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香港の一般人の暮らし


香港島からのビクトリア湾の眺め

夜景の印象が強い香港
 日本人にとって香港とは、観光・ビジネスの両面で結びつきの深い地域の1つである。私は学生時代(香港国際空港が開港して間もない時代)に貧乏旅行で香港を訪れて以来、約20年ぶりに出張で訪れた。学生時代どんな場所を訪れたか思い出そうとしたものの残念ながら殆ど忘れていた。但し、ビクトリア湾から見た香港島のビルの群れ、ビクトリアピークから見下ろした夜景については今でも記憶に強く残っている。
 香港島のコーズウェイベイからビクトリアピークにかけては急激な上り坂となり、低地の部分にはオフィス街や古くからの商店街が形成されている。標高が高くなるにつれ徐々に住宅地色が強くなり、中高層のマンションが増加。中腹になると中高層マンションを中心とした住宅地となり、それらのマンションはビクトリアピークからの夜景を構成する重要な要素となっている。

香港の住宅事情

 マンションは階高の高い住戸はもちろんのこと、中層階でも位置取りによっては、建物と建物の隙間からビクトリア湾を見下ろすことができるマンションもある。自宅の窓からビクトリア湾の景色が見えるなんて何ともうらやましく思えた。よく見ると、真新しいマンションの他に築年の経過したマンションも多く見られ、そのような物件だったら一般人でも購入できるのかと思いきや、見るからに古いと思われるマンションでも概ね日本円で7,000万円以上で取引されており、主力は2~4億円程度、さらに新築マンションはロケーションによっては10億円以上で取引されるとのこと。夢は儚く崩れ去った。
 香港の住宅価格は2002~03年ごろを底に、以後短期的な上下動はあるものの上昇基調をたどっている。世界的な金融センターとしての位置付け、中国本土の経済成長など要因は様々であるが、直近に至っては面積単価で2002~03年当時の4~5倍程度にまで上昇したと言われている。そのようなトレンドの中で、我々の様な一般的な所得レベルの会社員層はどのような住居に住んでいるのかと不思議に思い、出張中に現地でお世話になった人達に話を聞いて見た。
会社員層の住宅事情としては、売買価格と同様に賃料もかなり高騰しているため、結婚前の会社員層は圧倒的に親元同居が多数を占め、結婚後も引き続き親元の住宅に居住する世帯が多いようである。親元から独立するために住宅を購入しようとすると、民間デベロッパーの分譲マンションには手が届かないため、選択肢としては行政が供給している公営住宅となる。
 公営住宅は新築・中古ともに抽選方式で販売されるのが主流のようであるが、倍率はかなりのものになるという。そのような熾烈な競争の末に取得した住宅は新築だと価格は日本円換算で概ね4,500万円程度、住戸面積は40㎡程度の2DKだという。割高感しか感じられない。そこに夫婦2人と子1~2人が居住するためとにかく狭いとのこと。立地としては当然のことながら香港島や尖沙咀に近いエリアには供給されず、深圳との境目に近い郊外エリアとなる。会社員層は尖沙咀や香港島のオフィス街までは路線バスや地下鉄を乗り継いで1時間~1時間半程度かけて通勤している。
 日本とは住宅価格や面積が異なるものの日本の1990年前後のバブル期が連想されるのが現状の様である。実際に出張でお世話になった通訳者も平日は半導体メーカーで海外営業に従事するサラリーマンであるが、上記の様な住宅事情の下で生活されており、休日は住宅ローンの返済に充てるため、通訳の仕事を副業で行っていると聞いた時には驚いた。

意外な名物「カレー」

 香港は食の面でも魅力的な地域である。高級レストランから一般人でにぎわう食堂的な店まで通りに出ると多くの店を目にすることができる。私はいかにも香港の食堂としてイメージしていたそのものの食堂をホテルの近くに見つけたため入店してみた。所狭しと円卓が並べてあり、店内は雑然とし、炒め物や麺を茹でるにおいなどが漂い食欲がわいてきた。まずはビールを飲みながらメニューを見ていたが、品数が多いため店員におすすめを尋ねたところ、「Curry.」との返答があり思わず耳を疑ってしまった。個人的には麺類や野菜を炒めた料理などの回答が来ると予想していたため「カレー」の回答は本当に予想外であった。香港とカレーの結びつきが自分の頭の中には皆無であった。驚いた表情をしてしまったため店員が説明してくれた。
 香港のカレーは日本で言うといわゆる「牛もつ」と呼ばれるような部位を玉ねぎやその他の野菜と煮込んていて、少しココナッツミルクが入っておりフレーバーで辛くはないと説明されたので頼んでみた。カレーはインディカ米の上にかけられてプレートで提供された。口に含むとココナッツミルクの甘みと香りが感じられ、その次に程よいスパイシーな風味が広がるものであった。後悔するかもと思っていたものが一気に払拭された。意外な庶民の味に触れることができ大いに満足できた。


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