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花の都パリの悩み!「大気汚染問題」と「プラスチックゴミ問題」②


 

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世界初の取り組み「プラスチック容器の使用禁止」
 大気汚染と並んで話題となっているのが、フランスでの「プラスチック容器の使用禁止」である。これは2015年オランド政権時に制定された「エネルギー転換法」の一環として示された法案である。
 元々、ヨーロッパのプラスチック業界全体の中で、「海洋ゴミ」が問題視されており、その中でも「マイクロプラスチック」と呼ばれる細かいプラスチックによる人体への悪影響が懸念されていた。具体的には、「マイクロプラスチック」を吸い込んだ小魚を大きい魚が食べ、有害な物質が濃縮され、それを人間が食べてしまう可能性があることが指摘され、プラスチックによる環境への負荷を減らそうという姿勢が強まってきていた。
 このようにヨーロッパでは環境への問題意識が高い国が多い中、フランスは、他のヨーロッパ諸国に比べ、環境対策において遅れていると言われていたが、上記の「エネルギー転換法」に「プラスチック容器の使用禁止」を含む、世界初の取り組みを盛りこんだことにより、新たな環境対策のリーダーとして存在感を示した。プラスチック容器の使用を禁止する法律の具体的な内容としては、2020年1月までに全ての使い捨てプラスチック容器の原材料について、50%は家庭でリサイクル可能なバイオ物質で作られているものにしなければならないというものである。また、同法律におけるバイオ物質の含有率を2025年の1月までに60%にあげるとしている。世界初の取り組みということもあり、環境団体から高い評価を得ているが、飲食店でのプラスチック容器の採用率の高さを考えると、実現可能なのか少し疑問なところではある。
 上記されているバイオ物質で作られたプラスチック製容器で生産量が1番多いのは、ポリ乳酸(PLA)であり、欧州ではポリ乳酸を使用した事業化が進んでいる。例えば、ドイツのBASF社は発泡スチロールの代替品となる、完全生分解性の発泡プラスチック「ecovio」を発表した。また、フランスの国際石油資本であるTotal社は、オランダのCorbion Purac社と合併会社を設立すると発表し、世界で生産されているポリ乳酸の20%のシェアを目指すとしており、プラスチック業界としても「プラスチック容器の使用禁止」の法律施行に向けて動き出していると言える。
 ASEF(Santé Environnement France)※1によると、これまで、フランスでは1秒間に150個のプラスチック容器が使用されてきた。1年間でいうと、47億3千万個にもおよぶ。とてつもない数が使い捨てられているが、プラスチック容器がポリプロピレン樹脂やスチレン樹脂などで作られており、そのうち1%しかリサイクルされていないのが現状である。上記でプラスチックが問題視されている点に触れたが、その他にも、プラスチックは自然分解されないため、人間によって捨てられたものはそのまま残ってしまう…といった事態につながり、問題視されているため、この政策が実現可能であれば、環境対策において素晴らしいものであると言える。
 しかし、この政策に対して、ヨーロッパにある食品容器メーカーから成る団体は「商品移動の自由を定めるEUの法律に違反している」などといった反対の声を上げているほか、EUに対してフランスのプラスチック容器使用禁止の法律の施行をやめさせるよう要請することに加え、フランスに対する法的措置を検討していることが明らかとなった。

プラスチック製レジ袋の使用禁止
 「プラスチックの使用禁止」と言えば、フランスは「プラスチック製のレジ袋」の使用禁止を掲げていて、バングラデシュやアメリカなど、他の国でも実施されているものである。具体的に言うと、厚さが50ミクロン未満のプラスチックで出来た袋の使用が2016年7月より禁止されている。
 上述したように、欧米でのバイオマスプラスチックの市場は拡大しており、2020年に「プラスチック容器の使用禁止」の法律が施行されることに向けて、大量生産に向いているものや、コストがあまりかからないものが求められるであろうことから、そういった点に強みを持つ、日本でバイオプラスチックの開発に取り組んでいる企業にとってはこれとないビジネスチャンスとなるのではないだろうか。

※1 ASEF(Santé Environnement France)とは、2008年に2人のフランス人の医者によって設立された健康と環境問題についてのNGO団体であり、人々に健康と環境問題について知識を提供することが主な目的である。


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