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都市部の流行から読み解く、『進化』し続けるタイ ②


タイ・チェンマイの人気バリスタが手掛けたラテアート。プレートには豆や甘味についての説明がある。

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「第3の波」に乗る!スペシャルティコーヒーとタイ人のこだわり
 一度は落ち着きを見せたと思われたタイのカフェ業界であったが、近年「スペシャルティコーヒー(specialty coffee)」の出現により「第3の波」が到来し、タイは再びのコーヒーブームに沸いている。日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)によれば、「スペシャルティコーヒー」とは、「生産国においての栽培管理、収穫、生産処理、選別そして品質管理が適正になされ、欠点豆の混入が極めて少ない生豆」を使用し、適切な輸送と保管、焙煎、そして抽出がなされたコーヒーを指す。
 「本当にタイでそのような本格的なコーヒーが飲めるのか?」と疑問に思われる方もいるかもしれないが、バンコクやチェンマイといった大都市のコーヒーは日本や欧米と比べても引けを取らない。筆者はカフェの激戦区、チェンマイに滞在していた際、タイ人の友人からおすすめのカフェを何軒か紹介してもらった。その際、彼らはただ「美味しい」と褒めるのではなく、「ここのバリスタはラテアートの大会で優勝している」「このカフェの内装は有名なデザイナーが手掛けた」といった情報を次々と付け加えられながら店を紹介してくれた。

一杯のコーヒーに「物語」を求める
 なかでも現在チェンマイで熱烈なファンを増やしているカフェが「Akha Ama Coffee(アカ・アマ・コーヒー)」だ。2010年のオープン直後、カフェ創業者のひとりであるリー・アユさんが、コーヒーの世界大会「World Cup Tasters Championship」に自分たちの豆を送ったところ、2500以上のエントリーの中から見事選出された。このような確かな味の保証に加え、「Akha Ama Coffee」は「ストーリー」としても人々の心に訴えかける力を持っている。カフェで使用される豆の生産者は、「アカ」と呼ばれるタイの山岳少数民族の人々で、彼らは経済的に厳しい状況に置かれている場合も少なくない。カフェは、そんなアカの人々に生活を支える換金作物としてコーヒー豆を栽培してもらい、農法も環境に配慮した「持続可能な農法」であることにこだわりを持っているのだ。決して大きくはない店だが、噂を聞きつけた世界中のコーヒーファンで、店は連日にぎわっている。

変わりゆくタイの「スタンダード」
 タイにおいて、スターバックスは依然として圧倒的な支持を集めている。しかし、近年ではそれ以外の様々なスタイルやポリシーを持ったタイ独自のカフェが誕生し、消費者が利用できるカフェの選択肢はますます増えている。タイの人々が利用するカフェには、利用客のライフスタイル、美的センス、社会問題への関心なども反映されるようになっているのだ。2020年には国民の7~8割が富裕層・中間層になるとも言われるタイであるが、彼らが目指す方向は決して数字が表すほどに画一的で単純なものではない。
 タイはかつての「安かろう(悪かろう)」の時代から発展を遂げ、欧米・日本式の商品・サービスを積極的に取り入れていった。しかし、このような海外製の「良いもの」は、「スタンダード」と言うには高価すぎることが多く、あくまで富裕層向けの商品・サービスとされてきた。このギャップを埋める存在として出現したのが、タイ人の好みにマッチした「Cafe Amazon」のような「安くて良いもの」だったのだ。また、近年のタイの若年層は、もはや目の前の商品のクオリティーだけでなく、その背後にある「ストーリー」や「思い」を知りたがっている。自分の好みに絶妙にマッチする、「ちょっと高くて、ちょっと良いもの」。いま、タイの若者たちが求めるものは、これまでよりもずっと自然体な「スタンダード」なのだ。


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