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ベトナム経済ニュース:2026年7月前半

ベトナムの2026年上半期農林水産物輸出が6%増、中国向けが拡大(7月2日)

 ベトナム農業環境省は、2026年6月の農林水産物輸出額が63億4,000万ドルとなり、前月比3.0%増、前年同月比10.1%増になったと発表した。
 2026年上半期(1~6月)の農林水産物輸出額は358億8,000万ドルとなり、その内訳は、農産物が185億9,000万ドル(前年同期比0.2%増)、水産物が57億ドル(同11.4%増)、林産物が92億ドル(同4.6%増)、畜産品が3億7,580万ドル(同34.6%増)であった。一方、上半期の農林水産物貿易黒字は92億ドルとなり、前年同期比7.7%減少した。
 品目別では、木材・木製品、コーヒー、野菜・果物、エビ、米、パンガシウス(ベトナム産白身魚)が10億ドルを超える貿易黒字を記録し、木材・木製品が67億3,000万ドルで最大となった。
 輸出先では、アジアが全体の44.4%を占める最大市場となり、中国が国別で最大の輸出先となった。中国向け輸出は前年同期比23.1%増、日本向けは1.6%増となった一方、米国向けは3.6%減少した。
 主力農産物では、野菜・果物の輸出額が36億5,000万ドルと前年同期比17.7%増加したほか、コショウも数量・金額ともに拡大した。一方、米とコーヒーは輸出量が増加したものの、価格下落の影響で輸出額は減少した。
 また、カシューナッツは輸出量が1.8%減少したものの、価格上昇により輸出額は23億9,000万ドルと前年同期比1.6%増加した。キャッサバおよび加工品も輸出量は12.0%減少したが、価格上昇を受けて輸出額は7億190万ドルと2.2%増加した。これに対し、天然ゴムと茶は輸出量、輸出額ともに減少した。天然ゴムの輸出実績は63万9,100トン、12億3,000万ドル、茶は5万3,200トン、8,950万ドルであった。
 輸入面では、2026年6月の農林水産物輸入額が46億8,000万ドルとなり、前月比5.3%増、前年同月比14.1%増となった。上半期累計では266億8,000万ドルと前年同期比11.7%増加しており、輸出拡大に伴い原材料や関連商品の輸入需要も高まっているとしている。

SEHCが約28MWpの屋根置き太陽光発電を稼働(7月3日)

 SEHC(Samsung電子のホーチミン市生産法人)は、ホーチミン市ハイテクパーク内の工場で、出力約28MWp(太陽光発電の最大出力単位)の屋根置き太陽光発電プロジェクトの稼働を開始したと発表した。
 同プロジェクトは、Samsungの持続可能な発展戦略の一環であり、RE100(事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーに転換する国際的取り組み)の実現に向けた重要なステップである。同時に、ベトナムにおけるグリーンエネルギー転換を後押しする取り組みでもある。
 発電設備はSEHC工場の屋根に設置され、約4万5,000枚の太陽光パネルと最新設備を使用している。年間発電量は4万MWh超を見込み、年間2万6,000トン超のCO₂排出削減に貢献する。プロジェクトは、政府機関、地方自治体、電力業界、TotalEnergies ENEOS(再生可能エネルギー事業者)などの協力により、品質、安全性、運用効率を確保しながら予定通り完成した。
 SEHCは、今回のプロジェクトを通じて、再生可能エネルギーを生産活動の重要な一部に組み込み、スマートで効率的かつ環境配慮型の工場モデルを目指す。

SUNHOUSEが自律走行ロボット・AI機器工場の着工を発表(7月3日)

 SUNHOUSE(ベトナムの家電大手)は、ハノイ市のハイテック工業団地で、自律走行ロボット・AI機器工場プロジェクトを着工したと発表した。
 同プロジェクトは、SUNHOUSEが国内向け家電ブランドから、国際基準を満たすテクノロジー・スマート製造グループへ転換するための重要な投資である。
 同社は、従来型のハードウェア生産から、ソフトウェア、データ、スマート接続、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、ロボティクスなどの中核技術を自社で保有する方向へ事業の重点を移す。今後は、スマート家電をより幅広い消費者に普及させるとともに、ベトナム企業の地域内競争力を高めることを目指している。
 同工場は2つのエリアで構成される。第1エリアは電子モジュールとハイテク電子機器の研究開発・生産を担い、建設規模は約7万3,000㎡、年間生産能力は電子モジュール1,300万個、ハイテク電子機器150万台を目指す。第2エリアはスマート家電工場として、自律走行ロボットとスマート機器の生産を中心に展開する。敷地面積は約2.5ha、建設規模は6万㎡で、年間10万4,000台の自律走行ロボットと200万台のスマート機器の生産能力を見込む。
 今回の工場着工は、SUNHOUSEがベトナム発の家電ブランドから、国際標準のスマート製造・テクノロジー企業へ転換するための基盤整備である。同社は、先端技術を一部の高級市場向けにとどめず、ベトナムおよび世界の一般消費者へ普及させることを目指す。

