インドネシア経済ニュース:2026年5月前半

商務省が新たな輸出規制を施行(5月4日)
商務省は、輸出に関する新たな規制として、「輸出政策および規制に関する2023年商務省令第23号の第五次改正に関する2026年商務省令第12号」を公布したと発表した。この政策は4月29日より施行された。
今回の規則改正には、輸出分野における事業許可の発行停止、凍結、取り消しを行う権限、および行政処分ではない検証サービスや技術的調査の停止が含まれる。
同省によると、この変更により、政府のプログラムが円滑に進行するよう迅速に対応するための政府の統制力が強化されるという。政府はこの規則を通じて、輸出活動が国内需要の充足と調和して行われることを確保したいと考えている。
これまでは、輸出に関する規定は、2026年商務省令第5号により最終改正された2023年商務省令第23号に定められていたが、同省令は輸出業者の違反に対する行政処分のみを規定していることから、その適用範囲は限定的であった。一方、今回の2026年商務省令第12号は、政府が国内における特定商品の供給確保を促進するための取り組みである。
同省令の公布により、許可の停止、凍結、さらには取り消しといった措置は商務大臣の権限だけでなく、関連省庁および機関からも提案できるようになった。この決定については、その後、権限に応じて経済担当調整省または食糧担当調整省レベルでの調整会議において協議されることとなる。当該調整会議での決定事項は、商務大臣の名義による対外貿易局長官の書簡に盛り込まれ、Inatradeシステム(商務省が提供する輸出入関連の許認可・承認を扱うオンラインシステム)を通じて電子的に送付されるとともに、インドネシア・ナショナル・シングル・ウィンドウ/INSW(輸出手続きの電子ハブ)システムへ転送される。また、輸出業者に対しても、許可のステータスに関する電子通知が自動的に送られることとなる。
エアバスがケルタジャティに航空機整備・部品センターを開発(5月6日)
欧州の航空機メーカーであるエアバスは、国家計画開発省(PPN)/国家計画開発庁(Bappenas)と協力し、西ジャワ州ケルタジャティにおける航空機整備(MRO:メンテナンス、修理、オーバーホール)および部品開発に関する協定を締結したと発表した。
この提携を通じて、エアバスは国営航空機メーカーのディルガントラ・インドネシア(PTDI)およびガルーダ・メンテナンス・ファシリティ(GMF)と協力し、インドネシアで世界基準を満たしたエアバスA220の部品やその他の製品を生産することを目指している。
なお、現在、インドネシアはすでにエアバスA320、A330、A350、およびH225の航空機部品の供給拠点となっている。
同協力に基づき、双方は「2022–2045年インドネシア航空宇宙産業エコシステム開発ロードマップ」に沿った、様々な戦略的提携の機会を模索していく。協力の重点分野には、国内産業の能力強化に留まらず、同社の各種製品ラインに向けた整備・修理・オーバーホール(MRO)部門の開発にも及ぶ。
また、インフラおよび産業に加え、人材開発も主要な焦点となっている。双方は、国内の人材育成を推進し、世界水準の航空専門人材のエコシステムを構築することに取り組んでいる。
韓国のSimone Batang Indonesiaがバタン・インダストロポリス経済特区に工場を建設(5月8日)
皮革製品を主力とする輸出志向の韓国製造企業Simone Batang Indonesiaが、中部ジャワ州のバタン・インダストロポリス経済特区に工場を建設すると発表した。
同社は8.28ヘクタールの敷地に、約4,290億ルピアを投じて生産施設を建設する。この投資の確約は、5月6日に産業用地利用契約(PPTI)が締結されたことで正式に決定した。
同社は1987年に設立されたグローバルな製造企業であり、ベトナムやカンボジアを含むさまざまな国で事業を展開している。同社は世界市場の約10%、米国市場の30%のシェアを占めており、小売の売上高は70億米ドル以上に達している。
工場建設は今後2ヶ月以内に開始される予定で、2026年7月の竣工、2027年7月からの段階的な操業開始を目標としている。
インドネシアとフィリピンがニッケル下流産業化で協力を締結(5月8日)
インドネシアニッケル鉱業協会(APNI)は、フィリピンニッケル産業協会(PNIA)と、「ニッケル産業開発戦略協力に関する覚書(MoU)」を正式に締結したと発表した。
同協力協定は、戦略的かつ長期的な視点に立った協力の範囲を定めている。同覚書は、第一に、地域および世界的なニッケル貿易の安定化に向けた情報交換、第二に、ニッケルの下流加工技術の共同開発、および加工産業における副産物の付加価値活用、第三に、持続可能なニッケル産業エコシステムを支える人材育成に向けた共同推進を規定している。
