ベトナム経済ニュース:2026年6月後半

Binh Dienがカンボジアでカシューナッツ栽培向け技術移転を実施(6月16日)
Binh Dien(ベトナムの肥料メーカー)は、戦略パートナーのYetak Groupと連携し、カンボジアのシェムリアップ州とオッダーミエンチェイ州で技術移転プログラムを実施したと発表した。
同社の専門家チームは、現地農家を対象に「適切な種類、量、時期、方法」に基づくバランス施肥を中心とした研修を実施し、カシューナッツの生育段階に応じた最適な肥料配合の選択方法を指導した。さらに、農業専門家が各農園を直接訪問し、葉や幹、枝の状態、土壌条件などを確認したうえで、栽培環境や生育状況に応じた改善策を提案し、農家が抱える栽培管理上の課題を現場で解決できるよう支援した。
同社の肥料ブランド「Dau Trau」による栄養ソリューションは実証モデルでも成果を上げており、ある農園では、NPK Dau Trau(窒素・リン酸・カリウム配合肥料)を標準使用量で使用した結果、従来500kg~1トン/ha程度だった収量が約2トン/haまで向上した。
シェムリアップ州とオッダーミエンチェイ州の協同組合や農家から高い関心が寄せられていることは、Dau Trau肥料が単なる増収資材ではなく、長期的な農業生産性向上を支えるソリューションとして評価されていることを示している。
カンボジアではカシューナッツの栽培面積が70万haを超え、ベトナムの肥料・ハイテク農業関連企業にとって有望市場となっていることから、Binh Dienは今後も技術改良と環境負荷の低減を両立するスマート肥料ソリューションの提供を通じ、カンボジア農業の生産性向上と持続可能な発展に貢献するとしている。
MSBがGreenNodeとAI基盤構築に向けた戦略的協力を拡大(6月17日)
MSB(ベトナム海事商業銀行)とGreenNode(VNG Group傘下のAIクラウド企業)は、AIを銀行全体の運営に本格導入するため、戦略的協力の拡大に関する合意を締結したと発表した。
合意に基づき両社は、オンプレミス型データセンターとクラウドを組み合わせた「Hybrid AI Cloud」を導入し、企業向けAI基盤を構築する。同基盤により、MSBは銀行全体で数百規模のAIアプリケーションを標準化・管理・拡張できる体制を整え、全国の個人顧客800万人超、法人顧客10万社超へのサービス品質向上を目指す。同行は、銀行業界でAIを実用化するには、コンプライアンスやセキュリティ、データ主権を確保した上で運用することが不可欠と位置付けている。
また、両社はAI Cloud上で複数のAIモデルを組み合わせるエコシステムの研究・実証も進め、業務内容に応じて最適なAIモデルを柔軟に選択・運用できる環境を構築する。さらに、GreenNodeはMSBの技術チームに対し、AI技術の移転や人材育成を支援し、同行が自らAIを開発・運用できる体制づくりを後押しする。GreenNodeは、NVIDIAの公式クラウドパートナーとしてAI CloudやAIインフラを提供し、VNG GroupのAI戦略における基盤整備を担っている。
ベトナム銀行業界ではAI活用が加速する一方、競争の焦点は導入スピードから、安全性やコンプライアンス、データ管理を備えた主権型AI基盤の構築へ移りつつあり、MSBは今回の提携を通じて、AIを全行規模で活用し、顧客サービスの高度化、業務効率化、データ主権の強化を同時に実現するとしている。
VietnamobileがTechco転換を進め中小企業向けデジタルソリューション事業を強化(6月19日)
Vietnamobile(ベトナムの民間携帯通信事業者)は、企業向け技術プラットフォームとデジタルソリューションの開発を軸とする新たな成長戦略を発表した。
同社は、通信市場が成熟し、成長が鈍化する中、従来型の通信事業者から技術ソリューション提供企業(Techco)へ転換する方針である。また、Vietnamobileは、中小企業が導入しやすい実用性の高いソリューションを優先して開発する方針である。ベトナムでは中小企業が全体の97%超を占める一方、投資コストの高さや導入の複雑さから、技術ソリューションへのアクセスに課題を抱えている。
