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中国のハワイ――海南島の経済と観光


 

豊かな自然環境に恵まれた海南島
 海南島は、中国の最南端に位置し、最大の経済特区、自由貿易試験区及び最も人気のあるマリンリゾート地である。海南島の北部は亜熱帯、南部は熱帯に属し、年平均気温22~26℃である。東西約290㎞、南北約180㎞で、海岸線約1,823㎞、海南島本島面積は33,900km2。熱帯雨林、ビーチ、温泉など豊かな観光資源に恵まれた海南島では、観光産業は主要産業ではないかと考えるが、実際はどうなのかをこれから紹介しよう。
 中国海南省統計局の発表によると、2018年の海南省の域内総生産(GRP)は、約4,800億元(約7兆6,800億円、1元は約16円)で、そのうち、第一次産業が1,000億元(約1兆6,000億円)、第二次産業が1,100億元(約1兆7,600億円)、第三次産業が2,700億元(約4兆3,200億円)であり、各産業を割合で表すと、21:23:56となる。第三次産業(サービス業)の割合が一番多いが、そのうち各産業を見れば、観光業が約390億元、卸売・小売業が約520億元、不動産業が約390億元である。また、第二次産業では建築業が約530億元、工業が約560億元で、第一次産業では農業が約500億元である。これを見ると、観光業は海南島の基幹産業であるとは言いにくい。

日本のビーチリゾート沖縄との比較
 中国の海南島と同じく、人気のビーチリゾート地である沖縄は、観光産業が基幹産業である。
 沖縄の統計によると、2018年、沖縄入域観光客数は980万人を超えて過去最高となった。そのうち、日本人観光客は過去最高の690万人を超え、全体の70%で、外国人観光客は過去最高の290万人を超え、全体の30%を占めている。一方、海南省の統計では、2018年入域観光客数は約7,600万人で、宿泊客(日帰り旅行を除く)は約6,300万人である。そのうち、中国人観光客は約6,200万人、全体の98%で、入境客(香港、マカオ、台湾からの観光客を含む)は約126万人、全体の2%である。
 観光客数から見ると海南は沖縄より圧倒的に多いといえるが、中国と日本の人口を考慮すると、あまり差はないと考えられる。ただし、外国人観光客の割合をみると沖縄が圧倒的に多い。また観光収入をみると、2017年海南の観光収入は約810億元(約1兆3,000億円)で、沖縄の観光収入は約7,000億円である。そのうち、海南島の国際観光収入は6.8億ドル(約750億円、1ドルは約110円)、沖縄の外国人消費額は約1,970億円で、沖縄は海南島の2.6倍である。
 海南の外国人観光客の割合が沖縄と比較して低い要因としては、ビザの問題ではないかと考えられる。海南省は2018年5月より、日本を含む59か国をビザ免除政策対象国としたが、それ以前では、海南省(中国)へ旅行する時に、多くの国はビザの申請が必要である。一方、沖縄に行く場合、多くの国がビザを免除されている。また、2016年、中国人観光客を対象に発給する「数次査証(ビザ)」では、発給要件の一つとして、初回の旅行で沖縄、岩手、宮城、福島各県のいずれかを訪れることが必要となる。「数次査証(ビザ)」を取得すれば、有効期間内は2回目以降ビザの申請が不要となることから、沖縄の人気が上昇した。2015年に中国本土から沖縄への観光客数は29万6,500人であったが、2016年は44万9,200人となり、約15万人増加した。今後、海南島のビザ免除政策により、外国人観光客数の上昇が見込めるだろう。
海南『国際』観光島に向けての取り組み
 2010年1月、国務院は「国務院の海南国際観光島建設の推進に関する若干の意見」を公表した。この意見により、海南国際観光島の建設が始まった。海南島を国際観光島にするために、政府は、様々な施策を講じた。
 交通インフラ面では、2015年12月、海南環島高速鉄道を完備した。鉄道全線653㎞で24駅、最高時速250㎞/h(東環線は250㎞/h、西環線は200㎞/h)である。北の海口から南の三亜まで308㎞を最短1時間23分で結んでいる。また、省外につながる鉄道として、海南西環鉄道は南の三亜から、中国東北の長春まで鉄道がつながっており、中国国内の主要都市からは、航空便だけではなく、鉄道で訪れることもできる。交通インフラの建設に伴い、海南島は中国人観光客だけではなく、中国本土を訪れる外国人観光客にも行きやすくなり、国内旅行としても、日帰り旅行としても、大変便利である。
 交通インフラのほか、政策面でも国からの支援があった。中国財政省と海関総署、税務総局の共同声明によると、2018年12月から、海南島への観光客のためのオフショア免税額を1万6千元(約25.6万円)から3万元(約48万円)に増加した。オフショア免税政策の改正は、海南と訪れる観光客に大きな利便性を提供している。
海南島でのビジネスチャンス
 海南島地元企業である海南航空は、2019年2月に海南省の省都である海口と大阪を結ぶ直行便を就航した。この路線は2都市間の観光の発展を促進し、日中間の国際貿易と文化交流の更なる発展が期待できる。日本の旅行会社では、物価も安く、交通も便利なトロピカルビーチリゾート地である海南島へ、新しい観光コースを作ることができる。また、2018年4月に海南自由貿易試験区が設立され、外国企業を積極的に受け入れている。これにより日本企業にとってビジネスチャンスが広がる可能性を秘めている。

(2019月12日)


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