タイ経済ニュース:2026年9月後半

Gastech 2026が総額400億ドル超の取引を創出(9月17日)
世界最大級ガス・LNG・エネルギー展示会Gastech 2026が、バンコクで9月14日から4日間にわたり開催された。イベント主催者は、覚書(MOU)、エネルギー契約、投資協定の締結を通じて、総額400億ドルを超える価値を生み出したと発表した。
同展示会には世界各国から5万9,000人以上が来場し、LNG取引、発電技術、エネルギー探査、石油化学投資、エネルギー輸送船建造などに関する重要なグローバルビジネス取引が成立した。
タイ関連では、GE Vernova社とB.Grimm Power社が、タイおよびマレーシアの既存・新規発電プロジェクトを支援するため、ガスタービン技術・サービスを提供する長期契約を締結した。また、PETRONAS社、PTTEP JDX Thailand(JDA)社、マレーシア・タイ共同開発地域(MTJDA)は、両国への天然ガス供給拡大に向け、35年間の生産分与契約および天然ガス販売契約を締結した。こうした取引を通じ、同展示会により世界のガス、LNG、水素、エネルギーバリューチェーンにおける商業機会を創出したとしている。
タイ工業連盟がAI Innovation and Technology Centerを設立(9月18日)
タイ工業連盟(FTI)は、マヒドン大学および産業未来技術・イノベーション資金管理機構(PMU-C)と連携し、AI Innovation and Technology Center(AI-ITC)を設立したことを発表した。
同センターは、研究者、資金、製造業者をつなぎ、タイ企業によるAI技術の開発・導入を支援することで、海外技術への依存を減らし、製造業の生産性と競争力を高めることを目指す。
AI-ITCでは、AI導入に向けたコンサルティングや人材育成、技術の実証などを行うほか、Physical AI、AI Edge Computing、Digital Twinなどの技術を実際の工場で検証する。また、企業とAI開発企業などをマッチングし、Co-Funding方式でAI導入を支援し、初期段階で少なくとも50工場への導入を目指す。
さらに、AI、Automation、Robotics、Data Analyticsなどの活用を促進し、製造工程の効率化やコスト削減を進めるほか、将来的にはヘルスケアやスマートシティなど他分野へのAI活用も拡大し、タイの製造業をIntelligent Industryへ転換して企業の競争力向上と持続的な産業発展につなげていくとしている。
Gulf Development社が1,000メガワット規模のデータセンタープロジェクトを推進(9月5日)
時価総額でタイ最大のエネルギー会社であり通信事業者でもあるGulf Development社(GULF)は、データセンタープロジェクトの進捗状況を明らかにし、第1段階の容量が約1,000MWになると発表した。
GULFは、直接電力購入契約(ダイレクトPPA)を通じて自社のデータセンターに直接電力を供給するため、発電プロジェクトの可能性を検討している。データセンターの大部分は地方に位置し、人口密集地から離れた地域に立地する計画で、必要な許可を取得しながら開発を進める。また、データセンターパークを造成するための用地開発計画も進めており、既に数百ライの土地を取得した。
第1段階のプロジェクトは現在建設中で、残りのプロジェクトは開発段階にある。現時点では顧客との契約は締結されていないものの、データセンターへの電力供給を自社で確保する体制の構築を進めており、データセンター事業と発電事業を一体的に開発することで、今後の需要拡大に対応するとしている。
タイ政府がSMRを電力開発計画に盛り込む方針(9月20日)
タイ政府は、AIやデータセンターの電力需要増加に対応するため、出力9,000MWの小型モジュール炉(SMR)を電力開発計画(PDP2026)に盛り込む方針を発表した。
SMRは24時間安定した発電が可能なベースロード電源として、化石燃料への依存低減と電力供給の安定化に活用することが想定されている。
タイ発電公社(EGAT)は、米国貿易開発庁(USTDA)から200万ドルの支援を受け、SMR導入に向けた初期フィージビリティ調査を進めており、タイに適した技術やコスト、関連規制などを評価している。また、日本や韓国とも協力し、安全性や経済性などを含め、導入に適した技術の選定を進める。
民間では、BGRIM社が東部経済回廊(EEC)でのSMR導入に向け、欧州などのパートナーと技術や事業性を調査しているほか、Banpu社も米国のベンチャーキャピタルを通じてSMR関連技術への投資を進めている。
