タイ経済ニュース:2026年8月前半

東部経済回廊政策委員会事務局(EECO)が東部経済回廊(EEC)への新たな投資優遇措置を準備(8月4日)
東部経済回廊政策委員会事務局(EECO)は、東部経済回廊(EEC)への投資企業向けの新たな投資優遇措置を準備していると発表した。
同制度は今後、東部経済回廊政策委員会(EEC政策委員会)および閣議に提出され、承認を経て正式に導入される予定である。承認された場合、先行しているプロジェクトから総額1,000億バーツ超の投資を呼び込むことが期待されている。
新たな優遇措置では、税制・財政面での支援に加え、投資相談や立地選定、建設・工場設立に必要な許認可取得までを一括して支援する「One Stop Service(ワンストップサービス)」を提供する。また、各プロジェクトがタイ経済にもたらす効果を基準として、案件ごとに優遇内容を決定する「Tailor-made Incentives(テーラーメイド・インセンティブ)」を導入する方針である。
さらに、高度人材や経営幹部、専門家およびその家族を対象としたEECビザや就労許可の取得を支援し、外国人高度人材の受け入れを促進する。EECOは、税制優遇や許認可手続きの簡素化などを組み合わせ、投資家ごとに適した支援策を提供することで、投資家の信頼確保とタイの中長期的な投資誘致強化を図る方針としている。
タイホンダがコスト上昇圧力の中、オートバイの価格を据え置き(8月5日)
タイホンダは、中東情勢の長期化による生産コストが上昇しているなか、オートバイの価格を安定的に維持すると発表した。
同社は、価格上昇が消費者の需要を減退させることを懸念し、当面は値上げを行わない方針である。その代わりに、自動車部品のサプライヤーや販売店と緊密に連携し、価格の安定化を図ることで、タイの消費者が手頃な価格で購入できる環境の維持に努める。
同社は、世界的な経済不安定とタイの家計支出の低迷を背景に、タイ経済は2026年後半に減速すると予想している。銀行や自動車ローン会社は、家計債務水準が高くなっていることから、不良債権のリスクを懸念し、自動車ローンの審査を引き続き厳格に行っている。
こうした課題があるなか、タイホンダは2026年の販売目標を140万~143万台に設定している。なお、タイ国内の二輪車販売台数は173万~177万台と予測している。
オートバイは多くのタイ人にとって重要な交通手段であり、自動車よりも手頃な価格の代替手段である。同社はタイを重要な市場と位置付け、価格競争力を維持しながら、今後もタイへの投資を拡大する方針としている。
タイ商務省が2026年のコメ輸出量を前年から15%減の700万トンと予測(8月5日)
タイ商務省は、2026年のタイのコメ輸出量が2025年の830万トンから15%減少し、700万トンと見込まれていると発表した。
同省は、需要が拡大しているマレーシアとフィリピンへの出荷を増やすことに注力しているが、2026年上半期のコメ輸出量は328万トンであり、前年同期比18.8%減となった。上半期の輸出減少は、世界的なコメ生産量の増加による価格競争の激化に加え、中東紛争の影響で主要市場の一つであるイラク向け輸出が減少したことなどが背景にある。
タイは近年、世界第2位のコメ輸出国であったが、2026年上半期には輸出量がベトナムを下回った。なお、タイの2025年のコメ輸出量は830万トンとなり、前年比16.5%減であった。
一方、2026年後半は、干ばつへの懸念から各国が食料安全保障を確保するため備蓄を加速させ、タイ米の出荷需要が増加する可能性がある。同省は、マレーシアやフィリピンなどの主要輸入国への販促活動を強化するとともに、政府間取引などを通じて輸出拡大を図り、年間700万トンの輸出目標達成を目指すとしている。
タイ王立灌漑局が日本と協力し、スマート水田サービス「Paditch」を開発(8月5日)
タイ王立灌漑局は、スマート水田サービス「Paditch」を導入することで、従来の給水方式からスマートな水管理へと灌漑システムを変革する取り組みを進めていると発表した。
同サービスの開発は、気候変動に伴う水問題に対処するためのスマート灌漑システムの開発という包括的な枠組みの下、日本水土総合研究所(JIID)との協力によって実現した。従来、農場レベルでの水管理には水門の開閉に人力が必要で、水の利用バランスが崩れていた。特に上流地域では必要以上の水が供給される一方、下流地域では水が届くまで長時間待つ必要があった。
