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需要が高まるカンボジアのインターネット市場


カンボジアの急速な発展
 カンボジアは近年高い経済成長率を維持しており、今後についてもIMF(国際通貨基金)が2020年まで経済成長率が7%台を維持すると予測しているように、今後もアジア屈指の成長を遂げることは間違いない。
この高い成長率の背景には、潤沢な労働力や安い賃金といった魅力に惹かれた外国資本の参入が窺える。
 近年、中国や東南アジアの主要国の人件費上昇などの要因から、カンボジアに生産拠点を構える日系企業が増加している。国連人口部によるとカンボジアの労働人口は2070年まで増加する予定であり、人口ピラミッドを見ると若年層の数が多いことが見て取れる。人件費は近年最低賃金の改正などを背景に急激に上昇したが、世界レベルではいまだに低水準のままとなっている。
 投資環境の面では、外国資本への規制がほとんどない上、経済特区においては、法人税や輸入関税などの免除、各種手続きの簡略化といった優遇が受けられる。また、カンボジアでは取引がドル主体であるため為替リスクを回避できる等、外国資本が参入しやすい状況となっている。
また、カンボジアが親日国であることも日系企業にとっては参入しやすい1つのポイントとなっている。

カンボジアの通信事情
 IMF(国際通貨基金)によると、カンボジアの一人当たり名目GDPは1144米ドル(2015年)であり、世界第156位と最も貧しい国の1つに数えられる。しかし、通信市場は非常に活発であり、MPTC(カンボジアの郵便電気通信省)によると、カンボジア・ロイヤル・グループを筆頭に7社が参入する市場となっている。カンボジアにおける携帯電話の普及率は2014年時点で一人あたり132%を誇っているが、(この背景にはマイクロファイナンスという小口の個人ローンが活発化してきたことがある。)
 これに対しインターネットの普及率は2015年時点で19%と世界で150位であるが(タイ115位:普及率39%、中国92位:普及率50%、日本9位:普及率93%)、特筆すべきはその成長率であり、2013年の6.8%からは急速に普及率は上昇している。この急速な成長を後押ししたのは通信インフラの整備であり、2003年に首都圏での高速通信サービスと首都圏及びシェムリアップでのWi-Fiサービスが開始され、さらに都市部や国道沿いにおいてもインターネット環境が整備されつつある。また、政府は2020年までに都市部の100%と、それ以外の地域の70%を512kbps以上のネットワークで結ぶとしており、2017年の3月にはカンボジア初の海底通信ケーブルが政府と民間企業の協力により実現するなど、今後も政府の支援を受けて通信インフラの整備は進んでいきそうだ。

現地インターネット市場の課題
 先に述べた通り通信インフラの整備が進んでいるものの、現地の通信環境はまだまだ発展途上である。MPTC(カンボジアの郵便電気通信省)によると、カンボジアには有線インターネット接続事業者(ISP)が33社あり、無線などのモバイルインターネットの普及率と有線のインターネットの普及率は99:1である。そのために有線事業者は激しい競争の中で価格競争に陥っており、有線事業者は回線設備に十分な投資をすることができず、回線が混雑時間帯になると繋がらないといった通信容量の問題を抱えており、劣化した通信ケーブルによる事故も発生している。

NTTコミュニケーションズの参入
 NTTコミュニケーションズはカンボジアに進出する日系企業や外国企業への通信サービス提供を目的に、2010年NTTコミュニケーションズタイの支店としてプノンペンにオフィスを構えた。同社のインターネット回線は24時間体制でモニタリングするなどして通信速度の問題等をクリアすることで現地の事業者との差別化を図っており、カンボジア日本人商工会に登録されている日系企業180社のほとんどが同社を利用している。また、前述の海底ケーブル網の接続に関して政府と提携を結んでおり、通信インフラの整備にも力を入れている。

インターネット市場の今後
上記の通り、カンボジアは、
①労働力人口が今後しばらくは堅調に増加し、今後消費の活発化も見込める
②東南アジアの主要な生産国、または消費地であるタイやベトナムに隣接した地域である
③外資規制がないことや経済特区での外資の誘致に積極的である
という特徴を持ち、これらは近年の賃金上昇の問題を考慮しても生産拠点や市場として魅力的であり、海外企業のカンボジア進出は増加すると考えられる。それに伴い道路や電気などの各種インフラの増強需要は高まっていくものと考えられるが、中でも通信インフラに関しては政府も力を入れており、ブロードバンド市場は大きなポテンシャルを秘めている。


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