SATRAとBecamexが企業連携エコシステム構築に向け戦略提携を締結(7月3日)

 SATRA(ホーチミン市系のサイゴン商業総公社)とBecamex Group(ベトナムの工業団地・都市インフラ開発大手)は、2026~2031年を対象とする戦略的協力協定を締結したと発表した。
 今回の協力は、両社の強みを活用し、生産、商業、物流、工業インフラを結び付ける企業連携エコシステムを形成することを目的とするものである。これにより、持続可能なバリューチェーンを構築し、企業の競争力強化と成長余地の創出を目指す。
 協力方針では、両社が既存の強みを生かし、生産、加工、商業分野の企業に対して新たな接続機会を提供する。目的は、単なる販路拡大にとどまらず、バリューチェーン連携と流通システムの最適化を通じて、企業の競争力を高めることである。
 SATRAにとって、Becamexとの協力拡大は、現代的な商業エコシステムを発展させる戦略に合致する。同社はこれまで、サプライチェーン再構築、マルチチャネル流通網の整備、メーカーとの連携強化を進め、商品の流通効率向上を図ってきた。一方、Becamexは、工業団地、都市開発、投資誘致に強みを持つ。SATRAの商業・流通ネットワークと接続することで、工業団地内の製造企業と国内消費市場を結び付け、閉鎖型サプライチェーン形成を促進することが期待される。

PV GASがShell Eastern LNGとベトナム初の定期LNG売買契約を締結(7月6日)

 PV GAS(ベトナムガス総公社)は、Shell Eastern LNG(Shell傘下のLNG取引会社)と、2027~2031年を対象とするベトナム初の定期LNG売買契約を締結したと発表した。
 同契約は、ベトナム政府が掲げる安定的かつ長期的なエネルギー供給源の多様化方針に沿うものであり、発電用燃料の安定確保を通じて経済発展と国家エネルギー安全保障の強化に寄与する。
 Shellは世界有数のLNG事業者であり、2025年のLNG供給量は7,290万トン超に達した。世界各地で長期供給契約の実績を有し、2023年7月には、PV GASのチーバイLNG基地の試運転向けに、ベトナム初となるLNG貨物を供給した実績がある。
 今回の契約相手であるShell Eastern LNGは、国際的な慣行に沿った公開性・透明性・競争性を確保した国際入札を通じて選定され、入札には世界の有力エネルギー企業やLNG事業者が参加した。これにより、ベトナムLNG市場の成長性に対する国際的な期待と、PV GASの国際LNGサプライチェーンにおける信用力の向上が示された。
 PV GASは今回の契約を通じて地域・国際LNGサプライチェーンへの本格参入を一段と進めるとともに、今後もベトナムLNG市場の発展を主導し、供給源の多様化や事業効率の最適化を図り、持続可能な発展と国家エネルギー安全保障の強化に貢献するとしている。

ベトナム政府が海面養殖の大規模産業化を推進、ロブスター輸出拡大へ(7月7日)

 ベトナム政府は、海面養殖を大規模・工業的・持続可能な産業として育成し、ロブスターを含む高付加価値水産物の輸出拡大を進める方針を発表した。
 同計画では、2025年までに海面養殖面積28万ha、生産量85万トン、輸出額8億~10億ドルを目標とし、2030年には面積30万ha、生産量145万トン、輸出額18億~20億ドルへ拡大する計画である。さらに2045年には、先進的な管理方式を備えた近代的な海面養殖産業を確立し、水産業全体の生産量の25%超を担うとともに、輸出額40億ドル超の達成を目指す。
 なかでもロブスターは海面養殖の中核成長品目とされ、VASEP(ベトナム水産加工輸出協会)によると、2026年1~5月の中国向け輸出額は5億600万ドル超と前年同期比44.3%増加し、中国向けエビ輸出全体の71%を占めた。ベトナム産ロブスターは、中国に近接する立地を活かした活魚輸送の優位性に加え、青ロブスターのサイズや価格競争力が評価され、中国のレストランやホテルで高い需要を獲得している。また、様々な海面養殖実証プロジェクトが進められており、ハイフォン省からキエンザン省までの重点地域では沖合養殖エリアの整備も計画されている。
 政府は科学技術を成長の鍵と位置付けるほか、ハイフォン省からキエンザン省にかけた沖合養殖エリアの整備、種苗研究・生産への民間参画、高付加価値品目向け飼料生産拠点の整備を推進し、海洋経済や国防・安全保障、持続可能な水産業の発展にもつなげるとしている。

