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ベトナム経済ニュース:2026年8月前半

EVNがベトナム発の原発建設に向け5つの重点施策(8月1日)

 EVN(ベトナム電力公社)は、ベトナム初の原子力発電所となるニントゥアン第1原子力発電所の建設に向け、3つの主要課題への対応と5つの重点施策を進めていると発表した。
 同プロジェクトは、国家エネルギー安全保障の強化と温室効果ガス排出削減に向けた重要事業である一方、ベトナムがこれまで経験した中でも特に技術的難易度が高く、最高水準の安全基準が求められる。EVNは、制度、資金、人材、技術、事業実施体制を包括的に整備する方針である。
 主な課題は、①法制度と事業実施条件の整備、②大規模な投資資金・資金調達モデルの確立と工期、品質、リスク管理への対応、③高度専門人材の確保と社会的合意の形成の3点である。ベトナム初の原発事業となるため、法律や政令、技術基準などを整備し、IAEA(国際原子力機関)の基準・ガイドラインと技術供給国の規制・基準の双方への適合を図る必要がある。また、改定第8次国家電力開発計画では、同発電所2基を2030~2035年に稼働させることが求められており、EVNは進捗確保と安全・品質管理の両立を目指す。
 これらに対応するため、EVNは、①特別制度・プロジェクト管理モデルの整備、②原子力関連法制度・技術基準の整備、③用地取得・住民移転の推進、④人材育成・技術移転、⑤情報公開・広報および発電所周辺の安全保障体制の構築という5つの重点施策を進める。
 また、海外パートナーのノウハウを活用するとともに、教育訓練省や技術パートナー等と連携して人材育成を進め、技術移転を通じて国内の技術力を段階的に高めることで、投資コストの削減と建設・運転における自主性の向上を目指すとしている。

Xuan Cau Holdingsがタイニン省で450MW太陽光発電所を着工(8月4日)

 Xuan Cau Holdings(ベトナムのインフラ・エネルギー投資企業)は、タイニン省で総投資額7兆7,740億ドンの太陽光発電所を着工したと発表した。
 同プロジェクトは、同社傘下のDT5.1 Energyが事業主体を務め、設備容量は約450MW、敷地面積は約645haで、ザウティエン湖の半冠水地域に建設される。発電所には、高効率太陽光パネル、分散型インバーター、BESS(蓄電池システム)、220kV変電所、送電線などを一体的に整備し、最新技術の導入により運転効率と発電量を最適化するとともに、国家電力網への安全な接続を確保する。
 商業運転開始は2027年12月を予定しており、稼働後は年間約808GWhのクリーン電力を供給する見通しである。これにより、国家電力システムへの電力供給を補完し、ベトナムのエネルギー転換と国家エネルギー安全保障に貢献する。
 また、同プロジェクトは、DPPA(発電事業者と大口需要家による直接電力購入契約)制度を適用する初期案件の一つとなる。Xuan Cau Holdingsは、FDI(海外直接投資)企業とのDPPA締結を通じて、電力市場の形成を後押しする方針である。
 建設を担うPowerChinaを含む共同請負体は、工期と品質を重点管理するとともに、HSE(労働安全・健康・環境管理)基準を厳格に遵守し、ザウティエン湖の水環境や生態系への影響を最小限に抑えるとしている。

Tu Lap ConstructionとHDS Hospitalityがフート省の工業団地開発で事業提携(8月4日)

 Tu Lap Construction(ベトナムの建設・インフラ開発会社)は、HDS Hospitality(不動産管理・運営会社)と、フート省のBai Ba – Dong Thanh工業クラスターの事業開発に関する協力契約を締結したと発表した。
 今回の提携は、同プロジェクトの投資誘致、市場開拓、工業用地の運営効率向上を目的とするものであり、両社が長期的な開発方針や事業戦略を共有する新たな協力段階となる。
 事業主体であるTu Lap Constructionは、投資、建設、インフラ施工、プロジェクト開発などを手掛けてきた。同社は、Bai Ba – Dong Thanh工業クラスターについて、技術インフラの整備に加え、透明性の高い投資環境、サービス品質、進出企業への支援体制を強化し、近代的かつ持続可能な工業拠点として開発する方針である。
 一方、HDS Hospitalityは、市場調査、商品・サービス体系の構築、パートナーネットワーク開拓、顧客獲得、投資促進活動を担当する。Tu Lap Constructionのインフラ開発力とHDS Hospitalityの市場開拓力を組み合わせ、国内外の製造業、裾野産業、投資家への誘致を強化する。
 Bai Ba – Dong Thanh工業クラスターは、フート省に約150haの規模で開発される計画であり、生産拡大を目指す企業向けに大規模な工業用地を提供する。
 立地面では、ノイバイ-ラオカイ高速道路のIC9インターチェンジから約7kmに位置し、ハノイ、ノイバイ国際空港、ベトナム北部各省、港湾地域へのアクセスに優れる。物流時間の短縮やサプライチェーン接続の強化が期待される。
 誘致対象は、加工・製造、電気・電子、ハイテク産業、環境負荷の少ない製造分野などである。構内道路、電力、上下水道、通信、防火・消防設備、排水処理、景観などのインフラを一体的に整備する計画である。また、企業の投資規模や生産計画に応じ、インフラ付き工業用地の賃貸に加え、工場施設や各種支援サービスなど柔軟な投資・入居形態を提供する。

