公務員の街プトラジャヤとクアラルンプール郊外都市の様子
2年ぶりにマレーシアのクアラルンプール国際空港に降り立った。両替を済ませ、スーツケースをピックアップし空港の出口へと向かう。2年前と比べると、SIMカードを販売するブースが増えたような気がする。深夜1時近いものの、SIMカードの販売ブースはどこも営業をしていた。今回は5日間の滞在のため、最も安いプランのSIMカードを購入した。毎回、外国に降り立ちその国のネットワークにつながった瞬間に自由度が大きく増す感覚がたまらなく好きである。
今回の滞在はクアラルンプールではなく、クアラルンプール中心部と空港の間に位置するプトラジャヤである。1990年代後半から開発が行われたマレーシアの行政機関が集積した街である。人口は約9万人。居住しているのは行政機関職員とその家族が殆どと言われている公務員の街である。中心部に広大な人造湖が位置し、湖の周囲に行政機関が建ち並ぶ。道路は整然と整備され、日本の郊外ニュータウンと同じ様相である。
出張前から、会社の者から「プトラジャヤはきれいな街だけど、不便だ。」ということを聞いていたので、利便性を充実させるためにホテルは大型ショッピングセンターに隣接するホテルを予約した。
空港からはクアラルンプールに向かう高速鉄道の途中駅にプトラジャヤはあるものの、深夜であるためタクシーで移動。道路は非常に空いていたため30分も掛からず到着。深夜2時近いということはあるものの、整然と整備された街中はだれも歩いていない閑静な郊外都市である。
初日の仕事を終え、夕食のため隣接するショッピングセンターを訪れる。平日の夜ではあるが、ショッピングセンターの規模の割に客の数はだいぶ少ないような印象を受けた。テナントとして海外の高級ブランドを始め、ユニクロも店舗を構えている。スーパーマーケットとしてイオンが広いスペースで営業をしており、食料品・日用雑貨を販売。さすがにこちらは客数が多い。飲食店は世界主要都市に店舗を構える「TGI FRIDAY’S」「BURGER KING」を始め、地元飲食チェーンが多数のラインナップ。一日の業務終了後ということもありビールで喉を潤したいものの、ここは「マレーシアの行政機関が集積するプトラジャヤ」であることを思い出し、「もしやアルコールの提供は無いのか」と不安に思いながらも、絶対にビールを提供していると考えられる「TGI FRIDAY’S」に入店し、メニューを見ると予想通りビールの銘柄の記載を見て安心する。ところが、満を持してウェイトレスにハイネケンのボトルを注文したものの、「アルコール飲料は置いていません」とのまさかの回答に落胆。仕方なくノンアルコールの甘すぎる“モヒートもどき“とハンバーガーと軽いおつまみで、さみしい夕食を迎えることになった。非常に物足りないため夕食後スーパーのイオンを探索するものの、やはりビールは置いておらず更に落胆した。
「この先出張中にビールにはありつけないのか」と呆然としながらホテルに戻り、ある意味最後の砦であるホテルのカフェに入店。全く期待していなかったため「コーヒーでも飲んで部屋に戻るか」と思っていたものの、メニューの片隅に小さくビールの銘柄が記載されているのを見つけ、驚きながらタイガービールを注文した。
イスラム教を国教とするマレーシアではアルコール飲料に関する制限は厳しい。とは言え多くの言語が飛び交う多民族国家。さすがにクアラルンプールの中心市街地では、多くの飲食店でビールなどが飲めるものの、国の行政機関が集積するプトラジャヤではそうもいかないのが現実である。
今回の出張ではプトラジャヤに近接する、とある郊外都市を訪れた。空港からも近く車で15分程度で到着する。統計上の人口は4万人程度。中心市街地も訪れたものの、大型スーパーとその周囲に低層のショップハウスが建ち並ぶ一画がある程度である。
人口規模から考えても、依然として緑が多く残る街ではあるが、ニュータウン開発が盛んにおこなわれている。道路沿いには分譲マンション、タウンハウス、戸建住宅を宣伝する看板が目立ち、建設現場も多い。空港から近く、クアラルンプール方面にも幹線道路が延びているため、空港勤務者やプトラジャヤ、サイバージャヤ、クアラルンプール勤務者が住宅を購入しているようでベッドタウンとなっている。また、大学のキャンパスも多く点在しており、20世紀後半に東京郊外において盛んであったニュータウン開発や、大学キャンパスが点在していた光景にも似ているような気がする。
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