Masan High-Tech Materialsが韓国GB Innovationとタングステン加工・供給で戦略提携(7月9日)

 Masan High-Tech Materials(MSR、ベトナムのハイテク素材メーカー)は、GB Innovation(GBI、韓国のタングステン資源開発企業)と、タングステンの加工・供給に関する戦略的提携を締結したと発表した。
 合意に基づき両社は、韓国で採掘されたタングステン精鉱をMSRのベトナム工場へ輸送し、APT(パラタングステン酸アンモニウム)や酸化タングステンなどの高付加価値中間製品に加工する。これらは半導体、航空宇宙、自動車、特殊合金、ハイテク機器向けの重要材料として使用される。
 MSRは、中国以外では数少ない大規模なタングステン採掘・一貫加工事業者であり、成分や不純物濃度が異なる精鉱を処理し、高純度タングステン化学製品を製造できる技術を有する。加工料金は、Fastmarkets(国際商品価格情報機関)が公表するAPT価格指数に連動させる一方で、最低価格を設定し、価格変動リスクを抑制するとともに、収益予測の精度向上と工場稼働率の安定化を図る。
 半導体やAI関連投資の拡大を背景にタングステン需要は増加しており、特にWF6(六フッ化タングステン)は次世代ロジック半導体やDRAM、3D NAND向けの重要な前駆体として需要拡大が見込まれる。
 MSRはヌイファオ鉱山に加え、世界20社超の鉱山事業者から精鉱を調達しており、今回の提携によって原料調達先の多様化をさらに進める。国内資源とグローバルな原料調達、高度加工技術を組み合わせることで、タングステンを中核とする世界的な戦略素材プラットフォームを構築し、ベトナムを中国以外の主要タングステン加工拠点へ発展させることで、世界のハイテク素材サプライチェーンにおける同国の存在感を高めるとしている。

Grab Vietnamが2028年までに全国6,000口超の共用EV充電ポートを整備(7月10日)

 Grab Vietnam(配車・デリバリープラットフォームGrabのベトナム法人)は、充電ステーション運営会社への投資・協業を通じ、2028年初頭までに全国で6,000口超の共用EV充電ポートを整備すると発表した。
 整備対象は、BEV(バッテリー式電気自動車)、PHEV(外部充電可能なプラグインハイブリッド車)、電動バイクなど幅広い電動車両で、車種やブランドを問わず利用できる共用充電ネットワークを拡大することで、ベトナムにおける電動車への移行を後押しする。
 同覚書では、グリーン交通、観光のデジタル化、デジタルトランスフォーメーション、科学技術活用などの分野でも連携し、充電インフラでは提携企業とハノイ市建設局が協力して、市内の需要に応じた共用EV充電ステーションの整備・拡張を進める。また、複数事業者が運営する充電ネットワークを相互接続し、Grab Driver(提携ドライバー向けアプリ)上で充電ステーションの検索、充電、料金決済までを一括で行える仕組みの構築を目指す。
 Grabは、2026年4月に「EVユーティリティ機能」をGrab Driverへ導入しており、現在はEboost、Charge+、EV One、ChargeLinkなどが運営する400口超の充電ポートと接続している。これにより、GrabCarの提携ドライバーは1つのアプリで充電場所の検索から決済まで完結できる。Grabは、充電設備への投資とデジタル接続機能を組み合わせることで、共用EV充電インフラの拡充と利用者の利便性向上を図り、ベトナムにおけるグリーン交通エコシステムの発展を推進するとしている。

SPVBがタイニン省でスマート飲料工場を稼働(7月10日)