VNPTとVRGがスマート工業団地モデルを共同開発(8月5日)

 VNPT(ベトナム郵政通信グループ)とVRG(ベトナムゴム工業グループ)は、2026~2030年を対象とする包括的な協力枠組み協定を締結し、デジタル技術を基盤としたグリーン・スマート・近代型工業団地モデルを共同開発すると発表した。
 今回の協力は、科学技術・イノベーション・国家デジタル変革を推進する政治局決議57-NQ/TWおよび国有経済の発展に関する決議79-NQ/TWに基づくもので、両社はESG(環境・社会・ガバナンス)やOECD(経済協力開発機構)の基準を踏まえ、持続可能な協力エコシステムの構築を目指す。
 協力の重点として、通信・デジタルインフラの整備、工業団地内の機能区画の計画支援、スマート・グリーン管理モデルの導入、データセンターの整備、サイバーセキュリティ基盤の構築、投資誘致、デジタル人材育成などを共同で検討する。VRGは、自社が管理・運営する既存および新規工業団地において、VNPTがデジタルインフラのコンサルティング、構築、ソリューション提供に参画できる環境を整える。
 また、両社は工業団地インフラやハイテク農業の開発、データセンターや入居企業向けエネルギー供給の最適化を目的に、クリーンエネルギーソリューションでも協力する。VNPTはこれまでVRG向けにBI、GIS.VRG、Cloud、SmartCA、SOC、eOfficeなどを導入しており、今後は既存プラットフォームの高度化・拡張に加え、経営・管理へのAI活用、GISシステムの機能強化、生産・事業運営、企業管理、工業団地運営、ハイテク農業におけるデジタル変革をVRG全体で推進する。
 さらに、R&D、技術移転、デジタル製品・サービス開発、国際協力を強化するとともに、VNPTは大規模DXの実装力を活用してVRGの全面的なデジタル変革を支援し、VRGが事業展開するラオスやカンボジアなど海外市場での協力拡大も目指すとしている。

FPTがOpenAIとの提携でAI・サイバーセキュリティ事業を拡大(8月6日)

 FPT(ベトナムの大手ITサービス企業)は、OpenAIのパートナーネットワークにおいて「Select Partner」に認定され、企業向けAI導入・サイバーセキュリティ事業を拡大すると発表した。
 両社は、世界の企業・組織に対し、AI変革のロードマップ策定、プラットフォーム開発、人材・組織能力の強化、AIソリューションの導入を共同で支援し、安全かつ責任あるAI活用を大規模に推進する。FPTは、tokenの効率的な利用によるAI運用コストの最適化に加え、GPT-5.6やChatGPT Workなどの高度なAIモデル・ツールを活用し、企業の戦略目標の実現を支援する方針である。
 特にサイバーセキュリティを重点分野と位置付け、GPT-5.6 SolやCodex SecurityをFPTのセキュリティ基盤や業務運営プロセスに統合する。さらに、「Patch the Enterprise」にAIを組み込み、顧客のITインフラやアプリケーションをAI関連の新たなリスクから保護する。
 FPTは、OpenAIとの提携を通じて技術力を強化し、サイバーセキュリティサービスのポートフォリオを拡充することで、成長する企業向けAI市場の取り込みを狙う。今後は、OpenAIを含む世界の主要AI・テクノロジー企業との連携を強化し、Agentic AIソリューションの開発、AIインフラの拡充、企業向けAI人材・能力開発プログラムを推進するとしている。

FUTA ExpressとVETがベトナム・カンボジア間の越境物流網拡大で提携(8月7日)

