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喫煙者に厳しい国?スペイン


歩きタバコの多い国!?スペイン
 先日、筆者がスペイン出張に行った際、一番印象に残ったことが、歩きタバコをしている人の多さであった。
筆者が訪れたのは、マドリード・バルセロナの2都市であったが、どちらの都市でも街を歩いていれば、どこからか煙の臭いを感じ取ることができるくらい、歩きタバコが多かった印象である。
 WHO世界保健統計2016年版によると、スペイン人男性の喫煙率は31.3%であり、世界69位と順位はそこまで高くない。一方、スペイン人女性の喫煙率は27.1%であり、世界13位ととても高い順位である。
 日本の喫煙率、順位と比較してみると、日本人男性の喫煙率は33.7%で世界60位であるためそこまで変わらず、日本人女性の喫煙率は10.6%でありスペインと比べるとかなり低く、世界58位である。
 統計を見ると、男性の喫煙率はスペインと日本であまり変わらず、女性の喫煙率はスペインの方が高いという状況である。スペインの喫煙率が日本に比べ著しく高いというわけではないが、どうして歩きタバコが多い印象を受けたのだろうか。実は、スペインで施行されているタバコ関連の法律が大きな原因である。

スペインの「反タバコ法」とは?
 2006年、スペインでは「反タバコ法」と称される法律が施行され、喫煙者に大きな影響を与えた。その内容としては、2006年に施行された法律では、学校や職場などの公共施設の屋内では禁煙とされていた。また、かつてタバコを吸う人が多かったバルなどの飲食店では、店内面積が100㎡以上の場合は分煙または禁煙にする必要があり、100㎡以下の場合は喫煙にするか禁煙にするか選択する必要があった。
 面積が100㎡以上で喫煙可能の部屋を設置した飲食店は、守らなければならないルールがいくつかある。例えば、「店内に喫煙スペースとして設置できるのは、店内面積の30%が最大であり、独立した部屋である必要がある」「まだタバコを吸える年齢に達していない18歳未満は喫煙スペースに入ること自体禁止」「非喫煙者が喫煙室を通らなければならないような店内レイアウトにしてはいけない」など、非喫煙者にとってはありがたいが、店側には少し大変なルールがある。
 反タバコ法が施行されて1年経過した後、法律がどのくらい守られているがチェックされたが、その結果はあまり好ましくないものであった。
 同法律に違反した場合、高額の罰金が科せられるが、政府の監督自体が行き届いていないため、違反していても罰せられるケースが少なく、店側も利用者側も遵守しようとする姿勢ではなかった。また、職場などの公共施設の屋内で禁煙となったことにより、喫煙者のストレスとなり、代わりに飲食店などでタバコを吸う人が多くなり、法律の施行前よりも受動喫煙率が上がったのではないかとも考えられている。

より厳しくなった「反タバコ法」
 屋内での受動喫煙率の改善に向けて2011年に新たな法律が制定された。
2006年の法律では、飲食店など一部屋内で喫煙可能であったが、新しい法律では基本的に禁煙とされた。
また、2006年の法律では屋外であればどこでも喫煙可能であったが、病院や学校、公園などといった施設では屋外であっても禁煙となった。
 2011年に施行された法律により、屋内での受動喫煙は、かなり減ったと考えられる。屋内で適用される、スペインでの喫煙に関する法律は、日本に比べて厳しく、室内に入るとタバコの煙を感じることがないのも印象的であった。
 しかし、本コラムの冒頭に、スペインでは歩きタバコをしている人が多く、どこを歩いても煙たい印象だったと述べたように、スペインの法律では、屋外に適用されるものがほとんどないと言える。

スペイン・日本共に喫煙者が少なくない国として、今後も対策を練っていく必要がある。
 日本では、WHOや英国の医療専門家に、世界と比べ、受動喫煙対策が遅れていることを指摘されている。それは、屋内の喫煙対策があまり進んでいないからである。
 日本では、屋外の喫煙対策が先行して進められているが、屋内での喫煙が可能だと、同じ空間に喫煙者と非喫煙者がいることとなり、分煙してもあまり意味がないとされている。
 上述したWHO世界保健統計の数値を見ると、国内では非喫煙者が圧倒的に多いため、受動喫煙対策に関心がある人は少なくないはずであるが、すぐに受動喫煙に関する法律を整えるのは厳しいと考えられる。法律によって状況を変えるのがまだ難しいのであれば、喫煙者への禁煙対策の促進や喫煙ブース・空気清浄器の設置、受動喫煙対策グッズの販売など、受動喫煙による健康被害を少しでも減らすような様々な取り組みが必要ではないだろうか。


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