドネシアのパーム油生産量は2.9%減少して5,680万トンになると予測している。
 同協会によると、インドネシアではエルニーニョ現象による干ばつが発生しているため、多くの企業が肥料を与えても単に蒸発してしまうだけで効果がないと判断し、施肥を一時的に停止しているという。
 天候の問題に加え、肥料価格の高騰もパーム油産業にとってマイナス要因となっている。同協会によると、中東での紛争の影響を受け、2026年下半期の肥料価格は約30%上昇したという。
 同協会は、2026年のパーム油生産量(未精製パーム油〈CPO〉およびパーム核油〈PKO〉を含む)を、2025年の5,655万トンから3.4%増加して5,850万トンと予測している。この増加は過去5年間に植え替えを行ったエリアや新規農園での収穫開始などが主な要因となっているが、乾燥天候によって果実の成熟が遅れているため、当初予測していた5,880万トンから引き下げられた。

BYDが投資額11.7兆ルピアのスバン工場を開設(9月3日)

 中国のEVメーカーBYD(比亜迪汽車)は、子会社のBYD Motor Indonesia社を通じて、西ジャワ州スバンに年間生産能力最大150,000台の電気自動車(EV)製造施設を正式に稼働させたと発表した。
 同工場はBYD Auto Indonesia社が運営しており、インドネシアにおける同社のEV事業の強化に向けた取り組みの一環である。一方で、この投資は国内生産面からEVエコシステムの構築に寄与し、同産業の付加価値向上に向けた国家的な課題の推進にもつながるとされている。
 同工場は、西ジャワ州スバンに位置するスバン・スマートポリタン工業団地内の約126ヘクタールの敷地に建設された。総投資額は約11.7兆ルピアである。操業開始当初は、プラグインハイブリッド車(PHEV)の「BYD M6 DM」の生産を予定しており、今後はBYDのその他の各種モデルの生産にも対応できるよう準備が進められている。
 この工場の稼働により、東南アジア地域におけるEV生産拠点としてのインドネシアの地位が強化されることが期待されている。

オーストラリアのUluuがインドネシアに認証済み海藻サプライチェーンを構築(9月4日)

 オーストラリアのバイオテクノロジー企業であるUluuは、現地法人であるUluu Solusi Indonesiaを設立し、インドネシアへの事業拡大を発表した。
 同社は、海藻を用いて化石燃料由来のプラスチックに代わる素材を開発している。発酵プロセスを通じて、海藻に含まれる糖を、プラスチックの代替として使用できる天然素材のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)に変換する。
 現地法人の設立は、インドネシアにおける海藻の調達基盤を強化すると同時に、トレーサビリティを確保した認証済みのサプライチェーンを構築することを目的としている。インドネシアは海藻の生産量で世界第2位に位置しているため、同社の事業拡大戦略において重要な役割を担うことになる。
 現地法人を通じて、同社はインドネシアのさまざまな地域で海藻養殖業者、サプライヤー、パートナーとの協働を拡大していく。同社はまた、養殖業者レベルから加工、出荷に至るまで、海藻の供給源を追跡できるよう原材料の調達システムを強化する方針である。
 この一環として、同社は南スラウェシ州のPersada Semesta社からの完全追跡可能な海藻の初回調達を完了した。このプロジェクトにおいて、同社はアグリテック企業Koltivaと提携し、海藻の起点と移動の記録をデジタル化した。情報は養殖業者レベルから加工および最終出荷まで記録される。
 同社によると、このプロジェクトはまだパイロット段階であり、生産規模の拡大に伴い、追跡可能性システムはさらに改良・拡張される予定である。また、サプライヤーネットワークの拡大にとどまらず、持続可能性基準を満たす海藻サプライチェーンの構築も開始している。同社は、WWFインドネシアのイニシアチブ・プラットフォームであるSeafood Saversを通じ、サプライチェーンパートナーとしてのPersada Semestaとともに、南スラウェシ州ルウで水産養殖改善プログラム(AIP)を開始した。このプログラムは、ASC-MSC(水産養殖管理協議会認証・海洋管理協議会認証)海藻基準に適合するよう、養殖実践と管理システムの向上を目指すものである。このステップは、サプライヤーが認証プロセスへ進むための準備の一環となる。 
 同社とそのパートナーは、インドネシア初となるASC-MSC認証海藻サプライチェーンの開発を目指しており、このサプライチェーンを通じて、同社は追跡可能でかつ、第三者機関によって独立して認証された原材料の確保を目指している。
 今後、事業の成長やプラスチック代替素材の開発によって高まる原材料需要に対応するため、同社はこのネットワークをさらに拡大していく予定としている。

農務省が2027年までに24万7,260ヘクタールのカカオ農園の再植林を目指す(9月10日)

 農務省は、2025年から2027年にかけて、小規模農家によるカカオ農園の再植林および拡大を24万7,260ヘクタールとする目標を発表した。このプログラムは、小規模農園の生産性を向上させると同時に、カカオ加工産業への原材料供給を強化するための試みのひとつである。
 同省によると、現在の小規模カカオ農家は、老齢化した樹木が多いことなどを理由に生産性が低下するという課題に直面している。
 このカカオ川下化プログラムは小規模農家のカカオの再植林と農園面積の拡大という2つの項目で構成されており、プログラムは3つの段階で実施されている。導入フェーズにあたる2025年に、政府は約200ヘクタールの面積拡大と4,066ヘクタールの再植林を実施し、加速フェーズに入る2026年に、政府は約71,722ヘクタールのカカオ農園の拡大と102,488ヘクタールの再植林を目標としている。2027年には、安定化フェーズとして19,700ヘクタールの拡大と40,274ヘクタールの再植林を目指している。
 また、同プログラムを加速するため、同省はカカオの種子の生産、認証、流通、監督に関するガイドラインを定めた「農業大臣決定第25/Kpts/Kb.020/5/2017号」の改定を進めている。また、政府は生産農園を台木および穂木の供給農園として指定するとともに、これまで休眠状態だった種子供給農園を再開させている。
 一方、財務省傘下のプランテーション基金管理庁(BPDP)は、同プログラムに対し、川上から川下に至るまで支援を準備している。川上部門において、同庁は農務省と連携し、農園の再植林の推進、インフラおよび資機材の提供、教育および研修を通じて人材育成を支援している。また、川下部門において、同庁は農園に関する研究、製品・技術の革新からの商業化段階までの開発、および政策提言について、事業者からの提案を受け付けている。
 なお、インドネシア・カカオ持続可能性パートナーシップ協会(Askindo CSP)によると、インドネシアは約140万ヘクタールのカカオ農地を保有しているが、その面積は減少傾向にある。この状況はカカオ加工産業への原材料供給にも影響を与えている。合計約70万トンの処理能力を持つ11のカカオ加工産業のうち、稼働率はわずか約51%にとどまっているという。

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