 FUTA Express(ベトナムの宅配・物流会社)とVET(Vireak Buntham Express、カンボジアの旅客・物流事業者)は、ベトナム・カンボジア間の越境物流ネットワーク拡大に向けた覚書を締結したと発表した。
 今回の提携は、両社がそれぞれの国内で持つ物流網や運営ノウハウを活用し、近代的な越境物流網を構築することで、二国間貿易の促進と企業の競争力向上を目指すものである。
 覚書に基づき、両社はベトナムとカンボジア間の双方向貨物輸送サービスを共同で開発するほか、倉庫、輸送車両、集配拠点、物流オペレーションを相互接続する。また、貨物の管理・追跡・監視にデジタル技術を導入し、透明性と効率性の高い越境物流システムの構築を進める。
 FUTA Expressはベトナム全土に倉庫、輸送車両、集配拠点からなる物流ネットワークを展開しており、VETはカンボジアで安定した輸送事業基盤と現地市場に関する知見を有する。両社はこれらの強みを組み合わせ、ベトナム・カンボジア間の物流回廊を形成する方針である。
 重点分野の一つが農業向け物流である。両社は、生鮮農産物、季節商品、温度管理が必要な商品などを対象とした専用物流ソリューションを開発し、輸送時間の短縮、物流コストの削減、収穫後ロスの抑制を目指す。これにより、ベトナム産農産物のカンボジア市場への流通を拡大するとともに、カンボジア産農産物についてもベトナム市場へのアクセスを支援する。

ベトナム農業環境省が青果輸出額の過去最高更新と加工品シフトの加速を発表(8月8日)

 ベトナム農業環境省は、2026年7月の青果輸出額が過去最高の11億2,000万ドルに達したと発表した。
 青果輸出額は初めて月間10億ドルを突破し、特にEU市場で高い伸びを示した。ベトナム青果協会によると、2026年1~6月のEU向け輸出額は約2億1,440万ドルで前年同期比31.8%増となり、6月単月でも同37.9%増加した。EU市場では加工品の比率が高く、ベトナム青果輸出全体で加工品が約30.85%を占めるのに対し、EU向けでは約3分の2に達している。
 ベトナムでは収穫後の農産物ロス率が30~40%とされ、タイの10~15%を大きく上回る。特にEUなど遠隔市場では、生鮮品の航空輸送はコストが高く、海上輸送では高度な保存技術が必要となるため、冷凍、乾燥、粉砕、ピューレ、ジュースなどへの加工により保存期間を延長し、物流負担や収穫後ロスを減らす動きが広がっている。
 加工品の輸出も伸長しており、加工パッションフルーツは1億2,319万ドルで前年同期比37.5%増、加工ジャガイモは同100.7%増、加工ドラゴンフルーツは同50.1%増となった。ドイツでは2026年1~5月のベトナム産加工青果の輸入額が2,824万ユーロと前年同期比126%増加した。
 一方、技術基準への対応、栽培地域・包装施設コードの取得、深加工設備への投資能力などが課題となっている。ベトナム青果協会は、コード発給手続きの簡素化や通関迅速化、輸出可能品目・登録栽培地域の拡大を求めている。また、輸出用果樹産地では土壌中の重金属蓄積も課題となっており、原料段階からの品質管理強化が必要である。ベトナム青果産業は今後、深加工への投資、品質管理、物流高度化を進め、EUをはじめとする高付加価値市場での輸出拡大と持続的な成長を目指すとしている。

Duc Hanh – Binh ThuanとEnfarmがAI・土壌センシングを活用した循環型スマート農業で提携(8月12日)

 Duc Hanh – Binh Thuan(ベトナムの農業・投資関連企業)とEnfarm(ベトナムの農業テクノロジー企業)は、ラムドン省ハムキエム地区のハイテク農業・グリーンエネルギープロジェクトにおいて、デジタル技術、AI、スマート土壌栄養管理ソリューションを導入するための戦略的覚書を締結したと発表した。
 協定に基づき、両社は実際の生産環境で技術ソリューションの実現可能性と効果を検証する実証モデルを共同で構築し、その結果を今後の協力拡大につなげる。
 協力の中心となるのは、Real-time Soil Sensing(土壌の栄養状態をリアルタイムで測定するセンサー技術)とBig Data(大規模データ解析)、AIを組み合わせたシステムである。土壌状態を継続的に把握し、肥料や灌漑用水の使用を最適化するとともに、作物の気候変動への適応力向上を支援する。
 土壌段階からデジタル技術を導入することで、農産物の品質向上、運営コストの削減、ESG(環境・社会・ガバナンス)基準への対応を目指す。
 Duc Hanh – Binh Thuanは、ハムキエムのプロジェクト用地を、スマート農業生産、土壌改良研究、クリーンエネルギーインフラを循環型モデルとして統合した先進的な農業拠点へ発展させる方針である。Enfarmとの協力を通じ、土地利用効率と生産性を高め、グリーン経済への移行を進める。Enfarmは、同プロジェクトでの実証を通じて技術ソリューションの有効性を検証し、その成果を基に今後の導入範囲を拡大する方針である。
 両社は今後、プロジェクト内で第1段階となる技術実証を開始し、グリーン、循環型、スマート、低炭素型の農業モデル構築を目指す。

