フランス人の舌を唸らせる日本の食材は?
ミシュラン発祥の地、フランス
星を用いて評判の良いレストランを紹介するガイドブック「ミシュランガイド」はフランス生まれである。美味しい食事、美術作品、ファッション、古き良き町並み…などフランスという国から連想する文化は数多く存在するが、やはり食に対して強いこだわりを持つ国、といった印象を抱く。
フランスでは、前菜、スープ、メイン料理、パン、チーズ、デザートといったお決まりの順番で食べ物が運ばれ、コース形式で食事をする事が知られているが、そんな日本とは全く違う食文化を持つ国でも、日本食の人気はあり、ブームとなっている。
一方、フランスからは、マカロン、フィナンシェ、クイニー・アマン、カヌレなど多くのスイーツが日本に入ってきて話題となっている。
また、日本ではパリで生まれたチョコレートの祭典『サロン・デュ・ショコラ』が今年で開催15回目を迎え、多くのスイーツ好きのお楽しみとなっている。
この様に、日本とフランスはお互いの食文化に興味津々である。
160周年を迎える日仏交流
そもそも、フランスと日本はどのような繋がりがあるのだろうか。
2か国の交流は、1858年に日仏修好通商条約が結ばれた事から始まる。
姉妹都市の存在という何十年も続く関係や、2000年から、2005年を除き毎年7月に開催され、日本文化に興味がある人が集まる『Japan Expo』、日仏交流160周年を迎える2018年に開催予定であり、日本文化の魅力を発信する『ジャポニスム2018』など、多種多様な文化交流が行われている。
また、最近では、Japan Expoの常連ゲストであり、熊本県のPRキャラクターである「くまモン」と、フランスと日本のハーフで着せ替え人形の「リカちゃん」が初のキャラクター観光親善大使として任命されたことが話題となった。マンガ、アニメ、ゲームというポップカルチャーが国と国を繋いでいく新たな存在になっている。
フランスでスポットライトを浴びる「SURIMI」
海外で人気のある日本食というと、「すし」「天ぷら」などと言った日本人にとっても少し特別な料理や、「ラーメン」「お好み焼き」と言った手頃な価格でありながらも、地域によって違う食べ物を楽しむ事ができるという日本の特徴ある食事が楽しめる料理を思い浮かべる。
今、フランスで人気のある日本の食べ物の1つとして、現地では「SURIMI」という名称で知られている「カニカマボコ」がある。
日本でのカニカマボコの存在は、サラダの中にひっそりと混ざっているといったイメージがある。フランスではヘルシーで価格も安いということで、人気がある。フランスでは、チーズ入りやバジル入りなど、現地の人に好まれそうな味にアレンジして売られているものもあるようだ。『Yummly』という海外のレシピサイトを覗いてみると、そんなにもアレンジ方法があったのかと驚く程、「SURIMI」を使用したレシピを沢山見ることができる。例えば、外国人の口に合うSURIMIレシピとして、「クラブ・ラングーン」というSURIMIとクリームチーズ・サワークリーム・ガーリックパウダーなどを合わせ、ワンタンの皮で包み、オーブンで焼くという主にアメリカの中華料理屋で提供される料理がある。
他にも、「SURIMIとターキーのシチュー」や「SURIMIとほうれん草のキッシュ」など、メイン料理としてSURIMIが活用されており、日本人には思いつかない様なアレンジを発見する事が出来る。
SNSなどで世界各地の旬な情報が手に入り易くなった事や、日本のポップカルチャーが世界に広がった事により、日本での何気ない瞬間が海外の人の目に留まり、日本人にとっては意外なものがブームとなり得る。
これから先、「SURIMI」の様に日本では馴染みがあるが、海外では見かけない食べ物がフランスで新たなブームを起こす可能性は十分にある。
日本の食材・料理の紹介にとどまらず、素材の良さを活かしつつ、現地の人の口に合うようなアレンジやレシピの紹介、ポップカルチャーとの融合など工夫を凝らしたPRがブームの火付け役になるのではないか。
(2017年6月)
フランスの概要についてはこちら
【フランスに関する他のコラムはこちら】
「花の都パリの悩み!「大気汚染問題」と「プラスチックゴミ問題」①」
「観光大国フランスから学ぶ、観光業の取り組み」
【このコラムを見た人は他にこんなコラムを見ています】
タイ:「都市部の流行から読み解く、『進化』し続けるタイ ①」
スペイン:「喫煙者に厳しい国?スペイン」
イギリス:「イギリスの肥満問題と食生活」
ドイツ:「独自の歴史を背景に発展するドイツのネット通販」
海外市場調査・海外リサーチの重要性とグローバルマーケティングラボに出来ることはこちら