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韓国の高齢化と老人福祉住宅の需要増加


韓国で進んでいく高齢化

 韓国では急速に高齢化が進んでいる。韓国の統計庁が公表しているデータでは、2015年の65歳以上の高齢者の人口は約660万人だったが、2023年には950万人となり、約45%増加した。これは、韓国の全人口の19.2%の割合である。2024年の日本の高齢者の割合29.1%よりは低い数値であるが、韓国の高齢化は世界的にも速く進んでおり、2042年には日本の高齢者割合より高くなると予測されている。実際、韓国の統計庁によると2042年には韓国の高齢者の割合は35.8%になり、日本の国立社会保障・人口問題研究所が予測した、2042年における日本の高齢者の割合35.5%を超える数値になる。

 さらに、同機関によると、高齢化は今後、より深刻になり、50年後の2072年には65歳以上の高齢者人口が韓国総人口の約50%を占め、1,720万人になると予測されている。

韓国における高齢者向け施設とそれに対する考え方の変化

 このような急激な高齢化によって、高齢者向け施設にも変化が起きている。韓国の高齢者向け施設の中で、住居できる施設の種類は二つある。まず、老人住居福祉施設に該当する老人福祉住宅が代表的で、シルバータウンという老人ホームのような施設がある。老人福祉住宅は、老人に住宅施設を賃貸し、日常的に必要なサービスを提供する施設である。もう一つは、老人医療福祉施設があり、代表的なものは老人療養施設(通称療養病院)である。老人療養施設は長期の入居が可能で、医療サービスも受けることができる点が特徴である。

 以前は、このような住居施設に高齢者(自分の親)を入居させることは親不孝だと考えられていたため、子供が高齢の親を介護し、老人余暇福祉施設の一種である敬老堂に高齢者が通うことが一般的であった。しかし、近年は高齢者が自身の生活と時間を優先したいという考えが広まり、上記のような考え方は変わりつつある。実際、韓国の政府機関である保健福祉部が3年ごとに実施する老人実態調査(10,000人を対象に実施した調査)によると、息子・娘と離れて生活している高齢者単身世帯の数は増加しており、2014年には6,983人だったが、2023年には8,791人となっている。高齢者世帯が増加している理由のひとつとして、結婚した子供と離れて親がひとりまたは夫婦だけの生活を送りたいからと答えた人の割合が15.5%から21.4%に増加していることがあげられる。一方、従来の形態、つまり結婚した子供と一緒に住んでいると答えた人は、2014年の1,460人から2023年には387人に減少した。

 上記のことから近年は子供と分かれて住む形に変わっているという変化が見られる。

 

老人福祉住宅の需要が高まる

 このような価値観の変化から、老人住居施設のニーズも高まっているが、その需要は満たされていない。実際、企画財政部が2024年7月に発表した「シニアレジデンス活性化方案」によると、現状、高齢者向けの住居空間と家事・健康・余暇サービスが結合したシニアレジデンスの需要が増加しているが、高齢者の需要を満たすことができておらず、シニアレジデンスの戸数は高齢者人口に対して0.12%に過ぎないという。

 

日本企業の参入が始まる

 そのニーズに応えるために、日本のSOMPOホールディングスおよびSOMPOケアは、韓国のKBグループと協力し、2023年6月に韓国の老人福祉住宅と介護サービス産業に参入すると発表した。日本では以前より高齢化が進んでおり、高齢者向け施設とサービスが充実しているというところから、日本での経験や取り組みを活かすことができる。SOMPOケアはKBケアに対して介護人材の研修を実施し、各種アドバイスを行う。KBケアはSOMPOケアのサービスや事業の韓国進出をサポートし、最終的には両者が共同で開発したサービスを韓国の介護事業者に展開することも考慮している。

 

老人福祉住宅に対する政府の支援

 韓国政府からも様々な規制緩和の動きが見られている。上記の「シニアレジデンス活性化方案」によると、シニアレジデンスは老人福祉住宅のことであり、民間と公共に分かれている。報告書によると、民間の老人福祉住宅の一例であるシルバータウンは、今まで設立と運営に法的制約が多かった。また、都心に位置する老人福祉住宅の需要は地方より高いにもかかわらず、都心の敷地を確保することが困難で施設数が不足しているという問題もあった。この問題に対して、政府は老人福祉住宅の供給を増やすため、土地と建物の使用権だけで設立と運営できるように規制を緩和する計画を立てた。

 他にも、住宅を保有している高齢者でも公共老人福祉住宅に入居できるようにする予定である。また、今までは短期賃貸でしか住めなかったが、長期賃貸(10年以上)でも住めるようにする方針もあり、老人福祉住宅の供給を活性化するために特別法を制定する案を出すなど、多角的に規制を緩めようとしている動きが見られる。

 このように、韓国での老人福祉住宅は今後、拡大すると見込まれている。韓国では日本の高齢者向け政策が多く研究されており、見習うべきモデルになっている。実際、企画財政部は上記の「シニアレジデンス活性化方案」で、日本における高齢者の居住の安定確保に関する法律および政策、SOMPOケアの事例のような事業など、日本の取り組みを参考事例として取り上げている。日本での経験やノウハウ、体系的な仕組みを韓国で活用することができると考えられる。

 

(2026年5月)

 

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