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新たな成長を目指すカンボジア


アジア屈指の成長力を誇るカンボジア
 カンボジアは2000年以降、2009年から2010年のリーマンショックの時を除き、6.5%以上の高いGDP成長率を維持しており、今後も2020年まで年率6.5%以上の成長率が予測されている。2016年の経済成長率ランキングでカンボジアは世界第8位とアジアでは最も高い成長率を誇っている(IMF:国際通貨基金)。また、人口に占める若年層の割合が高く、2016年の国民の平均年齢は24.9歳となっている(日本は46.9歳。CIA:中央情報局)。1999年にASEAN、2004年にWTOに加盟するなど国際社会との繋がりを深めてきたカンボジアは、近年は中国やタイに代わる新たな生産拠点の一つとして注目を集めている。

成長の要因
 カンボジアが急速な成長を遂げた主な要因は、政府の積極的な外資の呼び込みである。まず、外資の規制に関して、タイやベトナムなど周辺諸国には業種・分野ごとの外資の規制が存在するが、カンボジアにはそのような規制は存在せず、多様な分野に自由に投資することができる。また、投資奨励政策として、一定の条件を満たす投資プロジェクトに対してQIP(投資適格プロジェクト)という承認を与えている。QIPを行う企業は法人税免税や、輸出関税の免除といった税制面での優遇を受けることができる(企業ごとではなく、プロジェクトごとの許可となる)。
 次に、経済特区の充実がある。JETROのカンボジア経済特区マップによると、カンボジアでは2005年に初の経済特区が設置され、2017年3月時点で39の経済特区が存在しており、これらはベトナムのホーチミンからタイのバンコクまで繋がる南部経済回廊に沿って(特にベトナム、タイとの国境付近)設置されている。カンボジアはタイとベトナム両国に挟まれており、どちらにもアクセスがしやすいという利点があるため、タイ、ベトナムの人件費上昇に伴ってカンボジアに生産拠点の一部を移す企業が増加している。特にプノンペン経済特区は首都でインフラや生活環境が充実していること、ベトナムの主要都市であるホーチミンへのアクセスが良いこと、ホーチミンより賃金が安いことなどを理由に、多くの企業(約55%が日系企業)が入居している。
 カンボジアの主要貿易品目は、輸出品目が「衣類および付属品」で全体の74.7%を占めている。これに対して輸入品目は「織物・製靴、その他製造原料」(51.2%)、「石油製品」(8.9%)となっており、半製品や原料を輸入して製品、半製品を輸出する加工貿易が主体となっている(2016年JETRO)。また、カンボジアの中間財の輸入相手国はタイ、ベトナム、中国がそれぞれ約3割前後であり、各国の生産の補完的役割としてカンボジアが機能していることがわかる。

政府は産業構造の転換をめざす
  これまでのカンボジアの成長の要因は安価な労働力、豊富な若年層といった人口ボーナスを原動力とした積極的な外資の呼び込みであった。その結果、新たな生産拠点を求めた企業がカンボジアに進出し、弊害として産業構造は縫製業などの付加価値の低い労働集約型産業に大きく偏っている。このような状況を打破するために、カンボジア開発評議会が中心となって「カンボジア産業政策2015-2025」が策定された。その目的は産業構造を労働集約型産業からスキル、技術労働者中心の高付加価値産業へと変化させることであり、製造業や農産品加工業、医薬品などの中小企業の発展を通して実現することを目指している。この政策によってカンボジア国民の生活水準が向上すれば、今後は消費市場としてのカンボジアの魅力が大きくなる。
 カンボジアの人口は現在約1,558万人(CIA)と近隣の諸国と比較して非常に少ないが、首都プノンペンの人口は173万人(公益財団法人 国際労働財団)と日本の大都市に劣らない(川崎市の人口は約149万人で日本7位の人口数)。2014年にイオンモール(株)がプノンペンに出店し、2018年夏にはプノンペンに2号店を出店する計画を立てている。カンボジア政府が短期的な課題として挙げている南部経済回廊など主要道路のインフラ整備が進めば、ホーチミンやバンコクからの物流や人の移動が更に活発になり、プノンペンは消費市場としても大きく発展する可能性がある。


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