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アジア最後のフロンティア? ミャンマー最大の都市「ヤンゴン」の現状


ミャンマー最大の都市ヤンゴンの交通事情 
 ミャンマー最大の都市ヤンゴンに出張することになった。日本からは成田空港から毎日1便直行便が出ており、約7時間でヤンゴン国際空港に到着する。ヤンゴン国際空港は他の東南アジア主要都市のメイン空港と比較すると規模は小さいものの、建物は新しい。ヤンゴン市街地から北に直線距離で約10kmほどの場所にある。鉄道駅が近くにあるようだが運行本数は非常に少なく、ガイドブックなどにも案内が出ていない。出張客は予め手配したハイヤーか、一般のタクシーを利用して市街地に向かうことになる。
 市街地まではそれほど遠くないものの、タクシーでの道中は土曜日の夜ということもあり渋滞が激しく、交通量に関しては他の東南アジアの都市と同等と感じていたものの、何気なく車内から街並みを眺めているうちに他の東南アジアの大都市とは明らかに異なる点に気付いた。
 それは、目で見る範囲内には1台もバイクが走っていないのである。東南アジア他都市では渋滞時にバイクが周囲を取り囲むことは日常的な光景で重要な市民の足となっているが、ヤンゴンではバイクが全く走っていない。聞くところによると、軍事政権時代からバイクの走行は禁止とされているとのこと。ミャンマーでも徐々に解禁されているエリアも増えつつあるものの、ヤンゴンの大部分においては依然としてバイク走行は禁止となっている。そのため、市民の通勤・通学の足は自動車と路線バス。路線バスはかなり数が多く、停留所を眺めているとひっきりなしにやってくる印象を持った。但し、停留所には時刻表や路線図は掲示されていない。バスには運転手の他に乗務員が一人乗っており、乗務員は停留所に着くと身を乗り出して、大声で行先を叫びそれを頼りに乗客はバスに乗り込むような仕組みらしい。非常に活気のある光景であるが、今後においても公共交通機関の面で改善の余地はありそうである。
 
ギャップの多いヤンゴンの街並み

 市街地の街並みとしては、大通り沿いには1階部分が店舗となっている3~5階の集合住宅が隙間なく建ち並び、非常に密度の高い印象を受けた。所々に近年建設されたオフィスビルやマンションが見られるが、数としては他の東南アジア主要都市と比較してもまだまだ少ない。また、道路は大通りから路地に入ると依然として砂利道の場所も点在している。大通りの歩道も段差が多く、生活排水等が流れている側溝も蓋がされていない状況で非常に歩きにくい。
 日本の夏から秋にかけてはミャンマーは雨期になり、午後になるとほぼ毎日スコールが降るような印象を滞在中は受けた。スコールは短時間で止むケースが多いが、短時間で非常に多くの雨量となる。降り始めのうちは雨水は側溝に流れ込むものの、瞬く間にキャパシティをオーバーし道路は冠水し、徒歩では通行が困難となるような場所も多い。
 一方で、市内のいくつかの場所には新しい建物のショッピングセンターが立地しており、休日や平日の昼食時などは活況を呈している。飲食店フロアには日本食を提供する店も多く見られる。これら日本食店の多くは民主化が急速に進展し始めた2012年ごろから増加し始めたとのこと。

アジア最後のフロンティア 
 ミャンマーは2011年以降、民主化が進み「アジア最後のフロンティア」とメディアなどから呼ばれ、多くの投資を呼び込んでいるように見える。数年前はヤンゴンのホテルは出張客が殺到し、予約が取れない、料金が高騰している、などの噂をよく耳にした。但し、今回の出張にあたっては、たまたま時期的に閑散期であったのかもしれないが、料金の高騰は見られず、難なく希望のホテルを予約できた。料金については概ね他の東南アジアの都市と同等、またはやや安い印象を受けた。実際に現地の日本人に話を聞いたところ、日本からの出張客は数年前に比べると減少したようで、最近は落ち着きを見せているらしい。民主化の進展をビジネスチャンスと捉え、そのタイミングで進出が増加したのは飲食業界を中心としたサービス産業のようで、現在においては新規進出は落ち着いているようである。

 今回の出張にあたっては、まだまだ改善の余地が大きい公共交通機関、道路、上下水道の現状と、一方で所々に建つ新しいショッピングセンター、そして若者がスマートフォンを片手に語らいあっている光景を目の当たりにし、大きなギャップを感じた。まだまだ、行政の運営面で未整備な面も多く、施策が急転することも多いようであるが、長期に亘って日本の技術を社会的生産基盤の整備に活かすことができる機会が多い国であろうと感じた。


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