ベトナム経済ニュース:2026年9月後半

Thanh Cong GroupとVGXが電動車向け充電インフラ開発で協力(9月16日)
Thanh Cong Group(ベトナムの企業グループ)とVGX(ベトナム石油総公社Petrolimexが出資するグリーンエネルギーインフラ企業)は、ベトナムにおける電動車向けエネルギーインフラの開発に関する覚書を締結したと発表した。Thanh Cong Groupは、自動車産業と繊維・アパレルを中心に多角展開する大手企業グループである。
協定に基づき、両社はThanh Congの事業拠点や販売ネットワークを活用し、同グループがベトナムで販売する電動車向けの充電ステーション設置を検討する。また、車両と充電設備の互換性を確保するための技術ソリューションを共同で構築するとともに、利用者向けサービスを支えるデジタルプラットフォームの連携についても検討する。さらに、Thanh Congが販売する車両の利用者を対象に、VGXの充電ネットワークで適用する専用優遇制度を構築する方針である。
VGXにはPetrolimex、Xuan Cau Holdings、Selex Motorsが出資しており、ガソリンスタンドやサービスエリアなどを活用した共用充電・バッテリー交換ネットワークの全国展開を目指している。特定メーカーに限定しないオープン型インフラとして複数ブランドの電動車や幅広い利用者へのサービス提供を進めるとしている。
NAPAS、VietinBank、Central Retailが越境QR決済で提携しベトナム・タイ間の決済連携を拡大(9月18日)
NAPAS(ベトナム国家決済公社)、VietinBank(ベトナム工商銀行、国有系大手商業銀行)、Central Retail Corporation(タイの大手小売グループ)は、VietQRGlobal(ベトナムのQR決済を海外で利用できる越境決済サービス)を活用したベトナム・タイ間の越境QR決済拡大に向けたMOU(覚書)を締結したと発表した。
協定に基づき、3社はタイ国内のCentral Retail傘下のスーパーマーケットや小売店舗全体に、VietQRGlobalを導入する。サービス開始後、ベトナム人旅行者は国内の銀行アプリや電子ウォレットを利用し、タイで現金や外貨への両替を行わずにQRコードで支払いが可能となる。
対象はタイ63県に店舗を展開するCentral、Robinson、Tops、Tops Daily、Supersports、Topcareなど3,000店舗超を予定している。これにより、ベトナム国内及びタイで迅速・安全なキャッシュレス決済環境を提供する。
NAPASとCentral Retail Vietnamはすでに、ベトナム国内の店舗(GO!、Tops Market、go!全店舗)にVietQRPayおよびVietQRGlobalを導入している。今回、タイのCentral Retailネットワークへ対象を拡大することで、NAPASと銀行による越境決済網をさらに広げる。
3社は今後、ベトナム人旅行者のタイでの利用や、タイ人旅行者のベトナムでの利用を促進するため、VietQRGlobalに関するマーケティング・PR活動も共同で展開する。
今回の提携を通じ、NAPASとVietinBankはベトナムの決済インフラと海外市場との接続を強化し、Central Retailの小売ネットワークを活用してVietQRGlobalの加盟店網を拡大する。越境キャッシュレス決済の普及を通じ、ベトナム・タイ間の観光、消費、貿易、経済交流を促進することを目指す。
AgribankとPVEPが国家重点ガス開発プロジェクト向け融資契約を締結(9月22日)
Agribank(ベトナム農業農村開発銀行、国有商業銀行)とPVEP(Petrovietnam Exploration Production Corporation、Petrovietnam傘下の石油・ガス探鉱開発会社)は、2つのガス開発プロジェクト向けの融資契約を締結したと発表した。
同プロジェクトは、発電所向けのガス供給を拡大し、ベトナムの国家エネルギー安全保障を支える国家重点事業である。
今回の融資により、PVEPは大規模かつ長期的な資金を必要とするプロジェクトの財務基盤を強化し、事業スケジュールの確保と投資効率の向上を図る。
Agribankは、プロジェクトの実施期間を通じてPVEPと連携し、事業に適した金融・銀行ソリューションを提供するとともに、資金が安全かつ効率的に利用されるよう支援する方針である。
PVEPは、同プロジェクトが大規模な投資資金と関係各社の緊密な連携を必要とすることから、今回の契約をAgribankとの長期的な協力関係を拡大する基盤と位置付けている。