同社は今後、接続能力とデジタルインフラの強化、実用性の高い技術プラットフォーム・ソリューションの開発、国内外パートナーとの協業エコシステム拡大の3分野に注力するとしている。
EVNNPTとEVNNPCがバックニン省の電力供給プロジェクト推進で連携強化(6月23日)
EVNNPT(ベトナム国家送電総公社)とEVNNPC(北部電力総公社)は、バックニン省における電力供給プロジェクトの推進に向けた連携会議を実施したと発表した。
バックニン省では、2026年6月時点の最大需要電力が3,230MWに達し、前年同期比22.5%増、2025年の最大需要電力比でも12.6%増となるなど、工業化の進展を背景に電力需要が急拡大している。特に猛暑日には多くの変電所で高負荷運転が続いており、高温が長期化した場合には設備の過負荷リスクが高まる状況にある。
こうした需要増に対応するため、EVNNPTは2021~2025年にクアンチャウ220kV変電所第2変圧器の設置やファーライ―バックニン線、ファーライ―ヒエップホア線の送電容量増強、ソンドン220kV変電所および接続線整備など6件の送電網プロジェクトを完成させ、現在も20件の送電プロジェクトを建設・投資中である。また、EVNNPCは110kV配電網について、2021~2025年にバックニン省内で3件のプロジェクトを完了し、2026~2030年にはさらに32件を実施する計画である。
両社は今後、投資準備や用地取得、施工で連携を強化するとともに、地方政府とも協力して用地取得や工事上の課題を早期に解決する方針である。EVNNPCは、工業団地やデータセンター、ハイテク産業の拡大に伴い、重点送電網の早期整備が地域経済の発展に不可欠と位置付けており、両社は定期的な進捗確認と課題対応を通じて、バックニン省および周辺地域の安定した電力供給とエネルギーインフラ整備を加速するとしている。
FPTがMicrosoftとのAI分野における戦略的協力を拡大(6月25日)
FPT(ベトナムの大手ITサービス企業)とMicrosoftは、アジアにおけるAI活用とイノベーションを促進するため、戦略的協力を拡大したと発表した。
今回の協力では、ASEAN(東南アジア諸国連合)、日本、韓国を重点市場と位置付け、MicrosoftのAI基盤とFPTの大規模導入能力を組み合わせることで、企業のAI導入加速と業務効率化を支援する。
提携は、FPTの「AI-First」戦略と、Microsoftが掲げる人間とAIエージェントが協働する働き方の実現というビジョンに基づくもので、FPTはAgentic AI(自律的に業務を支援・実行するAI)を中核業務プロセスへ組み込むほか、Microsoftの次世代AI技術へ優先的にアクセスし、生成AIやAgentic AIを活用した新たなサービス・ソリューションを共同開発する。両社は、AI導入ロードマップの策定、AI機能の実証、参照アーキテクチャや全社展開可能なAIモデルの開発を進め、実証から本格運用までの期間短縮を目指す。
また、FPTは顧客企業に対し、AI導入に加えてサイバーセキュリティ強化、クラウド基盤の拡充、ITコストの最適化を支援し、スマートオペレーションの実現と競争力向上を後押しする。さらに、両社はアジア市場向けに「Pathfinder」と呼ばれる共同戦略・投資・運営モデルを構築し、企業の大規模AI導入や経営層、営業、導入チームの能力強化を進める計画である。Microsoftは、ベトナムがAI活用の試験段階から本格展開へ移行する重要な局面にあると位置付けており、今回の協力を通じて、安全で責任あるAI活用を推進し、ベトナムおよびアジア企業のデジタル変革を加速するとしている。
Vinachemがラオス・カリ事業の投資準備を加速(6月25日)
Vinachem(ベトナム化学グループ)は、ラオス・カムムアン県で計画するカリ岩塩採掘・加工プロジェクトについて、関連書類を2026年7月中に完成させ、ラオス当局の承認を受ける見通しであると発表した。
同社はすでに、溶解採鉱技術に使用する機械・設備をすべて現場へ輸送済みであり、承認後に施工段階へ移行するための準備を整えている。
