タイ経済ニュース:2026年6月後半

タイ政府が国家半導体政策委員会を設立(6月16日)
タイ政府は、半導体分野における国家戦略を推進するため、国家半導体政策委員会を設立し、タイへの2兆5,000億バーツの投資誘致を目標とすると発表した。
アヌティン首相は、タイ経済の強化、高度人材雇用の創出、歳入の拡大、長期的な国家競争力の向上を目的として、同委員会を設置を命じる指令に署名した。タイ政府は投資誘致に加え、2050年までに半導体産業向けの高度人材23万人を育成する目標を掲げており、産業基盤の強化と人材育成を一体的に進める方針である。
同委員会は、投資促進、人材育成、研究開発、インフラ開発、そしてタイ企業のグローバル半導体サプライチェーンへの統合を監督する。政府は、半導体関連産業が今後も高い成長ポテンシャルを有する重点分野と位置付けている。
2025年の投資促進データによると、電子機器・電気機器セクターへの投資申請額は2,770億バーツに達し、デジタルセクターに次いで2番目に大きな投資セクターとなった。また、2026年第1四半期の同分野への新規投資額は404億バーツを超え、タイの投資先としての魅力と将来性に対する投資家の高い期待を示している。
タイ政府は、今後ロードマップを着実に実行することで、半導体産業を新たな経済成長の柱へと育成し、高度人材の雇用創出や国民生活の質の向上、国家競争力の強化を実現するとともに、世界経済の変化に対応できる産業基盤を構築するとしている。
富士フイルムビジネスイノベーション(タイランド)がサイバーセキュリティ事業を拡大(6月18日)
富士フイルムビジネスイノベーション(タイランド)は、222億バーツ規模の市場機会を捉えるため、サイバーセキュリティサービス分野への事業を拡大すると発表した。
タイのサイバーセキュリティ市場は、2026末までに222億バーツを超える規模へ成長し、2032年までの年平均成長率は12.5~13%に達すると予測されている。こうした市場拡大を背景に、同社は従来のソリューション事業に加え、エンドポイントセキュリティ、ネットワーク監視、マネージドセキュリティサービスなどを中心とした事業強化を進める方針である。
タイでは、中小企業がサイバーセキュリティ対策に年間平均約30万バーツ、大企業ではエンドポイントセキュリティ、コンサルティング、セキュリティ情報イベント管理(SIEM)などを含め年間約300万バーツを投資している。一方で、技術の高度化やサイバー脅威の増加に伴い、国内では約2万人のサイバーセキュリティ専門人材が不足しており、多くの企業にとって自社でのセキュリティ運用がコスト面・人材面で課題となっている。
こうした需要に対応するため、同社はシスコ、グローバルサイン、ケーセヤ、ウィズセキュアなどの専門セキュリティベンダーとの戦略的パートナーシップを活用し、サービス提供体制を強化する。また、2024年に香港で導入したセキュリティオペレーションセンター(SOC)モデルの実績を踏まえ、2027年度までにタイでのSOC設置を検討しているほか、導入を加速するためタイ国内企業の買収も視野に入れているとしている。
Thai Beverage Can社が飲料包装市場の成長見通しを発表(6月25日)
Thai Beverage Can社は、世界的な経済の不確実性が続く中でも第1四半期の売上高が前年同期比37%増となったことを受け、飲料包装市場の需要は今後も拡大するとの見通しを発表した。
同社は、機能性飲料や栄養ドリンク、RTD(レディ・トゥ・ドリンク)飲料、プレミアム飲料の消費拡大が、飲料用アルミ缶を中心としたパッケージ需要を押し上げていると分析している。また、PwCタイランドが実施した「消費者の声調査2025」によると、タイの消費者は健康意識の高まりを背景に、食品の安全性や品質、健康効果をこれまで以上に重視する傾向が強まっており、こうした消費行動の変化も高付加価値飲料市場の拡大を後押ししている。
タイでは飲料容器の約75%をプラスチックボトルとガラス瓶が占めており、アルミ缶の普及率は近隣諸国に比べて低い。一方、カンボジアでは約70%、ベトナムでは約60%がアルミ缶であり、同社はタイでも機能性飲料やプレミアム飲料の需要増加に伴い、アルミ缶の利用が拡大する余地が大きいとみている。
