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医療を観光資源に!タイのメディカル・ツーリズム


 

病院が〝観光地〟になる?
 タイといえば言わずと知れた観光大国であるが、世界各国から集まる海外観光客の目的地はビーチリゾートや仏教寺院とは限らない。その行き先は〝病院〟かもしれないのだ。
読者の中には「タイの病院」と聞いてピンとこない方も多いかもしれないが、実はタイは国をあげて医療サービスの強化に取り組んでいる。
 2002年、国民医療保障制度が施行され、被保険者は事前に登録した医療機関であれば、本人負担30バーツ(2018年5月時点で約102円)、低所得者であれば無料で診察を受けることができるようになった。これにより、事前登録できる病院の大半が公立病院ではあるものの、国民の多くが高い診察料を払うことなく病院で受診することができるようになっている。
 さらに、タイの医療分野を特徴づけているのが冒頭で述べた〝観光客〟の存在だ。2004年、タイ政府は「タイをアジアの医療拠点として開発する」ことを掲げ、そのための5ヵ年計画を策定。「メディカル・ツーリズム」(医療観光)を国家的な戦略として打ち出している。
 
観覧注意!?シリラート医学博物館
 本題に入る前に、近年文字通りの観光地として人気を集めているタイの病院を紹介したい。バンコクにある「シリラート病院」(Siriraj Hospital)は、1888年に開設されたタイ最古の病院で、その敷地面積は東南アジア最大級、ベッド数はおよそ2,300にのぼる。ただし、観光客のお目当ては厳密に言えば病院そのものではなく、同じ敷地内にある博物館となっている。
 「シリラート医学博物館」(Siriraj Medical Museum)では、法医学・解剖学の観点から数々の人体標本が有料で一般公開されているのだが、多くの日本人にはショッキングな標本も含まれていることから、その特異性に注目した一部のガイドブックで取り上げられるようになった。ただし、当然のことながら展示の本来の目的は医学研究。主な利用者はタイの医学生および医学関係者となっており、シリラート医学博物館はタイの人々の医学に対する高い関心の表れと言えるだろう。

国家戦略としてのメディカル・ツーリズム
 それでは、医療サービスそのもののレベルはどうなっているのか。ひとつの指標となるのが、国際医療機能評価機関Joint Commission International(JCI)による認証(以下、JCI認証)だ。同認証は医療品質や衛生管理に関する世界的な評価基準のひとつであるが、タイでは「病院」部門においてJCI認証を受けている病院数が45(2018年4月時点)となっている。ちなみに、日本国内において、同部門でJCI認証を受けている病院数は20となっている。
 「世界基準」なのは、これだけではない。大規模な病院であれば外国人患者への対応も手厚いので安心だ。たとえばバンコクにある「バムルンラード病院」(Bumrungrad International Hospital)では、英語、タイ語、アラブ語、ベンガル語、カンボジア語、中国語、フランス語、ドイツ語、日本語、韓国語、ベトナム語を話すカスタマー・サービス・スタッフがおり、日本語しか話せない患者であっても問題なく治療を受けることが可能となっている。実際、中東や一部ヨーロッパからは、タイで受けられる先進医療を求め、通院・入院を目的に訪タイする観光客(患者)は少なくない。タイの医療は今や「サービス」であり、立派な「観光資源」なのだ。

 社会保障制度を刷新するだけでなく、医療機関そのものをグローバルな水準に高めることで、外貨獲得にも努めているタイ。一方、近年では少子高齢化が進行し、病院での治療だけではケアしきれない問題も数多く発生していくことが予想されている。そのため、タイの医療サービス市場への日系企業進出のチャンスは、医薬品や医療機器メーカーだけでなく、ホームケアやリハビリサービス等、様々な分野に広がっている。

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