同サービスは、スマホ・タブレット・PCを使用して、水田における水管理の遠隔化・自動化を実現する。圃場の水位を監視するセンサーを搭載し、農家は作物に必要な水量を調整できる。
同局は2024年から20カ所で試験運用しており、ランパーン県とカラシン県にそれぞれ10カ所設置している。試験の結果、農家が圃場の水位を適切に管理できるようになり、水過多や水不足のリスクが軽減されたほか、農業生産効率の向上が確認された。
試験運用の成功を受け、同局は2026年から2030年にかけて第2段階へ拡大する準備を進めている。現在、同サービスは1セット当たり約5万~6万バーツで、同局はコスト削減と農家の技術利用促進を目的として、日本と協力してタイ版の開発を進めるとしている。
タイ政府がEEC向け貯水池整備に72億バーツを承認(8月6日)
タイ政府は、東部経済回廊(EEC)の水資源の安定確保に向け、チャンタブリー県のクロン・ワンタノート貯水池整備事業に72億バーツの予算を承認した。
事業は2027~2033年度に実施される予定で、貯水容量は9,950万立方メートル、8万7,700ライ超の農地への灌漑が可能となる。家庭や農業、産業に加え、EECの開発に伴う水需要の増加に対応する狙いである。
政府はまた、環境への影響を抑えるため土地利用を最小限にとどめるとともに、建設に伴う影響を受ける住民への適切な補償や住宅支援を進める方針である。同事業はEEC開発を支える38の優先水資源開発事業の一つで、東部地域の水需要は、2027年の28.9億立方メートルから2037年には35億立方メートル超に拡大する見通しである。
計画されている事業がすべて2037年までに完了すれば、9億900万立方メートルの追加貯水能力が確保される。タイ政府は、EECの産業・都市開発に伴う水需要の増加に対応し、東部地域の長期的な水資源の安定確保につなげるとしている。
Central Retail社がマックスバリュー・タイランドを買収(8月7日)
タイの流通大手小売事業統括会社であるCentral Retail社(CRC)は、タイ国内で30店舗のスーパー「マックスバリュ」を運営するイオン(タイランド)を買収することで合意したと発表した。
同社は、食品小売事業を強化し、傘下の「Tops(トップス・マーケット)」の事業規模を拡大することを目的としており、完全子会社のCentral Food Retail社(CFR)が、イオン(タイランド)の普通株式すべてを取得する株式購入契約を締結した。買収資金はCRCの内部資金で賄う予定で、イオン(タイランド)の登録資本金は8億9,000万バーツとなっている。
今回の買収により、イオン(タイランド)はCFRの完全子会社となる。CRCは、戦略的な場所にスーパーマーケットネットワークを拡大するとともに、90万人以上の顧客を即座に獲得することで、食品小売事業の強化につなげる。契約には土地資産と調理済み食品加工センターも含まれ、生産能力の向上や差別化された調理済み食品の開発を支援する。
買収完了後、「マックスバリュ」の全店舗は「Tops(トップス・マーケット)」にブランド変更され、CFRの小売エコシステムに統合される予定である。CRCは、自社の小売業における専門知識を活用して業務効率を向上させ、買収した事業を強化していくとしている。
Sansiri社がダイキンと提携しエアコン冷媒の循環利用、Circular Economyを推進(8月8日)
住宅建設を手がけるタイの大手不動産会社であるSansiri社はダイキンと提携し、循環型経済(Circular Economy)の考え方に基づく、タイの不動産業界初となる包括的な冷媒管理モデル「Sustainable Cooliving Lifecycle」を立ち上げた。同取り組みは、冷媒の回収・再生・再利用を通じて、新規資源の使用量と温室効果ガス排出量の削減を目指すものである。
具体的には、6つのパイロットプロジェクトにおける高効率エアコンの導入と冷媒の循環利用による住宅プロジェクトの基準向上、17チーム以上のSansiri Homecareの技術者に対する基準に沿った冷媒回収およびメンテナンスでの再利用に関する能力向上、さらにPlus Property社が管理するSiri CampusやHabito Mallなどの物件への再生冷媒の活用拡大という、3つの主要分野で取り組みを進めている。同取り組みを通じて、Scope 1の温室効果ガス排出量を削減し、同社のNet Zero目標を支えるとともに、不動産業界における持続可能な資源管理を推進するものとしている。