タイ経済ニュース:2026年5月前半

SCG Chemicals社がPTT社との合弁事業を検討へ(5月1日)
タイ最大の産業コングロマリットであり、セメント・石油化学製品メーカーであるSiam Cement社(SCG)は、PTT Global Chemical社と、オレフィンおよびポリオレフィン事業の共同開発に向けた実現可能性を検討するための覚書を締結したと発表した。
今回の提携は、タイの石油化学サプライチェーンを強化し、業界の長期的な持続可能性を確保することを目的としている。合弁事業に関する調査は今年第3四半期までに完了する見込みで、両社は12カ月以内の新会社設立を計画している。背景には、イスラエルと米国によるイランへの攻撃を受けた世界的なエネルギー価格高騰があり、石油化学製品の主要原料であるナフサ供給にも影響が及んでいる。
SCG子会社のSCG Chemicals社(SCGC)は、こうした情勢を受け、ラヨン県のオレフィン工場とベトナムのロンソン石油化学コンプレックスの操業を停止している。同社はタイ国内でラヨンオレフィン工場とマップタプットオレフィン工場を運営しており、両施設の生産能力は合計270万~300万トンに達する。これらの工場ではポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)を生産している。SCGCは、PTT Global Chemical社との提携が実現すれば、PPおよびPEの生産能力が最大600万トン規模まで拡大する可能性があるとしている。
EssilorLuxottica社が、タイの眼鏡小売チェーンTop charoenの株式を取得し、新しい研究開発センターを開設(5月2日)
アイウェア大手のEssilorLuxottica社は、Ruam Charoen Pattana 社によって運営されているタイ最大の眼鏡小売チェーン、「Top charoen」の株式を取得したと発表した。
眼鏡小売チェーン「Top charoen」の株式を取得した理由について、EssilorLuxottica社がタイ全土に2,000店以上を展開する同小売店は、顧客に容易にリーチできる重要なチャネルとなる可能性を秘めているとしている。
また、同社は、バンコクのラートクラバンに5,000平方メートルを超える新たな研究開発(R&D)センターを開設した。この研究開発センターは、フランス、中国、韓国、メキシコ、フィリピンを含む、同社のグローバルな眼鏡生産を支援する。
現在、同社はパトゥムターニー、ラートクラバン、チョンブリー、ラヨーンの4か所に生産拠点を持ち、世界中の消費者に製品を供給している。生産工場近くに研究開発センターを設立することで、材料やレンズの研究開発と迅速な製造をシームレスに統合し、世界的な需要に対応できる、エンドツーエンドの生産プロセスを実現している。
タイ投資委員会がTikTokを運営するByteDanceによる290億ドルの投資を承認(5月6日)
タイ投資委員会(BOI)は、TikTokを運営する中国のByteDanceによる総額9,580億バーツ(約290億米ドル)規模の6件の主要投資プロジェクトを承認したと発表した。
承認案件には、TikTokの現地法人による8,420億バーツ(約250億米ドル)相当の大規模データインフラ拡張計画が含まれている。同計画では、バンコク、サムットプラカン、チャチューンサオにサーバーを追加設置し、データ保存および処理能力を拡大することで、拡大するデジタルサービス需要への対応を図る。また、地域のデジタルインフラ拠点としてのタイの役割強化も狙いとしている。
TikTokを運営する中国のByteDanceは、昨年、今後5年間でデータセンター分野に88億米ドルを投資する方針を示していた。今回のBOI承認は、その戦略を具体化する動きと位置付けられる。さらにTikTok/ByteDanceは、インフラ投資だけでなく、タイ国内の起業家支援やデジタル人材育成にも取り組む方針で、デジタルリテラシー教育やeコマース関連カリキュラムの開発を通じて、新たなビジネス機会の創出とデジタル分野の人材強化を進めるとしている。
タイ中央銀行が経済成長率予測を上方修正(5月7日)
タイ中央銀行は、2026年の経済成長率見通しを2.1%とすると発表した。従来予測の1.5%から上方修正した背景には、政府が4,000億バーツを借り入れる緊急政令を決定したことがある。
この借入金は、消費刺激策やグリーンエネルギー事業への資金供給に充てられる予定である。中央銀行は、これらの景気刺激策が経済活動を下支えするとみており、2027年の国内総生産(GDP)成長率についても2.6%へ上昇すると予測している。
一方で、エネルギー価格の高騰が経済に与える影響も懸念されている。景気刺激策に加え、エネルギーコスト上昇の影響を受ける脆弱層への補助金支給が進められることで、第3四半期にはインフレ率が上昇する見通しである。タイ商務省によると、エネルギー価格上昇を背景に4月の総合インフレ率は前年同月比2.9%上昇し、3年以上ぶりの高水準となった。同省は、2026年通年のインフレ率を1.5~2.5%と予測しており、この水準は中央銀行が設定する1~3%の目標レンジ内に収まるとしている。
AWC社が大阪万博からブルーオーシャン・ドームを取得し、アジアティーク・ザ・リバーフロントに移設(5月12日)
不動産開発企業であるAsset World社(AWC)は、2025年の重点投資案件として、大阪・関西万博で使用された「ブルーオーシャン・ドーム」を活用する計画を発表した。
同社は、万博で使用された2つのブルーオーシャンドームを、バンコクの大型エンターテインメント施設「アジアティーク・ザ・リバーフロント」内の約1,600平方メートルの敷地へ移設する計画で、既に杭打ち工事と基礎工事を完了している。施設は今年第3四半期の開設を目指している。
AWCによると、2026年第1四半期のアジアティーク・ザ・リバーフロントは、ライフスタイルおよび観光体験の拡充を背景に成長を維持した。賃貸収入は前年同期比15%増、営業利益(EBITDA)は21%増となり、入居率が4ポイント上昇して81%に達したことや、平均賃料が5%上昇したことが寄与した。
また、「Jurassic World: The Experience」や「SkyFlyers: Wings of Garudapterus」といったアトラクションの成功により、1日当たりの平均来場者数は16%増加し、タイ国内外から観光客を集めた。同社は、今年中に5件のプロジェクト開発および立ち上げに向け、約80億バーツを投資する方針としている。
Haierが業務用エアコンの工場を建設するために50億バーツを投資し、輸出比率70%を目指す(5月14日)
Haier Electrical Appliances (Thailand)社は、ラヨン県のWHAイースタン・シーボード工業団地5(WHA ESIE 5)に新たにスマートエアコン工場を建設すると発表した。
総投資額は50億バーツで、Haierにとって世界初となる中央空調システム製造向けのAIインテリジェントファクトリーとなる予定であり、タイ国内では3番目の工場となる。2027年6月の稼働開始後、初期段階で年間約30万台の生産能力を見込む。主力は業務用エアコンで、生産量の30%を国内市場向け、70%をASEAN、中東、南北アメリカなど海外市場向けに輸出する計画である。製品には、小型業務用エアコン、マルチスプリットシステム、セントラル空調システム、エンドコントロールユニット、データセンター関連機器などが含まれる。
同社は、都市化や不動産開発、ホテル、工業団地、大規模データセンター、インフラ開発を背景に、東南アジアで業務用空調設備需要が拡大すると予測しており、2030年までに年間需要は22万台を超える見通しを示している。
Haierは現在、中国、インド、パキスタン、エジプトなどに製造拠点を持ち、世界35カ所の工業団地と173の生産拠点を有している。ラヨン工場を国際標準に対応した環境配慮型スマートエアコンソリューションの生産拠点へ発展させ、タイを空調・冷凍技術の世界的拠点へ押し上げることを目指すとしている。