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水上マーケットで有名なタイにおける水の問題


 

人々を困らせるタイでの水質汚染
 国全体に川が多くあり、水上マーケットで有名なタイだが、多くの川や水路では水質汚染が問題となっている。同省公害管理局の2016年の調査によるとタイの主な川59ヶ所のうち43%の川の水質は標準状態であり、34%の川の水質はよい状態だが、 23%の川の水質は悪い状態である。
 なかでも最も深刻な水質汚染の問題が起こっている場所の1つがタイの首都バンコクである。チャオプラヤ川とバンパコン川をつなぐセンセーブといった45.5キロの長さがある運河は多くの人が住む場所を通り、水上バスも利用されているが、水質汚染で臭いなどの問題が近隣の住民や水上バスの利用者をとても困らせている。タイの水質汚染の原因はいくつかあるが、「水処理場の問題」と「環境意識の問題」が要点と考えられる。

二つの欠点、水質汚染の原因 
①水処理場
 まず、タイにおける正常な水処理場が足りていないことが水質汚染の原因である。具体的には、タイには101ヶ所の水処理場があるが、運営やメンテナンス費が不十分なため、88ヶ所でしか有効に使えていない(同省公害管理局、2016年)。
 また、バンコクには20ヶ所の水処理場があるが、2,400万以上のバンコクの家庭から1日960万立方メートルの大量の汚水が排出されており、バンコクの水処理場は不足している状態である。そのためバンコクの家庭から排出されている汚水は45%しか処理されておらず、残り55%は運河や川に放出されている。 

②環境意識
 また、タイ人の環境意識がまだ低いことも水質汚染の原因である。多くの人々が川や運河の中にごみを捨てており、2016年の水資源局の記録によると毎日、バンコクで約150トンのごみを川や運河から排除しなければならないとされている。
 また、多くの家庭、産業や農業から排出される汚水がきちんと処理されずに、運河や川に放出されていることも多い。バンコクにおけるセンセーブ運河の水質汚染の原因のうち50%は汚水処理の法律を守っていないことによるものと報告されている(同省公害管理局、2016年)。

 このようなことから、多くのタイの川や運河では深刻な水質汚染問題が起こり、住民また政府は解決するように努力しなければならない状況となっている。


タイ政府によるバンコクの水質汚染に対する取り組み
 現在政府はバンコクの水処理場を増やす計画を進めている。水処理場が不足している問題を減少させ、バンコクの家庭から排出されている汚水に対応できるようにするものである。西バンコクにあるトンブリー区には現在2ヶ所の水処理場しかない為、総面積8,000平方メートルの建設区域で新しい水処理場を建設することを発表した。現在建築設計の調査中であり、2018年までに予算編成し、建設を始める予定である。
 また、多くのタイの住民は水質汚染の原因は産業から放出されている汚水が原因だと考えており、自分たちが原因だと思っていない人が多くいる。同省公害管理局は人々の環境に対する意識の向上と水処理場の建設やメンテナンスの資金を集めるため、2004年に住民や企業から汚水処理手数料を取る対策をバンコクの議会に提案した。
 この汚水処理手数料の考え方とは、水を利用することは同時に汚水も出しているという考えのもと、実際に利用した水の量を使って計算する手数料である。しかし、多くの人々に影響を与え、敏感な対策であるため、まだこの施策は実施されていない。現在、バンコクの議会はこの施策の調査や調整をしており、実施の可能性は高いと考えられる。

公共機関や民間企業で水処理技術の需要が拡大
 現在、人口増加や都市化、工業化の拡大や環境法の実施とともにタイでは排水処理技術やノウハウが公共機関や民間企業にとって必要となっている。タイの汚水処理市場の規模は10億米ドルを超え、建設及びエンジニアリングサービス市場が全体の85%を占めている。
 しかし、汚水処理に関するノウハウや知識がまだ低く、約80%の水に関する技術が海外から輸入されており(ThaiWater、2015年)、海外の環境コンサルタントやエンジニアリングサービスを利用している。
 2011年にSwecoといったヨーロッパからの環境・建設コンサルティング会社が下水道公社に選ばれ、約550,000ユーロの契約額でタイのサムットプラカンにあるオムノイ市に新しい汚水処理場の建設を計画・設計した。この汚水処理場は現在35万人以上の住民のために汚水を処理している。

 現在、タイでは汚水が適切に処理されてないことが多いため、バンコクなどで深刻な汚水問題が起こっている。汚水処理手数料の施策はまだ実施されていないが、将来的には施策の実施可能性が高いと見込まる。国が発展することと同時に人々の環境に対する意識も高まり、家庭や産業レベルでの汚水処理システムがもっと必要になると考えられる。また、新しい水処理場の建設も必要であり、汚水処理の技術やノウハウを有する企業にはビジネスチャンスとなる。一方、タイで将来的に投資する企業は、基準に適した排水処理の実施や汚水処理手数料を考慮する必要がある。

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