Samsung Vietnamがタイグエン省に高度技術人材育成センターを開設(8月13日)

 Samsung Vietnamは、タイグエン大学情報通信技術大学(ICTU)にSamsung Innovation Campus(SIC、高度IT人材育成プログラム)の高度技術人材育成センターを開設したと発表した。
 同センターは、AI、IoT(モノのインターネット)、ビックデータ(大規模データ解析)、特に半導体分野の人材育成を強化する拠点であり、タイグエン省およびベトナム全体の高度技術人材育成とイノベーション促進を目的とする。Samsung Vietnamは2026年から全国各地でSIC Labの拡張・高度化戦略を進めており、これまでにハノイ、ダナン、バクニンなどで展開している。
 今回の新センター開設により、地域レベルでの高度技術人材育成基盤をさらに拡大する。同取り組みは、科学技術、イノベーション、国家デジタル変革を推進する政治局決議や、次世代FDI(外国直接投資)の誘致高度化を掲げる方向性に沿うもので、FDI企業による技術移転と高品質人材育成への貢献を強化する狙いがある。
 同社は、教育機関との連携を通じて、高度技術分野のエンジニアや専門家を育成するとともに、企業や地域社会の課題解決につながる研究・技術アイデアの創出を支援する方針である。SIC Labは2026年から、従来の専用ラボ型から高度技術人材育成センターへ機能を拡張し、実習、研究、半導体を含む先端技術分野の人材育成を強化しており、タイグエン拠点を通じてベトナムのデジタル経済と半導体産業を支える人材基盤をさらに拡充することとしている。

ベトナム農業環境省がゴム輸出実績とカーボンクレジット活用による高付加価値化の方向性を発表(8月13日)

 ベトナム農業環境省は、2026年1~7月のゴム輸出量が約78万9,500トン、輸出額が15億5,000万ドルとなったと発表した。
 輸出量・輸出額は前年同期比で小幅に減少した一方、平均輸出価格は8.9%上昇し、1トン当たり1,963ドルとなった。こうした中、ゴム樹の高い炭素吸収・貯留能力を活用したカーボンクレジットが、新たな収益源や輸出競争力向上につながる可能性が注目されている。ゴム樹は栽培期間が25~35年と長く、バイオマス量も多いため、炭素市場への参入に適した潜在力を持つ。
 カーボン市場への参加は、ベトナムのNet Zero目標やNDC(国が決定する温室効果ガス削減目標)への貢献に加え、企業の国際競争力向上にもつながる。一方、経済価値を生み出すには、排出量や炭素吸収量に関する透明性の高いデータ整備が重要となる。
 DONARUCO(ドンナイ・ゴム総公社)は約3万1,000haのゴム農園を管理し、このうち9,000ha超でVFCS/PEFC(持続可能な森林管理に関する認証)を取得している。区画別の樹齢、品種、肥料・燃料使用量などのデータを長年蓄積しており、排出量や炭素吸収量を算定する基盤を整えている。
 一方、ゴム農園の多くが林地ではなく多年生作物用地として区分されていることから、土地制度上の課題も残る。特に、こうした農園がIFM(改善型森林管理)の方法論を適用できるか、借地で事業を行う企業がカーボンプロジェクトを登録できるかなど、法的整理が必要である。
 また、カーボンクレジットの販売と、製品自体のカーボンフットプリントの削減は区別する必要がある。後者は、栽培、管理、加工、輸送を含むサプライチェーン全体の排出量を示し、環境基準を重視する輸出市場で製品競争力に直接影響する。
 カーボンクレジット事業では、PDD(プロジェクト設計書)の作成、第三者審査、登録、測定、報告、検証など複数の手続きが必要であり、コンサルティングや検証、モニタリングの費用が小規模案件の負担となる。このため、複数のグループ企業をまとめた大規模プロジェクトとすることで、固定費を分担し、クレジット創出量と投資効率を高める案が示されている。
 今後、行政側にはゴム樹に適したバイオマス係数、排出係数、算定方法などの技術ガイドライン整備や、借地におけるクレジット所有権の明確化が求められる。企業側には、排出・吸収データや農園管理情報のデジタル化、持続可能な森林管理認証の取得拡大が必要である。
 ベトナムではカーボン取引所の運用開始も計画されており、ゴム企業にとって国内で取引制度への対応経験を蓄積し、将来的な国際市場参入に備える機会となる。カーボンクレジットとカーボンフットプリント削減を組み合わせることで、ゴム産業は新たな収益を確保するとともに、輸出品の付加価値とグリーン市場での競争力を高めることが期待される。

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