フルーツ王国タイにおける果物の輸出入のトレンド

タイにおける果物の状況
タイはフルーツ王国だと言われている。1年中豊富な果物があり、いつでも果物を食べられる国。タイ国農業・協同組合省農業普及局(DOAE)によると、2021年に57種類、約116億8,000万㎡(730万ライ)の果物を栽培する面積があり、年間収穫量は約1,125万トンであった。なお、2021年の日本の果物の栽培面積は16億8,600万㎡(16万8,600ha)、年間収穫量は225万9,000トンである。
近年、タイの果物の栽培面積は増加傾向にあり、2018年から年平均8.97%増加している。栽培面積と生産量が最も多い果物は、リュウガンで、栽培面積は27億6,800万㎡(173万ライ)、生産量は118万トンで、次にドリアン、マンゴー、マンゴスチン、バナナが続く。
タイからの輸出
タイはアジアにおいてフルーツの主な生産国および輸出国である。2023年のタイの農産物および農工業製品の輸出額は約492億ドルで、輸出総額全体の17.3%を占めている。農産物および農工業製品の中で、輸出額が最も多い農産物は果物であり、25.9%を占めている。農作物の輸出は、国に収入をもたらし、国内世帯の 37.5%を占める農民世帯に収入を分配することができるため、タイ経済にとって重要な産業である。
2023年の1月~10月のタイの生鮮果物の輸出量は、合計174万7,957トンであった。輸出量の上位5品目は、①ドリアン 96万5,284トン、②リュウガン 27万4,064トン、➂マンゴスチン 24万5,049トン、④マンゴー 10万4,154トン、⑤パイナップル 3万6,618トンである。
果物の輸出先のトップは中国であり、中国への輸出総額は1,585億6,600万バーツであり、輸出総額の91.6%を占めている。次いでマレーシア、香港、インドネシア、韓国である。中国ではドリアンの需要が高く、中国の輸入業者の輸入競争が激化していることにより、中国への輸出市場が拡大している。また、タイのドリアンは良質で価格競争力があることが強みとなっている。ただし、タイでは、中国の市場に依存すぎることも課題になっている。タイの生鮮果物の輸出額は増加し続けており、2018 年から 2022 年の年間成長率 (CAGR) は 22.8% であった。
なお、日本はタイにとってはまだ大きな市場ではなく、果物の輸出総額の1%程度である。現在、日本へ輸出する果物は、マンゴー、バナナ、ドリアン、マンゴスチン、タマリンド、ココナッツ、パイナップル、ザボンの8つの果物が中心である。日本に最も輸出される果物は、マンゴーであり、評判がよく、高い需要がある。次いでバナナ、ドリアンである。
タイへの輸入
タイへの輸入は、主にタイ国内で生産が難しい温帯果物を海外から輸入している。2020年の最大の輸入品はりんごで、輸入量は19万2,286トン(82億2,900万バーツ)、次いで、ぶどう15万8,563トン(56億3,100万バーツ)、みかん12万2,438トン(36億4,200万バーツ)などが続いた。なお、タイへの果物の輸入が最も多いのは中国である。
2001年以降、果物の輸入は、増加傾向にある。輸入果物は「品質が良い」、「安全性が高い」、「種類が豊富」と考えられ、その人気が高まっている。また、収入の増加に伴い、外国産果物への需要が高まっており、健康志向のライフスタイルが広がる中、輸入果物の消費は今後も増加すると予想される。
日本からの輸入
タイも日本からりんご、柿、いちご、梨、桃、ぶどうなどを輸入している。2023年の日本からの輸入量上位6品目は、①りんご86万8,975トン(1億1,470万バーツ)、②柿20万5,526トン(4,738万バーツ)、➂いちご10万7,951トン(1億1,790万バーツ)、④梨5万58トン(945万バーツ)、⑤もも3万8,995トン(1,786万バーツ)⑥ぶどう2万3,221トン(2,731万3バーツ)である。ただし、いちご、ぶどうは単価が高い為、輸入金額では、①いちご、②りんご、③柿、④ぶどう、⑤もも、⑥梨の順番である。
日本の果物はプレミアム果物として扱われている
タイで販売されている日本産で人気がある果物は、あまおう、とちおとめ等のいちご、シャインマスカット、ピオーネ、巨峰等のぶどうである。日本の果物は価格が高いため、プレミアム果物として、高所得層や観光客が買い物に訪れる高級スーパーマーケットや、一部の大手スーパーマーケットで販売されている。日系小売店では「UFM Fuji Super」「Siam Takashimaya」「Don Don Donki」、 タイ系小売店では The Mall Group が運営する「Gourmet Market」、Central Food Retail が運営する 「Central Food Hall」、「Tops」、「Villa Market」で販売されている。ここ数年、特にタイではシャインマスカットの人気が高まっている。日本産のシャインマスカットの販売価格は 1 パック 2,000バーツであるが、台湾産、韓国産などのシャインマスカットの販売価格は1パック499バーツである。なお、日本産のももの販売価格は1パック(2個)1,200バーツ、サンふじりんごの販売価格は1パック(2個)800バーツであるが、米国産のりんごの販売価格は1個99バーツである。日本の果物は、他国の果物と比べて、価格がかなり高いが、その品質の高さが評価されている。
今後の傾向
タイは現在、多くの果物を輸出しており、過去 5 年間、タイの生鮮果物の輸出額は増加し続けている。現在、タイの生鮮果物の輸出は、中国市場に依存しているが、―つの主要な輸出市場だけに依存するリスクを軽減するために、新たな輸出市場の拡大に取り組んでいる。同時に、輸入果物の消費は今後も増加すると予想される。日本産の輸入果物も、贈答品などの特別な機会のプレミアムな果物として販売されている。今後、タイの経済成長に伴う所得の向上に伴って、日本産の果物の需要が増加すると見込まれる。
(2026年2月)
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