 Suntory PepsiCo Vietnam(SPVB、サントリーとペプシコのベトナム合弁飲料会社)は、タイニン省ドゥックホア村で、総投資額3億ドルの飲料工場を開業したと発表した。
 同工場はフータイン工業団地内の約20haに建設され、年間約12億リットルの生産能力を持つ。SPVBにとって過去最大の投資案件であり、ベトナムで30年以上にわたり事業を展開してきた同社の新たな成長拠点となる。工場では、原材料の受け入れ、加工、充填、包装、保管、物流までの全工程に高度な自動化、デジタル技術、スマート生産システムを導入した。
 また、SPVBおよびSBFA(サントリーのアジア飲料事業会社)にとって、アジア太平洋地域初となる完全自動倉庫を導入した。ロボットが商品の保管、入出庫、搬送を担い、生産効率、安全性、サプライチェーンの柔軟性を高める。
 環境面では、100%再生プラスチックを使用したrPET(再生PET樹脂)容器の生産に対応する。循環型経済への移行を進めるとともに、持続可能な包装材や新商品の開発基盤として活用する方針である。
 同工場はLEED Gold(国際的な環境配慮型建築認証の上位基準)に準拠し、環境負荷の低い建材、省エネルギー技術、再生可能エネルギー関連ソリューションを採用した。敷地の20%超を緑地・景観エリアとし、職場環境の改善、生物多様性の保全、気候変動への適応も図る。
 SPVBは、先進的な生産、技術革新、環境配慮を組み合わせ、2050年までのNet Zero達成を目指すとしている。

BSRが新原料2種の処理に成功し対応可能な原油を40種へ拡大(7月11日)

 BSR(Petrovietnam傘下の石油精製・石油化学企業)は、新たにErha原油(ナイジェリア産原油)とSVDN(ベトナムの沖合の油田)コンデンセート(天然ガス田などから採取される軽質炭化水素)の処理に成功し、ズンクアット製油所で処理可能な原油・原料の種類を計40種へ拡大したと発表した。
 同社は、Erha原油(ナイジェリア産原油)とSVDN産コンデンセートの試験処理を実施しており、処理設備は設計能力の119~120%に相当する高稼働率でも安定運転を維持した。最大混合比率はErha原油が約45%、SVDNコンデンセートが約12%となり、多様な原料への対応力を実証した。
 Erha原油は、ナイジェリアの主要油田から供給される埋蔵量の豊富な原油で、安定性と価格競争力を備えた調達先として期待される。従来処理してきた一部原油より硫黄分や金属分は高いものの、試験では品質基準を満たす石油製品の商業生産に成功し、BSRの運転最適化技術と高度な処理能力を示した。
 一方、SVDNコンデンセートはナフサの回収率が高く、ガソリンや石油化学製品向け原料の供給拡大に加え、重質留分の低減による製品構成や製油効率の改善にも寄与する。
 今回の成果により、国際原油市場の価格変動や供給リスクへの対応力を高めるとともに、経済性に優れた原料を柔軟に選択できる体制を強化した。BSRは今後も原料調達先の多様化を進め、原料コストの最適化、工場稼働率の向上、製品価値の拡大を通じて、ズンクアット製油所の競争力強化を図るとしている。

カントー市の水産企業がティラピアの寿司・刺身用商品を日本へ初輸出(7月12日)

 カント―市の水産物輸出企業は、ベトナム産ティラピア(淡水・汽水域で養殖される白身魚)のフィレを、日本向けの寿司・刺身用商品として初めて輸出したと発表した。
 同社は、高付加価値食品市場の品質基準に対応するため、約6カ月をかけて養殖・加工工程を整備した。養殖場では池の設備改良に加え、水流形成技術や底部曝気システムを導入し、安定した養殖環境を構築することで、身質が引き締まり泥臭さの少ないティラピアの生産を実現した。収穫した魚は直ちに工場へ搬送され、厳格な品質管理の下で加工されることで、海外の料理人が求める寿司・刺身向け品質を確保している。
 同社は今後、日本市場に加え、米国やカナダへの輸出拡大も計画している。また、カントー市では別の企業も日量約200トンのティラピア加工工場を稼働し、フィレや丸魚、高付加価値加工品の生産を進めている。
 2026年上半期のベトナム産ティラピア輸出額は7,600万ドルとなり、前年同期比101%増と大きく伸長した。従来の丸魚や切り身から寿司・刺身向けなどの高度加工品への展開により、輸出単価と収益性の向上が期待されるほか、カナダやオーストラリア向け輸出も拡大しており、市場の多様化も進んでいる。
 ベトナムは、沿岸の汽水域を活用した大規模養殖の優位性を生かし、高品質市場への参入と高度加工技術への投資を通じて、水産物輸出の高付加価値化と輸出先の多角化を推進するとしている。

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