今後は、法制度や安全規制、人材育成、住民への理解促進などの準備が必要となる、EGATは本格導入まで約10年を要すると見込んでおり、SMRを将来の電力供給源の一つとして活用し、AI・データセンターなどデジタル産業の成長を支える安定的な電力供給につなげていくとしている。
Kinwong Electronic(Thailand)社がタイでPCB生産を開始(9月23日)
中国の大手プリント基板(PCB)メーカーであるKinwong Electronic(Thailand)社は、2026年9月13日、プラチンブリ県で正式に生産を開始したと発表した。
同社にとって中国国外初の生産拠点となり、タイのPCB業界にとって重要な発展となる。同工場では、多層・高速プリント基板や複雑なHDIプリント基板など、高度なプリント基板の生産に重点を置き、AIサーバー、データセンター、自動車用電子部品など、需要が拡大する市場を支える。
工場の建設は2024年10月に開始され、その後試験生産に入り、2026年6月に最初の製品を出荷した。プロジェクトの第一段階には約20億元(約98億バーツ)の投資が計画されている。
同社は、今後も市場の需要とプロジェクトの準備状況に基づき、投資と建設を段階的に進めていくとしている。
タイBOIが半導体産業のサプライチェーン構築を推進(9月24日)
タイ投資委員会(BOI)は、タイの半導体産業をサプライチェーン全体をカバーする産業基盤へと発展させる戦略を策定し、2030年までに5,000億バーツ、2050年までに2兆5,000億バーツの投資誘致を目指すと発表した。
産業全体の売上高5兆バーツ、23万人以上の新規雇用創出も目標に掲げる。戦略では、Photonic、Power Semiconductor、Sensorの3分野を重点技術とし、チップ設計から製造、組立・テストまでのサプライチェーン構築を進める。投資優遇措置やインフラ整備に加え、人材育成にも力を入れ、「Siam Silica」プログラムを通じて2030年までに8万6,600人の高度人材育成を目指す。
また、Infineon社がタイでPower Moduleの生産拠点を開設する予定であるなど、海外の半導体企業による投資も進んでいる。BOIは、こうした投資を呼び込みながら、タイを電子機器の組立拠点から高度な半導体の生産・開発拠点へと発展させ、「Made in Thailand」の半導体創出と国内企業のグローバルサプライチェーンへの参画を進めていくとしている。
タイBOIがInfineon社の半導体工場投資を誘致(9月26日)
タイ投資委員会(BOI)は、ドイツの半導体大手Infineon社のタイへの投資を誘致したと発表した。
投資額は480億バーツを超え、サムットプラカーン県にPower Moduleの新工場を設立する。工場では、Power Moduleの生産や半導体のテストに加え、タイで初となる大規模な半導体製品の研究開発センターを設置する。
同工場は、Infineon社にとってドイツ、中国に続く3カ所目のPower Module生産拠点となり、EVや電力システム、データセンターなどの需要に対応するほか、5,000人を超えるタイ人を雇用する計画である。また、タイ人の科学・技術人材600人以上を育成し、海外での専門研修も実施する。
さらに、大学と連携して半導体関連の人材育成や研究開発を進めるほか、国内企業14社以上に技術や品質基準などの知識を提供する。今回の投資はタイ政府の国家半導体戦略の一環であり、今後5年間で少なくとも5,000億バーツの投資誘致を目指す方針としている。
タイ・セコムは、企業および家庭市場をターゲットとした「スマートセキュリティプレミアム」を発売(9月29日)
タイ・セコムは、現在の不確実な状況に対応するため、企業および一般家庭の顧客向けに新たなサービス「スマートセキュリティプレミアム」を開始したと発表した。
同社は積極的なセキュリティ対策を推進するため、クラウドベースのビデオ監視、全国規模の緊急対応、シームレスで上質な保護という3つの主要技術を活用してサービスを強化している。
クラウドベースのビデオ監視は、警報信号をクラウドビデオシステムにリンクさせ、警報発生時にユーザーがアプリケーションを通じて映像をリアルタイムで確認できるようにする。
全国規模の緊急対応に関しては、全国50以上のサービスセンターのネットワークを活用し、24時間体制で稼働するSECOM管制センターが状況を判断した後、万が一事案が発生した場合は、専門の担当者が派遣され支援にあたる。
シームレスで上質な保護は、専門家によるメンテナンス、技術サポート、保護プログラムを単一のプロバイダーで提供する包括的なセキュリティサービスであり、企業と住宅の両方において長期的なシステム継続性を保証する。
同サービスは、小売店や中小企業のオフィスビル、複数支店を持つ大企業、一般住宅など、幅広い用途に対応し、安全性の向上、事業継続性のサポート、家庭における安心感の提供を目指すとしている。