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世界で活躍するインド人


 

インドと聞いて、まず何が思い浮かぶだろうか? カレー、タージ・マハール、ガンジス河という人は多いと思うが、最近では、SE(システムエンジニア)やプログラマ、医師、ビジネスリーダーを挙げる人も多いのではないだろうか。
 実は、インドは現在世界一の人材輸出国だと言われている。毎年、アメリカで働くためには最も一般的な就労ビザである「H-1B」を取得した人の約5割、米国における博士号保持者や航空宇宙局(NASA)の科学者の中の3割以上はインド人である。一方、イギリスでは医師の40%以上がインド出身である。これらのデータを見ると、インド人は知的で、特に理系の分野では非常に優秀であることがわかる。
では、なぜインドは世界で活躍する人材を次々と輩出できただろうか。その理由のひとつがインドの教育に隠されている。

暗算だけではない、高レベルの数学教育
 インドは、数学のゼロの概念を生んだ国として知られており、古くから論理的思考力が優れているといわれている。日本でも、インドの2桁九九暗算法はよく知られている。実はインド式計算法は2桁九九のほかにも、位取りや概算など、多種多様である。その多くが、インドで昔から伝承され、口伝えに教わった方法である。計算も得意だが、それよりもインドの学校では、答えが導き出されるプロセスが重視されており、高校や大学の入学試験では、法則を記述させる証明問題がより多く出題される。また、多くの学校では、math roomやmath labという数学教室があり、生徒を飽きさせないために、幾何マグネ、立体パズルやパソコンなど、五感を刺激するツールがたくさん用意されている。また、早い段階から、数学に関する基礎的な内容をまんべんなく教えるようになっている。例えば、15歳のインド人学生が使う数学テキストSTANDARD Xを開いてみると、そこには集合、数列、方程式、行列、座標、平面幾何、立体の体積計算、2次関数、統計、確率など、ずらりと並んでいる。こうした数学教育のあり方がインド人の論理的な思考を育て、変化の速い情報化社会に対応できるような資質や能力を養っているといわれている。
ビジネスで必要不可欠なスキル――語学力とディスカッション能力を兼ね備える
 数学だけでなく、インド人は高い語学力も身につけている。初等、中等教育では、最低でも3言語が必修になっている。3言語以上をインド人が話すのはごく普通のことである。また、高等教育では英語が教育用語として使用される。世界でも訛りが酷いことで有名なインドの英語だが、国内外問わずコミュニケーションのツールとして十分役立っている。もう一つは、ディスカッション能力。インドの教室を覗いてみれば、そこでかなり激しい授業が繰り広げられていることがすぐわかる。教師が絶えず問いかけ、生徒は間髪入れずに発言する。その繰り返しで授業が進められている。多民族、多宗教国家のため、異なる言語、文化、価値観の垣根を乗り越えて関係を構築していくために、どうしても意見を闘わせる必要があるからだ。

高い専門性を持つスペシャリストの育成

 経済産業省の調査によると、専門性が高くプロジェクトを統率できるIT人材はインドに300万人以上いる。これは日本の4倍以上だという。インドは、イギリスの支配から独立した直後から、工学と科学技術分野に力を入れるようになり、公立大学などの高等教育機関では、人材を育成するシステムが組み込まれた。こうした政府の取り組みは、先進国と比較しても早かった。ただ、高等教育機関のみで専門技術者を育成している訳ではなく、実は大学と企業による密接な提携や協力の下で人材育成が行われているのだ。例えば、工学系大学院では、全課程18ヶ月の内の6ヶ月間、インターンとして企業のプロジェクトに参加し、実践的な技術の習得が必修科目になっている。
 また、企業側は寄付講座の形で、キャリアマップを学生に提示しながら、大学側にも産業ニーズを把握させ、より効率的なカリキュラムを学生に提供できるよう積極的に取り組んでいる。こうした両者の協力によって、即戦力となる学生を育てることが可能となり、人材育成面では他国より優位性に立つことができた。
 このようにして、インド人は時代に適応した人材づくりに成功した。一方、主体性や立案能力の高い学生を育てることに頭を悩ませている日本の学校やグローバル人材の育成に苦戦を強いられている日本企業はいまだに多く、様々な取り組みが行われている。歴史的、民族的、宗教的背景のまったく異なる日本では、インドと同じ人材育成方法が通用するとは思えないが、世界で活躍する人材を育成するなら、日本人ならではの長所を生かし、インドと同じように、豊富な教育方法、ダイバーシティに富んだ教育現場、実用性の高い授業内容を実践することは必要不可欠だろう。

(2017年7月)


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