今回の契約は、国家重点エネルギープロジェクトへの資金供給を強化するとともに、AgribankとPVEPの協力関係を新たな段階へ進める取り組みである。
VNVCとPfizerがワクチン・公衆衛生分野で協力を拡大(9月23日)
VNVC(ベトナムの大手民間ワクチン接種事業者)とPfizer(米国の大手バイオ医薬品企業)は、ベトナムの予防接種、公衆衛生体制、ワクチン生産能力の強化に向け、協力を拡大する方針を発表した。
両社は協力文書を交換し、ベトナムの保健医療上の優先課題に対して、それぞれの専門知識、技術力、経営資源を活用する方針を確認した。今後は、予防接種の促進、公衆衛生システムの対応力向上、ベトナムの長期的な保健目標の達成に向けた協力機会を引き続き検討する。
両社はすでに、ワクチン製造に関する知識共有と能力開発について協力覚書を締結している。Pfizerは、VNVCがベトナム国内に国際基準のワクチン工場を整備するための能力向上を支援し、将来的な国内生産とグローバルサプライチェーンへの参画を後押しする。
VNVCは、ベトナムで約300カ所のワクチン接種センターを展開している。2025年5月には、タイニン省でワクチン・バイオ医薬品工場の建設を開始した。
同工場の敷地面積は2万6,000㎡超、初期投資額は2兆5,000億ドン超で、年間1億~1億2,000万回分のワクチン生産能力を計画する。WHO-GMP(世界保健機関の適正製造基準)、EU-GMP、FDA-cGMP(米食品医薬品局の現行適正製造基準)などの国際基準への対応を目指す。
VNVCは2027~2028年に工場インフラと生産ラインを整備し、その後、製造プロセスや技術の移転・導入を段階的に進める。2029年からベトナム国内生産品を市場投入することを目標としている。
今回の協力拡大を通じ、VNVCとPfizerは、ベトナムのワクチン自給能力、公衆衛生体制、医薬品製造基盤の強化を進めるとともに、ベトナムと米国の医療分野における協力関係の拡大を目指す。
VNPTとQualcomm TechnologiesがAI製品・スマート接続分野で協力拡大(9月25日)
VNPT(ベトナム郵政通信グループ)は、Qualcomm Technologies(米Qualcomm傘下の半導体・通信技術企業)と、次世代AI製品とスマート接続ソリューションの開発・商用化に向け、戦略的協力を拡大すると発表した。
両社は顧客向け技術サービス契約を締結し、Edge AIを活用した製品・サービスの開発を加速する。対象には、Wi-Fi 7・Wi-Fi 8対応のXGS-PONプラットフォーム、AI Gateway、AIカメラ、AI PC、その他のスマートエッジ機器・サービスが含まれる。
VNPTの通信ネットワーク、技術力、デジタルサービスと、Qualcomm TechnologiesのAI、接続技術、エッジコンピューティング技術を組み合わせ、企業、行政、産業、スマートシティ、一般消費者向けのAI活用を拡大する。VNPTは今回の協力枠組みに基づき、製品開発と商用化に約1,500万ドルを投資する予定で、両社はAI対応製品、プラットフォーム、サービスの展開を通じ、2028年までに2億ドル超の事業機会創出を目指す。
共同開発するソリューションはまずベトナム国内で導入し、その後、海外市場への展開を進める。高度な通信技術、On-device AI、クラウドのAI機能を組み合わせ、端末、ネットワーク、クラウドをシームレスにつなぐスマートな利用環境を構築する方針である。今回の協力拡大を通じ、ベトナム国内の技術力強化とAIを活用したデジタルエコシステムの構築を進めるとともに、ベトナムで開発したAI製品・ソリューションの国際市場への展開を通じ、グローバルAI経済への参画拡大を目指すとしている。
ベトナム農業環境省がドリアンの輸出品質管理を強化(9月26日)
ベトナム農業環境省は、ドリアンの輸出市場を維持・拡大するため、生産から収穫、選果・包装、流通までの全工程で品質、安全性、残留物、トレーサビリティ管理を強化する必要性を示した。
ドリアンはベトナム農業の戦略品目となっている一方、生産コストの上昇、販売価格の変動、輸出市場の基準厳格化が進んでおり、小規模・分散型生産から集約的な生産へ移行し、品質の標準化と食品安全管理を徹底することが求められている。中国向け輸出では、ミバエやカイガラムシなど6種類の検疫対象害虫を管理するとともに、農薬・肥料、病害虫、収穫、販売などの生産記録を残し、ベトナムで認可された農薬・肥料のみを使用することが求められる。