さらに、消費者の購買チャネルがスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの近代的小売業態へ移行していることも、缶飲料市場の成長を支える要因として挙げた。アルミ缶は一般的にペットボトルより約5倍高価であるものの、高付加価値飲料との親和性が高く、タイの缶産業は今後も年間約4%の成長を維持するとの見通しとしている。
エネルギー省が新たな電力開発計画を策定(6月26日)
エネルギー当局は、クリーンエネルギーを増やし、特に急速に拡大するデータセンターからの急増する電力需要に対応するために設計された、新たな電力開発計画(PDP)の公開に向けた準備を進めていることを発表した。
2026年から2050年まで実施される予定のこの計画は、電力供給のロードマップとして機能し、温室効果ガスの排出量と吸収量のバランスをとることで、2050年までに実質ゼロ排出目標を達成するための取り組みを導くものと期待されている。
エネルギー大臣によると、電力開発計画(PDP)では、電力の60%をクリーンエネルギー源から供給することを目指している。このうち50%は再生可能エネルギー、残りの10%は小型モジュール炉(SMR)などの先進的なクリーン技術によって発電される。
2024年の電力開発計画(PDP)は、2037年までに再生可能エネルギー比率を51%にすることを目標としていたが、批判や政情不安を受けて撤回された。新たな計画では太陽光発電と輸入燃料への依存度を低減する技術が重視されている。
新たな電力開発計画(PDP)は、6月末までに最終決定される予定で、その後7月にエネルギー政策管理委員会に承認のために送付され、8月に公聴会が開かれるとしている。
SPI社と東急社が提携し、EECハブとして「シラチャの未来」を形作る(6月26日)
Saha Pathana Inter-Holding社(SPI)、東急、Saha Tokyu Corporation社の3社は、チョンブリー県シラチャにおける将来の都市開発の共同検討に関する協定書を締結した。
この連携は、「モダンな職場」と「総合的な生活圏」というコンセプトに基づき、シラチャを未来志向の生活、仕事、投資の中心地として長期的な可能性を引き出すことを目的としている。この取り組みは、タイ東部特別開発地区(EEC)における新興産業の成長と投資機会の促進を支援するために設計されている。
実現可能性調査は3年間有効であり、その間、パートナー企業は、シラチャにあるSahaグループ所有の700ライ(1ライ=1600平方メートル)の土地区画を対象に、今後10~20年間の開発戦略を策定するための調査を実施する。
この取り組みは、経済的価値を高め、生活の質を向上させ、地域の長期的な競争力を強化することで、シラチャをタイ東部特別開発地区(EEC)における国際的に認知された経済・ライフスタイル拠点として位置づけることが期待されているとしている。新たな電力開発計画(PDP)は、6月末までに最終決定される予定で、その後7月にエネルギー政策管理委員会に承認のために送付され、8月に公聴会が開かれるとしている。
タイ政府がバイオ燃料支援強化を発表(6月30日)
エネルギー省は、国内総消費量の90%を占める輸入石油への過度な依存を減らすため、バイオ燃料に対する政府の支援を強化することを発表した。
現在、タイ国内で使用される石油のうち、国内生産分はわずか10%にとどまり、大半を輸入に依存している。一方、燃料市場では依然として、バイオ燃料の混合比率が低いガソホールE10やバイオディーゼルB7が主流となっている。
タイでは2007年からガソホールE10、E20、バイオディーゼル混合燃料が販売されてきたが、バイオディーゼルB20が市場に投入されたのは2026年5月が初めてである。この動きの背景には、中東情勢の緊迫化により世界のエネルギー供給への懸念が高まり、エネルギー安全保障の観点からバイオ燃料の導入を加速する必要性が高まっていることがある。
政府は、石油燃料基金を活用して、E20とB20の小売価格を引き下げる補助金を投入し、消費者が高混合率バイオ燃料を選択しやすい環境を整備する方針である。また、自動車メーカー、農業生産者、エネルギー当局との間で、E20とB20を長期的に国内の主要燃料として確立するための協議を進め、輸入石油への依存低減やエネルギー安全保障の強化、国内バイオ燃料産業の育成を推進するとしている。