同社はこれまで、ラオス政府、関係省庁、ラオス・ベトナム協力委員会、カムムアン県当局と協議を重ね、進捗報告や課題解決を進めてきた。あわせて、肥料、タイヤ、電池、洗剤など主力製品の販促を通じ、ラオス市場での商業展開も強化している。
今回のプロジェクトは、投資準備条件の整備、協力スキームの具体化、ラオス市場での販促活動の拡大という3つの面で同時に進められている。これにより、早期の建設投資段階への移行を目指す。
稼働後は、ラオスのカリ資源を有効活用するとともに、ベトナム肥料産業にとって戦略的な原料供給源となる見通しである。Vinachemは、原料自給度の向上と長期的な原料安全保障の確保につなげる方針である。
さらに、同社はVIETLAOEXPO 2026にも参加し、主力製品のPR、パートナー開拓、両国企業間の経済・貿易協力拡大を進めることを目指している。
PVCFCが上半期計画を上回り肥料事業の成長加速を発表(6月28日)
PVCFC(カマウ省石油化学肥料総公社、Petrovietnam傘下の肥料メーカー)は、2026年上半期に計画を上回る業績を達成し、通年目標の達成に向けて成長基盤を強化していると発表した。
同社は、安定した生産体制、市場拡大、販売網の強化を背景に、2026年上半期の製品売上高が1兆1,800億ドン超、販売数量が90万トン超に達した。これにより、年間計画の59%超を達成した。
PVCFCは、変動の大きい市場環境の中でも、柔軟な経営戦略により主要指標の成長を維持している。同社は今後、成長の質、運営効率、競争力の向上を重視する新たな発展段階に入るとしている。2026年下半期に向けて、PVCFCは市場基盤の強化、供給確保、運営能力向上を重点施策に掲げる。全国の販売代理店、パートナー、顧客ネットワークを活用し、地域別・顧客層別・市場動向別に柔軟な販売政策を展開する方針である。また、マーケティング、販売促進、商業支援を強化し、販売網の事業効率を高めるとともに、主力製品の競争力向上を図る。
供給面では、製品群ごとに適切な供給計画を策定し、国内外市場への安定供給を確保する。Dam Ca Mau(カマウ尿素)は国内市場とカンボジア市場を優先し、Kali(カリ肥料)とDAP(リン酸二アンモニウム肥料)は戦略的パートナーからの輸入を強化する。さらに、3つのNPK(窒素・リン酸・カリウム配合肥料)工場を柔軟に運用し、各栽培地域の多様な需要に対応する。
長期的には、PVCFCは国際事業を拡大し、肥料のグローバルサプライチェーンへの参画を深める方針である。同時に、物流、倉庫、サプライチェーンの最適化を進め、運営効率の向上、コスト削減、市場需要への迅速な対応を目指すとしている。
FUTA EV POWERがBYD AUTO VIETNAMとEV充電インフラ分野で協力(6月28日)
FUTA EV POWER(FUTA Group傘下のEV充電インフラ開発会社)とBYD AUTO VIETNAM(中国BYD傘下のベトナム法人)は、ベトナムにおけるEV充電インフラ開発に関する覚書を締結したと発表した。
今回の提携により、FUTA EV POWERは、電池技術や新エネルギー車、充電インフラ分野で世界的な実績を持つBYDの技術や運用ノウハウを取り入れ、国際水準の充電インフラ整備を進める。両社は今後、充電ステーション網の接続・共有の可能性を共同で検討し、双方の利用者がより利便性の高い充電サービスを利用できる環境の構築を目指す。これにより、ベトナムで拡大するEV需要への対応力を高めるとともに、BYDの顧客サービス強化にもつなげる考えである。
協力内容には、先進的な電池技術やESS(エネルギー貯蔵システム)、次世代充電ステーションの開発可能性の検討も含まれており、EV利用者の利便性向上、充電インフラの運用効率化、環境負荷の低い交通システムの普及を後押しする。FUTA EV POWERは全国規模で充電ネットワークの拡大を進めており、将来的には乗用EVに加え、商用車や長距離バス、トラック、専用電動車両にも対応可能な充電インフラの整備を目指す。一方、BYD AUTO VIETNAMは、EV製品やエネルギー関連技術の研究・技術移転を推進しており、両社はFUTA EV POWERの全国的なインフラ展開とBYDの技術力を組み合わせることで、ベトナムにおけるグリーン交通インフラの整備と電動モビリティの普及を加速するとしている。