特に、カドミウム(Cd)とAuramine O(工業用黄色色素)の管理が重要課題となっている。カドミウムは土壌、水、肥料、土壌改良材などから生産工程に入り込む可能性があり、Auramine Oは主に収穫後の選果、保存、流通段階におけるリスクとされる。また、輸出市場を維持するには、品質に加えて生産履歴と原産地を証明できる体制が不可欠で、基準不適合が発生した場合には、検査や回収コストの増加だけでなく、ベトナム産ドリアン全体の信用低下につながる可能性がある。
今後は、土壌、肥料、水源の特性を基に「カドミウムリスクマップ」を整備し、地域ごとに適切な管理方法を導入することが重要となる。生産現場ではGAP、生産記録、栽培地域コード、トレーサビリティを徹底し、包装施設では未認可の工業用色素を排除するとともに、安全性が確認された保存技術や生物・微生物製剤を活用するなど、ドリアンの品質と輸出競争力の維持・向上を進めるとしている。
ベトナム農業環境省が農林水産物輸出の高付加価値化を推進(9月28日)
ベトナム農業環境省は、2026年1~9月の農林水産物輸出額が前年同期比7.8%増の563億ドルとなり、年間目標742億ドルの達成・上振れが見込まれると発表した。貿易黒字は約169億ドルに達し、木材・木製品、水産物、青果物が輸出拡大を牽引している。一方、コーヒーは輸出量が15.4%増加したものの、平均輸出価格の低下により輸出額は7.3%減少したほか、コメ、天然ゴム、キャッサバ・同製品も輸出額が減少しており、数量拡大だけでは収益成長につながらない状況もみられる。
農業環境省は年末に向け、木材、水産物、青果物の輸出拡大を維持するとともに、計画を下回る品目の課題解消を進める。水産物ではエビやパンガシウスを中心に品質・サプライチェーン管理を強化し、IUU(違法・無報告・無規制漁業)問題や貿易救済措置への対応を進める。青果物ではドリアンなどについて、生産地域コード、包装施設、品質管理を徹底する。また、輸出先の多角化、信用供給、データ連携、2027年に向けた市場シナリオの整備を進め、特定市場への過度な依存によるリスクを抑える方針である。
中長期的には、輸出量の拡大から深加工やブランド構築による高付加価値化への転換が課題となる。木材・家具では自社設計や商品開発、ブランド構築力の強化、コーヒーでは生産、加工、流通、ブランドを結ぶ企業間連携が求められている。天然ゴムについても、原料輸出から深加工・高機能製品への移行が必要となる。青果物では濃縮ジュース、ピューレ、冷凍、乾燥などへの加工拡大に加え、安定した原料供給、加工工場、冷蔵倉庫、コールドチェーン物流への投資が重要となる。特に収穫後ロスは30~40%とされ、収穫、冷却、包装、輸送までの一貫管理と物流インフラ整備が輸出競争力向上の鍵となる。
今後は、深加工、ブランド、物流、トレーサビリティを強化し、グローバルバリューチェーンでより高い付加価値を確保する方向へ転換することを目指すとしている。
Hateco GroupがUAV・eVTOL活用の次世代物流・港湾エコシステムを推進(9月29日)
Hateco Group(ベトナムの不動産・物流・港湾インフラ企業グループ)、Hung Việt(ベトナムの投資・商業・技術企業)、Aerial Sea Ventures(国際パートナーとの連携を担う企業)、EHang(UAV・eVTOL関連技術企業)の4社は、ベトナムで無人航空機を活用した物流・港湾・不動産向けエコシステムの実証・開発に関する覚書を締結したと発表した。
4社は、インフラ、技術、プロジェクト開発力、国際パートナーネットワークを活用し、UAV(無人航空機)やeVTOL(電動垂直離着陸機)の実用化に向け、実現可能性の調査、実証実験、段階的な導入を進める。Hatecoは物流、港湾、工業団地、不動産インフラを実証の場として提供し、Hung Việtはベトナム国内での連携調整、Aerial Sea Venturesは海外の資源・パートナーとの接続、EHangは機体や関連技術、エンジニアリング面での支援を担う。
重点分野の一つが物流へのUAV・eVTOL導入で、物流センター、ICD(内陸コンテナデポ)、工業団地、倉庫、空港などの間で貨物を輸送し、既存の物流網と無人航空機を組み合わせるモデルを検討する。港湾分野では、陸上、港湾区域、船舶間で貨物、資材、部品、生活必需品などを輸送する活用方法を研究し、Lach Huyen港やLien Chieu港などを候補地として実証実験を検討する。また、Vertiportの整備や、貨物管理、運航追跡、サービス運営を支えるデジタルプラットフォームの統合も協力対象とする。
さらに、ベトナム国内での運航、保守、人材育成、R&D、技術移転を進め、将来的にはUAV・eVTOL関連技術の現地化も検討する。今後は、調査、準備、実証、評価を経て、技術、法規制、資金、事業性などの条件を満たした案件について段階的な拡大・商用化を進め、デジタル化と持続可能性に対応した次世代物流・スマートインフラ事業の構築を目指すとしている。