この枠組みは、インドネシアの下流加工・製錬能力と、フィリピンからの上流のニッケル鉱石供給を統合する構造化されたプラットフォームとして機能するよう設計されている。インドネシアの製錬所は、適切なシリコン対マグネシウム比を持つ安定した鉱石の供給を必要としており、これはフィリピンのニッケル鉱石をブレンドすることで満たすことができる。
この提携により、フィリピンは原料鉱石の単なる輸出国にとどまらず、より高度な地域バリューチェーンに組み込まれることになる。さらに、インドネシアはバッテリーおよびステンレス鋼の上流産業において、原料の安定供給(フィードストック・セキュリティ)を確保することになる。
なお、インドネシアは、ニッケル資源の産業化を加速させようとしている世界有数の国の一つであり、一方、フィリピンはニッケルの埋蔵量が多いにもかかわらず、まだ関連産業が確立されていない国の一つである。米国地質調査所(USGS)の2026年のデータによると、2025年時点でインドネシアは約66.7%(260万トン)、フィリピンは6.9%(27万トン)を占めており、合わせて世界のニッケル生産量の73.6%を占めている。一方、埋蔵量に関しては、インドネシアが世界のニッケル埋蔵量の44.5%(6,200万トン)を保有し、フィリピンは3.4%(480万トン)を保有している。
TelkomGroupとPNG DataCoがインドネシアとパプアニューギニアのネットワークを直接結ぶ海底ケーブルシステムを正式に開設(5月11日)
国営通信企業Telkom Indonesia(Telkom)の子会社であるTelekomunikasi Indonesia International(Telin)は、パプアニューギニアの通信会社であるPNG DataCoと協力し、インドネシアとパプアニューギニアのネットワークを直接結ぶ「PUK-PUK 1」海底ケーブルシステムを正式に稼働させたと発表した。
この海底ケーブルインフラの整備は、アジア太平洋地域初の国境を越える(クロスボーダー)ケーブルであり、インドネシア東部におけるデジタルネットワークの接続性の向上および普及を加速させるための戦略的な取り組みである。
パプア州ジャヤプラ市にある同ケーブルシステムのランディング・ステーションはTelkom Groupによって運営されており、 その後、ケーブルはパプアニューギニア(PNG)のクムル・ネットワーク接続ゲートウェイへと続き、全長850kmに及ぶ。内訳は、ジャヤプラから国境までの30 km(インドネシア)、ヴァニモ国境(PNG)までの50 km、マダン国境(PNG)までの770 kmである。このケーブル網により、インドネシアはアジア太平洋地域と他のグローバル通信ネットワークを結ぶ新たなデジタル接続ルートを開拓することが可能となる。
また、同ケーブルシステムは、東南アジアから米国への国際ケーブルの追加容量を、ヴァニモを経由してパプアニューギニアの各州へと供給できるようになる見込みである。
この海底ケーブルの開通により、ジャヤプラは現在、2つの独立した国際通信回線(2つのルート)を有することとなった。1つ目のルートはスラウェシ、マルク、パプア地域を結んでおり、2つ目のルート(今回開通したルート)は、パプアニューギニアのヴァニモとジャヤプラを結ぶほか、東南アジア・米国ケーブルを経由してマナド、さらには米国ロサンゼルスへと接続されている。
エネルギー・鉱物資源省が重要鉱物資源のロイヤリティ率を引き上げる方針(5月11日)
エネルギー・鉱物資源省は、政府が鉱業部門からの国庫収入を拡大しようとしていることを受け、銅、ニッケル、スズ、金、銀など、いくつかの重要鉱物資源についてロイヤリティ(採掘権使用料)率を引き上げる計画を策定していると発表した。
同省は、提案された増税を正式に実施する前に、鉱山会社やその他の関係者からの意見を収集しており、政策立案者は鉱業業界に過度な負担をかけないよう配慮していると強調した。
鉱物資源のロイヤリティは現在、2025年政府規則第19号によって規制されており、ロイヤリティを引き上げるには現行規則の改正が必要となる。公表された改正案では、スズはロイヤリティ率において最も大幅な調整が行われる見込みで、現在の3~10%の範囲から、世界の鉱物ベンチマーク価格に応じて5%から20%の範囲に引き上げられることになる。
改正案によると、ベンチマーク価格が1トン当たり2万ドルを下回った場合、5%のロイヤリティが適用される。価格が2万~3万ドルの場合は7.5%、3万~3万5千ドルの場合は10%、 3万5,000~4万ドルの場合は12.5%、4万~4万5,000ドルの場合は15%、4万5,000~5万ドルの場合は17.5%となる。
同省は、鉱業部門における投資の持続可能性を維持しつつ、国家の戦略的利益を政策に反映させるため、提案された改正案の再検討を行っている。なお、改正規則がいつ署名され、正式に施行されるかについて、現時点では明確なスケジュールが決まっていない。