タイ経済ニュース:2026年7月前半

タイ投資委員会(BOI)がAuto Alliance(Thailand)のMHEV生産向け74億バーツ超の投資を承認(7月2日)
タイ投資委員会(BOI)は、マツダとフォードの合弁会社であるAuto Alliance(Thailand)社に対し、新型マイルドハイブリッド車(MHEV)の生産を支援するため、74億バーツ以上の投資を承認したと発表した。
Auto Alliance(Thailand)社は、MHEVの主要生産拠点としてタイを選定し、2027年から生産を開始する予定である。生産する車両は、タイ国内での販売に加え、日本およびASEAN諸国への輸出も計画しており、今回の投資は世界的な自動車需要の変化や将来的な技術転換に対応する取り組みとなる。
同投資により、シャーシ溶接、車体組立、塗装、車両組立など主要生産工程に自動化技術やロボット技術を導入し、生産ラインの高度化を進める。これにより、生産効率や品質精度の向上を図るとともに、ユーロ6排出ガス基準への対応や工場におけるクリーンエネルギー利用の促進を目指す。
今回のプロジェクトは、燃費向上や二酸化炭素排出量削減に貢献するMHEV技術を搭載したBセグメントSUV(小型クロスオーバーSUV)の生産に向けた準備であり、Auto Alliance(Thailand)社が今後の電動車(EV)開発をさらに推進するための重要な第一歩になるとしている。
ホンダがタイ市場でハイブリッドEVを製品ラインナップの中核にすると発表(7月3日)
ホンダオートモービル(タイランド)は、ハイブリッド電気自動車(HEV)を製品ラインナップの中核とする計画を発表した。
日本の自動車メーカーは、2029年までにタイで販売する車の約90%をハイブリッド車(HEV)にすることを目指しており、中国製バッテリー電気自動車(BEV)の急速な台頭に対抗しようとしている。同社は、電気モーターとガソリンエンジンを組み合わせ、発電と車輪駆動を切り替えることができる「e:HEV」技術を普及させたいと考えている。
同社はタイで新型ホンダ・シティの4モデル(e:HEV RS、e:HEV SV、e:HEV V、VTECターボ)を発表した。今後1年間で4万台の販売を見込んでおり、2026年1月から5月までに既に3万1,000台を販売している。今年、タイ国内で7万6,000台の自動車販売を目指しており、国内市場全体では66万台の販売を見込んでいる。
同社は、2029年までにタイの自動車市場においてハイブリッド車(HEV)が52%を占め、次いで電気自動車(BEV)が33%、内燃機関車(ICE)が13%、その他の技術が2%を占めると予測しているとしている。
タイデータセンター協会がデータセンター部門のGDP貢献拡大を予測(7月7日)
タイデータセンター協会は、データセンター部門のGDPへの直接的な貢献度が、今後5年間で約0.93%から2.47%まで上昇する可能性があると発表した。
これは、約2兆バーツ規模の資本流入、多額の財政収入、民間部門全体への波及効果によって支えられる見通しである。
タイ国内のデータセンター総容量は、2026年の約1,400MW(メガワット)から2030年には約3,700MWまで拡大すると予測されており、年平均成長率は27.2%に達する見込みである。投資需要も拡大しており、2025年にはデジタル分野がタイ投資委員会(BOI)への投資申請額で最大の分野となり、申請額は約7,460億バーツに達した。その大部分はデータセンター関連投資であり、データセンターの申請額は2024年の約990億バーツから2025年には7,280億バーツへと7倍以上増加した。さらに、2026年第1四半期には、投資申請額が1兆バーツを超え、その大半をデータセンター関連投資が占めるなど、成長が加速している。
BOIは、データセンター向け投資促進策について、タイ国内での雇用創出、中小企業育成、エネルギー効率向上、国内デジタルエコシステムの構築と連携させる取り組みを進めている。これにより、タイはグローバルなAIインフラサプライチェーンにおいて、独自の技術基盤を構築することが可能になるとしている。
バンチャック社がシェブロン香港の買収を完了、北アジア事業を強化(7月7日)
バンチャック社は、シェブロン香港の買収を完了したと発表した。
取引額は89億1,000万バーツ相当で、6月30日に最終決定され、同社はシェブロン香港の事業を完全所有することとなった。今回の買収により、バンチャック社は石油小売市場における競争環境が厳しさを増す中でも、北アジア地域での事業基盤を強化する方針である。
買収対象には、Caltexブランドのガソリンスタンド31カ所、国際基準の石油貯蔵ターミナル、商業用・工業用・船舶用燃料事業などが含まれる。シェブロン香港は2024年に売上高447億バーツ、純利益11億バーツを計上しており、バンチャック社は香港の石油市場が厳しい環境に直面していることを認識しつつも、今回の買収を通じて様々な資産から価値を創出できるとみている。
