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成長著しいベトナムの小売業


経済発展の恩恵を受け、拡大を続けるベトナムの小売業
 ベトナムは新型コロナウイルスの流行前の2010年から2020年の間、経済成長率は約6%/年を維持し、東南アジア諸国の中でも安定的に成長を続けている国である。また、ベトナム国民の平均月収は2012年時点だと200万ベトナムドン(当時1.1万円相当)であったが、2020年には約2倍の425万ベトナムドン(2.4万円相当)に増加した。このように国民の所得は増加傾向にあり、それに伴い中間層も急増している。
 こうした経済発展によって豊かな消費者層が形成されつつある中、小売業はその恩恵を受け急速に成長を遂げており、2012年から2019年の間、ベトナムの小売業の売上高は平均8%以上/年の成長率を記録した。
 特に2019年は12%の成長率を記録し、売上高が3,751兆ベトナムドン(21兆円相当)に到達した。その後、新型コロナウイルスの影響に伴い、成長率は鈍化したものの、依然として成長を続けている。このため、コロナウイルスの収束後、ベトナムの小売市場は再び力強い成長を取り戻すと、日系企業に留まらず多くの外資系企業から注目をされている。

路上販売からスーパー及びコンビ二への転換
 ベトナムでは、日用品や食品の購入を路上の店舗で購入するのが一般的である。こうした路面店は安価で新鮮な食品及び料理材料を購入できる場となっており、主に一日、二日に一回の頻度で多くの国民が利用している。ベトナムの商工省の調べでは路面市場は全国8、660箇所あり、依然として広く普及している。
 しかし、近年はハノイやホーチミンといった都市部を中心にスーパーやコンビニエンスストアを利用する人が急増している。
 これまで都市部においてもスーパーやコンビニエンスストアの数は少なく、路面店を利用する人が多かった。しかし、生活が豊かになるにつれ、商品の品質や衛生面を重視し、スーパーやコンビニエンスストアを利用する人が急増しており、2019年においてはこれらの店舗数が1年で倍以上に増えた(2,495店⇒5,228店)。店舗数の増加に伴い、消費者がアクセスしやすくなったことや、路面店と比べて取扱商品が豊富にあり、価格が明確である点は好評であり、ますますスーパーやコンビニエンスストアを利用する人は増加していくと見込まれている。
 このようにベトナムではスーパーやコンビニエンスストアの店舗数が急増しているものの、工商省によればスーパーやコンビニ等の普及率は他の東南アジア諸国(タイ、フィリピン、マレーシア、シンガポール)と比較すると低いとしている。このため、スーパーやコンビニエンスストアの需要はまだまだ眠っている状況であり、さらなる小売業界の発展が期待できる。

ベトナムにおけるスーパー及びコンビニの主なプレイヤー
 スーパーやコンビニエンスストアなどの小売市場は、これまで海外企業が中心であったが、近年は国内企業が積極的に投資を行い、現在は国内企業が主要プレイヤーとなりつつある。中でも代表的な企業がCoop Mart、Win Mart(Masanグループ)、Bach Hoa Xanhなどである。
 Coop Martは小売業界において国内企業の中で最も長い歴史を有し、老舗企業である。同社はホーチミン貿易協同組合連合に所属し、2002年に第一号のスーパーを出店後、順調に規模を拡大し、現在は海外企業を追い抜き、国内最大のスーパーチェーンとなっている。
 Win Martは店舗数においてスーパーでは2番手、コンビニエンスストアではトップの地位を有し、小売業界における最主要企業である。2019年に国内企業のMasanグループが2014年にスーパー・コンビニを運営するVinグループを買収し、事業の強化を進めた結果、近年急速に事業規模を拡大している。
 Bach Hoa Xanhチェーンは2015年に開業したばかりの企業であるが、広い売場面積(150~300m²)と、豊富で新鮮な食材を特徴とし、ベトナムの南部を中心に事業を拡大しており、コンビニエンスストアの店舗数では2番手となっている。
 一方、海外企業における主要プレイヤーとしてはCentral Retailグループ(タイ)、イオン(日本)、Circle K(アメリカ)が挙げられる。これらの企業は主に海外の有名なメーカー及びブランドの商品を販売しているため、品質やブランド等を重視する消費者を中心に利用されている。
 なお、海外企業がベトナムに進出するにあたっては国内企業との合弁で事業を行うケースが多い。ファミリーマートにおいては国内企業のPhu Thaiグループと提携し、合弁でVina Family Martを2011年に創立し、ベトナム市場に参入した。イオンはベトナム北部で事業を展開する国内スーパーマーケットチェーンのFivimartとCitimartの株(それぞれ30%と45%)を取得し、チェーン名をAeon FivimartとAeon Citimartとし、知名度の浸透を図っている。

小売業界におけるECサービスの登場
 先進国においては小売業界がECビジネスをメインで展開している企業に顧客を奪われるケースが増えているが、ベトナムではまだそうした段階には至っていない。しかし、ベトナムにおいてもECビジネスは台頭しつつあり、工商省が発表した「2021年Eコマースの報告書」によれば、国民の半数が常にインターネットを活用し、買い物をしている。こうした動きは新型コロナウイルスの感染拡大も影響し、さらに加速しており、小売業界においてもECサービスの展開が重要視されつつある。
 このため、主要プレイヤーであるWin MartやBach Hoa Xanh、イオン等は相次いでネットスーパーのサービスを開始した。ネットスーパーでは新鮮な食材や家庭用品、家電など様々な商材を扱っている。特に生鮮食材、食品の提供は他のECサイトでは取扱いが少なく、ネットスーパーに優位性があるため、これらの企業はまず生鮮食材・食品において顧客を繋ぎ止め、他の商材も販売していくことによって、活路を見出す方針である。
 このように現状では大きな脅威となっていないECビジネスであるが、今後ベトナムで小売業を展開する企業においてはその活用方法・対策の検討が必要だろう。

(2022年10月)



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