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犯罪大国・ブラジルで自らの安全を確保する方法


日本と比較して約420倍の強盗事件が発生
 2016年はオリンピック・パラリンピックで沸いたブラジル・リオデジャネイロ市。同市は世界三大美港の一つに数えられる風光明媚な国際観光都市である一方で、世界有数の犯罪都市としても知られている。リオ市大都市圏には1,000を超えるファヴェーラ(スラム街)があり、重火器で武装した麻薬密売組織間の抗争や、当局の治安対策活動に伴う銃撃戦が頻繁に発生。流れ弾で一般市民が死傷することも珍しくないようだ。在リオ日本総領事館によれば、オリンピックが開幕した2016年8月5日から19日までに、日本人が被害に遭った事件が少なくとも19件発生したとのことであるが、これはオリンピック・パラリンピックで治安体制が強化されている中でのもので、その発生状況は普段の3分の1程度であるというから驚きだ。
リオデジャネイロ市に限らず、ブラジル国内の治安は日本とは比較にならないほど悪いと言わざるを得ない。都市部では窃盗、ひったくり、スリなどの発生は日常茶飯事であり、殺人、強盗、強姦、誘拐などの凶悪犯罪も頻繁に発生している。在ブラジル日本大使館のホームページにブラジル連邦直轄区と日本との犯罪発生率(人口10万人当たり)の比較が掲載されているが、日本と比べて殺人は約36倍、傷害は約21倍、強盗に至っては約420倍という驚異的な発生率となっている。

日本人が注意すべき短時間誘拐やスキミング
 ブラジルで近年増加している犯罪が短時間誘拐だ。日本では耳慣れない犯罪名だが、「電撃誘拐」ともいわれ、金品や車両を強奪するために拳銃等を使って脅迫。被害者を一時的に拘束し、ATMで現金を引き出させたり、携帯電話や車両を奪ったりした後、連絡手段のない市街から離れた場所で解放するという犯罪であり、在ブラジル日本大使館では日本人に向けて、「車の乗り降り時や停車時に狙われやすいので、常に周囲の状況を確認して、不審な人物がいないか確認するよう」注意を促している。
 また、日本人が狙われているという意味では、クレジットカードのスキミング事件も注目される。一流といわれるホテルでも日本人の被害が発生しているとのことであり、日本では一般的な、店員にクレジットカードを預けて決済するという行為は厳禁と言えそうだ。

犯罪に対する“自己防衛努力”が必要
 外務省の海外安全ホームページによれば、ブラジルの危険度は「その国・地域への渡航、滞在に当たって危険を避けていただくために特別な注意が必要」という“レベル1”。4段階のレベルの中で最も低いものではあるが、犯罪が増加傾向にあるとはいえ、諸外国に比べて犯罪発生数が格段に少なく、また、今や世界中で注目されている交番制度の充実などによって、高レベルの治安が保たれている日本とは比較にならない危険度であることは間違いない。ちなみに在ブラジル日本大使館のホームページでは、防犯上の留意点として以下の6点を挙げている。

①常に警戒・用心を怠らず、時間・場所・周囲の状況を考慮して行動を計画する。
②行動時間や経路を適宜変更し、行動パターンを他人に予知されないようにする。
③行動場所に応じ、目立たない服装、所持品(貴金属、腕時計)に心掛ける。
④被害に遭った場合は抵抗しない(抵抗した場合、拳銃やナイフで攻撃される危険性が非常に高い)。
⑤家族の予定を把握し、常に連絡が取れるようにしておく。
⑥目的地の最新の治安情報を入手し、不用意に治安の悪い市街に出向かない。

 いずれも基本的なことであるが、これらを徹底すれば犯罪被害に遭う可能性は格段に下がる。出張でブラジルを訪れたり、ブラジルに赴任したりするビジネスマンにおいても、日本との治安の違いを十分に自覚して、“自己防衛努力”を講じることが必要であろう。

日本人であることを隠すことも有効
 ブラジルの犯罪者には、日本人は金持ちで、襲われても抵抗しないイメージがあり、ターゲットにしやすいという意識があるようだ。そこで犯罪被害に遭わないために、日本人であることを隠すことも有効な方法となっている。幸いブラジルにはサンパウロ州を中心に多くの日系人が居住しており、日本語での会話など、日本人ならではの行動が目立たなければ、ブラジル人を装うことも可能である。服装なども含め、現地に溶け込む努力を怠らないことが肝要であろう。


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