今後は、買収契約に基づき、31カ所のガソリンスタンドは最長5年間Caltexブランドでの営業を継続し、その後バンチャックブランドへ移行する予定である。また、同社は石油販売事業に加え、香港および北アジア地域におけるバイオ燃料事業への展開機会も見込んでおり、今回の買収を通じてエネルギー事業領域の拡大を目指すとしている。
タイ投資委員会(BOI)がネスレやタイ国際航空など総額9億9,000万ドル超の投資案件を承認(7月9日)
タイ投資委員会(BOI)は、ネスレ・タイ法人やタイ国際航空などによる総額9億9,000万米ドル相当の新規投資プロジェクトを承認したと発表した。
今回承認された案件には、食品・飲料、航空、デジタルインフラ、電子材料など幅広い分野の投資が含まれる。スイスに本社を置くネスレのタイ法人は、インスタントコーヒー、コーヒーミックス、RTD(レディ・トゥ・ドリンク)飲料を生産するサムットプラカン工場の拡張に6億8,900万米ドル(約230億バーツ)を投資する計画である。
また、タイ国際航空は、旅客機8機をリースするため、総額4億3,000万米ドル規模の事業拡張プロジェクトの承認を受けた。さらに、日本のデータセクション社の子会社であるデータセクション(タイランド)社は、バンコクおよびパトゥムターニーにデータホスティング向け高性能GPUサーバーインフラを構築するため、2億3,500万米ドル(約78億バーツ)を投資する予定である。加えて、韓国に本社を置くドンサングループのタイ法人は、プリント基板の原料となる銅張積層板(CCL)およびプリプレグの生産に8,000万元を投資する計画である。
BOIは、これらの投資を通じて、タイ国内の製造基盤強化やデジタル産業の発展、先端技術分野への投資促進につなげるとしている。
タイ東部経済回廊事務所(EEC事務所)がチョンブリー県でスマート新都市「EECiti」建設を推進(7月10日)
タイ東部経済回廊事務所(EEC事務所)は、EECエリアの中心地であるチョンブリー県において、旗艦プロジェクト「EECビジネスセンターおよびスマートで住みやすい新都市」(通称EECiti)の建設を推進していると発表した。
同プロジェクトは、官民連携(PPP)を通じて中央インフラや公共事業への民間投資を誘致するもので、投資総額は22億9,600万ドルを超える見込みである。EECitiは「静穏、陽気、繁栄」をコンセプトに、5,795ライ(約927.2ヘクタール)の経済特区に整備され、プロジェクト全体の開発対象面積は約14,619ライに及ぶ。
立地面では、ウタパオ空港から25.5km、パタヤ市から30km、マープタプット工業港から37kmに位置し、主要インフラへの高い接続性を強みとする。同プロジェクトの総投資額は約720億4,200万バーツで、2042年までに約35万人の人口を支え、最大20万人の雇用創出につながると見込まれている。また、プロジェクトの本格稼働時には、最大300MWの電力需要、1日当たり10万2,000立方メートルの給水、1日当たり420トンの一般廃棄物処理に対応するインフラを整備する計画である。
EEC事務所は、EECitiを通じて産業、都市機能、生活環境が融合した次世代型のスマート都市を形成し、東部経済回廊の持続的な発展を推進するとしている。
現代自動車がタイ製の電気自動車をオーストラリアへ輸出へ(7月13日)
韓国の現代自動車グループの子会社であるHyundai Mobility Thailand社は、タイの製造工場で生産したバッテリー式電気自動車(BEV)を、2026年第4四半期からオーストラリアへ輸出する計画を発表した。
今回の輸出計画は、世界の電気自動車(EV)サプライチェーンにおけるタイの役割拡大を示すものである。同社はオーストラリアを今後の事業拡大における重要市場と位置付けており、輸出対象となる適切なモデルの選定を進めるとともに、新車効率性基準(NVES)などオーストラリアの厳格な輸入規制への対応を検討している。
NVESは、乗用車、スポーツ用多目的車、小型商用車を対象に平均二酸化炭素排出量の上限を設定する制度であり、オーストラリアでは自動車メーカーが車両を輸出する前に輸入承認を取得する必要がある。Hyundai Mobility Thailandのタイ工場の生産能力は年間5,000台であり、バッテリーの製造施設を有している。両施設への投資総額は10億バーツに達し、タイ投資委員会(BOI)のEV普及策「EV3.5」に基づく優遇措置を活用している。
同社は、最近タイで生産した初のEV「IONIQ 5」を発売しており、月産約100台の生産を目指している。なお、IONIQ 5の販売台数に関しては前年の2,300台から2026年に2,800台へ拡大する目標を掲げ、全国28カ所のショールームを展開するサービスネットワークの強化も進めるとしている。